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せいねーたのせなたにのう  作者: とぽけっと
9/10

お昼寝から起きて

 鐘の音が聞こえる、お父さん帰って来たのかな・・・

 姉様も何か言ってる気がする・・・


 はっ!

「お父さん、帰ってきた!」

 目を開けて体を起こす、おこす・・・動かない

 体が動かない! え?なに?

 目の前にはキフィちゃんとリーネちゃんと、・・・あれ? もう一人いる?

 背中も誰かに握られてるし、上に誰かが乗ってる・・・

(うん、そういえばお父さんは町に行ってたんだった、姉様は? 見に行ったんだ、分かったありがとう)

『おはよ、起きたんだ』

 みっちゃんと話をしてると、姉様が帰ってきた。

『起きたいから、体の上の子どかしてくれる?』

『ちょっと待ってね、セイの後ろ子の指外すから』

『そっか、掴まれてたんだった』

 姉様が背中の服を掴んでる指を優しく取ると、わたしの体を上に乗ってる子供も一緒に持ち上げた。えへへ、姉様に抱っこされるのちょっと楽しい。

 抱っこされたまま少し動いてから地面に降ろされ、上に乗ってた子を渡される。サーちゃんだ、軽くて寝てるとき気付かなかったわけだよ。

 とりあえず、私が寝てたところに寝かせておこう。おやすみなさい、・・・笑ってる。

『なんだか、今日は多いね、村の子みんな集まってる感じだよ』

『そうなの? 昼寝の後はいつもこんな感じなんだと思ってたわ』

『いつもの多くても5人ぐらい、起きたら一緒に寝てるね』

 今日は0歳や1歳の子もお母さんに抱っこされてお昼寝してる。お母様の誰かが起きるまで動けなさそう・・・

『誰か起きるまで、みんな見とかないとね』

『私が居るから大丈夫だよ』

『そういえば、姉様さっきどこかに行ってたの?』

『そうそれ! 聞いて! もうセイと離れたく無いから、さっき出来るようになりました〜』

『何が出来るようになったの?』

『ふっふっふ、何かを守りながら、私が動けるようになったのです!』

『おおー・・・、おお・・お? どう言う事?』

 取り敢えず草の上に座って姉様の話を聞くことにする。そのままの意味なら、ここで昼寝してる子達を守りながら姉様が動けるようになったって事だよね?

『そのままの意味よ、ここで昼寝してる子達を守りながら私がが動けるようになったの』

 そのままの意味だった、でもそれじゃあ

『姉様が2人居るって事?』

『そんな事出来ないわよ、私を何だと思ってるの』

『出来ないんだ〜、そうだよね、姉様は姉様だもんね』

『そうね分かりやすく言うと、ここに居るセイが、町に向かってるアベルさんと一緒に旅をしてる感じね』

 分かりやすい! くもなくて、全然分からない・・・。わたしがここにいて、お父さんともいる・・・

『二人になったって事だね』

『うーん、違うかな〜』

 違うんだ、違うって言ってたしね

『さっきセイが帰ってきたっ思ったでしょ、実はまだ帰ってきてなくて、今も森から帰ってきたリンさん達の事を見ているのよ』

『うー・・・ん、二つのことを一緒に出来るって事?』

『そう、だから二人になったわけじゃないの』

 右手と左手が一緒に動かせる、みたいな事かな?

(みっちゃん、わたしも今そう思った、一緒だね〜。えへへ)

 みっちゃんも一緒の事思ったみたいで、一緒笑う。みっちゃんの笑い声かわいいな〜

『確かにそっちの方が分かりやすかったわね、次は目指せ右足よ!』

 足ないけどって笑ってる姉様おもしろい

『頑張ってね! 姉様ならいけるいける』

『頑張るよ〜、セイに忘れられないように!』

『忘れないから!!』

 もう〜


『姉様、リンさん達帰ってくるの早くない?』

 まだ、太陽が上の方にいる、太陽が森向こうに行くまで刻がある、いつものは森の上ぐらいになったら帰って来るから、今日はかなり早い。

『そう、だから見に行ってるの。リンさん達帰ってきてから、解体小屋の所でライカを叱ってたんだけど、今は村じい来て薬草取ってきてって話してるところかな?』

『ライカちゃん怒られてたんだ、何をしたのか後で聞いてみよっと。リンさん達もう一回森に行くの?』

『今、二人で行く事になったみたい、ライカ下向いて泣いてる・・・』

『そっか、森に行けないのは悲しいもんね』

『多分、違うと思うわ』

 私は悲しいけどな〜、でも今から森か〜

『姉様』

『分かったわ! 行ってくるわね!』

『・・・行きたかったの?』

『もちろんよ、セイを見てたら誰だって行きたくもなるわよ』

『くっそー・・・』

 なんだか、悔しいな・・・

『森は大きくないと入っちゃダメなんだった〜、姉様』

『私、大きいわよ』

『そうだった・・・、うーん・・・。姉様、リンさん達を守ってね』

『もちろんよ』

 姉様がいた方が良いに決まってるから、止めない方がいいよね

『姉様の初めての狩りは、何が獲れるのか、楽しみだね』

『大きいの、居てくれないかな〜』

『それは危ないよ、そういうのはお父さんの仕事』

(うん、そうだね、そうだったね)

『薬草採りに行くんだったわ』

『姉様、おっちょこちょいだね』

『あれ? 私だっけ?』

 リンさんは、姉様が付いて行くから良いとして、ライカちゃんだね。

 ライカちゃん森にこっそり行きそうな気がする、止めに行きたいけど、ここから離れちゃダメな気がするし、ライキが居たら止めに行ってくれるんだろうけど、・・・あ、フララちゃんが居る、寝てるけど

 フララちゃんに近づいて、体を揺らす

『フララちゃん起きて』

『私に言われても』

 そうだったそうだった

「フララちゃん起きて」

「え〜、いやかな〜・・・」

「嫌じゃないよ、起きて起きて」

「うーん、おかあさん?」

「違うよ、セイだよ。ちょっと、ライカちゃんのところに行って欲しいんだけど」

 目を擦って、体を起こしたからもう大丈夫

「え? なんでライカ?」

「森から帰ってきてね、怒られたんだって」

「そっか〜、おこられたんだ〜、そっか〜」

 あれ? 寝てる?

「フララちゃん起きて、ライカちゃんのところに行って」

「怒られるなんて よくあるじゃない」

「一人で森に行きそうだから止めて欲しいの」

「ライカはそんな事しないよ〜」

「ねえ、フララちゃんお願い」

「セイちゃん?」

 お父さんがするような目でお願いする。ちゃんとお願いするときの目、嫌って言えないやつ

「真面目なやつ?」

「真面目なやつ」

「分かったわ、どこに居るの?」

「解体小屋に居るよ、ちょっと急いだ方が良いかも、なんとなくだけど」

「そっか、じゃあ行ってくるわね、って結構人集まったね〜」

「ちっちゃい子が起きてもいいように、ここに居なきゃ行けなくて」

「なるほどね〜、それじゃあ連れに行ってくるね」

「行ってらっしゃい」

 手を振って、フララちゃんを見送る。連れにってなんだろう?


 フララちゃんが解体小屋に走ってた後、やる事なくて寝てるソイちゃんのお腹を撫でて遊んでたら、川の向こうからたくさんの煙が上がってるが見えた。

『姉様、みっちゃんあれ何だと思う?』

『何だろうね? 家の煙じゃなさそうだし、移動してるしね』

 移動? 本当だ、動いてる。

『何かに、襲われてるとか!』

『なんで、ワクワクなの? それなら鐘が鳴ってるし、リンさん達も薬草採りに行かないと思うんだけど・・・』

 うーん

『村ばあを起こしたら?』

『そっか、知ってそうだよね』

 エマちゃんを座ったまま抱っこして寝てる、村長ばあちゃんの所に行って肩を揺らす

「村長ばあちゃん、起きて」

「うーん、何だいセイ、どうしたんだい?」

 目を開けた村長ばあちゃんには、寝ぼけるなんて事はなさそう。歳を取ると寝ぼけなくなるって誰か言ってた

「村長ばあちゃん見て、煙いっぱいあるよ」

「あら本当だわ煙上がってるわね・・・。 火事っ・・・じゃ無かったわ、あー、始まったのね」

「何が始まったの?」

 村長ばあちゃんが優しくエマちゃんの頭を撫でる。

「あれはね〜、虫を追い出してるのよ」

「虫を?」

「そうよ、今朝キフィの顔にブツブツ出てたでしょ、あれは虫に刺されたからでね、今煙を使って追い出してるの」

「虫って煙に弱いの?」

「そう言われてるね、最近はこの辺で見かけなくなってたんだけど戻って来たみたいだね」

「戻って来なくても良いのにね」

「本当にね、ちょっと油断しちゃったわね」

 油断? 油断したら虫来るんだ〜

「どんな油断なの?」

「うん? あら? セイはあれを見るの初めて?」

「うん、初めて見た」

「あれは、毎年やってるのよ、今年やるの遅れちゃってね、エマが産まれたじゃない、うちのバカが忘れちゃってたのよ」

 アトーレ村長・・・

 どうして見た事ないんだろう・・・、けむり〜けむり〜

「煙くさい日があったような?」

「今日みたいに、子供を集めて昼寝してるから、覚えてないのよ」

 村長ばあちゃんが頭を優しく撫でてくれる。ガサガサしてる!

