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せいねーたのせなたにのう  作者: とぽけっと
6/10

リーネちゃんはいい子

 お父さんの背中小さくなって行く。


 あーあ、お父さん行っちゃった。小さくなってってはいるけどまだ見えるからもうちょっと見てよ、お父さんの歩き方かっこいいな〜、またお父さん震えてるキョロキョロしてるおもしろいな〜

「せいちゃん、ばいばい」

「リーネちゃん、ばいばい」

 えへへ、リーネちゃんが手を振ってくれる。笑顔が凄く可愛い、えへへ

「さてと、朝の仕事しないとね〜、リンは今から森かい?」

「そうだね、ライカ起こして家の事してからになるか、ナルドにはちょっと待ってもらわないとだな」

 ライカちゃん達が今日から2人とも働くから、家の事をしてくれる人居なくて、リンさんが家の事もしないといけなくなって、森に行くのが遅くなるんだね

「リンお母様家の事ボクがしますよ、森に行っても大丈夫です」

 森に行くのは大事なことだもんね、お手伝いしないと

「そう?じゃあ任せるよ。後はアベル達居ないからセイ女の子やってもいいぞ、オレも今から男だ」

 リンお母様が頭を撫でてくれる。ゴツゴツしてる鍛えてる手、ゴツゴツまではしてないね、ちょっと硬いぐらい。

 頭を撫でてたリンお母様の手を持って触る。

「セイどうした?嫌だったか?」

 手の裏はツルツルで指の先に行くとザラザラで黒くなってて硬い、手のひらはあちこち硬くなってる。この手はお母様達の中ではリンお母様だけで、強くてカッコいいから好きなんだけど前にその事を言ったら、ありがとうって言ってくれたけれど悲しそうだった。何がダメんだろう?

「わたしはリンお母様の手はカッコよくて好きなのですが、リンお母様はどうして嫌いなのか分からなくて、どうしてなのですか?」

 リンお母様は手をひいてリーネちゃんを抱えなおして、頭を掻きながらちょっと困った顔をした

「あー、どうしてオレが自分の手が好きじゃないって思ったんだ?」

「前に聞いた時に悲しそうな顔をしていたから」

「そんな顔してたか、してたんだろうな」

 リンお母様は何かを考え始めた。なんだろう?嬉しいけど悲しいように見える、前と一緒だ。かっこいい手なのに

「セイちゃんリンはね、ラトイルの事が大好き過ぎてね可愛く見られたいんだよ」

 フランお母様が教えてくれる。リンお母様はカッコいい人だから可愛くなれるのかな?可愛い・・・

「可愛く?かわいく・・・りんりふぎゅ」

「セイ、今何を言おうとした?あ?」

 リンお母様に片手でほっぺたを挟まれで、凄く睨まれる。りんりんって言ったらきっとやられる。ナニをかは分からないけどやられる。

「ふぉふぉふぉふぁふぉふぉふぁ」

「あ?」

「ふぉふぉふぉふぁふぉふぉふぁ」

「あ?」

「離してあげなさいよ。それにしてもセイちゃんは顔挟まれてても可愛いわね」

 リンさんが手を離してくれる。挟まれた顔が可愛い?リンお母様の顔を挟めば可愛くなる?よし、やってみよう

「なんだセイ?怒ったのふぁ?」

 リンお母様のほっぺたを両手で挟む。リンお母様のほっぺたはツルツルで柔らかい、でもリーネちゃんの方がツルツルにでプニプニで気持ちいいね。

「これは、可愛いのですか?」

 わたしは可愛いと思うんだけど、リンお母様は美人だからちょっと面白い顔な気もする。リーネちゃんがキャッキャッ笑ってるから面白い顔なのかなー、リーネちゃんの笑った顔すごくかわいいな!ほっぺたプニプニしたいな

「リン、セイちゃんに悪気は絶対に無いから許してあげなよ」

 う?ゆるす?なにったー!!

「いったーーーーー、くびがーーー、あたまもいたい、たーーーー」

 え?なに?あたまがグイってなった、グイって!もうなにリンおかあさまなんでたたいの

「いたい」

「すまん、ツイな」

 ツイ!ツイ!?つい?ついって?

「せいちゃん、いたいいたい」

 リーネちゃんが一生懸命に手を伸ばして頭を撫でてくれる。なんだか痛みが無くなっていく、首も撫でて欲しいなー、すごく痛いから

「リーネちゃんありがとうね」

 お礼の頭なでなで、髪がふわふわで柔らかい。でもちょっと臭うから後で髪を洗ってあげようっと

「せいちゃんありがと、ばいばい」

「リーネちゃん、ばいばい」

 リーネちゃんがニコニコしながら手を振ってるので、わたしも振り返す。バイバイを覚えたから使いたいみたい、かわいい!

「セイちゃん大丈夫?」

 フララちゃんが心配してくれる

「首がいたい」

 と言うとフララちゃんはわたしのクビを撫でてくれる。ちょっとザラザラだけど優しく撫でてくれたから元気出てきた。

「フララちゃんありがと、痛く無くなってきたよ」

「どういたしまして。セイちゃん首細いわね」

 と言いながら首から手を離して、後ろでしばってた髪をまとめるヒモを取って髪をモフフサして、指をクシみたいにして真っ直ぐしてくれる。腰まで伸びてる髪の間に風が流れて気持ちいい

「ねえフララちゃん、手がツルツルなのは可愛いの?」

「うーん?どうなんだろうね。可愛いかは分からないけど、手がスベスベって言われたら嬉しいかな」

 なるほど、手とかスベスベって言うんだ。でも村長じいちゃんの頭はツルツルって言ってるよーな?男の人はツルツル、女の人はスベスベなのかな?

「リンお母様はスベスベの方が良いのですか?」

「そりゃな、女に生まれて手がザラザラしてて嬉しい奴なんか居ないさ」

 フランお母様も頷いてる。そうなんだ、今までいい手だなって思ってたけど、悪い手だったんだ。

「リン、なんだかセイちゃんが何か勘違いしてる気がするんだけど」

「ああそうだな、セイは賢いアホな子だからな」

 賢いアホな子!なんだろう、初めて言われた。賢いとはよく言われるんだけどね、アホな子はたまに言われるからどっちなんだろう?とは思ってたけど賢いアホな子だったんだわたし

「賢いアホな子・・・」

「素直って事だよ」

 素直か〜、素直で良い子ってよく言われるから、賢いアホな子は悪い意味じゃないだね。悪い感じはしなかったからよく分からなかった

「セイちゃん、手がザラザラな人は働き者の良い手って教えてもらったでしょ」

「うん、村長じいちゃんに教えてもらった、すごく嬉しそうだったから良い事なんだと思ってたけど、悪い事だったんだね」

 今度村長じいちゃん教えてあげないと、他の子にも嘘教えちゃダメだからね。でも嘘ついてる感じしなかったのにな

「セイちゃんあのね、働き者の手って言われると私たちは嬉しいのよ、でもスベスベの手でもいたいのよ」

「スベスベの手は気持ちいいから?」

 嬉しいけど嫌・・・、むずかしい

「アベルの手はゴツゴツしてる?それで頬っぺた撫でられたらどう?」

「お父さんの手は硬いよ、ほっぺた触られたら嬉しい」

 お父さん働きものだもん嬉しいよね

「じゃあ、スベスベの手で触られたら?」

「嬉しい」

「じゃあどっちの手で触られるのが嬉しい?」

「ゴツゴツした方」

「働いてるから?」

「カッコいいから」

「そっか〜、カッコいいか・・・」

 う〜んってフランお母様が何かを考え始めた。硬いところと柔らかいところがあって面白いんだよ

「セイにとっては硬い手も柔らかい手もどっちも優しい手なんだろうな」

 リンお母様の言葉にフランお母様が頷いてる。フララちゃんも教えてくれる

「セイちゃん、女の人も働き者って言って貰えると嬉しいの、でもね手がスベスベの方がモテるの、だから女の人に手がザラザラしててカッコいいって言ったらダメ。分かった?」

 えっ、そうだったんだ!でもでも!

「じゃあ何でザラザラにさせるんです?スベスベにしたら良いのに」

「働いてるからな、そうなっちまうのさ」

 働きやすいように硬くしてるんじゃないんだ。じゃあわたし

 リンお母様に酷いこと言ったんじゃ

「リンお母様ごめんなさい、わたしリンお母様の手好きで、でもリンお母様嫌だったのですね」

 ああ、わたしは何でこんな酷い事を言ってしまったのだろう、リンお母様は許してくれるかな?本当にごめんなさい

「あんまり気にするな、手が好きって言ってくれて嬉しかったし、ザラザラの手なんてどうしようもないしな」

 リンお母様はニカッて笑ってわたしの頭をポンポンする。笑顔だけど悲しそうで、ポンポンしてくれる手はちょっと力が入ってない。何とかしないと優しいリンお母様が頭を撫でてくれなくなる気がする

「どうして、どうしようもないのですか?」

「えーとね、家族の為に働らかないとダメで、働いたら手がザラザラになるでしょ、これは仕方なのない事で、手をスベスベにする為の薬は誰も持ってないのよ、有るのかも分からないし。ね、どうしようもないでしょ」

 えーと、働くから手がザラザラになって、ザラザラになっても薬が無いからザラザラが治らない、どうしようないね。でも薬が有れば治るんだ。

「薬があれば治るの?」

「治るんじゃないか?薬だしな」

 治るんなら使えばいいのに、あー、無いんだった。

「あら、話過ぎたわね。じゃあ私たち行くわね、リン気を付けてね、セイちゃんまた後でね」

 リンお母様は片手を上げて「あいよ」って返事してる。わたしは後でお母様達と合流してお仕事のお手伝いをする

「フランお母様、フララちゃんまた後で」

「せいちゃんばいばい」

「リーネちゃんばいばい」

 リーネちゃんがバイバイしてくれる。行っちゃうのはフランお母様達なのにね

「セイ、本当は一緒に家に来てほしんだが・・・、まああれだ・・・あー、リーネを連れて自分の家の事やってからうちの事やってもらって良いか?」

 リンお母様がすまなそうに言う。さっき手伝うって言ったのに、リンお母様は優しいから気にかけてくれる。

「分かりました、ちゃんとやっておきすます。リーネちゃん行こっか」

 リーネちゃんに手を伸ばす、リーネちゃんは抱っこされやすいように手を広げる、リンお母様がリーネちゃんを抱きやすいように渡してくれる。リーネちゃん軽いな〜ふわふわだし

