今日はリンさんちにお泊まり
『セイ、森の中のリンさん達が大変!』
姉様のワクワク?した声で教えてくれる。
何から説明したら良いのかを考えてたんだけど、姉様のリンさん達が何があったのかの方が面白そうなので、そっちを聞く。すっごく気になるし!
『なんで楽しそうな声なの?』
『森の奥の方に行ったリンさん達が走って帰って来たんだけど、ナルドが転んで慌てて立ち上がったら、木の枝で頭ぶつけて、リンさん大爆笑してる』
『うわ〜、見たかった〜』
リンさんは最初に声出して笑って、森の中だから肩を振るわせて、あっ、また声が出てる。
「ぷぷっ、あはははは」
「急に何で笑ったの?」
ライカちゃんとライカちゃんに抱っこされてるリーネちゃん、見張り台の上のミシルおばさんがわたしを不思議そうな顔でみる。
つい、想像したリンさんで笑ってしまった。恥ずかしい。
「えっとですね」
あれ、なんだろう? ライカちゃんに姉様の事言わない方がいい気がする・・・。
うーん、こう言う時は大人に相談! お父さんが言ってた。
「なに? 何か面白い事あるの?」
ミシルお母様が森の方を見ながら聞いてくる、誤魔化さないと。
「えっと、さっきライキのモノマネしたの時のライカちゃんの顔を思い出しちゃって、それが面白くて」
いたっ! 蹴られた。
(今のも、わたしが悪いからおこら、いたたた、まつ毛引っ張らないで、はい、ごめんない)
すごく怒られた、馬鹿にしすぎって・・・。馬鹿にしてないよ?
「せいちゃん、おねえちゃんのかおやって」
「こらリーネ、ライキみたいな事言わない、セイやったら蹴り殺すからね」
「私も、見てみたいわね」
『私も〜』
ミシルお母様と姉様も見たいんだ〜、やらないけどね。
「やらないから、リーネちゃんを許してあげて」
強めに抱っこしてるライカちゃんを止める。
『「あら、残念」』
「ミシルさん!」
『姉様も!』
『後で見せてね。リンさん達もうちょっとかかりそうだから、みっちゃんの説明したら』
みっちゃんの説明・・・
『洗うのが得意な、可愛い子でいいかな?』
『ま、後でリンさんにも説明しなきゃだけどね〜』
『あ〜・・・』
「リンさん」
ライカちゃんの肩がビクってなる。なんで!?
「・・・に後で説明しなきゃだから、あとでで・・・」
「私は、気になるから今ね、リンには家で話しなさい」
「はーい。みっちゃんは・・・」
わたしもみっちゃんの事よく分からないから、少しずつ説明をしていこう。
「へえ、それで良かったんですね」
「女の子居る家はそうみたいよ」
「リーネちゃん、明日から練習しようか」
「りーね、せいちゃんにしてほしいな」
「リーネ自分でしなさい、セイも甘やかさないの」
「「え〜」」
「何で二人とも残念がってるのよ」
ライカちゃんに呆れられる。リーネちゃん可愛いから、甘やかしたいな〜。
『セイ、森抜けたわよ』
え、もう? みっちゃんの説明してないよ・・・
「みっちゃんは髪をキレイにしてくれる」から「フララ、そう言えばリーネも髪綺麗じゃない?」になって「セイちゃんと洗濯した服が凄く綺麗になって」になって「セイちゃん、リーネちゃんのお尻を拭いてあげたんだって」になったんだよね。
みっちゃんの・・・、まいっか!
「リンさん達帰ってきたよ」
ライカちゃんの肩がビクってなる。
「そうなの? あら、今でてきたわね」
今?
『姉様、先出てきたんだ〜』
『何よ、別に良いでしょ』
『森の中怖かったのかな〜って』
『はあ? 何にも居なくて退屈なだけだったし!』
(ねー、言い訳になってないよね〜)
みっちゃんが大笑いしてる。
いったー! 頭叩かれた!
『『もう!』』
あ、一緒になった。
「せいちゃん、いこ」
リーネちゃんが小屋に走って行く。
「あっ、私は鐘を叩かないと」
ミシルお母様がキョロキョロしてる。
「手に持ってますよ」
「あら、ありがとうね」
恥ずかしそうに笑って、鐘を5回鳴らす。
「ライカちゃん、いこ」
「私は・・・、いいよ、先帰ってるね」
ライカちゃんが下を向いて辛そうに言う、落ち込んでるな〜
「大丈夫だって、一回怒られたぐらいなんなの? よく、怒られてるじゃない」
「でも・・・」
こんなに、弱々しいライカちゃん見た事ない。
『姉様、先にリーネちゃんと行ってて』
『え、嫌だけど? 面白そうだから見てたいし』
『リーネちゃん一人は心配だし』
『それは何とかしとくから、続きをどうぞ』
何とか? あー、森から帰ってきた方か〜
「ライカちゃんは、怒られるのは嫌?」
「当たり前じゃない、お母さん好きだし」
あー、怒られたらちょっと嫌いになっちゃうもんね。わたしは、お父さんを嫌いにならないけど。
「ライカちゃん怒られるのは、教えてくれてるって事でもあるんだよ。わたし達は子供だからいっぱいいっぱい教えて貰って、いつかお父さんみたいな、かっこいい大人になろよ」
・・・・・・
あれ、静かだ。
「べ、別に、私はアベルさんみたいになりたいわけじゃないし」
『「ぷぷっ」』
上と横から笑い声がする。
「むむむ、じゃあわたし、リンさんにいっぱい怒られて、リンさんみたいにかっこよくなろっと」
リンさんとお父さんみたいな、かっこいい大人に!
「はあ? セイには無理だし」
「はは、ライカちゃん家に先帰ってて、わたしリンさんに怒られに行くから」
ライカちゃんの返事を待たずに走り出す。
「待ちなさい! 私がお母さんにおこられるんだから!」
すぐにライカちゃんの走る音が聞こえる。もっと後ろから笑い声も聞こえる。
ちょっと走ってから後ろを見るとライカちゃんがすぐ後ろにいる。
ライカちゃん走るの早いね、なら本気だすぞ〜。
「せ」
抜かしたリーネちゃんが何か言おうをしてたけど、聞き取れなかった、ごめんね。でも止まることが出来ない、ちょっと後ろで「おね」って聞こえたから。
小屋まで後ちょっと、もうちょっと・・・。
「いっちばーん! リンさん!」
あれ? 誰もいない、外かな。
「に・・・ばん。セイ、はぁっはぁっ、早すぎよ、はあはあ」
ちょっと遅れてライカちゃんが来た、はあはあしてる。
「リンさん達いない」
「まだ、・・・来てないだけ・・・よ」
はあはあ、は小さくなったけど喉乾いてそう、水は昼にスープ作ってたから残ってるかな?
川の水はダメだから井戸で汲んだ水を小屋の壺の中にある、セイメイセンだからこまめに綺麗にしてて、1日空けても飲めるらしい。
(みっちゃんライカちゃんに水飲ませたいんだけど、うんありがとう、そっちはやってなかったね)
水を温かくしたけど、冷たくした事はなかったからやってみる事にする。
お腹痛くなるの集まれ〜、水冷たくなれ〜。
手を少し入れてグルグル回す、ちょっとずつ何か集まってきて水が冷たくなってきた。
「セイ・・・、その水で遊んだら・・・、怒られるわよ」
「遊んでないよ。はいこれ」
水の中から出した、お腹痛くなるのをライカちゃんの手に乗っける。
これは多いのか少ないのか、よく分かんないけど汚れてた。
「何これ?」
「お腹痛くなるやつ」
「え・・・、セイそれを水にまぜ・・・」
「おねーちゃん!!」
大きい声を出してリーネちゃんが小屋の中に入ってくる、ライカちゃん肩ビクッってなってる。
「り、リー・・・」
「せいちゃんにもおいてかれた〜」
ちょっと泣きながら抱きついてきた。
置いてかれたみたいで寂しかったんだね。・・・あれ、昨日も同じようなことが? あれは、ライカちゃんがお父さんに置いてかれたやつだ。
「えへへ、ごめんね、はい、お水どうぞ」
リーネちゃんの頭撫でながら、コップに水を汲んで渡す。
「セイちょっと・・・、あー、ううん、何でもない」
「ん? あ〜、ごめんね、はいライカちゃんもどうぞ」
もう一回汲んでライカちゃんに渡す。
「そうじゃないけど、まあいいわ、ありがとう」
「せいちゃん、おみず、つめたくておいしい」
ちょっとづつ美味しそうに飲んでる、リーネちゃんの頭なでなで。
(みっちゃん美味しいて、そうだね、冷たくしただけだね、研究するの? 頑張ってね、お酒さんに相談する?)