「それにしても、今日は気持ちいい日で良かったわね」

「ポカポカして、お昼寝しやすいね」

「お昼寝日和ね、風もないし・・・、見張りの大人も寝るぐらいね」

 見張り、子供が動き回らないようにかな? そんなに危ないんだ〜

『ふふふ、それはね、私のおかげなのでした〜』

『あー、姉様が寒さから守ってくれてたんだ』

『ちょっとは驚いて欲しいわね』

『姉様、何でも出来るから』

『何でもは出来ないわよ』

『なんだ〜、残念』

 やっぱりお父さんが一番すごいって事だね。わたしもお父さんみたいになりたいな

「セイ、髪の毛やってもいいかい?」

「いいよ」

 村長ばあちゃん、女の子の髪を結ぶの楽しいだって、産まれた子みんな男だったから、色々溜まってるからやらせてあげてって、お母様達に言われてる。わたし女の子じゃないんだけど

「じゃあ、エマを抱っこしてて、今日はどうしようかな」

 エマちゃんを抱っこして村長ばあちゃんの方に背中を向ける、すごく嬉しそう、カリーヌさんも髪長いと思うんだけど、やってないよね、どうしてだろう?

「エマちゃんよく寝てるね、大きくなってね、アトーレ村長ぐらい大きくなってね」

「セイ、それはおばあちゃんが嫌かな、エマは女の子だからね」

「冗談だよ〜、普通に大きくなってね〜」

 アトーレ村長みたいに大きい女の子も見てみたいんだけど、おんぶ出来ないからダメだよね。

「セイの髪の毛は、サラサラでキラキラしてて綺麗ね〜」

「ありがとうございます」

 髪の毛を褒められたら、「ありがとうございます」って言わないとダメなんだって、お母様達に言われてる

「今日はどうしようかしら〜」

 村長ばあちゃんがクシを取り出して髪を、す・・・すく? スイスイする。

 髪を綺麗にしてくれてる間は動けないから、エマちゃんの頭を撫でてとこ、髪の毛細くてサラサラしてるけど、ちょっとベタってなる、後で頭洗ってあげよっと

(みっちゃん、後で髪の毛洗うの手伝ってね、うん、ベタってなってる)

 赤ちゃんはやっぱり可愛いね〜、温かいし、軽いし、優しい匂いするし、目がクリクリして・・・、起きてる!

「おはよう、エマちゃん」

「あ、あうあ、あああ」

 うわっ、バタバタしてる、驚いてる顔と嬉しそうな顔の顔してる。力が強い!

「エマちゃん、元気いっぱいだね」

「あう、ああ、あうう」

「えへへ、何言ってるか分からよ〜」

 両手で持ってないと落としそうなぐらい暴れる、バッタバタしてる

「ねえエマちゃん、エマちゃーん、エマちゃん聞いて、ね?」

「ああ、う、あう?」

 良かった落ち着いた、なーに?って顔してる、目がクリクリで本当にかわいい

「エマはセイの事を好きすぎって、アトーレが言ってたんだけど、本当だったのね」

「わたしもエマちゃん好きだから一緒だね」

「あーあ!」

 だよね、一緒だね〜

「エマちゃん、髪の毛洗ってもいい?」

「あーま?」

 エマちゃんが頭に手を持っていく

「そうそう、頭の毛洗ってもいい?」

「あい!」

 よかった、良いみたい、嬉しいみたいでまたバタバタしてる

『姉様、水ちょうだい』

「ちょっとセイ、今何か凄くなかったかしら?」

「え? なにが?」

 村長ばあちゃんが手を止めて、エマちゃんを見てる気がする。エマちゃん凄く・・・暴れてた?

「元気いっぱいだよね」

「そうね、元気ね。うーん・・・、そうだったかしら?」

 考え始めた村長ばあちゃんを置いといて、姉様から受け取った水を使って頭を洗うぞ〜。

(うん、そうだよね、冷たいよね、どうしたら温かくできるの? うん、わかった)

 みっちゃんに言われた様に水を手でもにもにする。温かくなれー、温かくなれー

「セイ、それは何やってるんだい?」

「エマちゃんの髪を洗う水、今温めてるんだ」

「エマの髪を洗う水? 今なの?」

「うん、後から洗えるか分からないし」

 今も嬉しそうにバタバタしてるし、「んっ、んっ」言ってるし、洗ってあげたい! かわいい!

「セイは優しいね」

「そうかな? エマちゃんがかわいいからだよね〜」

「あふっあふっ!」

 早く〜、の顔してる。水も温かくなったし、いいかな。

「じゃあ、洗うね」

 水をエマちゃんの頭に押し付ける、細い毛がわさわさ動く。エマちゃん驚いた顔してる、気持ちよさそうな顔になっ・・・、おしっこした。

「村長ばあちゃん、エマちゃんおしっこしたよ」

 うう・・・、わたしのズボンも濡れてた。

「わっ大変、セイ大丈夫? 服にかかってない?」

心配はしてるけど、手を止めない村長ばあちゃん。

「ズボンに掛かった・・・。大丈夫だよ〜、後で一緒に洗おうね〜」

 エマちゃん気にして泣きそうになってる。泣かないで

「大丈夫だよ〜、大丈夫だよ〜、えふっえふっ」

「う、あっ・・・、えふっ!」

「エマちゃん、かわいいね、えふっ、えふっ」

「えふっ! えふっ!」

 バタバタしてる、元気になった。目がクリクリしてバタバタしてる、かわいい〜

「エマちゃん、かわいいって言われたら、『ありがとう』って言うんだって」

「ありがとう?」

「そうそう、ありがとうって言うんだって、エマちゃん賢いね、エマちゃん賢いね〜、えらいえらい」

「うん! ん!」

『セイは、かわいいね!』

『ありがと!』

(ありがと!)

 姉様、みっちゃん・・・

「セイ、今、エマ凄くなかった?」

「え?」

 手と足をバタバタずっとしてるエマちゃんを見る。何かすごい事があったのかな?

「ごめんなさい、見てなかった」

「今、エマが喋ってなかった?」

「エマちゃん、いつも喋ってるよ? 何言ってるか分からないけど」

「うー、あっあー」

「えへへ、わからいなよー」

 お腹なでなで、あたまもみもみ

「エマちゃん、頭終わったから、おしっこ洗うね」

「あ?」

(みっちゃん嫌なら言ってね、わかったありがとう)

 みっちゃん手伝ってくれるみたい

(うん、そのままでいいんだ)

 髪を洗った水をそのままエマちゃんの濡れてるとこをに押し当てる。

「あうっ! おっおっ」

「エマから聞いた事無い声聞こえるけど、なにしてるの?」

「ズボン洗ってあげてるんだ」

 水を押し当てたスボンは、濡れてたところは乾いてキレイになる。水で拭いたところ、拭いてないところよりキレイになってるような・・・、みっちゃんすごいね〜

「セイは先っきから不思議なことばっかり言ってるわね、水も無いのに。髪終わったら、やってあげてね。ふふふ」

「うん」

 何をかな? 

『姉様、何をやってあげたら良いのかな?』

『ごめん、聞いてなかった』

 えー

(みっちゃん・・・、うんうん、あー、勘違いしてるんだ、じゃあ、やってあげなくても良いんだね)

 あー忘れてた、わたしのズボンのおしっこも綺麗にしよう。水を押し当てて、水がうーってなってる、汚れが全部取れる感じが気持ちいい

(水はどうしたらいいの? わかった)

 もう使わないなら、捨てて良いんだね、おしっこ入ってるし捨てよ

「えいっ!」

 水を遠くに投げる。おしっこ臭いから遠くに

「えっ、えっ、あー」

 またエマちゃんバタバタしてる。遊んであげよう、頬っぺたプニプニ〜


 エマちゃんと遊んでいると、橋の方にタイマツを持った大人が見えた。

「村長ばあちゃん、橋の所」

「そう、もう来たのね、あと半分ね」

「こっち見てるよ」

「そう、よかったわね」

 ・・・

「火のついた棒持ってるよ」

「そう、不思議なことしてるわね」

「村長ばあちゃん?」

「あとちょっとだから待って、最後だからあとちょっとだから」

 えー・・・、うーん、怒られそうだから黙って座ってよ。

 虫を追い出してる大人達がこっち見て止まってる、タイマツ持ってる人が5人ぐらい、小さい瓶持ってる人が何人かいる、何も持ってない人がいっぱい・・・

 みんな止まってこっち見てる、何か言ってるみたいだけど聞こえない。

『姉様、声が聞こえないんだけど、何かしてる?』

『え? ううん、リンさん達の方は何も起きてないよ』

『そっちじゃなくて、こっち。橋で何か言ってるみたいだけど聞こえなくて』

『ああ、今ね、音と風と寒さが入ってこないように、みんなを守ってるからね』

『そう言えば静かだね、川の音聞こえてない、だからみんなお昼寝してるんだ』

 暖かくて静かな場所は寝やすい! たまに音がいっぱいの時も寝やすい

 アトーレ村長がこっち見て指を指して何か言ってる、あ、周りの人に叩かれてる。なんて言ったんだろう?