「せいちゃん、ぎゅ〜」

 背中に手を伸ばしてギュッと抱きついてくる。だから私も

「ぎゅ〜」

 リーネちゃんをギュッと抱きしめる。ギュッとする時に大切な事はギュッとし過ぎないようにする。アトーレ村長のギュッとは危ない。わたしはマネしない

「じゃあ、セイ頼んだ。今日はいつもより早く帰ってくるからな」

 リンお母様はボクの頭をかるく手を裏でトントンして家に戻っていく。リーネちゃんを抱っこしていた方の手をグルグル回してる、夜に肩を揉んで上げよう

 あっ、忘れてた

「リンお母様、昨日の薬は有りますか?」

「くすり・・・、あー、そういえばウチで預かってたな、もう要らないと思うけど一応机の真ん中に置いておく、リーネの火傷が治ってなかったら塗ってやってくれ」

 リンお母様はそう言うと家の中に入っていく。まあ、薬って聞いてからリーネちゃん怖がって、さっきから私の服をにぎってるから大丈夫だと思う。

「リーネちゃん行こっか、リーネちゃんは朝ごはん食べた?」

 背中をさすってあげるとちょっと力が抜けてきた。ぬらなーいぬらなーい

「たべた、ぱんかたかった」

「そっかー硬かったんだ、お昼は柔らかいパン食べようね」

「せいちゃんつくったやつ?」

「そうだよ、さっき作ったやつ。今日はちゃんと焼けたからおいしいよ」

「おいしい?いまからたべてもいい?」

「お昼にたべようね」

 えーって笑ってる、可愛いから頭を撫でてあげよう

「「えへへ」」


 家の前に行くとおっさんが仕事に行くところだった

「セイくん、アベル達は無事出発したか?」

「うん、ちゃんと出発したよ。でもライキが置いて行かれそうになってた」

 ライキも一応無事なはず

「そっかアレやったか」

「あれ?」

 アレってなんだろう

「あああああ、あれだよアレ、昨日のスープ持ってけばよかったのにな」

 おっさんがあわてて空をみてる、何かあるのかな?・・・何もないね。すーぷ・・・スープ?

「昨日のスープってなんですか?」

「あれ?セイくん昨日皆んなでスープ作ったんじゃないのかい?」

「わたしは作ってませんよ?」

 作ってないよね?うん、食べてもないね。

「あれ?昨日の夜、うちのが晩御飯の後スープを作るからってフララ連れて解体小屋に行ったと思ったんだけど」

 晩御飯のあと・・・よる・・・

「あああ、スープ作り手伝うの忘れてた!お母様達に謝らないと!」

 一緒に作ろって約束してたのに破ってた。ごめんなさい・・・

「ああ、そういうことか。まあセイくん気にしない、誰も怒ってないから」

 怒ってないの?そうなの?よかった〜。・・・いやいやよくない、手伝いたかったんだもん

「後で、スープ貰っておいで、味見したら凄く美味しかったってさ。アベル達惜しい事したなー」

「おしいこと?美味しい事?」

 お父さんが美味しい事した?スープ食べてないのに?うーん?

「もったいないって事、美味しい事じゃないよ」

 もったいない事、おしい

「お父さんはスープ飲めなくてもったいない、残念」

「ざんねん」

 おおー、リーネちゃんが残念を覚えた。

「セイくん一つ賢くなったな。じゃあおっちゃん畑に行ってくるな」

 おっさんはわたしとリーネちゃんの頭をポンポンして歩いていった。ちょっとカッコいい、お父さんほどじゃ無いけど

「頑張ってねー」

「がんばってねー、ばいばーい」

 手を振ると、リーネちゃんもマネをして手を振ってる。かわいいなー、ちょっと顔に手が当たってるけど気にならない。

 おっさんも振り返って手を振ってくれる。すごい笑顔だ、リーネちゃん可愛いからね。あっ、ちょっとつまずいてる。

 さて、家の掃除しないとリーネちゃんの家もしないとだから急ごう

 家の前に着いたからリーネちゃんには降りてもらおう

「リーネちゃん降りよっか」

「はーい」

 リーネちゃんは言う事聞いてくれるから、本当に大好き。降りてくれたリーネちゃんの頭をナデナデ、ちょっとベトベトする。昨日いっぱい泣いて汗がいっぱい出てたからかな。

 家の扉を開いて中に入る

「ただいまー」

「おかえり、リーネちゃん」

 ここはリーネちゃんの家じゃ無いけど可愛いからいい。

「リーネちゃん、今からお掃除するから手伝ってくれる?」

「はーい、りーねてつだう」

 みんなわたしの事をいい子って言うけど、絶対リーネちゃんの方がいい子だよね。

「じゃあ、靴脱いでそこの椅子に立ってください」

「はい!」

 元気に返事をして靴を脱ぎ始める、脱ぎ終わるのを見てリーネちゃんの体を持ち上げて椅子に立たせる。

「リーネちゃん、食器を集めてね」

「はい!」

 朝ご飯の食器を集めてもらってるあいだに布を水に浸けて絞る。うーん、体洗った水はダメかな?

 うーん、まいっか、舐めるわけじゃないしね。

 残った水に洗濯物を入れて濡らしておく。汚れが落ちやすくなる

「せいちゃん、あつめた」

「ありがとう、キレイに集めたね」

「すごい?」

「うん、リーネちゃんはすごいね。じゃあ次はこれで机を拭いてください」

「はい!」

 さっき濡らした布をリーネちゃんに渡すと、リーネちゃんは机に登って机を拭いてくれる

「リーネちゃん落ちないでね」

「だいじょうぶ」

 大丈夫なら安心。今のうちに床をはいておこう

 物置部屋にほうきを取りに行く。物置部屋の床はちょっと汚れてる、けど少しだからまた今度にしよっと

 ほうきをもって寝る部屋に行く。お父さんのにおいがするちょっと汗臭い、窓を開けると部屋が一気に明るくなって、外のにおいがいいにおい、・・・シーツを洗おう、多分干すだけじゃダメだね

 それは後にして、床の砂をはいて集めて床のすきまに落とす。床を水であらうのは今度にしよう

 ご飯食べる部屋にもどるリーネちゃんが机を拭いてくれてる。かわいい

 ご飯食べる部屋の床をほうきではく。昨日まで村長じいちゃんのお手伝いしてて出来てなかったんだよね、なんだか水でキレイにしたくなってくるなー。明日しよう

 床の板のすきまに砂を落として床の掃除はおしまい、ほうきを物置部屋に片付けに行く。

 ほうきを片付けて次は食器をキレイにしたいんだけど、なんだか、お酒が拗ねてる気がする。

 食べる部屋に戻ると、リーネちゃんが拭くのをやめていた。

「せいちゃん、おわった」

「リーネちゃんありがとう、すごくキレイになったよ」

 あれ?リーネちゃんなんか辛そうどうしたんだろう?

「おりる」

「おりるの?靴はこっか」

 床を掃除してる時によけておいた靴をとってくる。

「机に座って、足を出してくださーい」

 リーネちゃん眉毛の間にシワが、なんだろうリンお母様に会いたくなったのかな?

「みーぎ、ひだり、はい履けました」

 リーネちゃんの脇を持って下ろしてあげる、床に降りるとすぐに

「せいちゃん、おしっこ」

 ああ、おしっこ我慢してた顔だったんだよかった、寂しくなったのかと思ったよ。・・・大変だ!早く連れてかないと!

「トイレに急ごっか」

 扉を開けて、リーネちゃんを抱っこして走る、畑を抜けてトイレに着いた。

「リーネちゃんんズボン脱いで」

 リーネちゃんはズボンとパンツを脱ごうとするんだけど靴が邪魔で脱げない。リーネちゃんがすごく苦しそう

 リーネちゃんがつかまりやすいように横に座って

「ひだり、みーぎ」

 よし、ズボンが脱げた。リーネちゃんがさっきから喋らない、ギリギリだ

 トイレに入って、リーネちゃんの脇を持ってトイレの穴に落ちないようにしてあげる。

「「おしっこしーしー、おしっこしーしー」」

 これは小さい子がおしっこしやすくなるおまじない、わたしもちょっと前まで使ってた。

「「おしっこしーしー、おしっこしーしー」」

 うんこが出てても『おしっこしーしー』って言う、うんこ出てる

「リーネちゃん、終わった?」

「おわった」

「全部出た?」

「でた」

 間に合ってよかった、今度からもっと余裕ある時に言ってほしいな。わたしが気をつけてあげなきゃダメなやつだった。はんせいはんせい

「リーネちゃん、ちょっとそのままで待てる?」

「うん?」

 リーネちゃんから手を離す、危ないから背中に手は置いておく。たしかこの辺に布を挟んでたはずなんだけど・・・、あったあった

「リーネちゃんこれで拭いてね」

 リーネちゃんにボロボロの小さい布を渡す。わたしが小さい時に使ってた布のお尻ふき、小さい子に葉っぱはお尻が負けるとかなんとか。葉っぱ硬いからね

 あっ、リーネちゃん今手を布で手を巻いてるんだった。あれ、さっきテーブル拭いてもらった時、濡れた布渡しちゃった

「せいちゃん?」

「リーネちゃん、わたしがお尻拭いてもいい?」

「うん」

 キレイな布に、うんこが着いたらダメだもんね。

 リーネちゃんが穴に落ちないように支えながら、後ろから女の子のチンチンの周りを拭く、女の人はおしっこするとチンチンの周りにおしっこがついてるってお母様達が教えてくれたので拭いてあげる。達人になると腰を振って飛ばすんだって、男の人と一緒だ。

 おしっこのついた所を中にして折り曲げてお尻を拭いてあげる。うわ〜〜〜〜、お尻ツルツルで柔らかい、リンお母様が手がツルツルの方が良いって言ってた理由が何となくわかった。あれ?スベスベだっけ?

「リーネちゃんもういいよ、外でよっか」

「はーい」

「「おちないように、おちないように」」

 リーネちゃんと一緒に外に出る。

「わたしちょっと手洗ってくるね、ズボンはいててね」

「はい!」

 あ、元気になってる。よかった

 畑の横に置いてあるタルの水を使って手を洗う、この水はキレイな水じゃないから手を洗うのと畑に水をかける時用のやつ。

 リーネちゃんのお尻を拭いた布をタルの横に置いて水をかけてから手を洗う、実はちょっとうんこ手についた。しっかり洗わないと

「リーネちゃん、ズボンはいた?」

 リーネちゃんのところを戻ると、ズボンもって立ってて、なんだか悲しそうにしてる。

「どうしたの?大丈夫?」

「こけた」

 え?こけたの?あっ、ズボンひかかったんだ!

