表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
せいねーたのせなたにのう  作者: とぽけっと
5/10

旅立ちの朝(お父さんが)

 うう・・・う??起きよう?


 目を開ける。何か夢を見ていた気がするけどもう覚えてないや、よく寝た気がする。

 お父さんはまだ寝てる、家にはまだ太陽の光は入ってきてないけど、朝の鳥の声が聞こえるしきっと朝、今日の準備をしよう!

 布団から出て体を伸ばす、ぐぐーっとお父さんのマネをする、なんだかスッキリする気がするだぶんきっと。うー・・ちょっと寒いな。

 朝ごはんとお昼ごはんと色々する為にかまどに火をつけよう。家の中はまだ暗くよく見えないけど目を凝らせば見えなくはないから問題ない。部屋から出て扉を閉める、かまどの所に行って昨日のお昼に寄せといた薪の残りに下に着火用にほぐした木の皮をすこし詰めて火打ち石でカチカチボッする、火打ち石結構得意。火を少しずつ大きくして安定するまで気長に面倒をみる、大きく育つんだよ。うふふ、楽しそうに揺れてる

「セイ、おはよう」

 ふあーってあくびをしながらお父さんが起きてきた。髭が少し伸びててカッコいい

「おふあーーーよう、お父さん」

 あくびがでた。どうして人があくびしてるとあくびが出るんだろう?

「今日の火は穏やかだな」

「ちゃんと育てた」

 昨日は少し目を離すと拗ねて大暴れ、パン焦げないか心配だったよ。今日はちゃんと燃えててね、って心の中でお願いしてから鍋をかまどの上に置く

「セイ少し避けてくれ」

 お父さんが、ボクの頭をポンポン叩く、少し避けると、お父さんは水瓶の水を全部鍋に入れる。結構な量が入ってた

「牛乳貰ってくる、パン柔らかい方で頼むな」

「はーい」

 お父さんは、水瓶と牛乳瓶と小さい布を持って家を出る。外はまだ暗い

「サム!まだ暗いな」

 サムって誰だよと呟きながら扉を大きく開けて出て行く、朝のにおいいの空気が入ってくる。確かに寒い

 さて、ご飯の準備だ、パンを早く焼かないと、酒壺の横に置いてある、昨日捏ねておいたパンの元を取り出して少しちぎり取って小さい方を壺にもどす、パンの元を机に置いて酒壺から少しお酒を汲んでパンの元にかけて軽く捏ねる、縦長の鉄板にパンの元を置いて、・・・置く前にウユの実を塗るのを忘れてた、どうしよう、くっついたところカリカリで美味しいからまいっか、パンの元を鉄板に合わせて長くして、かまどのパンを焼くところに入れて蓋をする。これでパンが焼けるまで待つだけ。

 野菜を切ったり、肉を切ったりしたいけど、野菜は畑だし、肉を切ったら包丁使えなくなるし、皿と塩を用意しておこう。お父さん早く帰ってこないかなー


「ただいま、セイ畑で野菜とってきても良いぞ」

 お父さんが牛乳瓶を首に掛けて水瓶を持って帰ってきた、外が少し明るくなっている。

「はーい、なんでもいい?」

「そうだな~、埋まってないので色がおかしくなり始めてるやつを全部だな」

「わかった」

 籠を持っていこう、引っ掛けて切るナイフも忘れず持っていこう

 玄関を出て畑に行く、小さいけどお父さんと一緒に作った大切な畑。野菜取る前におしっことこっと

 おしっこして畑の横の雨水貯める桶で手を濡らして服で拭く。ふくでふく!後でお父さんに言ってみよ

 オクラはちょっと茶色になりかけてるから・・・全部取ろう。ナスはまだ大丈夫。トマトは色が変わってないけど大きくなりすぎてる気がする・・・ボクの顔ぐらいある気がする、取っておこ。他は埋まってるし、ネンジュウ取れるらしいから大丈夫。あ、ウユの実忘れてた、6個取って行く。

「お父さん取ってきたよ、結構多い」

「そっか、トマトでかいな!後でリンの家に持って行こうか」

 お父さんは焼く野菜をナイフで食べやすいように切ったり削ったりする、ボクは鍋のお湯をタライに少しずつ移す、鍋のお湯が少なくなると鍋を下ろして牛乳瓶をかまどの上に置いて温める

「セイ、鉄板を温めといてくれ」

「はーい」

 ふふふ、最近力も付いてきたから鉄板も持てるようになった。まあ、ソイちゃんより軽いんだけどね

 汚れを・・・無いんだけど軽く拭いてから竈門の上にのせる。鉄板は洗ってはいけないみたい、油膜がなんとか、サビがなんとか、お父さんがいいよって言った時だけ洗うことにしてる。

「さて焼くか、セイやるか?」

「いい、お父さんの見てる」

 そうか?と言ってからウユの実を半分に切って鉄板の上を滑らせる。ボクそんなにやりたそうな顔してたかな?お父さんカッコいいなーって見てたけど

 鉄板に肉を乗せて、ひっくり返して、野菜を乗っけて塩をかけて、おっうまくいった、って背中で言ってる。お父さんの背中見てると楽しい、抱きつきたい

「セ、セイ、ぎゅ、牛乳あったまったぞ」

 お父さんがなぜかキョロキョロ部屋を見回しながら牛乳瓶を渡してくるのを長袖服の袖を伸ばして受け取る。ふっふっふっ、袖を使って触ると熱くない!というのを最近分かった、今度みんなに教えてあげよう。やっぱり今、教えてあげよう

「お父さん!こうやって袖で持つと熱くないんだよ」

 うふふ、凄いでしょう

「へー、誰に教えて貰ったんだ?」

「教えて貰ってないよ、ボクが思いついたんだよ」

 ふふ、お父さん驚いてる。・・・でもあれ?教えて貰ったって、もしかしてみんな知ってるの?

「そ、そうなのかー、どれどれほんとうにあつくないのかなー、セイちょっとかしておくれ」

 お父さんが袖と手を伸ばしてきたので牛乳瓶を渡す。

「本当に熱く無いな、どうして袖を使うと熱くないって分かったんだ?」

 お父さんは机に牛乳瓶を置いて頭をなでてくれる。あったかい

「えっとね、お母様たちが鍋を持つときに布を使って持ってたから、袖も布だから熱く無いんじゃ無いかなって」

「そうか、セイはよく見ていて賢いな。そうだな取り敢えず、おばさん達に教えてやってくれ、おっさん達は熱さを感じないから教えなくていいし、子供達にはおばさん達が教えるからな、きっと驚かれるぞー」

 お父さんは頭から手を離して料理にもどる。おじさんは熱さを感じないんだ、そうかだからお父さんは牛乳瓶を手で持てたのか、え?あれ?

「お父さんは、おじさんじゃ無いと思う」

「お?なんだ急に、オレはまだ若いつもりなんだが」

「お父さん牛乳瓶を手で持ってても熱くなさそうだったから、おじさんなのかなって」

「あー・・・、年を取るとな、手から熱さを感じなくなるんだ、だからオレも来年にはおっさんだな」

「ライネンって?」

 お父さんがおじさんになっちゃう、ライネンなんて無くなれば良いのに!