 カリーヌさんこっちに手を振ってる。何言ってるか分からないけど手を振り返そかな

「エマちゃん、お母さん達だよ。おーいって言って」

「おーい」

 エマちゃんの小さの手を持って手を振る、反対側の手でわたしも振る

「えふっ、えふっ」

「えへへ」

(ありがとう)

 みっちゃんに可愛いって褒めてもらった。

「えっ!」

『姉様、橋の所で何人か倒れてれるんだけど、どうしたの!?』

『なんだろうね? 倒れてるんじゃなくて倒されてるみたいだけど』

『倒されてるの?』

『「うっせーばかおちつけ」だって』

 ??? あ、蹴られた・・・。???

 よく分からないけど、おもしろそうだからいいかな?

「あーう、ううう」

「エマちゃんどうしたの?』

「あっあっ、あうう」

「何言ってるのか分からないけど、お腹空いたんだね」

「あうう」

 赤ちゃんのごはんはオチチで、オチチはお母さんが出すから、カリーヌさん。カリーヌさんの顔見てお腹空いたんだ〜、食いしん坊だね

「えう、あっ!」

 エマちゃんにたたかれた。はいはい、急ぎますねー

「村長ばあちゃん、エマちゃんお腹空いたって」

「そうかい、何か食べさせてあげとくれ」

 なにか・・・

『その辺の草を食べさせよっか!』

『ダメだと思う』

 わたしはお母さんじゃないから、カリーヌさんとこに連れてかないと

「村長ばあちゃん」

「・・・」

 動けない

『姉様、エマちゃんをカリーヌさんの所に連れってって』

『みんな、寒くなってもいい?』

『ダメかな』

(みっちゃん、うん、だよね〜)

 みっちゃんは体がないから無理だって、体ないなら今どこに居るんだろうね?

 それどころじゃなかった、うーーーん・・・

『姉様、わたしだけ外に出せる?』

『ああ、そういう事、出来るわよ、はい』

 うわっ! 少し寒い! 少しだけ・・・

「カリーヌさーん! エマちゃんお腹すいたって!」

「分かったわ、そ・・・」

「「「セイちゃん、かわいい〜」」」

 カリーヌんが何か言ってる時に、お母様達に褒められる。おれいおれい

「ありがとうございまーす! エマちゃんも可愛いですよー!」

 そういうと、橋の方ですごい笑い声がする。なんで!?

「エマちゃん、笑われちゃったね」

「えふっえふっ」

 嬉しそうにバタバタしてる。かわいい

「こちょこちょ〜」

 ワキの下をモミモミ〜

「えふふふふ、えふふふふ」

 かわいい〜


「セイちゃん、エマ見ててくれてありがとう」

 エマちゃんと遊んでたら、カリーヌさんが目の前にいた。

「エマちゃん、ごはん来たよ」

「ごはんって言わないで。エマごはん食べよっか」

 エマちゃんをカリーヌさんに渡す。やっぱりごはんなんじゃないの?

「エマちゃん、バイバイ」

「え? ここでだけど」

 カリーヌさんは橋に背中を向けたまま座って、服をたくし上げて胸を出した。男の人に見せないように橋に背中を向けてる、でも胸出した方に男の子寝てるけどいいのかな?

 橋の方の人達は居なくなってる、次に行ったみたい。

 エマちゃんがごはん食べてるところを眺める、カリーヌさんは大人なのにお胸が小さい、お父さんの方が大きくて硬いからお父さんの方が強い、子供のライカちゃんやフララちゃんの方がお父さんより大きいけど、柔らかいから弱い・・・、硬いと強い? 大きいのは関係ない?

「どうしたのセイちゃんじっと見て、セイちゃんも飲む?」

「ううん、リンさん達とご飯食べたいから大丈夫だよ。カリーヌさんが大人の女の人なのにお胸が小さいのは何でなのかな、って考えてたんだ」

「えええ!? ど、・・・どうしたの急に!?」

 カリーヌさんが慌てた感じで聞いてくる。なんで慌ててるんだろう?

「カリーヌさんのお胸がちいさ・・・」

「出来た!」

 後ろから大きな声がした、髪終わったんだ

「セイどう? 可愛でしょ」

「村長ばあちゃん、見えないから分からないよ」

『姉様、みっちゃんどう?』

『うん可愛いよ、本当に可愛いわね、ちゃんと見とけば良かった』

『そうなんだありがとう、でどんな感じなの?』

(うん、うん、うん、うん?)

 ウネウネして、くるってして、ウネってして、くるくる? 良くわかんない・・・

「んぽっ」

 んぽ?

「かいい」

「どうしたのエマちゃん?」

「かぁいぃ」

 何言ってるんだろう?

(うん、そうなの?)

「エマちゃん、かわいいって言ってくれてるの? ありがとう、エマちゃんもかわいいよ」

「ありがとう」

 かわいいかわいい。頭なでなで

「ちょ、ちょ、ちょっと、今エマ喋ったわよ! セイちゃんエマが!」

 ずっと喋ってるのに何言ってるんだろうカリーヌさん。それに声大きいみんな起きちゃうよ。

「あら、エマの最初の言葉は『かわいい』なのね」

「あう、とかじゃないの?」

 村長ばあちゃんは慌ててないね、歳をとると驚かないってやつかな?

「ん? ああ、あれは・・・なんだろうね? セイには喋ってるように見えたんだんね」

 村長ばあちゃんに頭撫でられる。

「なんで〜、最初に呼んで貰いたくて『お母さん』って教えてたのに〜」

 カリーヌさんがエマちゃんの頭にほっぺたをウリウリしながら泣いて(?)る・・・

「まだ早いって言ってたのにお前らときたら」

 お前ら? カリーヌさんと・・・、アトーレ村長かな? 家で何をやってるのか・・・、考えられる!

「でも、喋ったじゃなぁ〜いぃ! ああぁ〜・・・」

 すっごい落ち込んでる。

「そんなになの?」

「そうだね、・・・セイには全部喋ってように思ってたのよね。お父さんお母さんでもね、あうあうとか赤ちゃんが言ってても分からないの、でもねずっと話しかけてるとね赤ちゃんが言葉を覚えて喋るの、その最初の一言が何かをお父さんお母さんは楽しみなのよ」

「エマちゃん、あれ喋ってなかったんだ、何言ってるのかわからないはずだよね」

 なるほどね〜、最初の言葉ね〜、私は何だったんだろう

「カリーヌさんは何だったの?」

「覚えてない〜」

「村長ばあちゃんは?」

「覚えてないわよ、セイも覚えてないでしょ」

「うん」

「小さすぎて覚えてないのよ、お父さんに聞いたらいいわ」

 カリーヌさん達も聞いたら・・・、ダメだよね、みんな死んでるから・・・、死ぬと、もうその人には会えないんだって、人が死ぬのを見たことないけど、悲しかったはわかる。今もちょっと悲しそう

「エマちゃんの最初の言葉は『かわいい』じゃ無いですよ」

「え?」

「『ありがとう』ですよ」

「ええええ・・・、最初に聞いたのはセイちゃんなんだぁ〜」

 なぜかまた落ち込んでる。

「エマちゃんかわいいね」

「ありがとう」

 かわいいかわいい、頭なでなで

「はっきり『ありがとう』って言ってる!?」

「あらあらあらあら、この頃の子はこんなにハッキリ喋ったかしら?」

「かわいいって言われたら、ありがとうって言うんだよ、って教えてあげたら覚えたよ」

「わだじが、ぜいぢゃんにおじえだやづ〜」

 泣き出した。お母さんすぐ泣くね〜、なでなで、あっ、寝た

「おやすみ、エマちゃん」

「ねだぁ〜」

 お母さんうるさいね〜、お母さんの方をなでなで

「ほらカリーヌ、エマ渡して早く行きないさい」

「おがあざん・・・、エマお願いします」

 泣き止んだカリーヌさんは立ち上がって、村長ばあちゃんにエマちゃんを渡す。

「はいはい、頑張っておいで」

「はい」

「あっ」

「どうしたのセイちゃん?」

「カリーヌさん気をつけて行ってね」

「・・・、あー、何かあるのね。ありがとう、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 うん、よかった、何もなくなった。

「セイ、何かあったのかい?」

「わかんない」

『何かあった』は分かるけど、『何か』が分からない

「ちょっと喋り過ぎたわね、セイも、もうちょっと寝てなさい」

「うん、眠たくなったら寝るね」

 今はぜんぜん眠くたくない

「そうかい? じゃあ静かに座ってようね」

「うん」

 立て村長ばあちゃんの横に座る。村長ばあちゃんとお話ししよう、小さな声で

「ねぇ、村長ばあちゃんお話し・・・、寝てる・・・」

(早いね、しゃべり過ぎたっていってたから疲れちゃったのかな? う〜ん、何しようかな〜、うん、それ面白そうだね)

 みっちゃんのテイアンでリリカちゃんで遊ぶことにする。


 リリカちゃんの服の上に草を乗せて遊んでたら、手を振ってこっちにくる人がいる、ジローレさんだ、ポルンもいる。ジローレさん歩きにくそう、腰治らないのかな?