「あらら、背中を土だらけ」

 ちょっと泣きそうになってる。大丈夫だよー

「背中をパンパン」

 土付いてる。背中の土を払ってあげる

「おしりもパンパン」

 お尻も土だらけ、でもお尻叩くのはダメだから払ってあげる。おしりやわらかい

「足もパンパン」

 足にはあんまり付いてない。つぎはどこって目で見ないでね

「リーネちゃん、わたしの足に座ってくださーい」

 膝を地面に付けてりーねちゃんが座りやすいようにしてあげる、リーネちゃんが太ももに座る

「リーネちゃんあっち向きに座ってね」

 リーネちゃんを持ち上げてこっち向からあっち向にする。

「ひだり、みーぎ」

 靴をぬがしてパンツを履かす、パンツが終わったらズボンを履かす、最後に靴を着けて終わり

「終わりました。リーネちゃん気持ち悪いところない?」

「きもちわるい、・・・ない」

 ないならいいいよね。リーネちゃんを抱っこして背中をポンポンする

「家に戻ろっか、リーネちゃんお掃除のお手伝い手伝ってね」

「はーい」

 ちょっと元気無い。頭なでとこ。

 リーネちゃんと一緒に家に入る。何してたっけな?なんだっけなー

「あっ、お酒だ」

「おさけ?」

「うん、お酒。このお酒さん」

 料理作るとこの近くに置いていたお酒を撫でる。え?なに?触るな?なんで?さっきムシはしたけど、リーネちゃん大変だったでしょ。え?そんなのリーネちゃんに決まってるじゃない。は?嫌だけど。お酒さんも大事だから。そんな事ない、大好きだよ。うんうん、分かった仲直りしよ。そんな事ないよ、そういうお酒さんも大好きだから。泣かないで、うんうん。今から一緒に日向ぼっこしようか。リーネちゃんも一緒だけどいい?ありがとう、お酒さん大好き

「リーネちゃん、お酒さんと一緒に日向ぼっこしようか」

「ひなたぼっこする」

 リーネちゃんを下ろして、お酒を持つ。なでなで

 昨日お父さんが飲んで軽くなってるから片手で持てる、からリーネちゃんと手をつなげる。あー、布濡れてる。

「リーネちゃんお手ての布外そうか」

「いたい?」

「うーん、痛かったらキレイな布巻こうか」

 傷口はとにかくキレイに、お父さんの教えです。机を拭いた布のせいだよね、ごめんね

 机の上にお酒を置いて、リーネちゃんの前で膝を床に着けて手の布をとる。手のひらががちょっと赤い

「リーネちゃんどう?痛い?」

 リーネちゃんの手のひらをプニプニする。痛そうな顔はしてない

「いたくない、きもちよくない」

 痛くないのは良かったけど、きもちよくないは何だろう、いつもと違うってことかな?治りかけかな?

「布巻く?」

「いい」

 首を振る。邪魔だったのかな?

「痛くなったら言ってね。じゃあ行こっか」

 お酒を持ってリーネちゃんと手を繋いで家をで、あ、日向ぼっこ用の布忘れてた。

「ごめんねリーネちゃん忘れ物しちゃった。手離すね」

 手を離して寝る部屋に日向ぼっこ用の布を取りに行く、布をお酒を持ってる腕に掛けて部屋を出る。

「行こっか」

 リーネちゃんと手を繋いで家を出る、扉は閉めなくてもいいかな。

 うーん、どこで日向ぼっこしようかな?まだ少し寒いからカゲがあるところは日向ぼっこにならないし、どうせなら暖かそうなところがいいな。洗濯場に行こう、リーネちゃんが寝たあと洗濯できるし

「リーネちゃん川で日向ぼっこしよっか」

「はーい」

 かーわかーわ、かーわにいくぞ。リーネちゃんと歌いながら川に行く。


 村の真ん中を通っている川に到着、もう何人かのお母様達が洗濯している。

 川はライキやライカちゃん12歳達が頑張ったら飛び越えれるぐらいの大きさで、わたしは落ちそうでまだ飛べてない。

 橋は何個かあって、向こうに渡るのに困ったことはない。橋が無かってもお父さんがわたしを抱っこして飛び越えたりする。すごく楽しい

 川の水はキレイ、でも飲んではダメみたいで、森の中でなにがあるか分からないからって言ってた、何かってなんだろうね。

「おはようございます。リーネちゃん、おはようは?」

「おはよう」

 リーネちゃんいい子。なでなで

「あら、セイちゃんおはよう、リーネちゃんもおはよう」

「おはよう、セイちゃん洗濯物は?それ何?」

「今日はリーネちゃんと一緒なのね、ライカは?」

「ライカ、今日から森なんだって」

 お母様達が挨拶を返してくれる。ライカちゃんの事はフララちゃんが言ってくれたから説明しなくて大丈夫かな?

「洗濯は後でします、これはお酒です。今から日向ぼっこしようかと」

「何でお酒を持ってるのかしら」

「日向ぼっこ、朝から?」

 お母様達が不思議そうな顔をしてる。フララちゃんも不思議そうな顔をしてる

「お酒さんが寂しそうだったから、一緒に日向ぼっこしようってなって日向ぼっこに来ました」

「そう?酒が寂しかったのね・・・」

 お母様達が不思議そうな顔をしてる。フララちゃんも不思議そうな顔をしてる。なんでだろ?

 手を引っ張られたから見るとリーネちゃんがちょっと眠そうな顔してる。

「リーネちゃんあっちで日向ぼっこしよっか」

「うん」

 川に近すぎず、川からよく見やすい草の所に布をひく、厚めの布で草のチクチクが気にならない。お父さんが昔使ってたマントで、日向ぼっこで使えって貰ったやつ。

 布にお酒さんを持って座る、足を広げてリーネちゃんを足の間に座らせてお酒さんをリーネちゃんの前で持って完成。リーネちゃんがもたれかかって来る

「ポカポカで気持ちいいね」

「ぽかぽかね」

 それだけ言ってあとは2人で太陽の光でポカポカする。あーしあわせー

 ちょっと疲れたから置いてもいい?うん、ありがとう。

 お酒さんを草の上に置く。

 布の上だと引っ張って転がるかもでしょ、雑じゃないよ、大事だからだよ、え?転げそう?

 確かに傾いてるような、この辺なら大丈夫かな?

 大丈夫?よかった、じゃあそのまま日向ぼっこしてて、何かあったら呼んでね、あとリーネちゃんの事よろしくね、お酒さんありがとね

 お酒さんを撫でて、寝てるリーネちゃんを布の上に寝かす。早かったね、寝るの

「じゃあ洗濯してくるね、おやすみリーネちゃん」

 リーネちゃんの頭を撫でる。手の火傷早く治りますように


「すみません、洗濯物取って来るのでリーネちゃん起きたら見てて貰っていいですか?」

 洗濯しているお母様達にお願いする。

「あらもう日向ぼっこ終わったの?」

「リーネちゃんが寝たんでしょ」

「まだ朝なのによく寝る子ね」

「セイちゃんと一緒だからじゃない?」

「「「あー」」」

 なんで「あー」なんだろう?

「リーネちゃん昨日の夜に火傷して、たぶん寝れなかったんだと思います」

「リーネちゃん火傷したんだ。あの薬塗ったの?」

「はい」

「あらら、じゃあ眠いわね」

 みんなが仕方ないねの空気になってる。お母様達もあの痛さを知ってるよね

「私、今来たところだから見といてあげるわね」

「ありがとうございます、あそこで寝てるのでお願いします」

「はいはい、転ばないようにね」

 頭を下げてから家に走る。急げ急げ

 リーネちゃんの家の方が近いから、先に自分の家に行く。

 家に入って洗濯物をタライに集める。あぶない、先に水を少し捨てないと重くて持てなくなる。

 家の外に水を少し捨ててから洗濯物を集める。今日はシーツを洗うからシーツを取ってくる、かける方は今度でいいや。重くなるし

 タライを持って家を出る。トビラは閉めない

 重いなー、でも頑張って早く戻らないと、リーネちゃんを見ててもらってるお母様に迷惑が掛かちゃう。急げ急げ


 川に着いたらまだお母様達が洗濯していた。よかった間に合った

「ただいま戻りました」

「おかえり、早かったわね。リーネちゃん起きなかったわよ」

「そうですか良かった。もう一回行っても良いですか?」

「あら、忘れ物でもしたの?良いわよ行ってらっしゃい」

「ありがとうございます」

 頭を下げて走る。急げ急げ。

 次はリーネちゃんちの分、いつもはライキとライカちゃんがやってるんだけど今日から二人ともいないからやらないと。

 リーネちゃんちに着いた、扉を開ける。この扉、うちのよりちょっと重たい。

「おじゃまします」

 ・・・返事がない。そりゃそうなんだけどね。

 えっと洗濯物洗濯物・・・。袋に入ってるやつだったよね、ライキが間違えて持って行こうとしてたやつ、あったあった。

 台所の横にタライがあるからそれに入れて、次はシーツだ。

 寝る部屋の扉を開けて入る、大きめのベットが2つある。ちょっと匂う、人数おおいからかな?

 かける布を畳んでシーツをと取ってかける布をベットに置いておく、を2回する。シーツをタライに入れて他に洗う物ないかを見る、無さそうだから川に戻ろう。

 家を出て、自分ちじゃないから扉を閉めて川に走る。タライが重たいな


「ただいま戻りました」

「おかえんなさい、また洗濯物?あー、リンの家の分ね」

「そうです、お手伝いです」

「良いわねリン、今度私の家の洗濯も手伝ってね」

「はい、お手伝いします」

 洗濯が増えた。もっと早くやらないと間に合わなくなる、頑張るぞ!

「あら良いわね、私の家も手伝って欲しいな〜」

「うちだって手伝って欲しいわ〜」

「セイちゃん、ウチのを手伝いたいわよね?」

「え?え?」

 えー、一気に増えた。頑張ってどうにかなるのかな・・・

「お手伝いしたいです、でも洗濯物を干すのが遅くなって乾かなかったら大変だと思う。どしたら・・・」

 頼って貰えるのは嬉しいけど、ちゃんと出来ないと洗濯物臭くなるし・・・。もっと早く動ければ、行けるかも?