美味しいって言われて、嬉しかったみたい。
「本当に冷たくて美味しいわね、じゃあ、これは何?」
手のひらを見て、不思議そうなお顔をしてる。
「それは、水の中にあった汚れ、汚いやつ」
「え〜・・・」
そんなの渡さないでよ〜、って顔してる。
「そうよ、どうすんのよこれ」
心読まれた。・・・顔だ!!
そうだ、何で考えてることバレてるんだろうって思ってら、顔でバレてたんだ!
「ライカ、何だそれ」
急に言われてライカちゃんの肩がビクってってる、わたしもなったけど・・・。
ん? リンさんから悲しいが出てる、でも顔は普通だ。
リンさん、リンさんだ〜・・・、あっ!
「リンさん! わたしを怒って!」
リンさんに抱きつく。
「あっ!」
「なに?」
「お母さん、私を先に怒って!」
ライカちゃんもリンさんに抱きつく。
「なに? なんだ?」
「ライカちゃんさっき怒られたでしょ、わたしが怒られるの!」
「セイはアベルさんに怒られなさいよ、私がお母さんに怒られるんだから!」
「リンさん怒って!」
「お母さん怒って!」
「りーねもー」
あ、リーネちゃんも抱きついてる。
「そうか、怒ればいいんだな?」
あれ? 何かいやな・・・。
「うっ」
いったー! 頭をグーで!
「とう」
隣でゴスンって聞こえる。
「しい」
もういっこ隣から、ペしんって聞こえる。
みんな頭をさすりながら、リンさんから離れる、本当に痛い。
「リーネちゃん痛かったね〜」
「えへへ、いたかった〜」
楽しそうに笑ってる。ライカちゃんは涙出てる。
(うん、分かった)
姉様の大笑いは取りあえず無視して、みっちゃんの言うように水を汲んで渡す。
「はい、リンさんどうぞ」
「おう、ありがとな」
もう一個汲くんで
「はい、ナルドもどうぞ」
「ありがと」
二人とも水を飲む
「お、冷たいな、汲んできてくれたのか」
「はー、生き返るー」
あ、そっか。井戸から汲んだ時冷たいからね。
(うん、聞いてみるね)
「井戸の水とどっちがおいしい?」
聞いてみる。
「ぶっ! セイちゃんこれ井戸の水じゃないのかい!」
ナルドが水を少し吹き出した、汚いな〜。
「ううん、井戸の水だよ、たぶん」
「「たぶん?」」
リンさん、ナルドが首を横に倒してる。
「朝、お母様達が汲んだやつだから、たぶん」
見てないから分からないないけど
「にしては冷たいな、・・・何か入れたのか?」
「入れてないよ、取ったはしたかも」
「「取った?」」
また、ふたりとも首を横にしてる。
「セイ、同じ事をもう一度やりなさい」
「でも、もうないよ?」
「いいから」
リンさんに言われて水瓶に行く、もう水が汲めるぐらい無いんだけどな〜。
(うん、そっか持ち上げて入れたら良いんだね)
水を混ぜてもっと冷たくして、手にひらに集める、やっぱり少ない。
「飲みます?」
水をリンさん達に見せる。
「セイちゃん何だい? どうやってるんだ?」
「それがみっちゃん?」
「ん、誰だそれは?」
「りーねのむ!」
「はい、リーネちゃんどうぞ、口をあーんしてくださーい」
「あーん」
リーネちゃんの口の中に水を入れる、ちっちゃいから一口だ。
あ、わたしの分無くなった・・・。
「で、みっちゃんって誰かを答えなさい」
リンさんにほっぺたを片手で挟まれる。
「うぃふぁんふぁ」
「聞こえない、大きな声で言いな!」
「うぃふぁんふぁ!」
「いやいや、リンさん遊んでないでちゃんと聞きましょうよ」
「すまん、セイはおもしろいからな、つい」
また、ついだ!
『私は、薬草がどんなのか気になるけど』
『わ、わらひも』
リンさんの手が顔から離れる。
「薬草は見つかったの?」
聞いてみる。
「ああ、あったぞ、まったく朝から知ってたら、こんな手間はなか・・・」
なか?
「何でセイが薬草の事知ってるんだ?」
「ライカが教えたんじゃない?」
「私言ってないよ」
「りーねもいってない」
「わたしも言ってない」
誰にも言ってないよ。
「いや、セイは誰から聞いたか言いな」
リンさんは、リーネちゃんの頭をポンポンしながら、私に言う。
姉様なんだけど、ここで言うのはダメな気がするし、むむむ〜・・・。
「おてて、おかたい」
おかたい?
姉様の事を考えたら、リーネちゃんが変な事言ってる。リンさんの手を持って、触りながら・・・。
「リーネちゃん、『お』は付けなくていいよ、『かたい』だけでいいよ」
教えてあげると、リーネちゃんはリンさんの手を指で押しながら。
「ここかたい、ここやわらかい、ここ・・・」
すごく楽しそうに遊んでる。めっちゃニコニコしてる。
「は〜、もういいわ、帰りましょ。ナルドはココルコ草を村じいに持ってって」
なんだ、ココルコ草か見たことある。あれ、リンさんが女の人の言葉になってる、何で?
「分かりました。色々気になるけど、村長の家に行ったら誰か知ってるでしょ」
ナルドはそう言うと、自分の体のあちこちを叩いて装備を確認する、薬草の入ってる袋は優しく。
「じゃ、お疲れでーす。ライカ、今日はちゃんと寝とけよ」
『転んで頭打たないようにね〜。はい、言って言って』
「転んで頭打たないようにね〜」
あ、言っちゃった。
みんなから、何言ってんだって顔で見られて、リンさんとナルドは、アレかって顔をして、何で知ってるんだって顔になる。
「セイ」
「はいナルド、お疲れーお疲れー、ばいばーいばいばーい」
「ちょ、セイちゃん」
小屋から押し出して、村の方に押す。
もう、帰りたいの! めんどくさいの!
「ばいばーいばいばーい!」
「もう、分かったよ。明日、リンさんに聞くからちゃんと説明しとけよ」
「ばいばーいばいばーい!」
「はい、ぐらい言えよ。・・・まったく」
ナルドは諦めて村の方に歩いて行く。
「ばいばいナルド、また明日」
「まったく、かわいい笑顔はさいしょ・・・」
ぶつぶつ言いながら、片手を振って歩いて行く。
『もう、姉様のせいで帰るのが遅くなるところだったでしょ』
『でも、頭ぶつけた後の恥ずかしそうな顔は思い出すだけで、・・・フフフ」
『それは見てみたい』
『フフフ』
すごく楽しそう! 見たかったな!
「適当に触るな、確認だからちゃんとやれ」
あ、喋り方が戻ってる。
小屋に戻ったら、ライカちゃんが怒られてた。
「森で無くなったか、帰って来てから無くなったかは大事だから、ちゃんと確認しろ」
「でも、お母さんも早くやって・・・」
「ライカちゃんは初心者でしょ、リンさんと一緒じゃないでしょ」
フフフ、・・・こっっっっっっわ〜〜〜〜〜〜!!
リンさんからすごい怒りを感じたよ!! こっわ〜〜〜〜〜!!
大声出す前に先に言っちゃった!! ライカちゃんが大声で怒られてるところ見たら、今日は顔見れなくなるかも、・・・リーネちゃんが。
リンさんのお怒りは少し小さくなったけど、まだ怖いからリーネちゃんを抱っこする。
「リンさん怖いね〜」
「こわいね〜」
リーネちゃんとぎゅ〜っと抱き合う。
「はあ〜、セイとリーネは気が散るから外に出とけ、邪魔」
にらまれた。怖いのですぐ外にでよっと。
「ライカちゃん、何か言う前に少し考えようね、ライキじゃないよ、リンさんだよ、ね」
言いたい事言ってから、外にでる。
ギュッと抱きついてる、リーネちゃんの背中を撫でる。
「リーネちゃん、遊ぼっか」
「なにするの?」
『私も混ぜて』
『いいよ、でも姉様入るとできる遊びが減るから・・・』
見えないからね!