「ジローレのおっさん、ポルンこんにちわ」

 近くまできたジローレさん達に小さな声で挨拶する。

「こんにちは」

「セイくん、こんにちは」

 小さな声で挨拶をくれる。

(この草もうちょっと左に置くの? 傾けるだけだね、左に・・こう?)

 みっちゃんのこだわりがすごい、でもさっきより良くなった気がする。

「セイくん、イタズラしたら、リリカに怒られるよ」

「え?」

 イタズラ? ん〜? してないよね?

「セイはリリカを綺麗にしてるんだよね」

「綺麗に?」

 不思議そうな顔してるジローレさん。うーん、キレイなんだけどな〜、何で伝わらないんだろう?

「セイの所から見たら一番綺麗に見えるんじゃない?」

「そうなの? ちょっとみせてててたたたたぁぁぁあ」

「うわ、大丈夫!?」

 立ち上がってジローレさんを支える。腰を痛くしないように、抱きついて倒れないようにする

「たたたたあ〜、あー痛かった、油断したよ、ありがとうセイくん、ごめんなポルン」

 ジローレさんは、痛そうなのに笑顔で頭を撫でてくれる。

『姉様、ジローレさんの腰が動かないように支えてあげられない?』

『どうやって?』

 どうやったらいいのかな?

(うんうん、それ良いかも、できる?)

『出来るけど、森の方も大変だから無理かも』

『何かあったの?』

『どうしてか分からないけど、力が入らなくなってきたのよ』

『そうなんだ、無理しないでね』

『うん、リンさん達守れなくなったらごめんね』

『いいよ、森を楽しんで』

 こっちも、力の入ってないジローレさんを何とかしないと

「ジローレのおっさん大丈夫?」

「あはははは、ごめんよ全然足に力が入らなくて、そのまま支えてくれるかい?」

「おじさん、僕もセイも大丈夫だからゆっくりでいいよ」

 ジローレさんは痛そうな声を出しながら体をうねうね動かすと、自分で立てるようになった。

「ふ〜〜〜は〜〜〜〜。うんもう大丈夫、セイくんもういいよありがとう。ポルン肩を貸してくれるかい?」

「どういたしまして」

「うんいいよ」

 ポルンの肩を掴んで立ってるジローレさんの足は震えてる。まだ腰いたいのかな?撫でたら痛いの少しなくなるかな? 

 ジローレさんの後ろに行って腰をなでる。

「ジローレのおっさん、腰治らないの?」

「ありがとう、ちょっと楽になったよ。・・・いや、本当に楽になった」

 ジローレさんの足の震えが止まった。

「こし・・・」

「ああ」

 わたしの頭をポンポンして、座る所を探して、腰痛いから座れない事を思い出して、ははって笑って、ため息をして

「そうだね僕も直ぐに治ると思ってたんだけどね、どうも打ち所が悪くて全然良くならなかったよ」

「じゃあもう治らないの?」

「自然にわね、でもね、ラトイルにポーション買って来てくれるよう頼んだんだ、ポーション使うと治るはずだよ」

「ポーションってなに?」

「ポーションは魔法付与をした薬だよ、魔法付与は・・・分からないよね、うんまあ、魔法付与は薬の効果と効く速さが上げる事が出来るんだ、付与やり方は分からないけどね」

「すごい薬って事?」

「そうだよ、ポーションは傷薬の事でね、・・・長くなるけど聞きたい?」

 話たいって顔して、ジローレさんがわたしとポルンを見る。

「うん、気になる」

「僕も聞いておきたい」

「そうか、アニキにちゃんと教えてあげてくれ」

 ジローレさんも、アニキが次の春に村を出ていく事を知ってるんだね。

「ポーションはね3種類あって、『ローポーション』は赤色していてね、浅い傷なら直ぐに塞いでくれる。『ミドルポーション』は緑色していて、どんなに深い傷でもちょっと時間はかかるけど直してくれる、まあ治る速さは深さによるけどね。『ハイポーション』は青色って言われてるね、見たこと無いから分からないけど、切り落とされた手だったり内臓だったり、失った物を復元してでも治すって言われてる、死者は生き返らない」

「じゃあ、ジローレのおっさんの欲しいポーションはミドルポーション?」

「そう、セイくんは賢いね〜」

 頭を撫でてくれる。お礼に腰をなでなで

「ただね、ミドルポーションは手に入るか分からなくてね」

「どうして?」

「ローポーションは素材が・・・、薬草を栽培できて安いのだけど、ミドル、ハイポーションは薬草が特殊でね、なかなか作られないんだ、だから出回らないし、とても高い」

「お金大事」

 お母様達に良く言われる言葉

「そう大事。でもね、お金より健康の方が大事だからね。健康はもっと大事」

『「「健康はもっと大事」」』

「家族に使えるお金が無くなるのは、本当に申し訳無いんだけどね、みんなが許してくれたんだ」

「おじさん、すっごく粘ってたね」

「ジローレのおっさん頑張った?」

「うん頑張ってたよ『治るから、自力で治すからポーションはいらなむぐっ』」

 ポルン口押さえられた。ジローレさんあわててる? てれてる?

「もしかして、ミドルポーション買うの嫌がったのはジローレのおっさん?」

「うーん・・・、うん僕が渋ったんだよ。ミドルポーションは本当に高いんだよ、本当に高くてね、一本を安く買っても台所の鉄製の道具を全部買い替えれるぐらい高い」

 鉄の物は何でも高いから、全部はすごく高い! いくらか分からないけど

「ボクはよく良く分からない」

 ポルンは分からないらしい。わたしもだけど

「そうだね、新しい鍋が家に来た時、姉さんどうだった?」

「お母さん、すごく喜んでた」

「それが沢山家に来るくらいのお金」

「それは凄いね」

 鍋・・・、鍋が新しく家に来たことないから、わからないや

「お父さん、ナイフ買ってきてくれるって言ってたんだけど、何本ぐらい買えるの?」

「ナイフか〜、ナイフはピンキリだからねー、えーと」

 ぴんきり? いっぱいって事かな?

「セイ、ナイフ買ってもらえるの? いいな〜」

 ポルンが羨ましそうに言う。ちょっと、ごめんなさい、・・・うふふ

「セイはいい子だからかな?」

「単純に、アベルさんがセイくんの事が心配だからじゃないかな? セイくんが大人用のナイフで何かしてるところを想像してみて」

「・・・ちょっと怖い、何か危ない感じする」

「えー」

『あははは』

『もう、みっちゃんも姉様も笑はないでよ』

 でも今まで使って・・・、お父さんいる時しか触っちゃ駄目って言われてた。あれ? もしかして信頼されてない?

「セイくんが大事だからだろうね、セイくんが使いやすいようなナイフを買ってくるだと思うよ」

「セイよかったね、貰ったら僕にも見せてね」

「うん」

 えへへ、ナイフ楽しみになってきた〜。

 あれ? なんの話だっけ? あ、薬だ。薬は今作ってるからそれで治るかな?

「ジローレのおっさん、今くすり・・・」

「そうだった、ナイフなんだけど、ミドルポーションが買えるお金で15本は買えるよ」

「え!? 15本も!」

 15本もか〜、・・・そんなに要らないかな

「セイ、15本貰ったら1本くれない?」

「うん、いいよ」

 わたしそんなに持ってても使わないと思うしいいよね?

「いや、そんなに買ってこないから、セイくんが持ちやす1本だけだと思うよ」

「あそっか、15本はミドルポーションの値段だったね」

 あーそっか、そうだった。ちょっとポルン残念そう

「自分用のナイフって憧れるからね、ポルンのはどんな形で手に入るかな、楽しみだね」

「うん、楽しみだな〜。おじさんのナイフはどうだったの?」

 それは気になる。そういえば、お父さんの始めてのナイフはどんなだったのかな?

「あー、ん〜」

 ジローレさんちょっと言いにくそう?