「頑張って早く洗濯できたら行けそうな気がします」

「セイちゃん冗談だからね。セイちゃんにやって貰った私達の仕事無くなっちゃうわよ」

「本当にいい子ね、アベルの子供やめてうちに来る?」

「辞めなさいよ、それでこないだ泣いたんだから」

「セ〜イ、泣いたんだ〜」

 フララちゃんがほっぺたを手で挟んでウリウリしてくる。うわー手が冷たい、温めてあげよう

「フララちゃん、手冷たいね」

 ほっぺたの手に手を重ねて温める。水の仕事してたからかな、手がスベスべになってる

「セイちゃん、あったかい」

「フララ、ちょっと変わりなさい」

「え?嫌だけど?」

 やっぱりみんな手が冷たいんだ。今日は寒いからね、どうしたらみんなの手を温かくできるんだろう?

「おはようございます、これは・・・セイちゃんの頬っぺたで手を温めてる?」

「おはよう、フララはね。今から私はセイちゃんの背中で温めようと思ってるわよ」

「おはようカリーヌ。ちょっと、背中はやめてあげなさいよ」

「カリーヌさんおはようございます。背中温かいですね!」

 そっか!背中・・・ワキも温かいから有りかも?

「セイちゃん温めなくていいから、洗濯しちゃいなさい」

「ふふふ、ごめんね。セイちゃん洗濯がんばってね」

「セイちゃんまた後でね」

「はい、また後で」

 洗濯終わったお母様達が帰っていく。フララちゃんも・・・フララちゃんまだ、ほっぺた触ってる。

「フララちゃん?」

「あははは、ごめんね。手が止まらないや」

 えー、動けないよ・・・。でも本当に気持ちよさそうだからいっか

 え?なに?暑い?分かった今行くね。

「フララちゃんごめん、ちょっと待ってってくれる?お酒を動かさないと」

「あ、うん、お酒ね、持ってきてたやつね」

 フララちゃんが手を離してくれる。「何でお酒持ってきてるんだろう?」って首を傾げてる。仲いいからだよねー

 お酒さんの所に急いで行く、リーネちゃんは静かに寝てる、頭ナデナデ。ちょっと笑った、かわいい

 お酒を持つ、ちょっと熱いね。我慢は良くないよ、え?今日は寒かった?確かにそうだね、木の下でいい?

 お酒を木の下に置いて洗濯場戻って、フララちゃんの前に立って顔を向ける

「はい」

「え?ああ?・・・セイちゃんもういいよ。あはは、セイちゃんに嫌われたのかと思ったよ」

「何でです?」

 えっと・・・なんで?・・・なんで?

「あーもー!セイちゃんは本当に可愛いわね!」

 フララちゃんにギュッとされる。

「フララちゃんもかわいいよ」

 フララちゃんをギュッとする。ぎゅ〜〜〜・・・

「ああああ、いやざでドゥ〜」

 う?フララちゃんの声じゃない、声はあっちから。カリーヌさんが泣いてる。

「カリーヌさん、また泣いてる」

「カリーヌ、あんたまた泣いてるのかい」

 リーネちゃんを見ててもらってたお母様は呆れてる。わたしは驚いてる、フララちゃんは笑ってる。

「なんだか、セイちゃんの幸せそうな顔見てると、心が温かくなって」

 こころが温かくなった・・・。こころってなんだろう?温かくなるところ・・・ワキ?ワキはワキだし

「そんな事で泣くのかいアンタは、家で酷い扱いされてるんだねぇ・・・可哀想に」

「え!カリーヌさん酷い扱いされてるの!?」

「ひどいあつかいって何ですか?」

 ひどいあつかいが可哀想って事は悪い事なのかな?ひどい?ヒドイ・・・ヒドイは悪い事だ。

「酷い扱いなんてされてないですよ、可愛くて癒されてただけですよ」

「酷い扱いっていうのはね、ライカのライキへの扱いよ」

 ライカちゃんのライキへの扱い。・・・え!?

「カリーヌさん、蹴られてるんですか!?」

 そんな・・・、ライキなら男の子だから問題ないのに、カリーヌさんみたいな優しい女の人を蹴るなんて!

「カリーヌさん大丈夫ですか!?誰に蹴られてるんですか!」

 カリーヌさんみたいな優しい良い人を蹴るだなんて許さない!

「そっかー、カリーヌは家で蹴られてたのね」

「蹴られてませんよ!セイちゃんの中でライカちゃんとライキくんはそういう関係なの!?」

「セイちゃん良かったね、カリーヌさん蹴られてないって」

「え?ええ?ライキは1日に3回は蹴られてませんか?」

 ???

 もう何が何だかわかんない・・・

「えっとねセイちゃん、今までのは冗談で、カリーヌさんは酷い扱いはされてないの、蹴られてたりはしないのね。ライキは蹴られてるけど仲いいよね」

 フララちゃんのが教えてくれるけど、やっぱり変だよね?

「酷い扱いは仲が良いって事?」 

「セイちゃん酷い事は悪い事よ、セイちゃんには仲良く見えたわよね。でもね、フララちゃんはライキくんの事が好きだから、蹴られたりすると酷い扱いに感じるのよ」

「ちょ!ちょっと!カリーヌさん何を言ってるんですか!」

「酷い事は悪い事、悪い事はやっちゃダメ、フララちゃんはライキが好き、ライキを蹴っちゃダメ」

 って事かな?ライキの事を好きな人もいるかもだから蹴ったりしたら、ヒドイって思う人もいるんだね。でも、おかしいな・・・

「カリーヌさん適当な事言わないでくださいよ、セイちゃんが勘違いするかもしれないじゃなかいですか!」

「わたし、ライキの事好きだよ」

「え?セイちゃんそうなの?」

「でも、ライキが酷い事されてるって思った事ないよ」

 ちゃんと考えてみたら、ライキが悪いし、ライキも蹴られるのを楽しみにしてるし。本人が嫌がってなかったら酷い事にならないのかも

「ねえ、もういいじゃない、セイちゃんに洗濯させてあげてよ」

「あ、洗濯しなきゃ」

 忘れてた!今日は2家族分だった。やらなきゃ

「ごめんねセイちゃん、手伝おうか?」

「大丈夫だよ、ちゃんと出来るようになったから」

「そういうのじゃないんだけど、まいっか。じゃあ頑張ってね」

「はーい、あっ、フララちゃん後で牛乳貰いに行ってもいい?」

「あれ?今日アベルさん取りに来てたよ?」

「うん、今日も美味しかったよ、でもちょっと欲しくて」

「あー、うん分かった、内緒だよ」

「はい、内緒で」

「じゃあね、また後で」

「バイバイ」

 手を振ってお別れする。内緒にしてくれるってフララちゃん優しい

「あー、セイちゃん内緒で牛乳貰うなんて悪い子だ。罰としてカリーヌの隣で洗濯しなさい」

「えっ!?わたし悪い子・・・子供は牛乳貰っちゃダメ・・・」

 ・・・悪い子になっちゃった。・・・あれ?結構貰いに行ってる子いるよね?

「ちょっと、何で私の隣が罰何ですか!セイちゃん、別に子供でも牛乳貰いに行っても良いのよ」

「冗談よ。セイちゃん冗談だからね、子供でも牛乳貰いに行っても大丈夫だからね。ただ、勝手に搾ったらダメだからね」

 あれ?子供はダメって言ったかしら?って首を傾げている。・・・言ってなかった気がする、てへっ!

「はい、勝手に搾ったらダメ、危ないからですよね」

「セイちゃんは良い子ね、罰としてカリーヌ・・・」

「セイちゃん、罰じゃないけど隣にどーぞ」

「ありがとうございます。隣お邪魔します」

 よし、洗濯するぞ!結構おしゃべりしてたから、早く洗濯しなきゃ

 まずは自分の家のやつからやろう。の前にリーネちゃんちの洗濯物の汚れが酷いのを先に水にしたしとこ、パンツにうんこ付いてるのが3枚、他は特に汚れ付いて無いね、パンツをタライに入れて川から水をバケツで汲んでタライ入れてちょっと置いておくと、汚れが落ちやすくなる。おまじない?

 川から水を汲んで自分ちのタライに水を入れる、ちょっと多めに入れる。服だけなら手で良いんだけど、今日はシーツがあるから踏んで洗う、裸足だよ。

 靴を脱いで裸足になってズボンを膝まで持ち上げてタライに入る。うわー、冷たーい、でも気持ちいい。パシャパシャ

「セイちゃんはズルい、足までキレイだなんて」

「本当ね、膝もツルツルよ」

「おばちゃんは足太いから膝とか関係ないですよね?」

「私がおばちゃんなら、6年後はあなたもおばちゃんね」

 うふふふふって、すごく楽しそう。やっぱりツルツルがいいのかな?あれ?スベスベだっけ?

「足もスベスベの方が良いのですか?」

「足もって?」

 あっ、そっか朝の事知らないよね。足で洗濯物を踏みながら説明する。

 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・

「そっかー、セイちゃんは偉いね、リーネちゃんのお尻拭いてあげるなんて」

「そうよね、うちの子はうんこ汚いって弟のトイレ見てあげないのよ」

「見てあげないと穴に落ちたら危ないですよね」

 当たり前だよね、小さい子の面倒みるのは年上の仕事だよね。だから、わたしはエライわけじゃ無いと思う。

 もう良いかな、タライの汚れた水を捨てる。

「水捨てますね」

「「はーい」」

 川に水を捨てる。汚い水を捨てるときは周りの人に言う、洗濯場のオキテ、守らないとワキくすぐられる。

 洗濯物を川に落とさない様に気をつけながら、洗濯物がすってる水も出来るだけ搾りだす。

「カリーヌはエマちゃんが大きくなってトイレの練習する時泣きそうだわー」

「そんな事で泣きませんよ、さすがに」

 捨て終わったら、タライを元の所に置いて水をバケツで汲む

「わたしは、カリーヌさんとアトーレ村長がトイレの練習をどっちがするかでケンカしそうな気がします」

「あははははは、確かにケンカしそうね」

 自分ちのタライはちょっと置いといて、リーネちゃんちのパンツを洗う。よし、ちゃんと落ちた

「ちょっとぉ、ケンカなんてしませんよ」

 タライを持って川をちょっと麦畑の方に行ったところの木の下に水を捨てる。カワシモって方向、反対の方がモリノホウってみんな言ってる。

「そうお?お風呂と離乳食でケンカしてたじゃない」

 手でタライに水を入れて、パンツをキレイにして戻る。水はちゃんと木の下に捨てたよ

「3日ぐらいプリプリしてましたね。アトーレ村長」

「あの図体でプリプリしてるから、面白かったわね」

 プリプリは、怒ってるけど怖くない事だってライカちゃんに教えて貰った。うん、プリプリしてた。

 リーネちゃんちのタライにパンツと他の洗濯物を入れて水を入れる

「ケンカなんてしてました?」

「カリーヌさん泣いてたましたよね」

「泣いてたわよね、アトーレが可愛いって言いながらね」

「だってプリプリしてたんですよ。あははは、可愛い」

 え?なに?分かった、ありがとう

 タライに水を入れ終わったところで、お酒さんに呼ばれた。

「すみません、ちょっと呼ばれたので行ってきます」

「え?だれに?」

「お酒です」

「おさけ?」

「行ってきます」

 裸足のままだけど気にせずに行く。草が足の指の間をさわさわしてくすぐったい

「おはよう、リーネちゃん、話し声大きかったね、もうちょっと寝てていいよ」

 目を覚ましそうなリーネちゃんの事をお酒さんが教えてくれた。リーネちゃんの目が少し開いたので頭撫でておでこに張り付いてる髪をずらしてあげる、汗かいてる後で水持ってきてあげよう

