表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

英雄物語3 番外②

今でも時々思い出す。私の膝の上で、たどたどしくしゃべる小さな弟の姿。 





「姉さん、体調はどう?」


3人目を授かり、つわりで気分の悪いミリヤを、グロサムはしばしば見舞った。


と言うのも、グロサムがそれ程王城に来ているのだ。


即位も間近と噂されるクリント王子が創設した魔法学校が、王城の一部を使っているからで、グロサムはその一期生だ。


リードニスやその周辺諸国では、有能な魔法使いの存在が国の強さに関与する。それで熟練の魔法使いたちは、弟子を育て、途切れることなく魔法使いが国を支えるようにして来た。


クリント王子は新しく学校を作ることで、弟子制度を進化させようとしたのだ。


魔法使いには、使える魔法の得手不得手がある。元々の素質と、教えてくれる師匠の得意分野に左右されるのだ。


コダ程オールマイティーな魔法使いは滅多にいない。どうしても、教え方にはバラツキができる。


学校を作ることで、教師となる魔法使いたちが不足を補い合えば、良い成果が次世代に継承されていくだろう。


グロサムは14才になった。声変わりし始め、男らしさと少年っぽさが同居している状態で、ミリヤにはかけがえのない可愛い弟だ。


一期生に選ばれたのは、超有能な子どもたち。グロサムも有能なのはわかる。


でも正直、あまり早く成長してほしくない。どこかミリヤの手の届かない所へ、飛んで行ってしまいそうで嫌なのだ。


「ありがとう。今日は、少しましかな。」


「これ、キナからだよ。ハーブティーだってさ。」


「わあ、ありがとう。」


それでもグロサムはやっぱり、雄々しく成長して行くのだろう。私にできるのは、見守るぐらいのこと。


願わくば。





グロサムの魔法で、グロサム自身も幸せになりますように………。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