「あー・・・、いや別に忘れたわけじゃないよ。そうだな〜、まいっか」

『私は、ジローレさんが忘れてると思うなー』

『違うと思うよ」

「・・・、えっと、僕のナイフはね、父さんから貰ったんだ、ポルンのおじいさんだね。僕らが戦争に行く時に、少しでも生き残れるようにってね、大事なナイフをくれたんだ」

「おじいちゃんのナイフ」

「ちゃんと今でもあるよ、生きて帰って来たからね。ごめんね、特に面白い思い出あるわけじゃなくて」

「ううん、面白かったよ?」

『本当に面白くない!』

『ねえさま・・・』

「無理しなくていいからね」

 地味でごめんねって落ち込むジローレさん。あ、首を曲げたら腰が痛かったみたい

『戦争って何?』

『何だろうね? お父さんはセンソウでエイユウになったらしいよ』

『ちょっと聞いてよ』

『うーん、ジローレさん今辛そうだから、また今度にしよっか』

 ポルンに支えられてるけど、ふらふらしてる。

『姉様、ジローレさんを寝かせてあげてよ。お願い』

『うん分かった、ちょっと見てられなわね』

(うん、うん、わたしはそれを探せば良いのね)

「セイ、なんでさっきから変な顔してるの?」

「ちょっとジローレのおっさんが辛そうだから、何とかしてあげないとって話してたのが、顔に出ちゃったみたい」

「セイくんごめんね、気を使わせたみたいで、僕は大丈夫だからね」

「大丈夫じゃないよ、ジローレのおっさんもポルンも」

 ポルンもちょっと疲れたなの顔をしてる。

『姉様お願い』

『分かったわ、ちょっと寒くなるよ』

 守られてる感じがなくなって、寒くなる。

『まずは体を動かないように固定して』

「うわっ!! なんだ!? 体が!!」

 ジローレさん大声出すからポルンが驚いてるじゃない。わたしも驚いたけど!

『うるさいから口も塞いで〜』

「ぅぁ・・・」

 姉様は容赦なく口を塞ぐ

『浮かして』

「おじさんが浮いてる・・・」

 ポルンの驚いた顔と、ジローレさんの驚いた顔が似てて面白い。

 えっと、寝かせても腰が痛くない所は〜・・・。

『姉様ここ、頭あっち』

『はいはーい』

 浮いてるジローレさんが横になって、わたしが言った所に運ばれてくる。

「セイ、おじさんが・・・」

「ポルンとジローレのおっさんの顔が似てて面白い」

「え!?」

 黙ってられなかった、面白くて!

「今は似てなーい、あはははは」

「いやいや、セイ笑ってないで、おじさんが大変なんだよ?」

「腰痛がってたね」

「いやいや、浮いてる!」

「ポルンなに言ってるの? 寝てるよ」

「今はね!」

 あわててるポルン、めずらしくて面白い。

 わたしが言った所にジローレさんは寝てる、寝てはないかな、ヨコになってる?

「ぷはっ! はぁはぁはあ〜〜」

 ん?

『ジローレさんの息を止めてたの?』

『息を止める? 口を塞いでただけだよ』

『それは多分息止まってたと思う、ジローレさん苦しそうでしょ、危ないから次は気をつけてね』

『うーん、そっか、息止まるとどんな感じ?』

『聞いてみよっか』

 息をはぁはぁしながら首をグルングルンして何かを探してるジローレさん

「ジローレのおっさんどうだった?」

「えっあっ、セイくん、ポルン無事かい?」

「無事だよ」

「おじさん、今何したの?」

「今のは僕じゃないよ、近くに魔法使いがいるのかも、やばいな、目的は何だ・・・。セイくん、ポルン身を低くして、静かにするんだ」

 さっきとは違う、あわて方をしてるジローレさんの横にポルンと一緒に座る。

「ジローレのおっさん、腰大丈夫?」

「おじさん、魔法使いってなに?」

「いや、それどころじゃない、ちょっと待ってて」

 ちょっと待ってると、ジローレさんは体を起こそうとして腰が痛いって顔になる。

「ジローレのおっさん、腰大丈夫?」

「腰は痛いけど、それどころじゃないんだ。どこからか分からないけど魔法を使われた」

「まほうって、リリカちゃんが棒をクルクル回るギシキでしょ、誰かやってたの?」

「ちょっとなんで、セイくん知ってるの!?」

 寝てるフリをやめたリリカちゃんが起き上がる、草を置いてる時から起きてたは知ってる。

「リリカちゃんおはよう、魔法使い居るんだって」

「セイくんおはよう、後で何で知ってるのか聞くからね」

 魔法使いがどこに居るのかキョロキョロ探す、それっぽい人は見つからない。

『魔法ってなに?』

 姉様に聞かれる、みっちゃんも知らないみたい、ふふふ

『魔法はね、わたしもわからないかな』

 聖書に書いてるのは知ってるんだけど、魔法は見た事ない。

「ジローレのおっさん、どんな魔法使われたの?」

 魔法を知ってるジローレさんに聞いてみたら、驚いた顔でこっちを見る。

「セイくん今の見てなかったの? 僕今、動けなくされて浮かされてんだ」

 見てたよね?って目で見られる。

 見てたけど、それは姉様だし

『私は魔法なの〜』

『リリカちゃんみたいな事言わないで』

『リリカはいつもこんな事言ってるの?』

『ないしょ』

 姉様は置いといて。・・・ちょっとほっぺた突かないで!

「ほれ、・・・それって魔法なの? 魔法ってなに?」

「そっか・・・、魔法ってのはね・・・」

「セイくん! 魔法はね、魔法はね、何でも願いを叶える事ができるのよ!」

 リリカちゃんがすごく興奮してる。

 魔法使いが好きなんだね、女神とどっちが好きなんだろう?

(うん、お願いしたね、してくれたね、魔法なんだ〜)

 姉様、魔法なんだね。・・・あれ? みっちゃんも髪を洗ってお願い聞いてくれたし、魔法?

「セイ、リリカに付いてる草はらってあげて」

「いいよ」

 リリカちゃんに付いてる草を取るため手を伸ばす。

(また今度、完成させようね)

 残念そうな声を出す、みっちゃんと約束する。

「ボクが願って、セイが叶えた。これは魔法?」

「わたしも魔法なんだー」

『姉様、みっちゃん、一緒だね!』

「違うよ!」

 違う!? ああ、リリカちゃんか、姉様に言われたのかと思って驚いたよ。

「違うの、それはただのお手伝いじゃん、魔法はねもっと凄いのよ」

 もっと凄いんだ〜

「じゃあ、ジローレのおっさんが言ってたのは魔法じゃなくて、お手伝いだね」

「セイくん、どう言う事だい?」

 寝たまま顔をこっちに向けて聞いてくる、もう腰痛くて体起こせなくなってるのかな?

「ジローレのおっさんを寝かせた、横にした・・・ころがした、・・・たおした?」

『私は、転がしたがいいな』

「転がしたのは、姉様だから。わたしがお願いして、姉様がやってくれたの、だからお手伝い」

「「ねえさま?」」

 ジローレさんとポルンが『何?』って顔でこっちを見てくる、また姉様の紹介しないと・・・

『セイ今、面倒くさいって思ってるでしょ』

『うん』

『素直ね!! いいわ、森の方でリンさん達とはぐれたから、こっちで自己紹介するとしましょ』

 喋れないのに、何するんだろう?

『こしょこしょこしょ〜』

「えっ、なに? あはははは、だ、だれ〜」

「どうしたんだポルン」

 あー、自己紹介だー・・・?

「リリカちゃん、姉様の事を教えてあげて」

「え、イヤよ、自分でして」

 断られた・・・、でも、リーネちゃんが・・・

『ここは任せて行って、セイ!』

『ありがとう姉様、わたし行くね!』

 リーネちゃんの所に、わたしは行く!

「リリカちゃんよろしくね〜」

「ちょっとセイくん? きゃっ、あはははは」

 リリカちゃんの楽しそうな声が聞こえる、ふふ。

 大きな声を出してたから、みんな起き始めてる。


 目を開けてキフィちゃんいて、嬉しいけど、まいっか、ねる、あれ、セイちゃんは?

 って感じで起きてきたリーネちゃんに声をかける。

「おはようリーネちゃん」

「おはよう」

 リーネちゃんの頭を撫でる。

「だっこ」

「はいはい」

 だっこしてあげる。

「んー」

 キフィちゃんも起きてきた。

「キフィちゃん、おはよう」

「せいちゃん、おはよう」

 体を起こして、わたし達を見る。

「きふぃもだっこ」

 2人もか〜、軽いからできるかな?

 しゃがむとリーネちゃんが降りてキフィちゃんと変わってあげる。

 キフィちゃんがわたしの首に手を回すと、リーネちゃんがキフィちゃんの後ろから飛び付いてきた。

「えへへ」

 うーん、あー。一緒に持ちげたらいいのね、一緒に抱っこしてあげる。

「きふぃちゃんおはよう」

「りーねちゃんおはよう」

 二人とも可愛い挨拶をしてる、ぎゅっとしたいからぎゅっとする。

(えへへ、可愛いでしょ、いいでしょ〜)

 みっちゃんが羨ましがってるから自慢する。

(うん、うん、出来るんだ、ちがうの? 出来るようにするんだ〜)

 みっちゃんからやる気を感じる。

「降ろすねー」

「「え〜」」

 重くて疲れたから屈むと、素直に降りてくれる、いい子達。

 あれ? あれれ?