 うん、ありがとう。え?いいけど影ないよ?うん大丈夫なら良いけど

 お酒さんを持って洗い場に戻る。あれ?さっきより重くなってない?気のせいかな・・・

 お酒さん何かあった?そう、何もなかったの。本当に?そっか、何も無かったんだね。

 気のせいみたい、リーネちゃんと勘違いしてたのかな

「ただいま戻りました、リーネちゃん起きそうだったから寝かしてきました」

「そう、起きそうだったのね」

「セイちゃん、どうして分かったの?」

「お酒に教えてもらったからですよ」

「「そう、お酒にね・・・」」

 さて洗濯しなきゃ、リーネちゃんちのタライに足を入れる前に足を洗わないと、タライに入ってる水でパシャパシャする。右足入れて、左足入れて

「ねぇセイちゃん、いつからお酒と喋ることができるようになったの?アベルさんは知ってるの?」

「えっと、いつから・・・うーん、ちょーと前にカリーヌさんにお酒の事を聞いた時、『お酒は生きてるから、お酒が何をして欲しいか聞いてあげてね』って言われて、話しかけると返事してくれてからですね」

「カリーヌ・・・」

「確かに言ったわ。でもあれは、もうちょっとツボの置く場所とか、そんなに早く出来ないからゆっくり作ってねって言う意味も教えたわよね?・・・あれ?言った・・・わよね?」

「言ってました、でもよく分からなくて・・・」

「セイちゃんは直接聞いたほうが早いと思ちゃったんだ」

「それでアベルさんは何か言ってた?」

 お父さんは・・・。あっ、足が止まってる、パシャパシャ

「お父さんは・・・、お父さんにお酒飲んでもいいかって聞かれて、お酒さんがダメって言ってるって言って、お前お酒と話せるのかって言われて、セイはすごいなって頭撫でてくれた、えへへ」

 お父さんに褒めて貰えたんた。嬉しかったな〜、本当に嬉しかった、うへへへ

「そう、アベルは知ってるのね」

「アベルさんが問題ないって思ってるなら問題無いのかな?」

「これでわたしも、お酒作りの達人になりましたよね?」

 もういいかな、水捨ててこよっと、タライが重い、水入れすぎたかな?ライカちゃんいつもこれやってたのか、家族多い家のお母さん達はすごいね

「セイちゃん、お酒作ってる人みんなが声が聞こえるわけじゃないから、聞こえないんですか?みたいな感じで馬鹿にしちゃダメだからね」

「え!?お酒の声聞こえないのか聞いちゃダメなんですか? 水捨てます」

 えええ、馬鹿にするは良くない事だから聞いちゃダメなんだ、色んなこと聞きたかったな

「はいどーぞ、お酒の声聞きたくても聞けない人が傷ついちゃうからね」

「でもねセイちゃん、それはすごい事だから自慢はしてもいいのよ」

 水を捨てる中の布が流れないように気をつけながらタライを傾ける

「良かった、自慢してもいいんですね。悪い事なのかと思いました」

「自分は出来る事を、何で出来ないんですか?って聞くのは悪い事よ」

 そっかあれだ!「言われたら傷付く一言」だ!わたし何回も泣かされたやつだ、やっぱり悪い事なんだ

「分かりました!あれは悪い事ですよ!」

「「あれ?」」

 まったくもう!もう!ライキのやつめ!

 ギュー、ポタポタ、ペサペサ、ドンッ!ガバッジャー、ガバッジャー!

「セイちゃん、怒ってるの珍しいわね、どうしたの?」

「だって、ライキのやつが!」

 う?手伝いたい?ちょっと水に入れるといいの?わかった

「ライカちゃんに蹴られればいいのに!」

「あははは、ライキはセイちゃんに何をしたんだろうね」

「ずずぅぅ、げっでもだおうで」

「確かに可愛かったけど泣く事ないだろうに」

 カリーヌさん、今度は何で泣いたんだろう・・・

 お酒のフタを外して、じぶんちのタライにお酒を入れる、すこし

 これぐらい、わかった、リーネちゃんちもいい?だよね、さすがお酒さん気前がいい

 リーネちゃんちのタライにもお酒を入れる、おおめのすこし

「セイちゃん何やってるの!もったいな、違うわね、洗濯物に何やってるの!」

 えっ!?なに、ビックリした!肩がビクってなった、胸もドキドキしてる

「お酒が手伝いたいって言って、だから入れ・・て・・・」

「ねえセイちゃん、お酒さんが手伝いたいって言ったの?私も貰っていい?」

「カリーヌ・・・。ごめんねセイちゃん、ちょっとビックリしただけで別に怒ってないわよ。私も貰っていい?」

 良かった、何か悪い事したのかと思ったよ。でも、なんで驚いてたんだろう?・・・洗濯物にお酒臭くなるとか?・・・まっさかー!あははは・・・大丈夫だよね?

 ねぇお酒さん、カリーヌさん達に、ありがとう、でも大丈夫?わかった、使うね

「お酒が大丈夫って言ってます、入れていいですか?」

「そう、ありがとね、少しで良いからね」

「私も少しでいいわ、でもちょっと待ってね」

 そう言うとカリーヌさんは水を捨てに行って、リーネちゃんを見ててくれたお母様はせっかく搾ったタライに水を入れてる。

「セイちゃん、お酒頂戴」

「はい」

 これくらいかな〜

「良い匂いね、私のところにも頂戴」

「はーい」

 はやっ!カリーヌさんいつの間に戻ってきたんだろう?もう水も入ってる

 トクトクぐらいかな。結構軽くなってきた・・・後で使うからこれ以上は使えないね。

「セイちゃんありがとう、これどれぐらい漬けといたらいいの?」

「えっと、・・・分からないそうです」

「そっか、1番最初に入れたセイちゃんの家のやつはどう?」

「えっと、・・・何もなってないですね」

 水が透明のまま、何にも変わってない?

「服の周りちょっと黒い水になってない?」

「ちょっと混ぜてみますね」

「おばちゃんがやろうか?」

「大丈夫、自分できます」

「じゃあ、おばちゃんじゃない私が手伝ってあげる」

「ありがとうございます」

 頭を叩かれたカリーヌさんと一緒にタライの周りに座って、洗濯物をまぜまぜする

「え!なに!?タライの水が真っ黒なったわ」

「茶色くなりました」

 黒ではないよね、1回目の水より茶色い気がする。

「黒に見えるってカリーヌの目おかしいわよね、何かあったら大変だから、セイちゃんは手を出した方がいいわ」

「『大人の仕事』ですか?」

「そう、危ないからね」

 タライから手を出す、大人の仕事は大人の人にやって貰わないと、危ないって怒られる。でもお酒って飲み物だから危なくないんじゃないかな?

「お酒なんだから危ない訳ないのにねー」

「手、溶ければいいのに」

「いくないと思いますよ?」

 カリーヌさん達がこっちを見て笑い出した。え?良くないよね?

「あははは、そうね。手が溶けて良いわけないわよね」

「ありがとうセイちゃん、手とかも大丈夫そうだから水捨てて、もう一回濯ぎましょうか」

「はい」

「じゃあセイちゃんそっち持って」

 タライのカリーヌさんが持ってるほうの反対側を持つ。これ楽しいやつ

「持ちました」

「行くよ、そーれ!一気に水捨てるよ」

 タライを持ち上げて川に流す、誰かと一緒に何かをするのはすごく楽しい。

 残ったの布の水をギュッとすると茶色い水が川に広がっていく。カリーヌさんもうわ〜って顔になってる

「この水は川に捨てちゃダメね」

「結構汚かったですね」

 お酒さん水汚しすぎ。お父さんあんなの飲んでるんだ・・・、朝、パンに混ぜちゃった大丈夫かな?

 え?キレイになったはず?お酒さんが茶色じゃなくて?確かに透明だったね

「黙ってたらバレないバレない、ほら、タライ置いて水入れましょ」

 お母様・・・、誰に言ったらいいか分からないからいっか!

「はいはい、テキパキテキパキ、セイちゃん水入れてて、カリーヌ水捨てに行くわよ」

「はーい、話過ぎちゃったからね。せーの」

 カリーヌさん達はリーネちゃんちのタライの水を木の向こうに捨てに行ってる。流石にもう川には捨てないよね

 水を入れ終わったら、お母様のタライの洗濯物をかき混ぜる。うわ黒い、じゃなかった茶色い、黒いで合ってたのかな?

「セイちゃんこれに水入れてね。あらウチのタライかき混ぜといてくれたの・・・って真っ黒ね!」

「うわ〜」

 やっぱりこう言う時は茶色じゃなくて真っ黒って言うんだ

「これってもしかして、布の汚れがキレイに落ちてるんじゃないかな?」

「お酒は透明だから、お酒の色じゃないですよ」

 お酒は悪くないよ、って言っとこ、わたしのせいじゃありません・・・

「そこは疑ってないわ、汚れなんだとしたら今までこれ着てたのよね」

「わたしの家のも、リーネちゃんちのも汚れてましたから、気にしないでください」

 水で洗っただけじゃ汚れ落ちないんだね、臭いは落ちるから気にして無かった

「何でうちだけって意味じゃなかったんだけど・・・、まあいいわ、水捨てに行きましょ」

「自分のウチのがこわくて冗談言えなかった・・・。せーの」

 リーネちゃんちのタライに水を入れて、カリーヌさんちのタライをかき混ぜる。布をもむと茶色いみずが、もっ!って出てきて楽しくなってきた、リーネちゃんに絶対はしゃぐだろうな〜超かわいいんだろうな〜

「はい、これ水お願い。よし!ウチのより汚い!」

「そんな事ありませんー、ウチのは汚れてませんー」

 そんな事ありません、汚れてます

「ってセイちゃんの顔に書いてるじゃない」

「汚れてるけど、ウチの方が汚いって書いてないわよ」

 顔に書いてるは顔に出てるって事は教えてもらってる、出てるかな!?何でバレてるんだろう!