「あー、来年な・・・、うまく言葉がでないな、後でラトイルに聞いてくれ」

 うーんお父さん今、ライネンをかばった?なんだろうライネンって、絶対ラトイルさんから聞き出そう。もし魔物ならボク倒せるかな?

「来年は魔物や人じゃないからな。ほら座れ朝ご飯食べるぞ」

 そうなんだ、ライネンは魔物とかじゃないんだ、追い払えないのか〜・・・あれ?やっぱり考えてること分かるのかな?

 パン焼いてる小部屋を開けて中を見る、よし焼けてる、今日の火は機嫌が良いみたいだ。

 パンをかまどからから出して四つに切る、同じ大きさに切らないとお父さんが小さいのを選んで大きい方をボクに渡すからちゃんと切らないとね。パンは熱いから袖を使って持つ、熱くない熱くない、うそちょっと熱い。

「はいお父さん、今日はちゃんと焼けたよ」

「凄いなふわふわだな、セイはパンを焼くのがうまいな」

 お父さんはパンをもふもふしながら褒めてくれる。でも、もっとふわふわにさせたいなー、お父さん驚かせたいな

「セイ、パンはちゃんと焼けてすごいんだけどな、袖で食べ物を持っちゃいけない、なんでか分かるか?」

 え?なんだろう?袖で持ったら熱くなくていいのに、なんでダメなんだろう?

「ありがとう、お父さん」

 お父さんが牛乳をコップに入れてくれた。牛乳瓶はよくて、どうしてパンはダメなんだろう?牛乳も食べ物じゃないのかな?あー、牛乳は飲み物だ、だったらいいのかな?

「色々な神様いつもありがとうございます、いただきます」

「いただきます」

 お父さんのお祈りは適当で面白い。そでーそでをつかうとー

「セイのパンは甘い香りしていいな、パンだけで十分だな」

「ほんとう?変な味してない?袖でもったのに」

「大丈夫だ、袖と味は関係なくはないけど今回のは関係ないから」

 うーん、袖と味は関係なくはないのかー、美味しくなくなるからかと思ったんだけど、じゃあなんでダメなんだろう?

 あっ!牛乳おいしい!お肉も美味しい!野菜も美味しい!パンも美味しい!

「お父さんの焼いてくれたお肉おいしいね」

「そうだろう、塩加減と焼き方にこだわったからな」

「塩辛くないね!」

「やっぱりいつもは辛かったのか」

 塩辛いのがお父さん好きなのかなーって思ってたんだけど、量間違えてたんだねー。

 お父さんがテーブルをトントンしてる、なんだろう?パン美味しくなかったのかな?ボクの方を指刺してる、ボク?ボクの方のテーブル?なにもこぼしてないよ?お父さんが袖を引っ張ってる、???ボクテーブルそで・・・、わかった!

「わかった!袖があるからテーブル触っても冷たくない!そっか!冷たいのも布で触ると冷たくなくなるだね!」

 さすがお父さんは頭いいなー、冷たい物も布で持つと大丈夫だから顔を洗う時に袖を使えば冷たくないはず、今度やってみよう。

「違う違う、セイの袖は今テーブルに着いてるだろ、袖は色んなところを擦るから汚れるんだ、だから食べ物を直接袖で持つと食べ物が汚れる事になる」

 本当だ、袖がテーブルに触ってる、袖は手と一緒に動くから色んなところを触るんだ、地面の物を拾う時とか袖が地面に着く汚れる、そういえばさっき畑に行った時色々触っちゃった、あ・・・パンが汚れちゃったんだ。

「お父さんのごめんなさい、畑の土がパンに着いちゃった」

 せっかく美味しく出来たのに、ボクが袖で持っちゃったせいでパンがダメになっちゃった・・・

「セイ、気にするなとは言はないが、父さんは丈夫だから問題ないぞ」

 お父さんは大きな手でボクの頭を掴んでグラングラン揺らす。やめて〜クビが〜

「こんなくだらない失敗で泣くな、セイはまだ子供だからいっぱい失敗して良いんだ、そしていっぱい学んでかっこいい大人になれよ」

 かっいい大人・・・

「お父さんみたいに?」

「ん?ああ、俺みたいにか?あー、俺はかっこ良くはないからな、俺以上を目指せよ」

 ははは、お父さんは悲しい顔をして少し笑って

「ほらセイ、さっさと食べて体動かすぞ」

 頭から手を離してボクのほっぺたを挟んでぷにぷにしてから、パンを食べ始めた。お父さんはときどき苦しそう、なんでだろう、もっとお父さんのお手伝いできるようにならないと。

 ボクも早く食べよう、早く食べないとなんだけど良く噛んで食べないと喉に詰まるからもぐもぐをちゃんとする、昨日のお肉は本当に美味しいな〜、オクラとパンはあんまり合わないな〜、牛乳おいしい・・・オクラの匂いでなんかへん、お肉は残しておいて最後に食べようっと、お父さんもお肉残してる。もぐもぐ、やっぱりダイルランナーおいしいなー

「ごちそうさまでした、お肉おいしかったね」

「ごちそうさん、そうだなオレが居るときにまた出て欲しいな」

「ボクも倒せるかな?」

「いや無理だろう、セイ弱いからな」

 はははじゃない!えー・・・棒もちゃんと振れるようになったのにな〜

「ほらセイ、皿拭いたら外行くぞ、ほら布」

「ありがとう、ねえ20回ぐらい振れるようになったら強い?」

 使ったお皿の汚れを軽く拭いて椅子から降りる、汚れが固まる前に拭いておくと後で食器洗うときに洗いやすいって教えられてる

「1回も振れなくても強い人は強い、回数じゃないぞ」

「そうなんだ!」

「なんか嬉しそうだな」

 力がなくてもつよくなれるんだ!

「早く強くなって森でお父さん達と狩りをしたいんだ」

「そうだな、ちゃんと強くなったらな」

 お父さんは狩りに持って行く剣を持って外に出る、ボクは部屋の隅に立ててた木の棒を持って外に出る。うわ〜寒い〜

「お父さん寒いね」

「家が暖かかったからさっきより寒く感じるな」

 そういえば畑に野菜取りに行ったときより寒いや、うう〜指が冷たい

「まずは体を伸ばすぞ、真似しろ、手は抜くなよ」

「はい」

 お父さんの言葉がちょっと変わった、この時にふざけたらお父さんは少しの間口きいてくれないからシンケンにやろう。棒を両手で持って上にぐっぐ、そのまま横に倒してぐっぐ、反対側にぐっぐ、前にぐっぐ、うしろはぐえ〜、体をぐるぐる

「セイ!もう一回だ、ちゃんと伸ばすことを意識しろ」

「はい」

 もう一回、上にぐっぐっぐ、横にぐっぐっぐ、反対にぐっぐっぐ、前にぐっぐっぐ、前にぐっぐっぐ、うしろにぐっぐっぐえ〜、体をぐ〜るぐ〜る、腕を上に上げて足をぐぐ〜、よこー、うえー、その場でぴょんぴょん

「セイ、体を楽させたら弱くなるからしっかり伸ばすように」

「はい」

「次は素振り」

「はい」

 すぶりは剣を振り回す、ボクのは棒なんだけどね。お父さんは「剣は振りやすいように振るのが1番だから、1番振りやすように振りなさい」って言ってた、だからボクは棒をどうやって振り回すか毎日考えてる。お父さんのすぶりを見ると大きく腕を上に上げてお腹まで腕をおろしている。フッ、フッ、フッ、同じ動きをすごい速さでやってる、剣見えない!かっこいい!