『作ろっか』
『いいね、面白そう』
姉様も参加できる遊び・・・、あっと。
「姉様も一緒に遊びたいって、いい?」
「ねえさま・・・、あ! うんいいよ!」
周りキョロキョロしてからいいよをくれる。
見えないもんね、分かりにくいよね。
見えないと遊べないから・・・。
リーネちゃんを下ろして、長袖の服を脱いで姉様に渡す。
「はいこれ」
『何、暑いの?」
「これ持って逃げてね」
『あ〜、なるほどね〜、分かったわ』
『本気では逃げないでね、年上のやるのは手加減して、小さい子を楽しませる、だからね』
『でも、年上の凄さも見せるのよね』
『さすが姉様分かってる〜』
「えい!」
『わっと!』
リーネちゃんが長袖に飛びついたのを、姉様がギリギリで避ける。
「えい!」
逃げた長袖にわたしが飛びつく。
『危ない! はじめを言いなさいよ!』
避けられた。やるね〜。
「「まて〜」」
『あっ姉様、長袖を投げて、終わり終わり!』
リンさんとライカちゃんが近づいてきた。
『あ、分かった。ヒラヒラ〜』
姉様は投げないで、長袖をヒラヒラさせる。
「とう! やった〜、せいちゃんとったよ〜!」
なるほどね。
「やったねリーネちゃん」
リーネちゃんと手をパンパンする。
「セイ、リーネ帰るぞ」
「「はーい」」
リンさん達の方を振り返ると、ライカちゃんはいつも通りになってた。良かった〜。
「せいちゃん、おんぶ」
「いいよ〜、はいどうぞ」
リーネちゃんに背中を向けて座わっておんぶする。
リーネちゃんあっつい、はあはあもしてる。
『姉様、全力しすぎ』
『年上の偉大さを知ったか〜』
『負けず嫌いは知った!』
捕まれそうになったら手の届かない高さに逃げるのは、やりすぎ。
「長袖持っててね」
「うん」
リンさんライカちゃんと一緒に家に歩く、誰も何も言わないでしずか・・・
「リーネ、今日は何してたんだ」
静か終わり。
「おかあさんあのね、えっとね、・・・せいちゃんとおひるねした」
お昼寝したね、2回。
「他には?」
「えっとね、えっとね、ふくつかまえた」
わたしの長袖を見せて、えしししって笑ってる。
「おかえり、リン」
見張り台の上からミシルさんの声、結構近い所で遊んでたね。
「ただいま。ミシル、大きいの小さいのは両方近くには居ない、いつもの所まで見に行けてないから、注意はしといて」
「分かったわ、ありがとうね、お疲れ様」
「ばいば〜い」
リーネちゃんが元気に手を振る、わたしは頭を少し下げる、手が使えないから。
「ばいばい」
ミシルさんはこっちに手を振ると直ぐに森の方を向く。
リンさんの家に付いた。
「ただいま〜」
「あ〜、せいちゃんに、さきいわれた〜」
「えへへ」
リーネちゃんを背中から下ろすと、リーネちゃんの汗で背中がスースーする。
乾いてから長袖きようっと。
「リーネちゃん寒くない?」
「うーん、あついよ」
「そっか寒くなったら言ってね」
「たった1日でこのお姉ちゃん力よ」
入り口でリンさんが何か言ってる。お姉ちゃん力?
『あれ? 姉様洗濯物入れてくれたの?』
机の上に洗濯物が畳まれて置かれてる。
『ううん、私じゃないわよ。セイ見て、床が汚れてる』
『本当だ、砂がいっぱいある、そして煙くさい・・・』
・・・畳んでくれたのはひっさまかな?
「あーあ、今年も煙くさくなってるね」
「仕方ないさ、二、三日の辛抱だ」
今年も・・・、あー、虫のやつか〜、昼に見たばっかりなのにね、えへへ
「わたしの、お家も臭くなってるかな?」
「そりゃそうだろ、セイの家も燻されてるさ」
「帰ってないの?」
「ライカちゃんと居たじゃない」
「そうだったわね!」
何でちょっと怒るてるの? あ〜、照れてるだけだね。
『一回帰ってみたら』
『そうだね、そうしよっか』
洗濯物気になるし、明日も洗わないとかな〜。
「リンさん、ご飯は今から食べるの?」
「ああ、早く食べてしまおうか」
「セイは、何かしたいんじゃない?」
「そうなのか?」
ライカちゃんは、わたしの言いたかった事分かってくれてる。
「家の洗濯物が気になるから、見に行きたい」
「あー、それは大丈夫だと思う、ウチの洗濯物の匂いかいでみ」
ライカちゃんが洗濯物を持ってくる。
「はい、嗅いでみ」
「うん」
「うんじゃない、それライキのパンツだろ、シーツを渡してやれ」
「ちっ」
別にライキのパンツでも良かったけど、ライカちゃんが舌打ちしてるし、人のパンツは匂ったらダメみたいだね。
「あれ!? お母さん、今日の洗濯物変! すごくキレイかも!」
「なんだ、いつも手を抜いてます、の告白か?」
ぷぷっ、ライカちゃんサボってたのバレてる。
「ちゃんと洗ってたよ! セイその顔やめて。ほら見てよ!」
みんなでライカちゃん所に集まる。
机の上に洗濯物あるからリーネちゃんは見えない、のを姉様が見える様に抱えてあげてる。姉様優しい。
「あれ? こんな色だったっけ?」
「全然違うよ、見てよこれ」
ライカちゃんが服の袖を布の上に持ってく。
「袖汚いな」
「袖汚いね」
「ほんとだ、せんたくものきれいね」
「お母さん・・・」って言いながら、わたしの頭をペシッして、リーネちゃんの頭をなでなでする。
確かに見比べると全然キレイ、袖口は置いといて腕の所と全然色が違う。腕の方は茶色と黄色の真ん中ぐらいの色で、洗濯物の方は買ってきたばかりの、・・・ラトイルさんの「古い布を安く買ってきたぜ!」じゃない布の方の色をしてる。
「どこが違うんだ?」
「お母さん・・・」
「冗談だ、そんな顔するな。匂いでも全然違うのは分かるから」
洗濯物の匂いを嗅いでないのに分かる、リンさんはすごい。お父さんも褒めてた!
「くんくん、ほんとだ、くさくない」
ライキのパンツを匂うリーネちゃん。
「ラトイルのパンツは、やめときな」
ラトイルさんのパンツでした。
「ねえライカちゃん、嗅いでいいのどのパンツ?」
「そうね、はいこれ」
「それは私のだ、ライカ自分の渡せばいいだろ」
「やだよ、恥ずかしい」
パンツの匂いを嗅がれると恥ずかしい、みたい。
「リーネちゃん一緒にシーツをにおおっか」
「うん」
シーツ持ってリーネちゃんと一緒に臭いを嗅ぐ。スンスン
「くんくん、くさくない」
「本当だね、臭くないね」
えへへへって一緒に笑う。
「臭くないって言われるのも、なんだか微妙だよね」
「そうだな、いつも臭いって思われてるような感じするな」
ちょっと匂うんだけどな、って小さく言うリンさん。
「で、何をしたんだ」
あ、やばい
『姉様、リーネちゃんをゆっくり下ろして』
『了解〜』
「えっとね、酒さんを洗濯物にしたの」
『セイ、言葉、変』
え? ライカちゃんとリンさんが顔を見合わせてる。
「ライカ、ウチの服は酒になったみたいだな」
「おかあさん、今日から私達はお酒を着るのね」
あー!
「間違えま・し・た! 洗濯物洗う時に酒さんを入れたの!」
「酒を?」
「あー、ミシルさんが『セイちゃんのおかげで洗濯物が綺麗になった』がなんとか言ってたのって、これかー」
「そう言えば、わたしのおかげで洗濯物が凄く綺麗になったって言ってたね」
気がつかなかったよ。
「何で気がつかないのよ」
「ね〜、不思議だね〜」
わからない時は不思議だね、で良し!
いや良くはないね、バカな子を見る目で見られてるし、ライカちゃんに!