「昔は可愛かったのにどうしてこんなに可愛くなくなったのかしら?」

「今も可愛いと思いますよ?きっとお母様には甘えやすいから楽しいんですよ」

 6歳の差はライカちゃん達との差で、良く遊んでくれるお兄ちゃんお姉ちゃんで一緒にいて楽しい。きっとカリーヌさんはまだ甘えてるんだと思う

「セイちゃんはたまに子供に見えない時があるわね。そっかカリーヌ、私に甘えてたんだね」

「えへへ、セイちゃんに可愛いって言われちゃった、やったね」

「はあぁぁぁ〜、この子は本当に・・・。ほら行くわよ、せーの」

「ちょっとまってよ、お姉ちゃん」

 カリーヌさんはいつまでお姉ちゃんって呼んでたのかな、仲良いってやっぱりいいよね

 さて水汲んでタライにバシャーバシャー、終わったら自分の家のタライの水をかき混ぜてから川に流す。まだちょっと汚れた水になった

「セイちゃんそれ絞ったら家に置いておいで、リーネちゃん見といてあげるから」

「はい」

 持てるぐらいまで絞って水を捨てたら、お酒さんをタライに入れて持ち上げる。壺に入れたままだよ

「家に置きに行ってきます」

「気を付けてね」

 家に向かって歩く、タライはやっぱりちょっと重い、お酒さんは軽くはなってるけど重い。ううっ、がんばれ、ばんばれわたし!ばんばれ?


 家に着いた、タライを家に入れる。重たかった〜、そんなに離れてないのに遠く感じたよ

 お酒さんどこがいい?分かったここね、後で使いたいから入れるの待ってね、ごめんね

 家を出て川に走る、何かソイちゃんの声が聞こえた気がしたけど、気のせい気のせい

「ただいま戻りました」

「おかえりなさい、リンの家の洗濯物そこね」

 水を捨ててくれてる。リーネちゃんはカリーヌさんにすごい近いところから見られてる。何あれちょっと怖い

「水捨てありがとうございます。カリーヌさんは何してるんですか、ちょっと怖いですね」

「『子供の寝顔はすごく可愛いわ〜、癒される〜』って見てたんだけどね、癒され過ぎて寝てるんじゃない?」

「ほんとだ、目を閉じてフラフラしてる」

「多分エマちゃんの夜泣きでちゃんと寝れてないんじゃないかしら」

 夜泣きか〜、わたし知らないんだよね、いや、赤ちゃんは夜でも泣くのは知ってるよ、見たことないだけ

「ちょっとカリーヌさん起こして来ますね」

「お願いね、私は帰るわ。お酒ありがとうね」

「リーネちゃんのこと、ありがとうございました」

 お母様は片手でタライを持って、手を振って帰っていく、わたしも手を振る。片手で持てるって力持ちだよね

 リーネちゃん達のほうに歩く、あー、気持ちよさそうだな〜、起こすの可哀想だな〜、一緒に寝ようかな〜、ダメダメ洗濯物を干さないと・・・う?ごすん?

「ふぁあ!・・・なによも〜、気持ちよく寝てたのに」

「ふぇえ、いたい、いだぁいぃぃぃー、ああああぁぁぁぁ」

『ごすん』はカリーヌさんの頭突きの音だった。もう!何やってるのカリーヌさん!

 リーネちゃんを抱きかかえて頭を撫でる

「もう、カリーヌさん何やってるんですか。ほーら、リーネちゃん痛いけど痛くないよぉ〜」

 おでこというより目と目の間も撫でてあげる、もうちょっと下だったら鼻血出てたかも

「え?なに?どうしたの?リーネちゃん何で泣いてるの?」

「あああぁぁぁ、いだいぃぃ〜〜」

「痛いね、ビックリしたよね、大丈夫だよ〜、大丈夫だよ〜」

 昨日の手の事もあるのかな?泣き止まない・・・

「何があったかのか分かんないけど、何だか泣けてぎだ、だいじょうぶ、いだぐだいじょ」

 もう、この人は・・・面白い人だなぁ〜

「リーネちゃん、大丈夫、痛くない痛くない、後でリンさんにカリーヌさんを蹴り殺してもらおうね」

「ぶっ!ちょっとセイちゃん!?」

 こっちは泣き止んだ。リーネちゃんは「けーこーす?」って言ってる、よかったこっちも泣き止んでる。

「リーネちゃんの顔を見ながら寝てて頭突きしたんですよ」

「え?私が!?うわ〜ごめんなさい、リーネちゃん大丈夫」

 カリーヌさんは自分のおデコをさわって「本当だちょっと痛いわ」って言って、リーネちゃんのおデコに手を伸ばす

「どうしたのセイちゃん何があったの?泣き声聞こえたけど」

 さっき帰ったお母様が走って来てくれた、お母様が来た事で止まったカリーヌさんの手をリーネちゃんが叩く

「けーこーす」

「ぷふっ!」

 あぁ、つい吹き出してしまった。だってリーネちゃんの可愛く怒った顔で「けーこーす」は可愛過ぎて!

「セイちゃん?」

「あはははは」

 お母様かカリーヌさんのどっちの声かわからないけど無視して、リーネちゃんを抱っこして笑いながらクルクル回る。

「あはははははは、そうだね、けーこーそーね」

「きゃはははは、うん、けーこーす」

 やっぱりリーネちゃんの笑顔は可愛い、ギュッてするとギュッで返してくれる

「「あははははは」」

 くーるくるくるくる

「カリーヌ何があったんだい?」

「私が、寝てるリーネちゃんに頭突きしたみたい」

「そっか、アホな子ね」

「はい・・・」

 あー楽しかった、リーネちゃんはまだキャッキャッ言ってるけど疲れたから中止、リーネちゃんを地面に下ろす。ふー、疲れた、楽しかった、リーネちゃん泣き止んで本当によかった。

 カリーヌさんが来てリーネちゃんの頭を撫でる。優しい撫で方でごめんなさいがわかる

「ごめんねリーネちゃん、大丈夫?」

 そんなカリーヌさんの足をリーネちゃんは蹴る

「めっ!」

 あ、カリーヌさんが蹴り殺された。

「いたたた。ごめんね」

 カリーヌさんは足をさすりながらリーネちゃんの頭を撫でる。全然痛そうじゃない

「いたいいたい」

 リーネちゃんはしゃがんでカリーヌさんの足を撫でる。頭撫でたい可愛すぎる!

「はああぁ、いいごでぇ〜、ぼんどいいごでぇ〜」

 うん、泣くと思ってた。可愛いかったから

「あー、何もなくて良かったわ、アホはほっといてセイちゃん達は帰って洗濯干しなさい」

「はい、干してきます」

「ぜいじゃん、なでずぎじゃない?」

『せいちゃんなれすぎじゃない?』かな?何となく分かるようになったから慣れたのかな?

「カリーヌさん泣き止んだら帰りましょ、他のお母様も洗濯に来ましたし」

「うん、そうね、帰ろっか」

 もう泣き止んでる!?

「私は嘘泣きを疑ってるわ」

「違います〜、ちゃんと泣いてます〜」

 今のうちにリーネちゃんを抱っこする。かえろかえろ、洗濯物干さないと

「リーネちゃん帰って洗濯物干そうね」

「はーい」

 日向ぼっこの布を拾ってカリーヌさん達とタライの所に行く

「「おはようございます」」

「おはよう、今日はいい天気ね」

「おはよう、本当にいい天気ね、最近ずっとだけど」

 洗濯に来たお母様に挨拶してリーネちゃんを下ろして、畳んだ日向ぼっこ布を渡す

「リーネちゃんこれ持ってってね」

「はーい」

 両手でギュッともってる、かわいいね。頭を2回撫でとこ、よしよし、しあわせ!

 タライを持ってリーネちゃんちに帰る

「あら?みんな帰るのね、寂しいじゃない」

「いろんな事がいっぱいあって楽しかったんだけど、流石にそろそろ帰って洗濯物を干さないとね」

「結構な時間、家を開けちゃって、流石にエマが気になるわ」

「すみません、家の掃除とかも残るので帰ります」

 本当にいろいろ残ってる、頑張らないと!

「なんだか、避けられてるような気になるわね」

 本当に寂しいんだ、残って話相手になった方がいいのかな?

「いい歳したおばさんが何言ってるだろうね、セイちゃん気にしなくていいから先帰りなさい」

「え?いいんですか?でも寂しいのは辛い事だから・・・」

「ああ、セイちゃん大丈夫だから帰って帰って、冗談だからね」

 え?でも寂しいって感じたんだけどな・・・

「ほら、セイちゃん帰るわよ、ほらほら」

 カリーヌさんに背中をグイグイ押される、良いのかな?

「セイちゃんまた後でね〜」

「は、は〜い、また後で〜」

「おばちゃん、また後で〜」

「3歳上なだけだからあなたもおばちゃんじゃない」

「カリーヌ、あんたって子は・・・」

 リーネちゃんを見ててくれたお母様が残って話し相手になるみたい、ありがとうごまざいます

「カリーヌは最近年齢上がってきて、自分を若く見せるために他の人をおばさん呼ばわりしてるのよ」

「あー昔からそういう」

「違います〜、全然違います〜」

「「「あははははは」」」

 あっ、つい笑っちゃった。・・・ついってこう言う時に使うんだね

「カリーヌさんの言い方が可愛かったから笑っちゃいました」

「セイちゃんにもそう思われてるのかと思ったわ」

「何をですか?」

「いいのいいの」

 背中をグイグイされる、ズボンのお尻のところはクイクイされる。リーネちゃん、ちゃんと着いてきてる

「じゃあね、セイちゃんリーネちゃん」

 リーネちゃんちに着いた。洗濯場から1番近い家だからね

「カリーヌさんバイバイ」

「ばいばい」

 タライを置いて、手を振ってお別れする

「リーネちゃんが『バイバイ』覚えてる!可愛い!」

 ねっ!可愛いですよね!

