第111話 地獄の宅配便
「はぁ~、これがネメシスオブバロックの中かいな。」
「ん~、俺も初めて入ったからなぁ。」
「ワイ文字はんこれから降りてきたってダゴンに聞いたんやけどなぁ。」
「兄ぃ、ダゴンの奴どっかでガセ拾うて来たんとちゃいまっか?」
「誰呼び捨てにしとんじゃダボが!」
「ダゴン、代表は決まったんか?」
「へぇ、ジゴン・ズゴン・デゴン・ドゴンにしようかと
んでドゴンは10番抜擢しよかと思てたんでっけどな……」
「♪追いかけろ!ドゴンボール……ご主人、語呂悪い。」
「廃油はまた馬鹿な事を……ってこの船ですが先生は元々遊覧船か客船のつもりで作ったみたいよ。
ただ光子ガレオン櫂や艦首ミサイル発射口付けたところでパープルエガー私設宇宙軍に接収されたみたい。
あとこの船には必殺兵器重力砲が装備されてるので撃たない様に。」
「先生……何考えてるんだ……」
「宇宙海賊に襲われた時用だって。」
「オーバーキルにも程がある。
なんでそんなに素早く楽にしなきゃならんのよ?」
「「「「え?」」」」
「攻撃力は敵艦の装甲を抜ける位有れば充分!
できれば呪いなり放射能なりぶち撒けて長く苦しめた上で殺すのがベター。」
「兄ぃ……もしかしたらネメシスオブバロックって歪み真珠の天罰やのうて歪んだ報復って意味やないやろか?」
「さすがです文字さん!このナイアーラトホテプ感服しました!」
「ああその様に発音するのですね。」
「敵対勢力に慈悲は不要です!
何か有ればこのナイアーラトホテプに御用命ください!
とりあえず惑星核破壊振動弾を……」
「止めんかアホ!
文字さんもなかなか苛烈な性格してますね……」
「俺一人ならともかくショゴス達を危険に曝すなら神にでも背きます!」
「良くこの人イスを根絶やしにしなかったな……
パープルエガーとサー・ミスター・キャットは火薬庫の中で花火してた様な物だ。」
「でもそのまま殺すより苦しんだと思いまs……
しまった!パープルエガー二日酔いにするの忘れてた!
あとキャットの手下共にも二日酔い体験させてやるべきだった。」
「おい九鶴!この人邪神以上に邪神っぽいぞ。」
「九谷、何言うとんねん。
地球人の脆弱な体でショゴス纏めとんやぞ?」
「それについては仲間を嵌める様な真似はしないとかいろいろ有りますので。」
「その優しさが何故上官さんに向かないんです?」
「油断してると書類仕事回しやがりますので。
さて、南極行きますか。」
「フルステルスON、ネメシスオブバロック発進!」
「えいこ~ら~♪」
「廃油、ボルガの舟歌唄うな。」
「♪沖のカモメに……」
「ダンチョネ節にしろと言う意味じゃなくてね……」
「Starship!Ride on with me, my little girl♪」
「テケリリも一緒になって歌わないの!」
「は~れたっそら~♪」
「九鶴さん……おっさんですか?」
「さ~ら~ばラバウルよ~♪」
「九谷さん、あなただけはまともで居て欲しかった。」
『昨日父ちゃんト寝たトキに~♪』
「ダイショちゃん、なのちゃんに教わった歌は歌っちゃいけません!」
「どないしたら気ィ済むんやな?」
「普通に静かに発進して?」
「ネメシス進むは死出の旅、ソレドンジャンドンジャン死出の旅、並のショゴスは死出の旅……」
「廃油、縁起でもないこと言うな!」
「バロックの戸板の外よ地獄なる、身を捨ててこそ浮かぶ瀬も有れ。」
「お前らこれ沈めようとしてない?大丈夫?」
「フルステルスで海上を60ノット(約110キロ)で航行中。」
「軍用ホバークラフトか?」
「うんちょっと飛んでる。
と言うかこの艦最初から水上用エンジン元々付いてないから。」
「成層圏飛んだ方がいいんでは?」
「その辺含めて先生に意見出すからね。
飽くまでも試験航海なんだよ……前方からSOS!日本のタンカーが海賊に襲われてる模様。」
「70メートル浮上、ダミーテンペスト発動、光学迷彩OFF。」
「光学迷彩OFF。高度70メートル。」
「光子ガレオンパドル海賊船に向けて照射!」
「海賊船8割炎上!」
「外部に九鶴さん投影、九鶴さんはクトゥルー形態に戻ってください!」
「やったで?」
「音声こっちに!
『我が海を荒らす戯け共よ!
今回命だけは助けてやる。次は無い!』
画像音声OFF、光学迷彩ON。」
「海賊逃走!タンカーより入電、助かった、ありがとう。」
「バカめと返信してやれ。」
「廃油、ネタに走るんじゃない。
返信、航海の安全を祈る。以降通信OFF。」
「なぁなぁ、なんで助けたあとなんも言わんと去るん?」
「クトゥルー、あんたも解ってないんですね。
恩を売って立ち去る。これこそ悪の道なんですよ!」
「ナイアーラ、それはどちらかと言えば正義の道だ。」
「まぁ正義だ悪だは立ち位置だけで全く変わってきますからねぇ。
あるいはこの宇宙の何処かに絶対正義や絶対悪が在るとして太陽系を飛び出せない地球人に触れられるはずも無く……」
「あなた普通に銀河飛び出してたでしょうに。
あたし散々アザトース様に怒られたんですよ?」
「あぁウボ=サスラ殿救出の時か。
あれ犯人はイス人ナコトで良かったんだよな。」
「ええ、ブラウンジェンキンの中に入って逃走してます。
父っつぁん早く捕まえて下さいね?」
「ブラウンジェンキンか……うちもペット増やしt……」
「「却下ぁ!」」
「二人共なんでそこまで?」
「ユージもリトルも放置してるから!」
「ぼくらが変身してあげるから浮気は考えなくていい!」
「君らは知的生命体だろうに。あとリトルはしっかり付いて来とるよ?」
肩で緑の仔ダコが手を振っていた。
「親方、そろそろ潜行命令お願いします。」
「繭状電磁障壁展開!
着水後潜水開始。ダウントリム5度。」
「アイサー!ダウントリム5度。潜行開始!」
“毎度~!三河屋で~す!
ご注文のクアドリウムとセラエナイトお持ちしました~!”
“妖輔くんは御用聞きですか……また面白い艦で来たわね。”
「パレンケとルクソール改修中で炉の火落としたもので。」
大魔艦は南極海底大亀裂の中に入って行った。
サブタイトル詐欺になりましたことをお詫び申し上げます。
当初は対海賊戦闘を細かく書こうと思っていましたが……オーバーテクノロジーの宇宙戦艦出したらあっさり片付くんじゃないかと。
で、やってみたら思ったより簡単に……当初ダゴンやディープ10がもっと暴れてたんですよね……
さて次回は ダゴンの苦悩
第112話 海産物の宇宙戦艦 お楽しみに