「今日、何があったかは晩御飯食べながら聞くから、晩御飯の準備しようか」
リンさんが装備を外しながら言う。
家に帰るのはご飯食べてからでいいかな。見には行きたい。
「じゃあ、わたしが晩御飯の準備するね。朝お母様達と作ったスープ温めるだけで簡単だから」
『セイ、手伝ってないじゃん』
『・・・・・・本当だ!』
まいっか、食べてる時に謝まれば。
「じゃあ、頼むわ」
「はーい。あっ、リンさんの家の麦使っちゃったけど良い?」
「セイがこの家に居る時は、好きに使ってくれていいぞ」
そう言うと、わたしの頭をポンポンして、寝る部屋にリンさんが入ってく。
「必要以上に使うと怒られるわよ」
「うちも怒られるよ」
あはははって笑いながらライカちゃんも、寝る部屋に入っていく。
「じゃあ、やろっかな」
先ずは薪をとりに行かないと。
「りーね、なにしたらいい?」
「リーネちゃんお手伝いしてくれるの?」
「うん!」
リーネちゃんのお手伝いしたいな〜、の顔かわいい。
「じゃあ、難しい事してもらおうかな」
「むずかしいこと」
「あの水を、あのタライに入れて、この布を濡らして、机を拭いてください」
「またつくえだ」
ちょっと嫌そう、そういえば机ばっかり拭いてるね、でも大切な事だしね。
「でも今度は一人で全部やるんだよ、難しいよー」
「でも、つくえばっかりだし・・・」
あっ、まずい! 寝る部屋に向かって上でをバツにする、怖い顔のリンさんが戻っていく。あぶないあぶない。
「そっかー、リーネちゃんならできると思ったんだけど、無理なら大丈夫だよ、わたしやるからね」
『私がやろうか?』
『いいからいいから、姉様できるのは知ってるから』
そういうのじゃないから。
「セイ、リーネには難しそうだから私やるわよ、置いといて」
さすがライカちゃん、良いえんご。
「ごめんねリーネちゃん、難しいのは出来ないよね、難しいのはライカちゃんがしてくれるから、簡単なのしようね」
頭なでなで。
「むずかしくない! かんたん! りーねできる!」
撫でてる手を叩いて怒った顔をするリーネちゃん。ちょっと心が痛い。
「そっか、じゃあお願いするね。でもね、一人でやるって言わないと、ライカちゃんに手伝われるよ」
え!? って顔をしてから寝る部屋に向かって。
「りーねやるから、おねえちゃんでてこないで!」
はい、ライカちゃん部屋から出れなくなりました〜。
「せいちゃんもねえさまも、てつだわないで、りーねひとりでできるから」
「はーい」
そう言うと、わたしは薪をとりに、リーネちゃんはタライおを取りに物置き部屋に入る。
『手伝うのかダメなら、邪魔は良いのよね?』
『何で良いと思うの、見守ってあげて』
薪を取って出ようとすると、リーネちゃんの悲しそうな顔が見えた。
何だろう? 寂しいじゃなくて、悲しいだよね、うーん。
「リーネちゃん、タライ片付けるのは忘れてた、ごめんね。机の横にあるよ」
『さっきセイが、タライの場所を言ってたのにね』
『怒らせすぎた、わたし達が悪いよ』
「怒る」と「つい」が出るから仕方ない。
「ほんとだ、あった」
いつものリーネちゃんに戻ってる。うう、ぎゅっとして謝りたい。
リーネちゃんは姉様がたぶん見守ってくれてるからいいとして、晩御飯の準備しないと。
カマドに綺麗に薪を置いて、火打石を・・・探す、どこだろ、下かな? ないな〜、横かな? ないな〜、・・・普通に壁に掛かってた、小さい子の手の届かない所に。
火打石を壁から取ってカマドに戻ると、リーネちゃんがカマドの前に座ってた。
「リーネちゃん?」
何してるの?
「りーね、ひつけようか?」
「ううん、いらないよ」
「ひ、つけたいな〜」
「ダメかな〜、そんな可愛い顔してもダメだよ〜」
クリックリの目で、ニコーってしてもダメ
「リーネちゃん見て、あっち」
怖いリンさんの方を指差す、普通の顔してるけど、なんかこう、怖い。
「りーね、みずいれるね、みててね」
「うん、がんばってね」
リンさんを見たリーネちゃんは、タライを持って壺の方に行く、ちょっとあわててる。
背伸びして頑張って水を移してる、ちょっと多いかな〜
「リーネちゃんもういいよ、いっぱい水汲めたね」
「えへ〜〜」
凄くニコニコしてる、かわいい!
水入れるの見たし、薪に火を付けよう。
火打石を持って今度こそカマドの前に座る、付けようと火打石を薪に近づけると、背中に軽い物が。
「見たいの?」
「うん!」
「いつも見てるの?」
「おとうさんはみせてくれる、おねえちゃん、おにいちゃんは、だめっていう」
うーん、ラトイルさんか〜
「リーネちゃんは、火が好きなの?」
「うん、あたたかくてすき」
「でも、火が危ないのは知ってるよね」
「うん、ふふらちゃんにきいた」
「ラトイルは何か言ってなかったか?」
リンさんが後ろから聞いてくる、リーネちゃんはビクってなって後ろを向く。
「おとうさんは、ひはこわいからさわっちゃだめ、っていってた」
わたしはお父さんから、「火は家を燃やすから、ちゃんと使えよ」って教えられた。火を使うようになって、火の凄さは分かった。
「そうか、セイ火の付け方見せてやってくれ、あと火が何なのか教えてやってくれ」
「うんいいよけど、それって親が教える楽しみって聞いたよ?」
「いいよけどって・・・」
ライカちゃんが笑ってる、おかしな言葉なんだ。
「いいさいいさ、ラトイルが落ち込むだけだから」
それは良いのかな?
「それに、セイが火とどう向き合ってるか知りたいしな」
火と向き合ってる・・・、どう使ってるか、かな?
「わかった! カレイな火の使い方を見せるね!」
「やったー、おかあさん、せいちゃんありがとう」
リーネちゃんがリンさんの足にぎゅっと抱きつく。いいな〜
「セイ、早く『カレイ』な、火の使い方を見せてよ」
ライカちゃんに笑いながら言われる。
何かおかしかったかな?
『私も早く見たいな〜、『カレイ』な、火の付け方』
あれ、カレイがおかしいのかな?
なんかバカにされてるようで、姉様とライカちゃんには聞きにくい・・・。
(みっちゃん、カレイって凄いって事だよね、うんうん、華やかって意味もあるんだね、ハデ? 目立つね、みっちゃんありがとう)
『みっちゃんに聞くなんて、ずるいんだ〜』
(うん、みっちゃんの言うとおりだと思う)
みっちゃんの一言で静かになった姉様には、反省しといてもらって、今度こそ火を付けるぞ〜
「じゃあ、かれいな火の付け方見せるね」
「か・れ・い、か・れ・い」
リーネちゃんの気持ちのたかぶりが凄い。
リンさんに許可を貰ったからか、火が好きすぎるからか、楽しそうだからいっか。
「見ててね〜」
カマドの前に座ると、リーネちゃんは背中に乗ってきて、ライカちゃんとリンさんは後ろから覗いてる。
火打石を使って、カチカチボッをする。
「すごーい、いっかいでついた」
「「いやいやいやいや」」
「えっ、着いてるよ」
着いてるよね。
(ひっさま〜)
「いや、着いてるけど、早過ぎるし、なんで薪に直で着くの」
「フララちゃんも言ってた。すごいんだ〜、えへへ」
(もうちょっとで「こんばんは」だよ。そう、違う家、お腹すいたから早いやつでお願い。ありがとう)
お願いを聞いてくれて、ひっさまは薪全部に火をつけて鍋を熱くしてくれる。
よし今のうちに、お昼に水につけてた麦を見る、少し水をが多いかな?
「ライカ・・・」
「すごいすごーい」
「何このよくわからない燃え方、何で火が下に行くのよ」
「アベルめ、わざと黙ってたな・・・」
リーネちゃんは背中いつの間にか居なくなってカマドの一番近くに居て、楽しそうに火を見てる。
(うん、早くする)
もうちょっとしたら焦げ始めるかもってだって早く混ぜないと。
「リーネちゃんちょっとどいてくれる? ライカちゃん、麦の水これぐらいだよね?」
麦と水の入った小さな鍋を渡す。長くて大きな木のスプーンを持ってリーネちゃんの横から鍋を混ぜる。
「ねえリーネちゃん、机を拭くお手伝いしないの?」
「しなーい」
「リーネちゃんには難しかった?」
「むつかしかったー」
じっと火を見てる。何かちょっと怖い。
『リーネ、火を好き過ぎてちょっと怖いわね』
『目がすごい』
「セイ、水はこれぐらい、ちょっと煮たったら味見しなさいよ」
「ありがとう」
ライカちゃんから麦を受け取る。この量か〜、いつも多くて味が薄くなるんだよね。
鍋に入れる、全部入れ、・・・ガンコなやつがいる。ペシペシ。
「ほらリーネ、さっさと机拭きなさい、ご飯食べれないでしょ」
「・・・」
無視!
