第9話 謎の円盤 宝栄丸
吸血鬼に自らの首を差し出した書店ちゃん。
「他の人達は噛まないでくだサイね?」
一方、買い出し組は……
「あの吸血鬼の娘、そろそろ起きましたかね?急に死にかけてたみたいですけど。」
「あれはなのちゃんの血を吸ったからだと思うよ。食あたりでもしたんじゃない?ニンニク入りだったし。
それにしても本当に書店ちゃんから離れたくないんだねぇ、帰宅してもいいデスよって言われてたのに。」
「別にいいじゃないですか。あたしだって山書の店員ですし……」
「本当にそれだけが理由~?」
「もう……からかわないでくださいよ~。」
「ただいま~書店ちゃ~ん、差し入れ持って来t……
えっとこれどういう状況?」
ブブラッドが書店ちゃんの首に噛み付こうとしてたのではあるが…書店ちゃん大好きなヤマナメの目にはブブラッドが書店ちゃんを押し倒している様に映った。
「あわわわわ……」
「あ!ヤマナメちゃんにあざすさん。」
「ん?誰?知り合い?」
「はい、とても優しいいい人達デスよ。」
駆け出すヤマナメ、目は血走りつり上がっている。
「とてもそうは見えないんですけどぉ~?」
「書店ちゃんから離れてぇ~!」
ヤマナメの力場鎧がいい仕事をし、ブブラッドは1メートルほど弾かれる。
「書店ちゃん大丈夫?怪我したりしてない?一人にしてごめんね!」
「あの~ヤマナメちゃん、ワタシよりあっちの方が大丈夫じゃないと思いマスよ……」
灰になりつつあったブブラッドを救ったのはえびちゃんの治癒魔法だった。
「ごめんなさい……書店ちゃんが襲われてると思って……」
「あんたね~、いきなり突き飛ばすのは無いでしょ?まぁ暖房の中で食べるアイス奢ってもらってるからいいけどさ。」
「ほら、ブブラちゃんもこう言ってるし元気出してくだサイ。」
「そうそう、みんなで美味しい物食べて楽しく行こ!」
「なのはアメリカンドッグがいいなの。」
「あざすさん、俺もビールが飲みたい。」
「あたしはコーr……ドクペだこれ~!XOXO半分あげる~。」
「ところでブブラちゃん、書店ちゃんアンドロイドなんだけど大丈夫だった?」
「嘘……人間じゃないの?(吸ってたら何抽出されたんだろ……ってか歯は刺さるの?この中で血を貰うなら金髪の子ね!)
あのさ、もし良ければなんだけどヤマナメちゃんの血を少しもr……」
「ダメデス。」
「え……あのちょっとヤマナメちゃんに聞いてもr……」
「絶対にダメデス。」
「あ!書店ちゃん大魔人モードなの。」
「ブブラちゃん、ああなってしばらく歯向かうとお仕置きバスターが発射されるぞ?あ!俺のねぎま!」
(怖いからもうやめよう……)
「しょうがないなぁ~、ここはこのあざすが一肌脱いであげますか。どこから吸うの?腕?首?」
「おっぱい希望なの。」
「お前じゃねぇサイダー飲んでろ!」
「あ~、気持ちはありがたいんだけどあたし健康志向だから不健康そうな生活してるっぽい人からは吸わないのよ。年齢的にも新鮮じゃなさそうだし気持ちだけ受けとるわ。」
「おおっ!あざすさんに凄い事言ったなの!」
「ぬおおぉぉ!吸え!吸ってくれ!このままだと駄目な女の烙印を押されそうな気がする!吸うまで離さん!」
「いやだからいいってば!」
「二人共もうすっかり仲良しデスね。」
「「「もうどっちがヴァンパイアか判らねーな。」」なの。」
「って言うかフードメーカーで出せないの?」
「出せると思いマスよ、では社員証を発行しまショウ。」
現在まともに話ができるのはコニーと書店ちゃんだけだった。
その頃、防衛軍中央指令部では多分偉いと思われるおっさん達が机を囲んでいた。