「キフィちゃん、ブツブツ無くなったね」

「ほんとうだ、ぶつぶつないね」

 赤いブツブツが無くなったかを、ゆっくり顔を触るキフィちゃん

「ちょっとかゆいけど、かゆくないよ」

 嬉しそうにニコニコしてる。

「よかったね〜」

 頭をなでる、リーネちゃんも一緒になってなでてる。

「きふぃちゃん、あたまべとべとね」

「くさい?」

「くんくん、ちょっとくさいね」

「あとで、おかあさんにあらってもらう」

 えへへへって笑ってる。フララちゃんの事もあるから、泣くんじゃなかいかなとドキドキした。

(うん、でもお母さんに洗ってもらうって、わかった聞いてみるね)

「キフィちゃん、みっちゃんが頭洗ってくれるって、どうする?」

「みっちゃんってだれ?」

 キョロキョロするキフィちゃん。

「みっちゃんはお水だよ」

「おみず? おみずはしゃべるの?」

「しゃべってるね」

「しゃべる、おみずどこ?」

 リーネちゃんとキフィちゃんが、わたしの体を探す。

 そういえば、みっちゃんどこに居るんだろう?

(みっちゃんはどこにいるの? そっか、心の中に居るんだ。冗談なんだ)

 心が何処にあるのか聞いたら、冗談って言われた。

(うん、うん、そこに居るんだね)

「みっちゃん居たよ」

「「どこ?」」

 右目の目尻に指を持ってって、みっちゃんに指に乗ってもらう。

「ほら、これがみっちゃんなんだって」

 指先にいる水を見せる。

「なみだ、だよ」

「せいちゃん、ないたの?」

 教えてくれるキフィちゃん、心配してくれるリーネちゃん。

「違うよこれがみっちゃんだよ、見てて」

(みっちゃん動いてくれる?)

 みっちゃんが指先で動いてくれる、指の上をコロコロ転がる。

「せいちゃん、うごかしてるだけでしょ」

「せいちゃん、おにいちゃんみたい」

 あれ? もしかして疑われてる?

(うん、うん、もしかして怒ってる? 凄いところを見せたいだけなんだ)

「二人ともこっち来てくれる」

「「うん」」

 立ち上がって川の方に歩く、2人とこっそりしたソイちゃんが付いてくる。

 うーん、2人に何かしないみたいだし、ほっといてもいいかな?

 川の所に着いたら2人に声をかける。

「危ないからそこで見ててね」

「「うん」」

 約束してくれる。でも、リーネちゃん約束破るからちゃんと見てしておかないと。

 指に居るみっちゃんを川に入れて川の水を掻き回す。

(え? うんうん、うー?)

 わたしに付いてるスイブンがみっちゃんになるから、入れなくてもいい、らしい。よく分かんない。

「ドーン!」

 どーんって川に突き飛ばされる、あー、川が近付いてくるー。

「わわっ!!」

 頭から・・・、手から水に入る、うわっ冷たーい、冷たすぎる、早く上がらないと

(え? え? 練習? 今? 分かったよ〜 温かくなれ温かくなれ)

 みっちゃんに水の練習したいから入っててお願いされ、取り敢えず温かくなれってお願いしてってお願いされる。温かくなれ、早く温かくなって〜。

「きゃははははは」

「せいちゃん、せいちゃん」

「おかあさんよんでくるー」

 川から地面の方を見てみると、大笑いしてるソイちゃん、心配してくれるリーネちゃん、何とかしようとするキフィちゃん。

 3歳の良い子達が、5歳になったらソイちゃんみたいになるのかな、やだな〜。

 周りの水が温かくなってきた・・・、冷たくなくなってきたかな?

(コツを掴んだんだ、うん、フクシューはちょっと、うん、それならいいよ、どうせなら洗ってあげて、いいの? みっちゃんは優しいね)

「ちょっ、あはは、やめてみっちゃん、あはははは」

 おぼれさすを止めてくれて、くすぐるにしてくれて、お願いしたらソイちゃんを洗ってくれるみっちゃんを褒めたら、くすぐられた、テレカクシってやつだ、よくやられる・・・。

(あ〜、くすぐったかった。ちょっと行ってくるね)

 地面の方を向くと、驚いた顔してる2人がいる、何かあったのかな? あー、わたしが急に笑い出したからかな?

 川の深さは足の足の上ぐらいだから、歩いて川の端にいく。

 川の端、地面の段差? のところで驚いた顔のリーネちゃん、手の届かないところで変な顔をしているソイちゃん。

 ソイちゃん引っ張られないように逃げれる所に居る、慣れてるのね、こう言う時は〜

「あっ、いい物みっけ、リーネちゃんにあげようかな〜」

「ちょっと、それソイに頂戴!」

 こっちに走ってくるソイちゃんを捕まえて水の中に引っ張りこむ

「つっかまえた〜。おもっ」

 バシャーンって大きな音をさせ川に入った、重くて一緒に川に沈む、受け止められなかった。

 一緒に川の中から顔を出す、わたしは川に立って、ソイちゃんは暴れてる。

 凄い、水が・・・、あれ、リーネちゃんは水の掛からない所に逃げてる、慣れてる?

「ほら、暴れないで、立てるの知ってるでしょ」

 暴れるソイちゃんを立たせてあげる。

「はあはあはあ」

「あははは」

 鼻水出てる〜、ぱっちんてなった〜

「セイちゃん、何で笑ってるの! ソイ溺れててたんだよ」

「そうなの?」

 暴れてたんじゃなくて、おぼれてたんだ・・・

「息できなったの!」

「水から口でてたよ?」

「そうだけど、できなかったの」

 最初にやったのはソイちゃんなのに・・・。

「まあいいや、大きく息吸って息止めて」

「何でそんな事しなきゃ行けないの!」

 ソイちゃんが水の中で暴れる、いつもより手が滑るからしっかり持っとこ

「はいはい、息吸って〜、止めて!」

「もう! す〜、ん!」

 あら素直。ソイちゃんの肩を押さえて沈める。

(みっちゃんお願いね)

 ソイちゃんの服と髪がふわっとなると、ソイちゃんびっくりしたのか立ちあがろうとする、のをグッと押さえる。

 ちょっとしたらソイちゃんの力が抜けていくのを感じるて、ソイちゃんから気持ちいいも感じる始める。

(え? おしっこ? わたしかかって無い? かわかみ? うん、大丈夫なんだ)

 良かった、おしっこは水が流れてくる方『かわかみ』にわたしは居たからかからなかったみたい。

 おしっこは汚いらしいから、かかったら嫌だけど、おしっこの子は落ち込むから平気な顔をしなきゃいけない。リーネちゃんのおしっことかうんことか、平気なわけじゃないよ。

 あ、ソイちゃん苦しくなってきたかな?

 脇の下に手を入れて持ち上げる。

「はあはあ、セイちゃん、は〜、何かしたの?」

 はあはあしながら聞いてくる。

「わたしは肩を押さえてるだけだよ」

「そ、なんだ」

 息が普通になってきた、じゃあもう一回。

「せいちゃん、ゆるしてあげて」

 リーネちゃんが心配そうな声で言う。ゆるす?

「え? どうして?」

 リーネちゃんの方を見ると心配そうな顔をしてた、怯えた顔かな?