「コラ! 早くしなさい!」
ライカちゃん怒ってる、リンさんは後ろから見てるだけ、何も伝わってこない。
「・・・」
無視! リーネちゃん、こんな子だったんだ・・・、ラトイルさんが火の着けるところを見せた理由が分かった気がする。
(ひっさま、少しの間消えたフリできない? ううん、みっちゃん消さなくて良いから、フリだけフリだけ。うん、ありがとう)
ボボって、音がして火が消えた、でも、ひっさまはまだ居る。
「あー!!」
「消えた・・・」
リーネちゃんは立ち上がって、わたし、ライカちゃん、リンさん見て、ライカちゃんに蹴りしてから、リンさんの足に抱きつく。
「おねえちゃんが、りーねのひをけした〜! ああ〜〜」
泣いてる・・・。
「いや、消してない・・・」
小さく呟くライカちゃん。
『急に犯人にされて驚いて、どうしていいか分からないって顔ね』
『なるほど』
(ひっさま、あれだけ小さくなっても大丈夫なの? 問題ないんだ〜)
燃えてさえいれば、大きさは関係ないみたい。みっちゃんと一緒だね。
(ねっ)
みっちゃんも同じだって言ってるから、当たってたみたい。
パシン、って音がした、音の方を見るとリーネちゃんが頭をおさえてリンさんを見てる。
「リーネ、火が好きなのは知ってる、見てるのも構わない、だけど、自分でやるって言った事を放り出して見てるのは駄目だ、早く机を拭きなさい」
「でも、りーねのひ・・・」
言い訳しようとするリーネちゃんを、リンさんが叩こうと手を振り上げる。
「リーネちゃん、火は消えてないよ」
「「え?」」
リーネちゃんとライカちゃんが、リンさんもか、カマドの中を見る。
「燃えてるわね」
(ひっさま! 鍋焼ける!)
ごめんごめんって言いながら、勢いそのまま熱さを下げてくれる。
「早く机拭かないと、また消えちゃうかも。ね、ライカちゃん」
ライカちゃんを見る、目が合った。
「ええ、そうよね、約束破る子が見えないように火が消えちゃうのよね〜」
ライカちゃんがリーネちゃんを見ながら言う。わたしは鍋をかき混ぜる。良かった焦げてない。
「り、りーねつくえふく! せいちゃん、つぎどうしたらいいの?」
『あれ〜、簡単なのにできないのかな〜』
急がなくちゃーって顔でキョロキョロするリーネちゃん、何故が、挑発する姉様。
「リーネちゃんリーネちゃん、リーネちゃんは机拭くんだよね、机を拭くのに濡れた布いるよね、はい布どうぞ」
「つくえ、ぬの、みず!」
「リーネちゃんリーネちゃん」
タライを指差す。
「あっ!」
リーネちゃんは布を受け取ると、タライに走って布を叩きつける、投げなくてもいいのに・・・、布を濡らして、布を持って机に行って机に乗っけて、椅子の上に登り始める。
リンさん、ライカちゃん、わたしは目を合わせる。
(セイ、布めちゃべちゃだぞ)
(わたし、鍋混ぜてて手が離せない、ライカちゃんは)
(私、教えるの苦手)
(何で、嘘言うの? 二人ともリーネちゃん嫌いなの?)
(バカを言うな、蹴り殺すぞ)
(リーネが嫌いなわけないじゃない!)
(じゃあなんで教えてあげないの?)
((セイが教えてるところを、生暖かく見守りたい))
(え〜・・・、わたし、リンさんが教えてるところ見たい!)
(あ、私も見たい、いつもお父さんだし、お母さんもしかして・・・)
(はあ〜、仕方ないやろうかな、母親だしな)
リンさんは頭をかくとリーネちゃんのところに行く。
「リーネ、水がびちゃびちゃで机拭くと、机壊れるから、水絞ろっか」
「え?」
リンさんがリーネちゃんに優しく教えてあげてる。女の子で!
『あれ? セイが教えてあげるんじゃないのね』
『うん、お母さんを見せてくれるんだって』
『そんな話してたっけ?』
『今してたよ?』
『みっちゃん、ひっさま〜・・・』
姉様達は、会話はしてないよね、目を合わせたよね、いやもしかたら・・・。うん、わいわいしてる。
「あ! 私トイレに行ってくるね」
「行ってらっしゃい〜」
わたしも行きたくなってきた、スープ出来たらリーネちゃんと行ってこよ。
・・・あー、リンさんにリーネちゃんのトイレを見てもらおうとしてるの、あ!っか、それは面白そうだけど、リンさん怒りそうだから、わたしが連れていこっと。
リーネちゃんの手を持って絞り方を教えてるリンさん、顔も心も面倒くさいになってる、声には出てないのがすごい。
『セイもしかして、人は思ってるだけで会話出来る?』
『出来ないよ』
『じゃあ、目で会話してた?』
『そんな感じかな〜、仲がいい人はできるんだよ』
(そうだよ、間違う時があるから口で言った方がいいよ、そうだね、みんなは目ないからね)
出来ないよね〜
『セイは顔に出るから、こっちは分かるんだけどね〜』
『姉様達はずるいね〜』
(ひっさま、ゆっくりの火でお願い)
あいよー、の一言でボコボコが少なくなった。もう、薪の場所を変えたりしなくていい、ひっさまありがとう。
「ん〜〜〜、ん〜〜〜、これくらい?」
「貸してくれる」
じょぼぼ〜
「これぐらい」
「えっ、できない・・・」
絞り過ぎ・・・、遊んでるねリンさん。
(え? 今日はね、特に何もなくて普通の日だったよ。そっか、増えてるね、姉様と水のみっちゃん、今頃? そうだね、ごめんなさい。)
ひっさまに怒られた、紹介が遅いって、そうだよね会ってないよね。
(今日はね〜、ひっさま熱くなってる、小さく小さく。今日はね〜)
ひっさまに今日あった事をお話しする。
「ただいま〜」
「おかえり〜」
ライカちゃんが帰ってきた、結構遅かったね。
『溜まってたのかな?』
『コラ! 姉様、みっちゃんそんな事言っちゃ駄目だよ』
みっちゃんまで・・・。
「セイ、代わるわ、トイレ行ってきていいわよ」
「うん、ありがとう」
(ひっさま、あとお願い。うん、そのままで)
「セイ、リーネも連れてってくれない?」
机の上に乗って机を拭いてたリーネちゃんを床に下ろして、リンさんに頼まれる。
『「ちっ」』
ライカちゃん、姉様・・・
「りーね、ひみたい」
「そうだね〜、火が消えてから行ったらいいよ、リーネ」
うふふふ、って笑うライカちゃん。
「リーネ、おしっこ我慢して漏らしたら恥ずかしいぞ、さっさと行ってこい」
そう言われるとリーネちゃんは、わたしと火をキョロキョロ見て、「いこっ」って言ってわたしの手を持って家の扉の方に歩く。
家えお出て、畑の横を通って、樽から布とって、リーネちゃんのズボンとパンツ脱がせて便所に入る。
「「おしっこしーしー、おしっこしーしー」」
呪文を唱える。
「ぜんぶでたよ」
「じゃあ拭くね」
リーネちゃんのチンチンの周りを拭いて、外に出る、外に出てパンツとズボンを履かせる。
「リーネちゃん、先に家に戻っていいよ、火にあんまり近づいちゃダメだからね」
「うん!」
すごく可愛い笑顔をして、家に走っていくリーネちゃん、何か負けた気分。
(みっちゃん、布洗うの手伝ってくれる? ありがとう)
おしっこのついた布に水をかけて、汚れと水を全部持って畑に流れて、手にはキレイな布が、それを便所の角に押し込んで、自分のおしっこをする。ふう、すっきり。
便所から出て手を洗って家に入る。
「リーネ! さっきから止めなさいって言ってるでしょ!」
「今日はみんな怒ってばっかりだね」
家に入るとライカちゃんの怒った声が聞こえて、何だか疲れる。
「いちいち怒りたくないわよ、リーネが火に手を突っ込もうとするから怒ってるの」
「ひが、あつくないのみてって、いってるのに、おねえちゃんが〜」
リーネちゃんが泣きながら足に抱きついてくる。
わたしは抱きついてきたリーネちゃんの頭を、叩いた。手のひらで。
「せいちゃん?」
え?って顔でこっちを見る、リーネちゃんのほっぺたを、叩いた。手のひらで。
「リーネちゃん、火は火傷するから触っちゃダメって言ったよね。朝も約束したけど破ったよね、わたしやライカちゃんが意地悪で触っちゃダメって言ったと思う? そんなに言う事聞けないなら嫌いになるよ」
悪い事するとお父さんに言われるやつ、本当に嫌いになられそうで怖いよね、約束守らなくちゃってなるよね!
「「ひっ」」
「なんだ!?」
あれ? 何か変な事いったかな?
ライカちゃんとリーネちゃんは嫌そうな顔、リンさんは眉間に皺を作って、ナイフに手を伸ばしてる。
何で、ライカちゃん達まで?