 よし、やるぞ!腕を上に上げて、ここまでは出来る、そして振り下ろす

「ふっ、たー」

 ぎゃーうでがー・・・じめんをたたいてうでがー

 何で地面を叩いてしまったんだろう?よしもいっかいやろう、腕を上げて地面に当てないようにそっとおろす。

「できた!1回目」

 ちゃんとお腹の前で止まってる。よし!頑張って20回目指すぞ〜

 2回、3回、よっあぶない地面ギリギリ、ふうふう、5回、ろっあぶない、7回

「セイ」

「はち、たーー」

 うう、じめんたたいた

「いたい・・、なに?」

「オレはセイにも自分なりの剣の振り方を自分で探して欲しいと思って剣の振り方を教えてこなかったけど、流石にアレすぎてな一言だけ言う事にする」

 え?アレってなんだろう?

「えっとな、どっちかで良いから足を前に出したほうがいいぞ、オレも出してるから」

「え?そうだったの!?」

 うわー、体の下の方は見てなかった、えっと右足を前に出して振ってみよう、腕をあげておろす、止まった。お父さんすごいな〜

「そんな目で見るな、セイが・・・ほら、一生懸命やってたからな、凄いアドバイスじゃないから」

 大きく動くから近づくなよって言って少し離れて剣を構える、左足を前に出してる、剣を振って右足を前に出して、剣を横に振って・・・もうわかんない。

 よし!ボクもやろっと、左足出してやってみよう、腕を上げて下ろす止まった。

 1回、2回、3回、4、5、6、7・・・・・20!

 やった!20回出来た!これで強くなれ・・・回数は関係ないんだった。

「お父さん、20回出来たよ」

「ふっ!つぁ!・・・おお、やったなセイ、明日は25回出来るといいな」

「25回も!?出来るかな?」

「別にやらなくてもいいんだぞ、セイの好きにするといい」

「やる、強くなりたいから」

「素振りする前はちゃんと体を伸ばせよ」

 明日も頑張ろう。今日は終わり、もう腕が動かない、あいたたたー

 お父さんは体をぐっぐして、手をぐっぐして、腕を回して頷いた。

「よし、いい感じだ、セイいつもの手伝いをしてくれ」

「はーい、とてくるね」

 お父さんのすぶりのお手伝いだ、家の中にある薪を取りに行く。

 今日は何本にしようかな、昨日は1本だったから今日は3本にしよう。3本だからちょっと細めにしようっと

 持ちやすい薪を3本持ってお父さんのところに戻る。さっきすぶりをしていたところにお父さんは剣を構えて立っている、お父さんの方に両手で持っていた3本の薪を一気に投げる。バラバラに飛んでく薪がお父さんとボクの真ん中ぐらいになったときお父さんが後ろに体を少し倒れた、かと思ったら目の前にいて、薪は全部真っ二つになってた。すごいなーバラバラに飛んでったと思ったんだけどなー

 お父さんは剣を鞘に戻すと剣で肩をトントンする

「「今日も調子がいいな」」

 お父さんは驚いた顔をしてボクを見る。いつも言ってるかっこいい言葉だから覚えた・・・あ!20回出来たときに言おうと思ってたのに、明日25回出来たら言おっと

「なんだセイ、今日は調子いいのか〜、どれぐらい調子がいいかオレが見てやろう」

 え?調子を見るってなにす

「あひゃはははは、やめて〜〜」

 目の前から消えたお父さんが後ろからこしょごってる。

「調子のいいセイくんはぁ〜、どれぐらいで逃げれるかなぁ〜」

「あはははは、やめてやめて、あははは、ちからちからはいらないから、あふふふ」

 あはははは、ぜんぜんにげれない、ははっはっは、ぜんぜんやめてくれない

「お、ぐったりしてきた。無理かもう無理か?」

 え?何が無理なんだろう?ああ逃げだすことかな?それは最初っから諦めてた。お父さんがつかんでくれてなかったらもう倒れてるね、お父さん体の横持たないでそこの骨触られとこしょごったいから

「おとうさん、もうちょうしよくない」

「今度は少しでも抵抗してくれよ。さて、セイの調子が良いのが終わったから帰るか」

 お父さんはボクを肩に担ぐと木の棒を拾ってボクに持たせて家に入る。笑いすぎてすごく喉が痛い

「ほらセイ体拭くぞ」

 お父さんはそう言って剣を机に置いてボクを床におろす。いつもなら降りたくないって言うんだけど頭がくらくらしてよくわからない。

「おいセイ、大丈夫か?」

「だいじょうぶだよ」

 大丈夫なんだけど足に力が入らない、そのまま床に座ってしまう。あー床がザラザラする。掃除しなきゃ

「セイはそのまま座ってろ」

 お父さんはボクの頭をポンポンして体拭く準備をするため離れていく、かまどの方から朝料理のついでに沸かしたお湯を入れたタライ持って、棚から体拭く用の厚めの布をタライに入れて持ってくる。

「セイ、手を上げてるけど自分で服を脱いで自分で拭きなさい」

「え〜」

 ちぇ、お父さんに脱がして欲しかったな〜

「髪洗ってもいい?」

「ああオレも洗うしな、セイ水かけてくれ」

 お父さんはパンツになってタライに顔をつける、ボクもパンツになってお父さんの頭にお湯をかける。ぬっる〜い、パンツだけだから寒くなってきた、でもちゃんと綺麗にしよう

 お湯をすくってお父さんの頭にかけてかけて、頭の皮を指でワシワシ、お父さんの髪は女の人のと違って太くて好き、指の間を抜けてくのが好き、また頭にお湯をかけてかけて、もう一回ワシワシ、最後にお湯をかけてかけてかけておわり

「お父さんおわったよ」

「ぷはっ、ありがとう、次はセイの番だな、ほら頭だしな」

 お父さんはお湯がついてるのに頭をあげるから体がびしゃびしゃだ、顔は布で拭いてるけど体はそのままだけど寒くないのかな?お父さん強いから問題ないんだね。それよりも、わーい髪の毛洗おう昨日の昨日の昨日ぶりだからすごくうれしい。体は毎日拭いてるんだけど、頭洗うひまがなかったから洗えなかった。

 頭を先にタライの上に出して、後ろの髪をタライにつける

「お願いします」

「セイ、髪長いな切りたいよな」

 お父さんはボクの頭にお湯をかけながらいつも一緒のことを言う

「でも切ったら、お母様達が怒るよ?」

「だよな、セイの髪の毛はキレイだから気持ちはわかるが、男の子だしな」

「えへへ、褒めてもらえた」

「はあ」

 ボクの頭をワシワシしながらいつもと一緒のお話をする。いっつもお父さんはボクの髪の毛を褒めてくれる。絶対に切らないんだ。

「セイ、今日から4日お父さんいないけど、リンの家で良い子にするんだぞ」

 え?お父さん居ないの?何言ってるのお父さん居ないなんてうそでしょ

「お父さん居なくなるなんて「聞いてない」」

 お父さんの声が一緒になった?アレ?クビが動かない・・・

「水いっぱい付いてるんだから頭を急に上げようとするな、それと昨日話ししてだろう」

 お父さんの手で頭を動かせなくされてたんだ

「朝起きた時からなんか態度が変だなって思ってたんだ、やっぱり忘れてたか。ライキとライカの事は覚えてるか?」

 ライカちゃんとライキ・・・。ああ!思い出した!