「火星軌道上に現れた未確認飛行物体であるが……」
「隕石ではないのかね?」
「いいえ、明らかに交信しようとしています。」
「エイリアンクラフトか……そうだな。全ての言語でこんにちわと発信しろ、それに反応した国に誘導する。」
翌日、130の言語で発信された「こんにちわ」に反応してきたのは日本語であった……
「>・×и*&£┤:コニチワ|Ⅹ/@┤:'?」
「字守予備役情報少尉、どうだろう?」
「いやどうもこうもこれ「こにちわ」しか聞き取れませんよ?」
「今全世界でこれを解読しているのだが……どうも役人は頭が固くてね。市井の宇宙言語のエキスパートに聞いてもらえないだろうか?」
「はぁ……たぶん無理だとは思いますけど……」
「って訳でこのテープ押し付けられたのよ……」
「相手が目の前に居れば翻訳も可能だけどな。」
「宇宙人はさすがに守備範囲外なの。」
「吸血鬼に何を求めてんのよ?」
「この言葉を使う次元は無さそうデス。」
「宝栄丸って何?」
全員の視線がコニーに向く。
「コニーちゃん、解ったんデスか?」
「え?……うん銀河標準語だよ?適当なノートパソコンに翻訳ソフト入れようか?」
中古屋で2万円で買ってきた型遅れのノートパソコンに翻訳ソフトを入れると……
「>・×и*&£┤:コニチワ|Ⅹ/@┤:'?」
「ありがとう、とりあえずこれ明日持って防衛軍に行ってくるわ。身寄りの無い変わり者のお爺ちゃんからもらった、お爺ちゃんは3年前に無くなったって設定にするわね。」
「その詐欺能力を生かして玉の輿に乗るなの。」
ゴチン!
「雉も鳴かずバ撃たれマイに……」
「いやたぶんこいつの性格直んねーよ。」
「命知らずだねこの子……普通にヴァンパイアに腕差し出すし。優しいのかな?」
「なのちゃんは優しいけどそれ以外がメチャクチャだから……」
ブブラッド以外がコニーの言葉に頷いている……
「そう言えばあざすさん、軍服の改造終わったなの。脱衣ポイントは左肩章の裏なの」
「え……なのちゃんの服ってあの……?」
「ええ、とある状況に対処するのにね。」
「いや瞬間脱衣が必要な状況ってどんなだよ?」
「若いイケメンの資産家と遭遇した時なの。」
「違うわい!」
「ボディースーツもステルス改造終わってるよ。ブーツ込みで。」
XOXOが頭に乗せてボディースーツを持ってきた。 最近常連客達にも不思議なマスコットとして認知されている。
「そう言えば利明(常連)さんが中国行った土産だってXOXOの玩具持ってきたわよ?」
ストリングランチャーと呼ばれる玩具なのだが……猫を模したらしいピンクのそれはXOXOにしか見えなかった。
「何で中国とか行ったんですカネェ?」
「冬季オリンピック見に行ったんじゃないかな?」
「上海蟹食べにとかだったりして。」
「俺は性風俗調べにだと思う。」
「えびちゃん……なのちゃんみたいなこと言ってマスよ?」
何故仕事という発想が出ないのか……
今回も思ったより多くブブラッドに取られてしまいました
このブブラッド、実際スレ内でもほとんどキャラクターが確立しておらず、コイカツあきさんとなのあきさんの作品を参考とさせていただきました……パクりとも言う……
さらになのあきさんからあざすさんがボディースーツ着てない理由を聞かれましたが……発注中でございました(実際には気付かなかっただけです)
と、伏線を張ったもののこの設定を使うには……やはりSOSやまぐち書店しか……あるいは何ぞ攻めて来させるか……はからずもこの世界最強の集団になってしまってますので
次回、第10話 マタンゴ娘がやって来た お楽しみに