「リーネ!」

 どうして急に大きな声を出すの、リーネちゃんビクってなってるじゃない。

「はいはい、大きな声出さない出さない、もう一回やるよ〜」

「うん! すーはーすー、ん!」

 楽しそうなソイちゃんの肩を押して沈める。

 水の中から、ソイちゃん気持ちいと、みっちゃんの楽しいが伝わる。

「ちょっと、何やってるの早く上がりなさい」

 地面の方を見るとソフィお母様が走って来てた、だいぶ後ろに他のお母様とキフィちゃんが走ってきてる。

「ごめんなさいね、ソイリスが突き飛ばしたらしいわね、本当にごめんなさいね」

「驚いたし冷たかったです。でも、小さい子を突き飛ばさなかったのは、褒めてあげてください」

 リーネちゃん達を突き飛ばしてたら、怒らなきゃダメだったしね。

「そう? それでソイリスはどこ?」

 ソフィお母様はリーネちゃんを見て聞く。

「せいちゃんが、かわに」

「そうね、セイさん早く上がりなさい」

(みっちゃん出よっか、心配されてる、うん、わかった)

 出る時、川に入ると水取ってくれるみたい、確かに胸の辺り濡れてるから助かる。

「ソイー、どこー、出てきなさーい」

 脇に手を入れて持ち上げる。

「ざばーん」

「ぷは、はーはー」

「ソイリス!?」

 川から出てきたソイちゃんを見て、驚く大人とキフィちゃん。

「せいちゃんが、そいちゃんをかわにいれて、かわにいれてたの」

「リーネちゃん、ちゃんと説明できてえらいね」

 リーネちゃんを褒めてあげると、嬉しそうにニコニコしてる。

「セイさん、、本当にごめんなさいね。後は私が叱っとくから許してあげてくれないかしら?」

「えっと、わたし怒ってないですよ、洗ってただけですよ」

「え? 洗って・・・?」

「セイちゃん、もう一回やって」

 すごく楽しそうな顔で見てくる、けど。

「ダメだよ、ソイちゃんは今からソフィお母様に叱られるんだから」

「いやいやいやいや、もう一回!」

 そい言うと息を吸い込んで川に潜ろうとする。

 お叱りが嫌なのか、本当にもう一回して欲しいのか・・・

(みっちゃん遊んであげて)

 楽しそうにソイちゃんの体をイジるみっちゃん、気持ちよさそうにしてるソイちゃん、浮かない様に肩を押さえてるわたし。

「ソフィお母様、ソイちゃんを持ち上げます、引っ張ってください」

「え? ええ、分かったわ」

(みっちゃん、そろそろ、はーい、お願いね)

 ソイちゃんの脇に手を入れて、一気に持ち上げる。

「よいしょっ! は、早く」

「ふっ!! おもっ」

 あっ、ソフィお母様、重いって言った。

「やだやだ!」

 ソフィお母様に渡されてるのに気づいたソイちゃんが暴れ出した。

 痛っ! 蹴られた!

「いたい・・・」

 口の中で血の味がする、泣きそう。

 ほっぺた押さえてると、小さい手がわたしの手の撫でる。

「いたいたい、いたいたいねー」

 手をどけて、リーネちゃんに頬っぺたを撫でてもらう。

「ほわあ〜」

 リーネちゃんは驚いた顔して、撫でじゃなくて揉みはだした。

「コラ! 暴れてないで、セイさんに謝りなさい!」

「いやあ〜、絶対嫌」

 蹴った本人はすごく暴れてる、ソイちゃんは「ごめんなさい」と「ありがとう」が嫌いなんだよね〜。

 うん?

(ちょっとみっちゃんどうしたの? おーい、みっちゃん〜)

 川の水が止まって、大きく膨らみ始める。

 あっ、これ嫌な感じする!

「『姉様!! みっちゃんが大変!!』」

(みっちゃんやめて!!)

 カワカミと反対の方の水が集まって大きな水の柱みたいになっていく。

「ねえ! あれは何!?」

「ヤバそう! みんな逃げて!」

「セイちゃんが!」

 水の柱に気づいたお母様達が一斉に動き始めた、さすがのソイちゃんも暴れるのをやめてる。

 わわっ、集まった水と一緒に引っ張られる。

「リーネちゃん離れて!」

 上に引っ張られる前に、リーネちゃんを突き飛ばす。

 リーネちゃんが助けに来てくれたお母様に抱かれたのを見た後、一気に引っ張り上げられ水の中引き込まれた。

 うわ〜、高いし動けない。

『セイ、凄いことになってるじゃない、川に落ちただけで何でこうなるのよ』

『姉様! このままじゃ、みんな大変な事になるから守ってあげて!』

『分かったわ、守ってあげるから、セイは怪我しないようにね』

『うん、頑張る!』

 どう頑張って良いかわからないけど。

 姉様はバラバラに逃げようとしてる人達を、あっと言う間に一箇所に集めて『守り』をする。

 高く上がった水は、集まった人めがけて、倒れ始める。

 どうしようどうしよう、このままじゃ・・・、どうなるんだろう?

 水と一緒に倒れたからどうなるかを考えていたら、倒れる水の柱から出れてて空中にいた。

「これは、落ちるやつ?」

 高いところから落ちたら・・・、ジローレさんみたいなる? 痛そうだから嫌だな〜

 そんな事考えながら水の柱を見てると、棒を振り下ろすかのような勢いでみんなの所に倒れる。

 パチン、ズーン、ズシーンが合わさった大きな音がして、地面に当たった水は凄い勢いで広がっていく、みんなが居るところだけは姉様が守ってくれてるから水は行ってない。

「良かった、みんな無事だね」

 みんな無事で安心したけど、もう地面だあ!!

 地面に顔から落ちる前に受け止められる。

『姉様ありがとう』

『いえいえ、どういたしまして』

(みっちゃん、みっちゃ〜ん)

 みっちゃんから落ち込んでるを感じる。

『降ろして、姉様』

『濡れるわよ』

『大丈夫だよ、わたし今、ビショビショだから』

『ビショビショのセイもありね』

『あり?』

 あり?

 まあ、いいや

(みっちゃん、何で落ち込んでるの?)

 水をパシャパシャ叩く、答えてくれない。

(みっちゃんみっちゃんみっちゃんみっちゃんみっちゃんみっちゃんみっちゃん)

『うっさい!』

 姉様に怒られた。

(ほら、みっちゃん怒られたよ、みっちゃんが答えてくれないからだよ)

 水をパシャパシャから撫で撫でにする、少ししてからみっちゃんから小さな声が聞こえた。

(うん、そっか〜、そうだよね、わたしも怒るかもだよ、大丈夫、みっちゃんは優しいからもうしないよ、しても姉様いるから大丈夫だよ)

 あー、泣きだした、人傷つけようとした事が辛いみたい。

 ・・・あれ? フクシューって何するつもりだったんだろう?

(大丈夫? うん、一緒に謝ってあげるから、謝りに行こっか、手に乗って)

 水の中に手を入れると水が集まって丸くなる。

(みっちゃん、泥入ってるよ、良くはないよ、みっちゃん綺麗な方がいいよ)

 みっちゃんに指を突っ込んでかき混ぜて、汚いを集めて捨てる。

 両手でみっちゃんを持って、ずっとこっちを見てたみんなの所に行く、怯えた目で見てる?

「みんな・・・」

「セイちゃん、今何があったか教えてくれる?」

 ちょっと、怒ってる感じがする。

「せいちゃん!」

 リーネちゃんが走って足にしがみ付いてくる。

「リーネちゃん大丈夫だった?」

「こわかった〜、でもちょっとたのしかった」

 笑顔のリーネちゃんの頭をなでなで。

『私も怖かった〜』

『そだねー』

 楽しそうに言われても・・・

「セイちゃん!」

 怒られた・・・。

「えっと、わたしが蹴られて、謝らなかった事を怒っちゃって」

「セイさん、そんなに怒ってたのね」

「いいえ、違います違います、みっちゃんです。ソイちゃん謝らないのはいつもの事だし、慣れてます」

「みっちゃん? みっちゃんって髪を洗ってくれた子?」

「はいそうです、みっちゃんです」

 手の上に乗ってるみっちゃんを見せる。

「え? みっちゃんってこれ? 人でなくて?」

「この子がみっちゃんです」

「そ、そう・・・。この子が怒ってあんな事したの?」

「カッとなったみたいです」

「「「カッと・・・?」」」

 お母様みんなが頭を横にしてる、わたしも真似しよ。

「ぱしゃーんってなった後、すごく落ち込んでて、謝りたいそうです」

「みっちゃんが?」

「はい。あーあー」

(うん、いいよみっちゃん)

「ごめんなさい、皆さんを傷つける様な事をしてしまいました、許してください。ごめんなさい」

『セイ、すごく似てるわね、そっくりよそっくり!』

『ありがとう、出来たら後で褒めて』

 今そういう気分じゃないから・・・

「セイちゃん今の声は、みっちゃんの声?」

「普通は、『ふざけるんじゃない』って怒る所なんだけどね、セイちゃんだしね」

「そうよね、セイさんなのよね」

 ???

「せいちゃん、いまのこえきれいだった」

「きれい〜」

「でしょ、みっちゃん声綺麗なんだよ」

(はい、今そういう時ではありません)

 怒られた・・・

「いいわ、誰も怪我なかったしね」

「みっちゃん、もうしちゃ駄目よ」

「はい、ごめんなさいでした」

(良かったね、許して貰えたね)

 みっちゃん泣いてる。

「ねえ、みっちゃんに触っても良いからしら?」

「あー、りーねもさわりたい!」

「きふぃも〜」

(いい?)

 いいみたい。

『私、いちばーん』

『姉様・・・』

 みっちゃんを撫でる姉様の手をお母様が撫でる。

「え? なにこれ、人の手みたい」

「・・・姉様です」

 もう、恥ずかしいな!