「ライカちゃんが猟師になって、ライキが商人になるんだよね」

 そうだ思い出した。いいな〜森に行きたいな〜ナイフ羨ましいな〜・・・!?ナイフ!そういえばお父さんがナイフ買ってくれるんだった!お父さんラトイルさんについて行くんだった。

「ナイフ!」

「そっちも思い出したか。そうだ、今日から4日間町に行くことになる、リーネの面倒をちゃんと見てあげるんだぞ」

「リーネちゃん!」

「さっさと準備したいから頭動かすなよ」

 お父さん居なくなるのは嫌だけど、本当に嫌だけど、リーネちゃんと遊べ、違った面倒見てあげないとだから寂しいけど我慢我慢、ナイフ、うふふ

「はい終わり。頭拭くからゆっくり頭上げろよ」

 いつの間にか終わってた、さすがお父さん動きが早い。頭を上げながら後ろの髪を掴んで滑らせて水をとっていく、体を起こしてる間に頭を拭いてくれたお父さんが布を渡してくれる、結構濡れてるけどそれで顔を拭く、う〜気持ちいい

「あー、サッパリした」

 自分の頭と顔を拭いたお父さんがいう。

「あー、さっぱりした」

 言ったらなんとなく分かったんだけど、サッパリした!こういう気持ちいい事はサッパリしたってなるね!

 お父さんはちょっと笑って布をお湯につけて軽くしぼって体を拭きはじめた。ボクも体を拭きたいんだけど髪を後ろで縛ってからじゃないとせっかく洗った髪が床について汚れてちゃう。髪を縛って布をしぼって腕にべちゃり、もうちょっとしぼろうかな、これぐらいかな?少ししぼって体をふき始める

「セイ後ろ拭くな」

 お父さんが後ろに回ってくる。両手を上げて用意する。

「後ろだけだ、全部拭かないからな」

 ちぇ、お父さんに拭いてもらいたかったな〜

「はぁ分かった、今日だけだぞ」

「やった!」

 ふふふ〜ん、えへへ

「まずは後ろからだ、次は少しくすぐったいぞ、最後に回れ右だ、そっちは左」

 お父さんはボクの肩を掴んで背中を拭いてくれる、背中が終わったら次は体のよこおぉ、くすぐったい!最後にまわれみぎで、こっちは左だった、お父さんは前を拭いてくれる、首気持ちい、首のしたくすぐったい、むねはなんともない、お腹の横はくすぐったい、お腹はなんともない

「セイ、ちんちんは自分で拭きなさい」

「え〜った!」

 おでこが〜、おでこがいたい、でこぴんされた。ううっ、

「男にとってそこは大事な場所だ、自分で拭けと前に教えたと思うんだが」

 お父さんが優しい顔じゃ無い、真剣な顔だ。かっこいい!

「いいかセイ、オレは何回も言うが、無理やりセイの裸を見ようとする男は悪い奴だ、そんな奴がいたらどうするんだ?」

「逃げる」

 これは最近ずっと言われてる、どうして逃げなきゃダメなんだろう?

「そうだ逃げるんだ。じゃあセイがこいつ悪奴って感じた女がセイのチンチンを無理やり見ようとする時は?」

「逃げる」

「そうだ逃げろ、いいか戦うんじゃないぞ、セイが大人になるまでは絶対に戦ってはダメだ、まずは逃げるんだ」

「え〜」

「え〜じゃない、大人は強い、子供は弱い」

「大人はつよい、子供はよわい」

「大人は強いから、大人になるまで戦ってはダメだ。逃げて周りの人に助けを求めるんだぞ」

「大人になったら戦ってもいいの?」

「ああ、大人になったら戦ってもいい、子供の内は戦うな逃げろよ」

 お父さんみたく強くなるには大人にならないとダメなんだ、強くなったら大人なのかな?強くならないと森に行けないから・・・なんだかよく分からないや

「セイ、強くなると大人って事じゃ無いからな、最近セイは体が大きくなるのが速い、けどなおれ、とうちゃんはなセイにはゆっくり育って欲しいんだ、その何だ・・・あーあれだゆっくり大人にならないとちゃんと強くなれないぞ」

「え!?大きくなったら強くなるんじゃないの!?」

 体が大きいから大人で、だから体が大きくなると強くなるって思ってたけど違うんだ・・・さいきん体が大きくなってきたら強くなれたと思ったけど強くなれないんだ・・・じゃあおとなってなに?

「セイは6歳にしては大きくなり過ぎてる、これからはそうだな、ソイリスよりちょっと大きいぐらいで育つと体が強くなるからな」

「わかった」

 ソイちゃんより少し大きいぐらいか〜ソイちゃんボクのお腹ぐらいまでの大きさだから、ソイちゃんが大きくなるのを待たなくちゃダメなんだ・・・早く強くなりたいのに、あっ大きさと強さは関係ないんだった。おとなってなんだろう?

「やばいちょっと冷えてきたな、急いで残り拭くぞ」

 お父さんがパンツを脱いでチンチンを拭こうする、待ってだめ!背中拭きたい!

「お父さん背中拭いてないよ!」

「ああそうだったな、すまん頼むわ」

 お父さんは布をお湯につけてしぼってボクに渡して後ろ向いて座る。わーいお父さんの背中拭くぞ〜

 お父さんの背中は硬い、すべすべしててあったかい、お父さんの匂いがすごくする、えへへへへへ

「ぎゅ〜〜〜」

 お父さんの背中に飛びついてぎゅっとする、くんくんすりすり、うへへ

「ひぃいいい、こらせいやめろ、やめてくれ〜」

 あれ、背中に小さいブツブツいっぱいできた、なんだろうこれ?

「お父さん背中ブツブツ」

 お父さんかの背中から離れると、お父さんは居なくなってた。あれ?

「お父さん?」

 ひゅっ

 息を吸う音が聞こえた、右の天井の方で、お父さんが天井の隅っこに居る。いつの間にそんなところに・・・

「お父さん何してるの?」

「おとう・・・さん、なに・・・」

 お父さんがボクをじってみて小さく喋ってる、何言ってるんだろう?