「どうするの? もうわたしとの約束は守らない?」
嫌いになっちゃおっかなーって言う。
「やっ!! ごべんじゃい! やぐぞくばもずー」
凄く泣いてる、涙と鼻水が大変なことに、良かった反省してくれた。
リーネちゃんをギュッとする。
「良かった、本当に約束守ろうね。大好きだよー」
そう言うと、リーネちゃんはもっと泣き出した。あれ、なにかやばそう・・・。
「リーネちゃん息して! すって、はいてして! リンさん!!」
(みっちゃん、リーネちゃんの顔の水全部とって!)
ビクッビクッし始めた、リーネちゃんの顔を手で押さえてみっちゃんにお願いする。
どうしようどうしよう!
『嫌いになったんじゃないの?』
『次、約束やぶったらね! そんなどうでもいいこと言ってないで、何とかして!』
『わ、分かったわ、ごめん考える」
「リーネどうした?」
リンさんが来た。リーネちゃんの後ろに回って、リーネちゃんを押さえる。
「リーネちゃんが!」
「ちゃんと息出来てないな。お、リーネ顔キレイじゃないか、鼻水だらけじゃないんだな」
「ぷふっ」
あっ、笑っちゃった。リンさんが冷静すぎてちょっと面白かった。
リンさんは、何でもない普通の顔してて、頼もしさが凄い。
「お母さんが今から治してやるからな」
リーネちゃんの頭をポンポンすると、手のひらで口を押さえて指で鼻を挟んで、リーネちゃんが息できなくする。
「セイ、リーネの手を持って、オレが手を離したら上に上げろ」
「う、うん」
リーネちゃんの手を持つ、スベスベでちょっと冷たい。
リーネちゃんが少し落ち着いたの見て、リンさんが手を離す。
「リーネちゃん、す〜〜っ」
「す〜〜っ」
リーネちゃんの手を上げながら、一緒に手をあげる、手が頭の上に来て吸い終わる、吸い終わったらリンさんがまた口を塞ぐ。
リーネちゃんを見て、リンさんが手を離す。
「す〜〜っ」
「ふ〜」
リーネちゃんの手を持って、頭の上まで持ち上げる。
「「『え?』」」
「え?」
リーネちゃん以外のみんなから「え?」って言われて、なにが「え?」なのか分からないから、「え?」って言っちゃった。
「いや、吐かせなさいよ」
『吐かすところじゃない?』
はかす・・・。
「リンさんが、手を離したら手を上げろって、言ったよ!」
「言ってたけど・・・」
「あははははははは」
リンさんが本当に可笑しそうに笑いだす、ライカちゃんと姉様もつられるように笑いだして、リーネちゃんも何だか楽しそうに笑ってる。恥ずかしい!
リーネちゃんを床に下ろして、抱き上げる。
「よかった、ちゃんと息出来てるね」
「もう、くるしくないよ」
えへへへって笑ってくれる、嫌われてなくてよかった。
(あ、うん、そうだね)
「リンさん、リーネちゃん叩いちゃった、ごめんなさい」
「ああいいよ、ちゃんとリーネを心配してくれて、嬉しいぐらいだ」
叩かせてごめんなって頭ポンポンされる。
「私には何かないの?」
え、ライカちゃんに何もないけど、・・・何かした方がいいのかな?
「あ、おねえちゃん」
「何だその顔」
「リーネちゃん正解! ライキを蹴ってる時のライカちゃんの顔でしてた〜」
とりあえず、顔モノマネをライカちゃんに。
「良く似てるわね! 知らないけど」
足を蹴り殺された・・・、いたい・・・。
『姉様もひっさまもありがとう』
『これぐらいしか出来なかったから、もう食べれるとは思うわよ』
鍋の火を弱く、鍋を混ぜてくれてた姉様。
『ごめんね』
『急にどうしたの、姉様?』
『何も出来てなかったし・・・』
『わたしは手を持ってただけだし、これからいっぱい覚えてけば良いんだよ』
本当に凹んでる姉様、出来ないのは仕方ないけど、大変な時に変な事を言うのは止めてほしいかな。
「リンさん、ご飯食べよう」
「そうだな、準備しててくれ、便所行ってくる」
「トイレって言ってよ!」
「はっはっはっ」
リンさんが扉から出ていく、便所に行った。
「便所ダメなの?」
「私が嫌なの、なんか汚らしいし、便所だよ、べん・じょ」
「と・い・れ」
「トイレの方が可愛いね」
リーネちゃんの言い方がかわいいから、今からトイレって言おう。
「トイレって、らとい・・・、だよね、しかいないよね」
「お父さんじゃないわよ、アベルさんよ」
「え! でも、お父さんは便所って言ってるよ」
トイレなんて一度も言ってない・・・、なんでだろう?
「都会のお上品な人達が使ってるんだって、ここ田舎だから」
「トカイ?」
「とかい?」
そっか〜、リーネちゃんも知らないか〜、えへへへへ。
「仲良いわね! 都会って言うのは町よりも大きな所よ」
町より大きいところは、都市じゃなかったっけ?
「ただいま。おお、もう準備出来てたか、じゃあ食べるか」
喋ってるだけじゃなくて手を動かしてたよ、リーネちゃん抱っこしてるから片手できる事だけだけど。
『トマトは?』
『忘れてた! ありがとう』
カゴ入れてたトマトを出す。
「ねえ見て大きいでしょ〜」
みんなに見せる。リーネちゃんはお昼に見せてる。
「おー、でかいな」
「大きすぎ、リーネの顔より大きいじゃない」
「おっきいね」
みんな驚いてくれた、リーネちゃんも。
「リーネちゃん、これ拭いてくれる?」
「うん!」
トマト渡して、キレイな布を渡しす。一生懸命拭いてるリーネちゃん可愛い。
「良いかげん下ろしなさいよ」
ライカちゃんが何か言ってる。
「セイが抜けてるぞ」
「あっ。セイ、良いかげん下ろしたら?」
わたしに言ってたんだ。え〜、やだな〜。
「リーネちゃん降りる?」
「・・・いや」
「だよね〜」
えへへへ、二人で笑う。
「リーネ、トマト貸して、切るから」
リンさんが台所ナイフを持って手を伸ばす。
「はい」
「ありがと。ライカ、残ったパン出しとけ」
リンさんは手に持ったトマトを切りながらライカちゃんに言う。
「はいリーネちゃん、もう一個」
「ふくー」
もう一個取り出してリーネちゃんに渡す。
「いや、多すぎるから明日の朝な、セイ何個持ってきたんだ?」
「三個」
「この大きさが三個もか、明日の朝と昼に食べなさい」
「はーい、リーネちゃん明日もトマト食べようね」
「・・・うん」
嫌そう・・・。
「パン結構残ってるね」
ライカちゃんが出したパンは結構残ってた、お父さんが持ってく量より、ちょっと多いぐらい。
「食べれなかった・・・、あー、だめ! 思い出したらお腹空いてきた」
「りーねも!」
腕の中でリーネちゃんが手をあげる。わたしも、お腹空いてきたな〜
リーネちゃんと一緒に椅子に座ると、リンさんがトマトを乗せた皿をみんなに配る。
「ライカとオレの、これがリーネとセイ」
リーネちゃんのトマトが一番小さめに切られて、他のは全部同じくらい、どうやって切ってるんだろう?
「ライカパンくれ、切るから。ほいライカ、オレ、セイ、リーネ」
受け取ってすぐに切り分けるリンさん。お父さんよりナイフ使うの上手、・・・いや、お父さんの方が・・・。
「アベルより、上手い自信はある」
リンさんがニヤリと笑う。
「それはどうかな」
ニヤリと笑い返す。お父さんのマネ。
「ははっ、アベル居ないからどっちが上か決めらんないな。リーネ、セイから降りて自分の椅子に座れ」
えー、一緒に食べようと思ったの・・・に、・・・逆らったらダメなやつだ。
「はい、リーネちゃん椅子に座ろうね、頭叩かれる前に」
「・・・はーい」
リンさんをじっと見た後、返事するリーネちゃん。
リーネちゃんを椅子に座らせてあげると、リンさんも椅子に座ってみんなが椅子に座った。リンさんが体の前で指を組むのに合わせてみんな指を組む。
「天地創造されたる・・・」
・・・・・・・・?
「むにゃむにゃむにゃ、いただきます」
「「「いただきます」」」
むにゃむにゃむにゃってなに?