 かわいい〜って言いながら、カリーヌさんが帰って行った。さて洗濯物干すぞー


 タライを外に置いてリーネちゃんと一緒に家の中に入る

「リーネちゃん、布を椅子に置いといて」

「はーい」

 リーネちゃんが椅子に布を置いてくれてる間にコップを2個取って、水瓶から水を汲む

「リーネちゃん、お水どーぞ」

「ありがと」

 リーネちゃんは両手で受け取って水を飲んでる。あー、水が美味しい、あー、水が美味しい

 飲んだコップを水瓶の近くに置く。後で他の食器と一緒に洗わないと

「せいちゃんはい」

 リーネちゃんのコップも置く。

「じゃあ、洗濯物干しに行こっか」

「はーい」

 外に置いてたタライを持って洗濯物を干す所に行く、お庭の家の横の畑より家側にある木の棒が立ってる所、タライを置いて家の中から踏み台を持ってきて、屋根の下に置いてある長い棒をもつ、枝や曲がりがないキレイな棒で結構長い、それを立ってる棒の上の方に開いてる大きい穴に通して、踏み台を棒と棒の間に移動させてもう一本の木の棒に通す、これで準備できた。

「リーネちゃん、タライに草入れたらダメだよ」

 暇だったのか庭の草を千切ってタライに入れてた、その草を取ってタライの横に置く

「タライの横に置くとキレイだよ」

「はーい・・・」

 えー、何か嫌そう、頭撫でとこ。いい子いい子、汚れるからやめてね

 シーツをタライから出す、3枚あるうちの1枚、1枚だけどそこそこ重い

「リーネちゃん、ちょっと手伝って。こっち持っててね」

 シーツの端っこを渡して持ってってもらう、立ってる棒のまわりをぐるってしてリーネちゃんからシーツの端っこをもらう、両端持ってひねっていく、ずっとひねっていくと水が出てく、もっとひねってギュッギュッまでひねって水が出なくなるまでひねる。腕がいたいー、もういいかな?もういいよね

 ひねりを緩めていって落ちないように棒からはずす、結構軽くなってる、地面に着かないようにパンッってシワを伸ばして、伸ばして・・・もう一回パンッしとこ、伸ばしたら台に登って布をかけて半分に折る。ふー、1枚終わった

 2枚目やるぞ〜

「せいちゃん、りーねもやりたいな」

 無理だよね〜、重いから持てないし地面こするよね〜、どうしよう・・・

「リーネちゃんはまだ小さいから、これやってね」

 ちょっと大きめの布を渡す、何用か分かんないけどきっと何かを拭く用だと思う、たぶんきっと

「リーネちゃん地面に着かないようにやろうね」

「はーい、せいちゃんここもって」

 布の端っこ渡してくれる、持つとリーネちゃんがこっち見てる、次どうするか分かんないのかな?

「リーネちゃん、長い方の端っこを持って棒を回って来てね」

「こっち?」

「そう、そっち」

 リーネちゃんは端っこを持って棒を回って戻ってきて

「せいちゃん、はい」

 布の端っこを渡してくれる。あれ〜、リーネちゃんがやりたいんじゃなかったっけ?

 布の長さを合わせてリーネちゃんに

「はいリーネちゃん、グルグルしてね」

 渡そうとすると、え?って顔された。うーん?

「ぐるぐるする」

 思い出したみたい、リーネちゃんに渡す

「はいどうぞ、グルグル頑張ってね」

「がんばる」

 リーネちゃんがぐるぐる?してる。今のうちにシーツ干そう

 2枚目の長い方の両端を持って棒の所に行って、手で棒にシーツを周してシーツの真ん中が棒に当たるように合わせたら、シーツを伸ばす。1人で出来ますよ、何年もやってるよ?

「リーネちゃん、こうやるんだよ」

 左手で布を左に回して右手で布を左に回して、左手で・・・

「わかない」

 ちょっと泣きそうになってる、シーツを横棒に引っ掛けてリーネちゃんの所にいく、リーネちゃんの後ろで地面に膝を着いて、リーネちゃんの手を持つ

「一緒にやろうね」

 リーネちゃんが頭で『うん』をする。頭汗くさい、でもちょっと好きになってきたかも

「右手をギュッ、ぎゅして、そうそう、左手で持ったら、もうちょっとこっち、持ったら右手をパッして、パッしたら、左手を右から左にして、右手でギュッ、ぎゅして」

 つまらなさそうだな、イヤって言ったら辞めてあげよ

「もう一回やるね、いぃち」

 リーネちゃんの右手をギュッと握る

「にぃ」

 リーネちゃんの左手を右にもってってギュッ

「さぁん」

 リーネちゃんの右手をパッする、離さないのでちょっと右手を振る

「よぉん」

 リーネちゃんの左手を右から左して

「ごぉ」

 ・・・・5はないや

「ごめんねリーネちゃん、4までだった」

「ごぉ」

「4までね」

 右手で頭なでなで

「いぃち、にぃ、さぁぁぁん、よぉん」

 3の時パッが怖いのかな?

「いぃち、にぃ、さぁん、よぉん」

 うん、出来た、出来てなかっただけみたい

「1・2・3・4リーネちゃんも一緒に言ってね」

「あい!」

 大きな声でた、やる気まんまんだ。まんまんは『いっぱい』って意味なんだって、いっぱいって言えばいいのにね

「「1・2・3・4、1・2・3・4、1・2・3・4」」

 リーネちゃんと一緒にグルグルする。そろそろかな

「せいちゃん、みずでた」

「ねー、水出てきたね、もっとグルグルしよー」

「しよー」

「「1・2・3・4、1・2・3・4、1・2・3・4」」

 もうそんなに出なくなった、もういいかな

「リーネちゃん、ギューしよっか」

「ぎゅー?」

「水が出なくなったら、両方の手で布を持って左にギュー」

 リーネちゃんを腕で挟んで左に体を傾ける。

「ぎゅー」

「ギュー終わり、もどしまーす」

 体を真っ直ぐにして、布を緩める、左から右に回していく、絞るより簡単だから、数は数えない

「リーネちゃん、布が地面に着かないように気をつけてね」

「はい!」

 布が真っ直ぐになったらリーネちゃんに布の片方をもってもらって

「リーネちゃん棒を回ってきてね」

「はーい」

 リーネちゃんが走って棒を回る、転ばないか心配になったけど 大丈夫みたうわっ!、リーネちゃんが飛びついてきた、太ももを両方持たれたから転びそうになる

「リーネちゃん走ったら危ないよ」

「えふふふふ、たのしいね!」

 頭をなでなでする、可愛い笑顔、かわいいかわいい、耳の後ろも撫でとこ、こちょこちょ

「あと少し頑張ろうね。布のこことここを持ってください」

「ここ?」

「そう、こっちも」

「はい」

 リーネちゃんに布の角を2つ持ってもらって、わたしも角を二つ持つ、持ったら布を広げるために後ろに下がる

「リーネちゃんはそこで止まっててね」

 ついてきたら広がらないよね。ちょっと寂しそうな顔がつらい

「リーネちゃん、手をギュッとしてください」

「ぎゅ」

「ギュッとしたら横にパンパンします、こうやるの、パンパン」

 横に緩めて伸ばして緩めて伸ばして、リーネちゃんも真似してる。

「「ぱんぱん」」

「次は手を上げてください、こうね、手はギュッとしてね」

「ぎゅー」

 ぎゅーっていいならがら手をあげてる

「ギュってしながら下げます」

「はーい」

 ぎゅーって言わなかった

「あげて、さげて、パン」

「ぱん?」

 腕を上げると、リーネちゃんも上げる、下げると下げる、を2回する。

「パン、パン」

「ぱんぱん」

 終わってからパンパン言ってる、かわいい!

「じゃあリーネちゃん終わったから布ちょうだい」

「はーい」

 布を渡してくれる、頭なでなで、頬っぺたの髪とりとり、耳にかけてあげる

「どこに干そっか?」

「ほす?」

「そう、あの棒のどこに干す?」

 どこー?、って棒を見ながら悩んでる間に踏み台取ってくる

「せいちゃんここ」

 ここって指差したところは1枚目のシーツの所、乾きにくくなるからダメだよね・・・

「このシーツの横でいい?」

「え・・・、うん、よこがいい」

 優しい!やっぱりソイちゃんとは違うね、かわいいかわいい、なでなで、したいけど手が空いてない

 踏み台置いてシーツの横にかける。ふ~、やっと2枚・・・

 さあ、頑張って残り干そう!頑張りたいんだけど、・・・うーん、なんでこんなに人が居るんだろう8人ぐらい居るんだけど、気になる・・・

「何かありました?」

 うーん、まだ集まる時じゃないと思うんだけど、鐘鳴ってないし

「え?ああ、うん、気にしないで、どうぞ続けて続けて」

「は~、勉強になるねー、今度息子とやろっと」

「可愛かった~、カリーヌじゃないけど癒されたわ」

「セイちゃんもちゃんと、お姉ちゃんに成長してるんだね」

 あー、本当にただ見てただけなんだ。

「わたし、男だからお兄ちゃんだよ」

「そうだったわね、お兄ちゃんだよね」

 頭撫でてくれる、間違えたみたい

「セイちゃん良い物見せてもらったし、おばちゃん達手伝ってもいいかしら?」

「私はまだ若いわよ」

「はいはい」

 良い物って何だろう?洗濯物干してただけだし、・・・踏み台?

「えっと、良い物が何かわからないです、手伝っても貰うとお母様・・・」

「いいのいいの、子供は遠慮しない、うちの子抱っこしてて」

「ああ、負けた・・・」

 負けた?

「早い者勝ちよ」

 早い者勝ち?

「カジくんおはよう、眠そうね、寝てていいよ」

 渡された赤ちゃんカジくん、エマちゃんよりちょっと早く産まれた子、今日は眠そう、頭ナデナデ、髪の毛細いね、あれ、寝ちゃった、やっぱり眠かったんだね

「ほら、カジ寝ちゃったわよ、早く代わってよ」

 代わって?

「え?もう?早いわね」

 カジくんのお母さんが迎えにくる。

「セイちゃんありがとう」

「いえいえどういたしまして?」

 抱っこしてただけだけど、カジくんを渡す。キフィちゃんを受け取る。

「キフィちゃんおはよう、どうしたの、顔ブツブツいっぱいあるね?」

「せいちゃんおはよう」

 こんなのあったっけ?うん無かったね?何だろう?