「おお、セイか、お前セイだな?」

「ボクはセイだよ?・・・え?本当はボク、セイじゃないの?」

「ああ、そんなアホな事言うのはセイだな」

 お父さんが天井から飛び降りる、失敗してひざとおでこをぶつけてる。

「体に力が入らない、どんだけビビてるんだオレは」

 情けない、って言いながら立ち上がってタライのボクのところに戻ってきて、はぁ〜〜〜〜〜って息を吐いてボクに背中を向けて座る

「セイ背中を拭いてくれ、抱きつくなよ、服脱いでる時は絶対に抱きつくなよ」

「え〜〜〜〜、じゃあ服着てたらいい?」

「ああ、服着てたらいい、いっつも服着て抱きついてるだろ」

「じゃあ服着たら抱きつくね」

 服着たら気合い入れるぞ、とか言ってる。おっと背中早く拭かないとゴシゴシ、さっきより背中が硬くなってる、ブツブツは小さくなってるね

「お父さん背中ブツブツ」

「ああ、それは鳥肌って言うんだ、鳥の羽全部取った時に似てるだろ」

「あのブニブニしてる奴?」

「そっちしか覚えてないのか、今度鳥と取ってきた時ちゃんと見るんだぞ」

 とりはだか、今度見てみよう

「とりはだ、じゃなくなった」

「一時的な奴だからな」

「ツルツル」

「抱きつくなよ」

 服着るまでの楽しみ、早く背中拭いちゃおう

「もういいな、セイ布渡せ、なんで残念そうなんだ」

「はい、布」

 もうちょっとお父さんの背中楽しみたかったな。

 お父さんは布をお湯につけてチンチンを拭いている。ボクもパンツを下ろしてチンチンを拭く、次にお尻拭いて、布を裏返しにして足を拭く

「セイ、キレイなパンツどこに置いた?」

「あ、出してない」

「そっか、分かった取ってくるから洗濯物集めといてくれ」

 お父さんは寝る部屋にパンツを取りに行く

「ねえ、お父さん」

「なんだ?」

 寝る部屋からお父さんの声

「どうしてお父さんのチンチンには毛が生えてるの?ボクのは生えてないよ?」

「なんだ急に。なんで毛が生えてるかか、それはおれがおと・・・」

 おと?なんだろう?

「お父さんが悪い奴だから、大事なところに毛が生えてきたんだ」

 え!悪いことしたらチンチンから毛が生えるの!?でも、おかしいな〜

「お父さん悪い人じゃないよ?」

「まあ、セイの『感覚』ではそうだろうな」

 ボクの『かんかく』って何だろう?

「オレはな、セイのお母さんを傷つけてしまってな、それが悪い事でチンチンから毛が生えてきたんだ」

「お母さんを?お父さんが?」

 え?お父さん優しいのにきずつけるなんて

「お母さん悪い人だったの?」

「いや、それはないな。この話は服着てからしようか、オレら今全裸だからな」

「ぜんら?」

「服を一枚も着てないって事だ」

 ぜんら寒いね、早く着替えないとだね

「寒いからとかじゃないからな、大事なところ守れてないだろ」

 チンチンの事だ。・・・お父さんなんでボクの考えてること分かるんだろう?

「だからまずパンツをは」

 バンッ!

「アベルさん、お母さんが遅いって言ってるよお?」

 ドアを開けてライカちゃんが入ってきた。ライカちゃん今日の朝は元気だな〜森に行くのが楽しみだからかな?

「なんだライカか」

 お父さんはほっとしてる。あれ!いつの間にか左手に剣を持ってる!

「お父さんのより大きい」

 ライカちゃんがお父さんを見て言ってる。

「ライカちゃん何が大きいの?」

「何がってそりゃぁ・・・き、キレイ」

「きれい?どこそれ?」

 あれ?急にライカちゃんが動かなくなった。ラトイルさんよりお父さんの方が大きい「きれい」ってなんだろう?きれい・・・きれい?キレイ?

「ライカちゃん?」

 全然動かない、ずっとボクを見てる、あれ?ボクの下の方を見てる?

「ほらライカ、着替えたら直ぐに行くってリンに伝えてくれ」

 お父さんがライカちゃんを家の外に押し出して直ぐに扉を閉める。鍵も閉める。

「セイ早くパンツを履け、直ぐに着替えろ」

「わ、わかった」

 お父さんがすごく慌ててる、リンさん怒ってるからかな?とりあえず急いで着替えないと、ズボンの前にパンツを履かないと

「オレは旅の準備するからセイは着替えてろ」

 速い!もう着替えてる、ボクまだパンツしか履いてないのに。お父さんは準備の為に寝る部屋に行く

 ガタガタ、扉を開けようとする音が聞こえる。

「ちょっと、鍵閉めてる、開けてよ!」

 ライカちゃんの声が聞こえるけど、何だろう悪い人な気もする

「ライカ!さっさとリンのところに戻れ!」

 お父さんが大きな声を出してる、何だろうちょっと怖い

「セイまだパンツしか履いてないのか」

「ごめんなさい」

「別に怒ってないぞ、ライカが悪いからな。良いから早く着替えないとセイを置いてリンの所に先に行くぞ」

「え!それは嫌だ」

 早く着替えないと

 ドンドン!

「アベルさんを連れて行かないと戻れないです!開けてください!早く!」

 ライカちゃんだよね・・・何か怖い

「そうかここまでか・・・」

「う?お父さんなに?」

「何でもない、布の量が少ないかなって思ってな」

 机の上に並べてる旅の準備を見ると、着替えと袋が3つ、布が3枚ぐらい置いてる、3枚じゃ少ないんだ

 ドンドン「セイ扉あけて」

 3つの袋の中は前見せてもらったんだけど、お薬、食料、武器のちょうせい用道具だった。

 あっ、パン持ってってもらわないと

「お父さんパン」

 ドンドン「アベルさん早く」

 もうドンドンうるさいな〜

「よし、セイ着替えたな、オレの後ろにいろよ」

 お父さんの後ろに隠れる、ライカちゃんのはずなんだけど今のライカちゃんはなにか怖い。

「ライカ今開けるから叩くのやめてくれ」

「早く早く」

 お父さんが鍵を開けてドアを開く、ゆっくり開けてライカちゃんがみえ・・

 ゴスン!

「おっと、今日から森に入れるからって気持ちが高まりすぎだバカ」

 お父さんがライカちゃんの頭をゲンコツして倒れる前に受け止める。

「あら、強く殴り過ぎちゃったな〜」

「お父さんライカちゃんどうしたの?」

「頭を強く殴り過ぎて気絶してる、後でラトイルに謝っとく、セイすまんがライカの頭が治るようにさすってやってくれ、オレは旅の準備するから」

「うん、わかった」

 今のライカちゃんは怖くない。そこ座れってお父さんに言われたところ座ると足にライカちゃんの頭を乗せられる、うわ〜すごいタンコブができてるかわいそう、頭治れなおれ

「アベルさっさと準備しろ〜あと女の子殴るな〜」

「うっせえ、パンツ履いてなかったんだよ」

「なんだインキンか?」

「おっさんと一緒にするな、準備するからじゃまするな」

 お父さんは家に入ってく。入る時ボクの頭をポンポンして「パン持ってくな」って小さく言ってく、うふふ

「セイ、アベル口悪いな」

 うちの家の前のおっさんがこっちにくる

「おっさん、おはようございます」

「おっさんって、まあいいや、今日からライカは森に入るのか?」

「うん、いつもと違う服着てる」

「そうだな、布のズボンじゃなく皮のズボンに皮のブーツ、胸当て長袖だな、これで森に入らなかったら何処に行くんだって話だな」

「お父さんと同じかっこうしてる」

 本当に今日から森に入るんだねライカちゃん、がんばってねナデナデ

「なんでライカはニヤニヤしてるんだ、こんなんで森に入れるんかね?」

「ニヤニヤしてたら森に入れないの?」

 森って大人の猟師なら入れると思ってたんだけど、笑ってたら入れないの?