『えへへ』

「えへへ、じゃないよ」

「ねえさまちゃん、イタズラは良くないよ」

 お母様達が呆れてる、そっかさっき向こうで遊んでて仲良くなったんだ。

「撫でるより、セイさんの服を着替えさす方が先でしょう」

「「「あ」」」

「そう言えばちょっと寒い」

(謝らないで、水に入ったら濡れるなんて当たり前の事なんだから、うん、分かった)

「セイちゃん、一回家に帰ろっか」

「ダメ! 濡れてるセイちゃんかわいむぐっ」

「セイさん、着替えてらっしゃい」

 ソイちゃん静かだな〜って思ってたら、口押さえられてたのか

「服はこのままで、みっちゃんが何とかしてくれるみたいですので」

「「「みっちゃんが?」」」

 リーネちゃん、キフィちゃんが撫でてる、みっちゃんをお母様達が見る。

「ちょっと行って来ますね」

 みんなにそう言って、川に走って飛び込む、髪まで浸かってから上がる。

(うん、髪は帰ってからしてね)

「セイちゃん、また危ない事して・・・、乾いてる・・・?」

「乾いてるわね・・・、そういえばソイリスも濡れてないわ」

「そう言えば、川に入ってたわね」

「みっちゃんのおかげです、みっちゃんソイちゃんの事洗ってくれたんですよ、いい子なんです!」

「ソイちゃんを洗ってくれた?」

「そう言えば、肌がベタベタしてないわ」

「服も綺麗になってる?」

「あれ、やり返してたわけじゃなくて、洗ってたのね」

 なるほどね〜、ってみんな頷いてる。

「おーい、大丈夫か! 何があった!?」

「おい見ろ! 地面がへこんでるぞ!」

「魔物の姿は無いな」

「バカ、空も警戒しろ、見張りは何やってんだ」

 虫を追い出してた人達が来た、手に武器っぽい物を持って。

 周りを良くみてみると、小さい子達がいる所に橋の方からお母様達が走って行ってる。

 小さい子達がいる所は、ジローレさんは寝たままだけど、村長ばあちゃん達が小さい子を抱いてこっちを見てる。

 ・・・うーん。

『みっちゃん、怒られるかな?』

『もう謝ったんだから大丈夫じゃない? まあ、ソイリスは怒られるでしょうけど』

『ソイちゃん怒られてばっかりだね、いつもだけど』

「ええ、大丈夫よ!!」

 近くから大きな声が聞こえて、ビクッとなる。リーネちゃん達もビクってなってる、かわいい。

「本当か! 嘘じゃないな!」

「ええ、本当に大丈夫だから、村長だけ残って、松明の火消えないうちに虫退治して来て」

「ああ、そうだな、・・・おいセイ、何か気になる事はないか〜」

「え?」

 何か気になる事? うーん?

「松明?」

「松明か・・・」

 アトーレ村長は周りを見て、指を指す、数える?

「おい、1本少ない無いか?」

「「「「1本?」」」」

 ・・・

「「あ!!」」

「探すぞ!!」

 みんな、一斉走って行く。

『慌ててて、松明ほって来たのね』

『あ〜』

 それは危ない、火は危ない。

「アトーレまで行ってどうするのよ・・・」

「村長になっても、変わらないわね」

「さて、どうしようかね〜」

「とりあえず、泣きそうな顔でこっち見てる、ジローレを安心させに行きましょうか」

 本当だ泣きそうになってる、情けないとか思ってそう。

 あれ?、村長ばあちゃんも泣きそうになってる・・・、髪かな? 髪はおばあちゃんが寝た後に立ち上がったら全部ほどけけたんだよ、わたしは悪くないよ〜。


「セイ、リーネ何があったの? 大丈夫?」

 声のする方を見ると、ライカちゃんとフララちゃんがこっちに走って来てる。

「リーネちゃん、ライカちゃんが来たよ」

「おねーちゃーん」

 手を振る。

「あー、セイちゃん、ジローレの方は私達が説明しとくから、ライカとリンへの説明と、、、、、森の方の見張りの人への説明して、もう今日は帰って良いわよ。明日、地面直すからね」

「はい、リーネちゃん頑張ろうね」

「うん」

「キフィちゃんは、あっちで見ておくからね」

「じゃあ、行くわね、バイバイ」

「バイバーイ」

「「ばいばい、またあした〜」」

 手を振ってお別れをする、リーネちゃんはキフィちゃんとバイバイしてる。

「リーネ、セイ無事?」

 お母様達と別れてすぐライカちゃん達が来た。

「ぶじ?」

「怪我はないですかって意味だよ」

「ないです」

「「かわいい」」

 フララちゃんと一緒になった、可愛いよね〜。

「で、何があったの? 凄い音してたんだから」

「えっとね・・・」

 うーん・・・、何処から言ったら良いか分からない。

『セイ、面倒くさくなってるでしょ』

『半分だけ』

(うん、うん、分かった)

「えっとね、見張りの人にも説明しなきゃいけないから、見張りの所で一緒にでいい?」

 その間に、みっちゃんと姉様が考えてくれるみたい。

『みっちゃんのモノマネでね』

『わかったよ、も〜』

 姉様のせいにして、みっちゃんの声だせる〜。

「無事みたいだし、そっちで説明してもらうわ、フララもそれでいい?」

「え、やだけど? 私はすぐに知りたいから、あっちで聞いてくるね〜、バイバーイ」

 そう言って、走っていくフララちゃん。

「バイバーイ」

「ばいばい」

 リーネちゃんと一緒にバイバイする。

「行っちゃったね」

「あっちにはフランさん居るからね」

「急に寂しくなったのかな?」

「じゃない?」

 そう言うと、ライカちゃんが歩き出した。

「おねえちゃん、おかえり」

「あー、そうだった、ごめんねリーネ、ただいま」

 ただいまを言いながらリーネちゃんを抱っこする。

 リーネちゃん嬉しそう、えへへ、良かったね。

「私が居なくて寂しかった?」

「せいちゃんいて、さみしくなかった」

「そっか、遊んで貰って良かったね〜」

「うん!」

 お父さんに会いたい、寂しい・・・。

『セイ〜、私達じゃ不満か〜』

『姉様達とお父さんは違うでしょ』

『そりゃそうか、あはははは』

「せいちゃん、さみいしい?」

「ん? どうしたのリーネちゃん?」

「ううん、なんでもない」

「顔に出てたわよ」

 出ちゃってたか〜、恥ずかしいから誤魔化そう。

「リンさんに会いたい」

「りーねも、おかあさんにあいたい」

「あら? お姉ちゃんが不満かしら〜」

「く・・・、くるしい」

 ライカちゃんが、少し強めに抱っこする。

「『母さん、ライカがリーネを虐めてる!』」

「してないよ! 抱っこしてるだ・・・け?」

「おにいちゃん!」

 リーネちゃんとライカちゃんが周りをキョロキョロしる、ライカちゃんと目があった、蹴られた。

「いった〜! 蹴られた〜!」

「せいちゃんがわるいとおもう」

「えへへ、ごめんね。似てた?」

「腹立つぐらいにね!」

 もう一回蹴られた。ライカちゃんちょっとだけいつもに戻った。

(大丈夫だよ、遊んでるだけだから、うん、ごめんなさい)

 流石に分かるって怒られた、みっちゃんも元気でたね。

「あら、ライカが泣き止んでるわね」

「さっきも、泣いてなかったでしょ! 嘘言わないでよ!」

 見張り台の上からミシルお母様の声がする、今日の昼からの当番さん。

「で、何があったの?」

 ミシルお母様は、こっちをチラチラ見てるけど、ちゃんと森の方を見てる。

「ライカちゃんに蹴られました」

「ライカの蹴りは凄い音するのね!」

「凄い音ですか? そうでも無いと思いますよ〜」

「セイ、メンドくさがらないの」

 はーい・・・、ライカちゃんに怒られた。

「あーあー」

 姉様達が考えてくれた説明は簡単だね。よし、やるぞ〜!

「『えっとね、セイセイが子豚ちゃんに川に落とされたの、でね、その子豚ちゃんは全然謝らなくて、わたし怒っちゃんって、水をこうして、地面にバーンしちゃった、ごめんね』」

 ふう、やり切った! ちょっと、楽しかった。

 あれ? しーんってなってる。

『あははははははははははははは、すっごい似てる、あははははははははははは』

 うっさいのも居るね・・・。

「セイちゃん、今のは?」

「えっと、さっきの音の説明です・・・よ?」

 したよね?

「いまの、みっちゃんのこえ?」

「そうそう、似てたと思ったんだけど、似てなかった?」

 リーネちゃんが頭を横に倒してこっちを見て、聞いてくる。

「ごめん、みっちゃんって誰」

「うんそれね、セイちゃんみっちゃんって誰?」

 ミシルお母様とライカちゃんも聞いてくる。頭はそのままで。

 あ、そっかだからか〜、ライキみたいにスベったのかと思った。

「えっとみっちゃんは・・・」

 姉様の説明もいるのかな? 一緒にした方が楽だよね・・・


『セイ、森の中のリンさん達が大変だよ!』

 どう説明しようかと考えてたら、姉様の一言でそれどころじゃ無くなった。




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