「きふぃちゃん、ぶつぶつ?」

「ほら、赤くブツブツができてる」

 リーネちゃんと同じ年のリーネちゃんのお友達、よく走ってよく転んで笑ってる可愛い子なのに、元気ない

「きひぃちゃん、だいじょうぶ?いたい?」

「りーねちゃん、いたくないよ、かゆいの、おかあさんがかいちゃだめって、かゆいのに」

 ああ、もう泣きそうになってる、痒いところをかくともっと酷くなるって聞いたことある、赤くプックリ膨れてるから、かいたら大変な事になりそうだよね、でも痒そうだし。う〜ん

 かいちゃダメなら撫でてあげよう、ちょっとは良くなるかな?ブツブツがちょっと熱い

「どう?痒いの大丈夫になった?」

「かゆいのなくなってない、でもきもちいい」

 そっか、良かった、体の力抜けてきてる、辛かったね、早く治れ、早く治れ

「セイちゃん、キフィは大丈夫かしら?」

 キフィちゃんのお母さんに聞かれる、心配そう。なでなで

「大丈夫なんですか?わたしよく分からないです」

 うん、分からない、こんなぶつぶつ見たことないし。なでなで

「キフィちゃん、何かあったの?」

「わかんない」

「昨日から何か触ったか、聞いてるんだけど何も変なもの触って無いって言ってて、何かの病気じゃないかと心配で心配で」

 昨日から顔にブツブツ出来て、朝になっても治らなかったら心配になるよね。リーネちゃんの火傷も、今日も火傷治ってなかったら心配になるし。なでなで

「病気なら連れてきちゃダメじゃない」

「分かってるけど、分かってるけど、心配でぇ〜」

 ああ、キフィちゃんのお母さん泣きそう

「きひぃちゃん、きのう、かおちくってないてた」

「「え?」」

 そっか、チクってして泣いたんだ。なでなで

「リーネちゃん、それいつかな?」

 他のお母様がリーネちゃんの前に屈んで聞いてる。なでなで。あ、キフィちゃん寝た、もうちょっと撫でとこ

「おひるねのまえ」

 お昼寝の前一緒に遊んでたんだ、一緒に遊びたかったな

「え?転んだんじゃないの?」

「きふぃちゃん、きのうころんでもなかなかった」

 そっか〜、泣かなかったんだね、えらいえらい。ちょっと笑った

「私いつもみたいに転んで泣いてるのだとばかり」

 いつも転んで泣いてるからね、リーネちゃんが土を払ってるのよく見る

「村長じいちゃんに聞いたらどうですか?」

 村の事1番知ってるしね。でもチクッってなんだろう?虫かな?虫って刺すんだって、お父さんとかよく刺されてる。

「ダンナが村じいを呼びに行って全然帰ってこなくて、気が動転してセイちゃんのとこ来たんだけど」

 木がどうてん・・・?木?気!気がどうてん!・・・どうてん?

「2人目が、お腹にいて動きにくいの分かるけど、ちょっとは頼りなさいよ」

「はい、ごめんなさい」

 昔からのお友達だから心配かけたくないみたい、カリーヌさんが言ってた!

「セイちゃん、ごめんなさいね、キフィの事ありがとう」

 キフィちゃんのお母さんが手を伸ばしてくる

「キフィちゃん寝てまして、抱っこできますか?キフィちゃん起こしましょうか?」

「起こさないで、寝れてなかったみたいで朝ずっと泣いてたのよ」

 眠くなると子供は不機嫌になる。わたしも不機嫌になる、子供だから仕方ない仕方ない。

「私が抱っこするから、あなたはうちの子だっこして」

 アンちゃんをキフィちゃんのお母さんに渡して、わたしからキフィちゃんを受け取る

「ブツブツって、こんなに小さかったかしら?」

「小さくなってる、良かったー、セイちゃんとこ連れてきて本当に良かったぁ」

 何が良かったんだろう?治ってないよね?

「私は撫でてただけです、キフィちゃんまだ治ってませんよ?」

 うん、わたしは何もしてないよね?リーネちゃんの方が昨日の事覚えてて役に立ってるもんね

「そうよね、治ってないわよね、村じい相談いかないと」

「ほら、行くわよ。セイちゃん本当にありがとう」

 撫でてただけなんだけど・・・

「後で、何があったのか教えてください」

「当然よ、また後でね」

 手を振ってお別れする、隣でリーネちゃんも手を振ってる

「きふぃちゃん、かゆいのなおるかな〜?」

「心配だね」

 リーネちゃんの頭を撫でようと手を伸ばすと、ジーラお母様に手を掴まれた。びっくりした!

「セイちゃん、ブツブツ触った手で他の所触っちゃダメよ、移るかもかもしれないから」

「え!?移るんですか!?」

 触っちゃった〜・・・。キフィちゃんの渡す時に手とか服とか、増えてたらキフィちゃん許してくれるかな、ごめんね。

「どうしたらいいですか?」

 リーネちゃんに触っちゃダメなんて嫌だなー

「移るかも知れないってだけだから、取り敢えず手を洗いましょ」

「はい、リーネちゃんちょっと離れててね」

「せいちゃん、ぶつぶつ?」

「無いよ、大丈夫だよー」

 リーネちゃんは優しいいい子だね、頭撫でてあげよう、手がうごかな・・・、手を洗ってこなきゃ!

 畑横のタルに行ってフタをとってくれる、手に水をかけてくれる、自分でできるのに・・・

「ありがとうございます」

「変な所を触らないようにだからね」

 また顔に出てたみたい

「ごめんなさい」

「いいわよ、子供はみんな同じ顔するんだから」

 ニッコリ笑って、許してくれる。

 ジーラお母様は屋根から落ちて腰を打ったジローレさんの姉さんで、昨日小屋に来てたお母様、良い人だから凄く気にしいなんだって、気にしいは気になるって事です、知ってます

「セイちゃん、砂で手を洗って」

「はい」

 足の周りの乾いた砂を集めて、手の平に擦り付ける。砂を使うと汚れが落ちやすい事もあるらしい、手汚れてないから分からないけど

「そこまでやるの?」

 洗濯干し終わったお母様達に囲まれてた。洗濯干すのはやい!!すごくキレイに干されてる!!わたしにはまだ無理だー

「一応ね、小さい頃あのブツブツになった事あった気がしてね、ちょっと怖くなっちゃって」

 今のジーラお母様にはブツブツないから、キフィちゃんも治るよね

「私も、村じいのところに行こうかしら」

「なんだか、覚えてるような、ないような?」

 お母様達の眉毛が真ん中に寄ってきてる。何か大変な事になるのかな?

「まあ、ただのカブレてるだけかも知れないし、やる事やって、何か分かるのを待つ事にするわ」

「そうね、私も洗濯に行くわ」

「私は気になってきたから、見に行ってくるわ」

 お母様達が行っちゃう、わたし達は・・・、よく分からないから、自分ちの洗濯物を干そうっと

「ありがとうございました、お母様達みたいにキレイに洗濯干せるように頑張ります」

「セイちゃんはいつも、嬉しい事を言ってくれて自信でるわ。じゃあ行くわね、何かあったら直ぐ来るわね」

「はい、リーネちゃんと一緒にいます」

 手を洗って、もう大丈夫になったからズボンを持ってるリーネちゃんを抱っこして手を振る。

「キフィちゃんとチートリ君元気になるといいね」

「ねー」

 リーネちゃんと顔を向け合って、ねーって首倒す。ちょっと心配そうな顔だけど、笑顔になってきた。

「ちょっとセイちゃん、うちの子何があるの?」

 チートリ君のお母さんが、チートリ君を抱っこしたまま走って戻ってきた。

「え?」

「セイちゃん、うちの子何があるの?」

 2回言われた、気付いてないのかな?村長じいちゃんの所に行くって言ってたから、見てもらいに行くのかと思ってた。

「チートリ君、熱ありますよね?だから、村長じいちゃんにみてもらうのかと思ってました」

「え?」

 チートリくんのお母さんがチートリ君のおでこにおでこを合わせてる、体温測るやつ。最近お父さんやってくれない、熱出てないからなんだけど

「ちょっと、熱いのかしら?」

 赤ちゃんあったかいから分かりづらいって聞いた事ある。あれ?どうして、わたしは分かったんだろう?

 うーん・・・、でも、熱が上がってるのは分かるんだよね。

「朝起きた時寒かったですよね、布ちゃんとのってましたか?」

「どうたったかしら・・・」

 チートリくんの寝相分からないからお母様が見てないと分からないよね。寒いと風邪をひくらしいから、布を肩までかけないで寝て風邪ひく子が結構いる。

 考えてるお母様の所に行って、チートリくんの頭を撫でる

「チートリくんおはよう、いっぱい寝て元気になってね」

「あい!」

 うわぁ、めっちゃ元気!いい子いい子、なでなで

「どうしましょう、村じいのところに行った方がいいのかしら?戻って寝かした方がいいのかしら?」

「家で寝やすいように整えるのはどうですか?」

「そうよね、何かあった時寝やすいようにしといた方が良いわよね」

 シーツとか干してたら直ぐに寝かせられないからね、色々準備しないとね、・・・自分ちのシーツほさなきゃ

「わたし達は洗濯干しに行きます。お母様、お転びになられませぬようお気をつけ下さいまし」

「え?」

 リーネちゃんの手を掴んで、膝を少し曲げて頭を少し下げる

「ご機嫌よう」

「ごきげんよー」

 わたしの真似をしてリーネちゃんもペコリする。かわいい

「ちょっとセイちゃんそれ何?すごくキレイだったんだけど」

 新米お母さん顔が笑顔になった。初めての子供ですごく大切にしていてね、そもそもあの子昔からユウジュウフダンなところあって、慌てたあげく何も決められなくて泣く事あるから、セイちゃん、ちゃんとみてあげてね。って言われてる、笑ってたら大丈夫だよね?

「うふふふふ」

「うふふふふふふふふ」

 あら、リーネさんとてもお上品ね、きっとソフィお母様に褒めて頂けますわ。・・・うん、ダメ疲れるコレ

 ソフィお母様、ソイちゃんのお母さんでわたしに丁寧な喋り方を教えてくれる先生?で、将来はお嬢様するって言ってらしいのだけど、ウチの子は男の子だから変な事教えるのはやめてくれ、ってお父さんが止めたんだって、アトーレ村長が全村人相手に立ち向かったアベルは勇者だったって教えてくれた。勇者は悪と戦う人の事だって、村の人はみんな悪だった・・・ないない、アトーレ村長酔すぎ


 元気なチートリくん達と別れて自分ちに帰る。リーネちゃんと手を繋いで、リーネちゃんの一生懸命歩く速さに合わせて一緒に歩く、歩きながらニコニコしててとってもかわいい、すごく、すっごく幸せで、でもそんな幸せな時間は、家の扉の前に立ってる人を見て終わる事になった。


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