「あー、セイは今の猟師しか知らないか、昔の猟師ってのは当たり前のように帰ってくる事は無くてな、年に何人か死ぬのが当たり前だったんだ、死ぬって分かってるけど森に行ってもらわないと」

「おっさん、セイにはまだ早いよその話は、夢を持って楽しく育てたいんだよオレは」

「おお、すまんなちょっと心配になってな」

「これだからおっさんは」

「いやいや、アベルの2歳上なだけだと思うんだが」

「お父さん、準備できたの?」

「ああ準備出来た、リンの所に行くぞ、セイ荷物を持ってくれ」

 座ったまま手を伸ばしてお父さんの荷物を受け取る。うわ重たい

 ボクが荷物を持ってるとお父さんはライカちゃんを抱き上げ片手で抱っこする、空いてる手をクイクイしてるので両手を上げる

「いや、セイを抱っこしない、荷物をくれ」

「え!」

「何で驚いてるんだ、ほら荷物くれ」

「え〜」

 抱っこしてくれないんだ・・・何でライカちゃんだけ抱っこしてあげるんだろう、ずるい。荷物を渡す、今日のお父さんはベルトに鞘を付けてる、森に入る時は付けてない、やっぱり腰に付けてるとかっこいいな〜

「セイが小さかったらそのまま抱っこ出来たんだが、大きくなっちゃったからな、セイ扉閉めてくれ」

 両手が空いたので立って扉を閉める

「え!大きくなったら抱っこしてもらえないの!?」

 今ライカちゃんしてもらってるのに、ずるい

「これ以上大きくなったらな、持ち上げても足が地面についたら抱っこする意味がないだろう」

「そっそっそ」

「「そそそ?」」

「それは嫌!これ以上大きくならない!ボクは大きくならない!」

「そうだな、もうちょっとゆっくり大きくなってくれ、じゃないと・・・」

 じゃないと抱っこ出来ないからね!お父さんもがっかりするよね!

「まあ服が・・・」

 なにかを言いながらおっさんはお父さんの背中を叩いてる。なんて言ったんだろう聞こえなかった。

「じゃあなおっさん、セイはリンの所に泊まるが何かあったらセイの事頼むな」

「おう、買い出し頼むな、何日だっけ」

「4日だ」

 手を振ってお別れをする。おっさんもニコニコして手を振ってくれる、おっさん森に入れないね

 リンさんの家までは近い、すぐに着くけれど何だか寂しくなってお父さんのお尻のズボンを掴む、お父さん寂しいよ

「セイ、父さんは直ぐに帰ってくるよ、去年も直ぐに帰ってきただろ」

「きょねん?」

「あー、後でラトイルに聞いてくれ来年と合わせて」

 そういえは、ライネンも教えてもらわないと

「セイ」

 お父さんに呼ばれてお父さんの顔を見る、お父さんはかっこいい顔をしてボクの目をみてる、これはちゃんと話を聞かないとダメなやつだ

「朝約束した事で悪いと感じた女の人には見せてはいけないって話をしたな」

「チンチンのやつ」

「そうだ、あれは無しにして女の人には見せてはいけない事にする、男だとどうしても証明しなくてはいけない時にだけ男の人に見せてもいい事にする、分かったか?」

「わかった」

「いいか、おばさん達にもリンにもカリーヌにもだぞ。セイのチンチンは女の人に見せてはいけない」

「ボクのチンチンは女の人には見せてはいけない」

「約束だからな」

 お父さんはかっこいい顔をやめてやさしいかっこいい顔になった。ボク嬉しくなって大きな声で「うん」って言ってお父さん腰に抱きついた。あれ?頭ポンポンしてくれない?

「両手塞がってるからな」

 うう残念、腰にしがみ付いても怒られないからしがみ付いておこうっと

「歩きにくいな」

 お父さんは歩きにくそう、ボクが大きくなり過ぎたせいで・・・


「アベルなんだそれは、どう言う状況だ?」

 ラトイルさんがこっちに走ってくる、リンさんちの前に何人か集まってた。

「色々あってな、すまんライカにゲンコツしたわ、マジすまん」

「ライカは何をしたんだ?」

 殴ったお父さんにモンク言わないんだ、お父さんの信頼すごい

「ちょっと興奮しててな、話が出来ない状態になってな、無理やり黙らせた」

「ボクとお父さんの全裸を見て、急にライカちゃんが怖くなって、ずっと扉をドンドンして怖っかったけど、お父さんがゴツんしてきぜつした」

「何やってるんだ、うちの娘は」

 ラトイルさんは手を伸ばしてお父さんからライカちゃんを受け取る、ラトイルさんちょっと重そう

「ライカ大きくなったな〜」

 ラトイルさんは嬉しそう・・・泣きそうになってる。大きく・・・

「ねえラトイルさん、ライカちゃんが『ラトイルさんよりお父さんの方が大きい』って言ってたけど、どこのの話?」

 あれ?急にみんなが静かになってこっちを見てるきがする。ラトイルさんの顔が普通になってる。

「セイ、力こぶの事だ」

「ちからこぶ?」

「腕のここの筋肉だ」

 お父さんは自分の腕を指差しながら教えてくれる、大きいかな?

「触ってみるか、ふん!」

「すごい!硬い!太い!」

「な、大きいだろ」

「ここちからこぶって言うんだね、ここ大きくなると強い?」

「いや関係ないな」

 何だ関係ないのか、どうしたら強くなれるんだろう?

「セイいっぱい考えろよ、強いって何だろうな」

 え?お父さんも強いって何かわからないの?お父さんに分からないことをボクに分かるのかな?

 お父さんが頭を撫でてくれる、えへへへへ

「セイちゃんはアベルさんに抱っこしてもらうの好きだよね」

「うん、お父さん大好き」

 あれ?いつの間にか抱っこされてた。えへへへへ

「セイちゃん直ぐに大きくなるから、抱っこしてもらえなくなるね」

「そうね、このセイちゃん見れるのもあとちょっとかね」

「最近ちょっと重くてな、抱き上げれにくくて、これ以上大きくなったら抱っこはできんな」

 え!?やっぱりこれ以上大きくなったら抱っこしてもらえなくなるんだ・・・、で、でもお父さん優しいからきっと抱っこしてくれるはず!

「いや、気持ちの問題じゃなくてな、腕が回らなくなって持てなくなるからな」

「そんなの嫌だ!ボクこれ以上大きくならない!!」

 大きくなったら強くなれると思ってたのに、抱っこしてもらえないなんて嫌だ!もうこのままこの身長がいい!

「セイちゃん、どんだけアベルの事好きなんだい」

「どんだけ?え〜〜〜と」

 え〜〜、どれくらいって言えばいいんだろう、1番好きだから1番好きでいいのかな?

「えっと、いち」

「ぎゅうううううう」

「え?いたたただだだ」

 お父さんが急にチカラを入れて体をしめる。苦しい、くるしい・・・

「セイ降りてそこのババアと話してな、オレはリンに挨拶してくる」

「アベル同い年だからあんたはジジイだね」

「冗談だよ、セイみててくれ」

 お父さんはボクを地面に落とすとリンさんの家に入っていく、追いかけたいけどなんでか力が入りません!立てません!