「さあ、食べよ食べよ」
「リンさん、お祈り言えないの?」
「アベルも言ってないだろ、猟師に祈ってる時間なんてないからな忘れちまうのさ」
確かに言ってない、猟師ってそうなんだ〜。
「面倒臭くなっただでしょ、私も今日から猟師だからもう言わなーい」
「そうしろそうしろ、祈るだけ無駄だからな」
「「そうなの?」」
「説明面倒臭いから、アベルに聞いてくれ、ラトイルには聞くな、泣くかもしらん」
ラトイルさん泣くんだ・・・。どうしてそんな悲しい事を・・・、かな?
「このスープ美味いな」
「ほんと、美味しいね」
「こんなに美味しいのか、アベル早く帰って来ねえかな、また狩って貰わねーとな」
「え、何で? 私達で狩れば良いじゃない」
「いや無理だ、ダイルランナーは本当に無理だ、早いし硬い」
「上から飛び乗って押さえつけたら良いじゃないの?」
「ライカこっち見てみ」
「なに?」
パンッって音がしてライカちゃんの頬っぺたが叩かれる、軽めに。
「いったー、そんなに悪い事言った?」
「今のを避けながら中指の爪にスプーンを後ろから当てる、を初見で出来たらアレを狩る事が出来るだろうな」
「じゃあ、ほっぺた叩かれたライカちゃんは死んだの?」
「胸から上がなくなってたゴブリンと一緒だな、本当にアベルいて助かったわ」
「お母さんはできないの?」
「できないな」
・・・あれ? お父さん居ないと大変なんじゃ。・・・でも、お父さんすごいんだな〜、えへへ
「で、今日は何があったんだ?」
少しの沈黙のあとにリンさんに聞かれる。
「今日? 今日はずっとリーネちゃんと居たねー」
「ねー」
終わり、もぐもぐ、ススー
『麦、入れたら入れたで美味しいわね、でも、本当にこのパンおいしくないわね」
『本当にね、何とか美味しく食べられたら良いんだけどね〜』
昨日ラトイルさんから教えてもらってるけど、今日はスープあるからいいよね。
「リーネと一緒に何をしてたか朝から全部話しなさい」
「リーネと一緒に居たのは分かるから」
うーん、朝から何があったっけ、思い出せ〜。
「リーネちゃんと一緒にわたしの家に行って、洗濯物集めて洗濯に行って、酒さんとリーネちゃんがお昼寝して、酒さんが洗濯手伝ってくれて、あー、リーネちゃんがカリーヌさんに頭突きされて起こされて、一緒に・・・」
「セイちょっと待って」
ライカちゃんに話を止められる。
「カリーヌさんが何をしたって?』
「カリーヌさん、リーネちゃんの寝顔を見てると眠たくなって、頭をゴスンしてた」
『何それ! 見たかった!』
『凄くリーネちゃん泣いてたんだから』
そんな楽しそうに言わないでよ・・・。
「くっ、見たかった。続けて続けて」
ライカちゃんもか・・・
「えっと、リンさんの家の洗濯物を干して・・・、リーネちゃん手伝ってくれたねー」
「りーね、ぎゅっとした!」
「そうか、偉いな」
リンさんが優しく褒めて、リーネちゃんが嬉しそうに頷く。
もぐもぐ
『このトマト皮硬いけど、甘くて美味しいわね』
『そだねー』
『なによそれ』
『甘くはなよ、酸っぱいよ』
『ははっ、セイはまだまだ子供ねー』
『甘く食べれるなら、大人になりたいな!!』
『何をそんなに怒ってるのよ』
『なんでもなーい』
どうせなら酸っぱいより甘い方がいいよ。早く大人になりたい。
「セイ続きは?」
ライカちゃんに言われる、トマト食べながら。
続きなんだっけ、トマトじゃなくて・・・
「どーして、りーねにきいてくれないの!」
リーネちゃんのほっぺた膨らんでる。
つんつんもみもみ、食べ物じゃに空気だ。いたっ、叩かれた。
「えへへ、ごめんね。さっき帰ってくる時に、リーネちゃんが何をしてたかみんなで聞いたでしょ、次はわたしの番だよ。わたしの番が終わったらライカちゃんが何をしておこられったー!?」
足蹴られた。聞いたらダメだったなんだ・・・、こっそり聞こう。
「そうだった、りーねいったんだった、せいちゃんのばんだね、えへへへへ」
なでなで、えへへへ
「リーネちゃんと洗濯物を干してたら、お母様達が見にきてて、ちっちゃい子を抱っこさせて貰ってると、洗濯物が全部干されてた、お母様達洗濯干すの早くてすごいよね」
「小さい子に何もなかったか?」
リンさんが心配そうに聞いてくる。
「えっと・・・、キフィちゃんがブツブツで、チートリくんが熱あったかな?」
「なるほど、キフィだったのか短足虻に刺されたのは」
「たんそくあぶ?」
「手足短虻が正しい名前で、まあ足全部が短い虻が居るんだ、それは基本森に居るんだが・・・」
・・・・・・・?
「面倒くさいな、まあ刺されたら危ない虫だ、後はラトイルに聞いてくれ」
「死んだりするの?」
「いや死にはしない、薬を飲まなかったら7日ぐらいずっと痒くて、人によってはブツブツの跡が残る、ぐらいだな」
「最悪じゃない!」
ライカちゃんの言う通り、7日も痒いのは可哀想だよね。
「まあな。セイ洗濯終わってからどうしたんだ?」
洗濯終わって・・・、今日シーツ1枚しか干してない気が・・・
「洗濯終わらせてもらって・・・」
「何で悲しそうなのよ」
「いいから、先続けなさい」
「次は、わたしの家の洗濯物を干す為に家に帰って、フララちゃんが居て、家の中にソイちゃんが居て、リーネちゃん地面にわたぼこりの絵を描いて、ちょっと拗ねて」
「せいちゃんが、へんなこというからでしょ」
「言ったのはフララちゃんでしょ」
「そっか、そうだった、えへへ」
かわいい、そしてフララちゃんごめん。
「で?」
で? あー、つづきつづき。
「フララちゃんがソイちゃん捕まえて、牛くさいって言われて泣いて、臭いのは髪だよって言って、洗ってあげる事になって、わたしはお湯を沸かして、フララちゃんが洗濯物を干してくれて、リーネちゃんが火に手を突っ込んで、お湯が沸いたから髪を洗おう・・・」
「ちょっと待って、変なの入ってた」
変なの? 花かな? 言うの忘れてた。
「そうだな、髪の毛洗うのにお湯を沸かすのは勿体ないな」
「じゃなくて、リーネ火に手を突っ込んだの?」
「ほら、ここ焦げてる」
リーネちゃんの手を取って袖を見せる。
「「「あっ」」」
リンさんライカちゃんが驚き、リーネちゃんは思い出したのか手をひっこめて、なんで言うのって目で見てくる。
「なんでいうの!」
言ったね。
「なんでいうのって言うって事は、悪い事をしたって思ってるんだよね、火に触る事は悪い事って分かってるよね、じゃあ悪い事をしたらどうするかわかる?」
怒った顔が反省の顔になる。
「おかあさん、りーねひにさわった、ごめんなさい」
「リーネ、セイに怒られて悪い事って分かったんだな?」
「うん・・・」
「じゃあ許す、セイの言う事ちゃんと聞けよ」
「はい」
リーネちゃん許して貰えて良かったね。
「リーネちゃんは、悪い事したらちゃんと謝れるいい子だね、いい子いい子」
頭なでなで
「りーねいいこ?」
「悪い事してもちゃんと謝れるいい子だよ。ソイちゃんみたいになっちゃダメだよ」
「うん! りーね、そいちゃんみたいにならない!」
「いい子いい子」
「それはそれでどうなのよ。てかリーネ火に手を入れて何で大丈夫なのよ」
「ライカは細かいな〜」
「気になるじゃん!」
いつものライカちゃんとリンさんで、ちょっと安心する。
「リーネちゃんに火傷なかったのは、ひっさまのおかげだよ」
「「「ひっさま?」」」
『ひっさま、紹介して貰えるみたいだね、何かしてみたら』
『姉様・・・。いいねそれ!』
「前からお話ししてたんだけど、今日名前教えてもらったの、あちらが火のひっさま」
カマドの方に手のひらを指す、指を指すのは行儀が悪いらしい、手のひらならお上品。
「カマド、火・・・あれがひっさま?」
「あー、なるほど」
「ひっさま・・・」
(うん、わかった、言うね)
できる事見せてくれるから、それを伝えてるだけ簡単なお仕事。
「小さくなるって」
「小さく?」
ライカちゃんだけ不思議そうにして、残り3人・・・、姉様みっちゃん合わせて5人はじっと火を見る。