「フランお母様、おはようございます」

 とりあえず座ったまま挨拶しておこう、挨拶は大事

「セイちゃんおはよう、アベル今日もかっこいいわね」

「うん!」

「満点の笑顔ね」

 フランお母様は細くてギザギザの冷たい指でボクのほっぺたをムニムニする。指はちょと痛いけど優しいくて働きものの指で好き、お母様はみんな同じような指をしている、男の人はみんな手のひらまでゴツゴツしてて働き者のしょうこだって村長じいちゃんが嬉しそうに笑ってた。本当に嬉しそうに勉強の時に話をしていた、

「フランお母様、お母様たちはどうしてここにいるの?」

 ラトイルさんが買い出しをしに町に行くときをいつもいないのに、今日はいっぱいいる。

「えっとね、みんなが欲しかった物を買うことが決まったから、色々欲しい物のができてね、それを注文しに来たのよ」

「欲しい物って何ですか?」

 昨日村長さんが女の人全員の意見で何かを買うことになったとか言ってたけど、それを買うと他のが要るようになるんだ。なんだろうな?

「色々よ、色々」

 むう、こっちも教えてもらえないんだ。

「ラトイルさん達が帰ってきたら見せてあげるわね」

「何だろう、楽しみが増えた」

「楽しみでしょ、みんなも楽しみだから、今ライキに足を引っ張るなってせっきょう、ちがった激励してるのよ」

 げきれい?何だろう?せっきょうはたぶんお説教だから、げきれいは怒るみたいなことかなぁ?ライキ大丈夫かな?

「どうしてライキをげきれいするんですか?」

「早く買い物が終わると、早く町を出ることができるでしょ、そしたら早く帰ってくるのよ、でもライキが足を引っ張って買い物が遅くなると、帰ってくるのが遅くなるのよ」

 そっか、みんなすごく楽しみにしてるんだね、みんなに喜んでもらえるなら商人もいいかも、ダメだお父さんと森に行けなくなる。

「みんな凄く楽しみにしてるんだね、でもライキ初めてだからげきれいしたら可哀想だよ?」

「え?、まあでもライキの頑張りでアベルが早く帰ってくるのよね」

「そうだった!僕ライキを応援してくるね!」

 昨日の夜ライキが遅くなるから帰る日が遅くなったんだ。ライキのやつ・・・あれ?ライキのせいだったっけ?冬用の買い物のせいだったような?

「セイちゃんちょっと待って。あのね、激励って応援のことよ」

「そうだったんですね!みんなでライキを応援してたんですね、ボクも応援してきます」

 みんな優しいなぁ、街に初めて行くライキを応援してたんだね。あれ?フランお母様今ほっとした顔してたような・・・?

「おはようございます」

「おおおおお、おはようセイ!おはような!セイ」

 朝の挨拶をしたらライキが振り向いて抱きついてきた。く、苦しい・・・すごく力が入ってる

「オレ、準備してくる、セイ後頼む」

「え?なにを?」

 ライキは僕を持ち上げるとそのまま後ろに投げた。なんで!?

「うわっ」「きゃっ」

 体が浮いて誰かにぶつかってそのまま受け止められた。

「セイちゃん大丈夫?」

「ありがとうございます、大丈夫ですか?」

「私は大丈夫よ、ライキのやつ後で・・・、セイちゃんは今日も可愛いわね」

 フララちゃんはボクの顔を両手で挟むとムニムニなでなでする。頭をグルグル回さないでぇ〜

「ふぁふぁふぁさん、おふぁふぁふぁふぁ」

「あはは、ごめんね」

 フララちゃんが手を離してくれる。なんだろうちょっと頭痛い

「フララちゃんもライキの応援?」

「応援?そうね応援ね、早く帰って来てほしいからね」

「ボクもお父さんに早く帰ってきて欲しいから、ライキを応援するんだ」

 そのライキはボクを投げて居なくなったけどね!

「セイちゃん、ライキね寝不足なんだって。楽しみで寝れなかったとか言ってて」

 うわ・・・凄く怒ってる

「私が頼んだもの間違って買ってきたら、ふふふ」

 笑顔なのになんだか怖い・・・

「フララちゃんは何か頼んだの?」

「えーとね、内緒」

 フララちゃんの怖いが無くなった。怖く無くなったら笑顔が凄く可愛い。フララちゃんはライカちゃん達の1歳年下で毎朝牛乳屋さんをしている。牛乳を取りに来た人に牛乳をしぼって渡す人、お手伝いをしてお小遣いが欲しいんだって、お小遣いで何を買うのかな?

「お父さんたちが帰って来たら見せてくれる?」

「いいわよ、きせてあげる」

「わー、楽しみが増えた」

 う?今何かおかしかったような?

「フララ、セイちゃん独り占めしないの。セイちゃんおはよう」

「おはようございます」

 フララちゃんと一緒にライキをげきれいしてたお母様2人も朝の挨拶しながらボクの頭を撫でる。やっぱり手の平がザラザラしてる、ちょっと嬉しくなる。

「ラトイル達が出てくるまでおばさん達とお話ししましょ」

「セイちゃん昨日、リーネちゃんが火傷したんだって?」

「うん、リーネちゃんが火傷した時ボク寝てたんだけど・・・」

 お父さん達が出てくるまで昨日の夜のことをお母様達に話した。


「そう、後でアトーレを説教しなくちゃね」

「ああ、あいつをへこましてやってくれ」

 お父さんはボクの頭に手を置いてへこませてくれって言う。へこませるって何だろう?へこむ・・・村長さん叩かれるのかな?何で叩くんだろう?村長さんがへこむような物って何だろう?

 お父さんを見ると剣を腰に刺して荷袋背中でせよってる。行く準備が出来てる。後ろにラトイルさんが居てライキがラトイルさんの後ろに隠れている。

「もう行くの?」

 お父さんの袖を掴んで聞く。もうちょっと一緒に居たいな、4日会えないのはさみしいな、もっと頭撫でて欲しいな、やっぱりすごくさみしいな・・・

「セイ直ぐに帰ってくる、留守を頼むな」

 お父さんが頭をポンポンする。さみしさがふえ・・・

「「「「たまらん!」」」」

 いきなりの大きな声でビクってなった。なに?声の方をみるとお母様達が口を抑えてなんだろう喜んでる?

「尊い!尊いわ〜」

「美少女と美青年のお別れのシーン絵になるわ〜」

「お母さんが良いものを見に行こうってついて来たらこんな良いものだったなんて」

「あーもう!あーもう!」

 なに?なに?何言ってる?よく分からない?何があったの?

「ほっとけセイ、お前は気にするな」

「でも何があったか気になる」

「そうか、オレはラトイルが泣いてるのが気になるがな」

 え?うわ、本当に泣いてる。何があったの?

「おいラトイル、さっさと馬車取ってこい、出発できないぞ」

「おおぶ、ずまでえ、いばどっでぐるよ」

「父さん何泣いてるんだよ、どこに泣くところがあったんだ?」

 ライキはラトイルさんを押して麦畑、村の入り口の方に歩いて行く。馬と馬車は村の入り口の方にある。森からの魔物が来た時に逃げれるように、さいしゅうしゅだんらしい

「よっこらせ」 

 お父さんがボクを抱っこする

「お父さん?」

「セイだけが寂しいわけじゃない、オレも寂しいんだ」

 お父さん優しい声で背中をポンポンしてくれる

「ラトイル達が戻ってくるまでこうさせてくれ」

 お父さんの胸に頭をグリグリする。お父さん本当に大好きだよ。

「おう、ラトイル馬車持ってきてやったぞ、荷物積んでさっさと行かないと宿取れなくなるぞ」

「「「「「「アトーレ!!」」」」」

 さっきより声が多くて、大きな声になってた。馬がちょっと驚いてる、ボクもだけど

「あんたのそういうところが!」「優しいし周りを見てるけど」「この子は昔っから」

 馬車から降りた村長さんを取り囲んでお母様達がお説教してる。ボクの分もお願いします

「馬車来たしオレも準備しなくちゃだからおろすな、セイも手伝ってくれ」

「はーい」

 別にお父さんの手伝いをするのが嫌なんじゃなくて、何だろう・・・もう!

 ラトイルさんは馬車がちゃんと走れるかを見て、ライキは持ってく物を見て、ボクとお父さんは荷物を積む、お父さんが乗っけてボクが奥まで押す。あ、昨日のダイルランナーだ

「ライキどうだ?」

「後は馬の餌だけです」

「寝ぼけてないよな、間違いないか?」

「もう一回確認します」

 ライキの話し方が変わってる。ちゃんと仕事してるんだね

「セイくんありがとう」

 ラトイルがボクの体を持つ馬車から下ろしてくれる

「ライキ馬車の修理道具乗ってないぞ」

「書いてないよ」

「今日のさっき言っただろ、メモ取ってるからって安心して、覚えてなかったな」

 ライキがラトイルさんに怒られてる。

「ラトイル、やっぱりライキにはまだ早いから置いていこう」

「ちょっと待ってよアベルさん、一個忘れてただけじゃ」

「『一個忘れてただけ』だと?ライキやっぱりお前を置いていく、旅行気分の奴が居たら邪魔なだけだ」

「と、父さん?」

 ラトイルさんが怖い、ここに集まってる人達が静かになってる。お父さんもちょっと怖い

 いつもと違うラトイルさんが怖いのかライキがどうしていいか分からないって顔をしてる、そんなライキを見てラトイルさんが馬車から荷袋を一個掴んでライキに投げる。あっ、優しい投げ方だ

「ライキ留守番だ!」

 ライキはもう何も言い返さない、下を向いてふるえてる。何だろうなんで泣いてるんだろう?なんだか胸が苦しくなってくる。

「アベル行くぞ。皆さんすみません、私の息子がここまで仕事を舐めてるとは思い至らずこんな暗い出発になり申し訳ない。では行ってきます」

 みんななんて言って良いか分からないって顔をしてる。村長さんはなぜかすっごく落ち込んでる。なんでだろう?

 背中をポンポンされる、後ろを見るとお父さんがボクの背中を叩いてた、お父さんはニコッと笑うとボクをライキの方に押す。ライキが泣いてる、声も涙も出てないけど泣いてる、それを見ると胸が苦しくなったから抱きついた。

「ライキ、ライキ」

 下を向いてるライキの顔を見る、悔しそうだな

「ライキ間違った事があったら謝らないと、ラトイルさんはライキのお父さんなんだよ」

「お父さん?」

 ライキは走ってラトイルさんの所に行く、体を曲げて頭を下げた

「父さんごめんなさい、父さんが村の皆んなが安心出来るよう失敗なく仕事していたのに、オレが中途半端な仕事をして父さんの仕事をダメにするところだった。オレは父さんの仕事を継ぎたい!お願いします、連れてってください!お願いします」

「オレが運んでるのは村の生活だ、オレが失敗すると下手すると村が無くなることもあるかもしれない、馬車が走らないだけで村のみんなが大切に育てた物が全部ダメになる。ライキお前に絶対に失敗をしない覚悟があるのか?」

「覚悟は今はまだ無いけど、父さんと一緒に仕事をして覚悟が出来るようにしたいと思う」

 おーライキかっこいい、なんだかちょっと胸の苦しいのが治った。

「だがな・・・」

「ラトイル、これ以上遅くなったら町の外で寝ることになる、取り敢えず連れて行ってから考えても良いんじゃないか?」

 お父さんがライキの味方になってくれてる、やさしい!・・・あれ?でもお父さんがライキを置いていこうとか言ってたような?

「そうか・・・わかった。ライキ今回は連れて行く」

 やった、ライキ連れってもらえるんだ。ライキ泣きそうだけど嬉しそう。

「父さんおれ・・オレがん・・・」

「だから今すぐ馬車修理道具、馬用の水、お前の昼弁当、お前の財布、あとお前の着替着替え持ってこい、今投げた袋はウチの洗濯物だ置いてこい」

「え?」

「ライキさっさと取ってこいどんだけ忘れてるんだよ」

 え?え?って言いながら馬車の中を見て、袋持って家に向かって走っていく

「ライキ、馬用の水はオレが取ってくるわ」

「アベルさんありがとうございます」

 ライキが家に入るとお父さんがラトイルさんの肩に手を掛ける

「ちゃんと見ててくれてたな、ライキ戻るまでに泣きやめよ」

「うゔゔゔ・・」

 そう言ってからお父さんは馬用の水を取りに行った。皆んないい顔になってる、なんだか凄くうれしい

「いや、セイついてこなくて良いからそこに居なさい」

 え!なんだか、なんだか凄く一緒に居たいのに・・・

「セイちゃん良かったね」

 フララさんがぎゅっとしてくれる。ボクもフララさんをぎゅっとする。

「良かったね、良かったね」

 なんだか嬉しいが止まらない。ここに居るみんなから嬉しいが伝わってくる。

 あいた、頭を叩かれた

「セイ、ありがとうな」

 ライキが嬉しそに笑って走って行く、ラトイルさん泣き止んでる、荷物の積み方で怒られてる、お父さんが水を馬車に置いてる、ボクの頭がモミモミされる

「セイ、ライキの事ありがとうね」

 あ、リンさんだ。リーネちゃんもいるリンさんに抱っこされて

「おはようございます、リーネちゃんおはよう」

「おはよう」

「せいちゃん」

 リーネちゃん今日も可愛いな〜、手の布が小さくなってる。よかったな〜

「では皆さん、行って来ます」

「行ってくる」

 ラトイルさんとライキが手を上げて、いってきますの挨拶をする、あれ?ライキがラトイルさんに頭叩かれて何か言われてる

「みんなごめんなさい、行ってきます」

 ライキは頭を下げて言い直した。あっ、お父さんにお尻蹴られてる

「セイ、行ってくるな〜、良い子にしてろよ」

 お父さんが手を上げて言う

「わかった!良い子にしてる!だから早く帰ってきてね!」

 ボクは大きく手を振ってお父さんを見送る、お父さんはちょっと照れた顔そして振り返って歩いて行く。

 見送りにきたみんなが何か言ってる。きっと行ってらっしゃいとかだと思う。

 ボクはじっとお父さんが小さくなって行くのを見てる。


 これが、ボクとお父さんのお別れだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