ひっさまが消えそうなぐらい一気に小さくなる。これはさっきも見たね。
「きえた」
「ううん、まだ居るよ」
(うんうん、違うんだ〜。うん分かった)
消えると小さくなるは感覚の違いに気付いたみたい。
「大きくなるって、熱くはしないって」
ボボッ、ボボボボボボ、ボボボボー
「うっ!」
「きゃっ! アツッ・・・くない」
「わぁ〜」
「リーネちゃーん」
ひっさまがカマドから出てきてみんなの目の前にくる、熱くはないけど目の前が真っ赤なる。
驚くリンさんとライカちゃん、喜んで触ろうとするリーネちゃんを見るわたし。
(ううん、驚いてるし凄いと思ってるよ、ひっさまが凄いのを知ってるから、そうそう、皆んなほど驚いてないだけだよ、みっちゃんと姉様と同じぐらいでしょ)
ちょっと拗ねるひっさま、姉様達も驚いてないからごめんね。
(どうしたら驚くかって言われても・・・、うん、そう)
みっちゃんの言う通りで、わたしから言ったら驚けないよね。
(うん、わかった、みっちゃんも頑張ってね)
みっちゃんとひっさまがどうしたら驚くかを一緒に考えるみたい、ちょっと楽しみ。
「他には出来ないのか?」
「もっと凄いの考えてみるって、リーネちゃん我慢したね、いい子いい子」
「がまんした!」
なでなで。
「驚いた〜、どうやったの?」
「せいちゃんがやったの!?」
リーネちゃんの目のキラキラがすごい。
「ライカは何を聞いてたんだ、まったく。で、どこまで聞いたか」
「そうね、ひっさまがやってたんだよね!」
ちょっと恥ずかしそうに怒るライカちゃん。
「フララの髪洗ってあげたんだよね」
「うん、温かい水をタライに入れて、お花入れて綺麗だったねー」
「ねー」
「明日も咲いてたら摘もっか」
「うん!」
えへへへへ、って笑ってる。お花好きなんだね。
あっ、続きだ。
「頭洗ってたら・・・、えーと頭がキレイになって」
水が真っ黒になったは言わないほうがいいよね。
(うん、そうだね、友達になったね)
「頭を洗ってる時に、みっちゃんと友達になって、フララちゃんの頭洗い終わって、リーネちゃんは体全部洗ったよね〜」
「ね〜」
頭を横に倒して、ね〜してくれる。
「そうか、良かったなリーネ、体洗って貰って」
「うん!」
「フララほ髪を洗ってる時に『みっちゃん』が出てきたのね」
「みっちゃんは出てきたの!? どこから? ライカちゃん何か知ってるの!?」
ライカちゃんに聞く、ちょっと慌てちゃった。
「いやいやいや、知らないわよ。むしろセイはお友達なんでしょ、セイが知っときなさいよ!」
(みっちゃんなに? うん、そっか〜、本当に? そうなんだ・・・)
どこで産まれて何なのか知っても変わらないって言われてもね・・・、それで良いのかな?
(うん、ひっさまもなんだ・・・)
『私もだぜ』
姉様もか〜・・・
「なんだ、どこで産まれたかどうでもいいって言われたか?」
「うん・・・」
「本人が気にしてないんだから気にすんな、もし森で産まれたとか言われたら、魔物かもしれないから村から出てけって言うのか?」
「い、言わないよ!」
「それで良いんじゃないか? どういう人かが大事なんだ。で、みっちゃんってどんな奴なんだ」
そっかー、そうだよね、みっちゃんはみっちゃんだし、ひっさまはひっさまだよね。わたしは何にモヤモヤしてたのかな?
『私もだぜ』
『なにが!?』
もう姉様ったら・・・、本当に気にしなくて良いんだね、ありがとう。
「みっちゃんは、優しくて面白くて声が可愛い子で・・・」
「せいちゃん、みっちゃんのまねして」
「いいよ」
(みっちゃん、自分の紹介してくれる? マネするから。何が出来るかを聞きたいんだと思う)
自分が何なのか分からないから紹介できないよね〜。
「えっとねぇ、あたしはね〜、セイセイに触られないと力でなくて〜、水の中の汚い物を取ったり〜、水を温かくしたり冷たくしたりできて〜、洗う時に〜、水を小さくして〜、汚れを奥から〜、取ることができる〜、かな! 凄いでしょ」
(凄いねみっちゃん!)
『洗った後は水を全部持ってくから乾く、は言わなくていいの?』
『あー! だから乾いてたんだ!?』
不思議だなとは思ってたよ?
「せいちゃん、すごいねー」
「私もセイセイって呼ぼうかな」
「面白い子でもあるようだな・・・」
あまり驚かないリンさんが口を開けてる。ライカちゃんはセイセイはやめて欲しいかな。
「あとね、あらったあとはみずをぜんもってくからかわく、だって」
「なんでリーネの声で言うのよ・・・」
「いまの、りーねのこえ? ちょっとちがうよ?」
「いや、そっくりだった。セイは本当に器用だな」
「えへへ、ありがとう」
リーネちゃんの頭なでなで。テレカクシテレカクシ。
「リーネの体洗った後は?」
「リーネちゃんの体を洗ったあとは〜・・・」
『私の出番ね!』
『姉様はまだ内緒で、今はライカちゃんに教えたらダメみたい』
『なんでよ! ・・・本当だ、分かったわ』
『後でリンさんに言った方が良いみたいだから、何か考えといたら?』
『・・・・・・、ちょっと準備してくる!』
楽しそうに寝る部屋に入っていく姉様、なにするんだろう?
「えっとリーネちゃんとフララちゃんとリリカちゃんがフランお母様と一緒にスープ作りに行って」
「いつから、リリカとフランおばさんが」
リンさんがライカちゃんの頭をパシってして、あごクイクイしてる。先に進めろって事かな?
「リーネちゃん達がスープ作りに行って、わたしは残って片付けして、薬を作って、お酒さんにご飯あげて・・・」
「薬?」
「ご飯?」
リンさんとライカちゃんが首を横にする、すぐにリンさんが手を振って『続けろ』をする。
「スープ作りに家を出て、ソイちゃんが泣きながら背中に乗って来て、鍋持って小屋に行って・・・。ねえリンさん、どうしてスープ作りは森に近い小屋でするの?」
森は危ないのに、わざわざ森近くで作るのを、ちょっと不思議に思ったから聞いてみる。
「ああ、揉め事が減るからだ、つまみ食いやら何やらな」
アトーレ村長、子供、畑の人かな?
「・・・あー、あと作りやすいとかも?」
「そうだな、たぶんな」
「お母さん見てるだけだもんね」
「俺が手伝わないのが、一番の手伝いさ」
はっはっはー、寂しそうに笑うリンさん、そして手を振って『続けろ』をするリンさん。
「スープ作るところに行って、ソフィお母様にカーシカさんが死刑されて、寝てるソイちゃん渡して、小さい子達の髪の毛をみっちゃんと一緒に洗って、スープ貰って・・・、手伝ってませんでしたごめんなさい」
「いいさ、全く気にしてない。カーシカの死刑の方が気になるな」
「いいから続き続き」
いいんだ・・・。
(うん、面倒みるだけだよ、そうなんだ)
小さい子と遊ぶだけでお手伝いって言われても、やっぱりモヤモヤする。
「スープ貰って・・・、忘れてた、スープ貰う前にアトーレ村長蹴り殺して」
「せいちゃん、ないてた」
『蹴り殺せてもなかったからね』
『もうちょっとだったよね』
『いや全然、踊ってるって言われたじゃん』
そうだっけ? あとちょっとだと思ったんだけどな〜。
「何? セイ泣いたんだ〜」
「うん、ライカちゃんと一緒だね」
ライカちゃんが慌てて立ち上がって机を、バンする。
「何でセイが・・・、泣いてないわよ!」
「おねえちゃん、ないたんだ」
『「「ぷっ」」』
リーネちゃんの普通の早い返しに、みんな吹き出した。かわいすぎる。
「リーネ!」
「リーネにあたるな、座れ飯食え」
「う〜〜」
座って、にらんで、パンを食べるライカちゃん。怖い・・・。
「スープ貰って、リーネちゃんと家でお昼ご飯食べて、キフィちゃん誘って川でお昼寝して、気持ちよかったね〜」
「ね〜」
えへへ。
「いいから」
「はーい。・・・お昼寝から起きたら小さい子やお母様達が居て、フララちゃん起こしてライカちゃんをアレしてもらって」
「あれ?」
「アレ・・・」
リンさんがライカちゃんをにらんで、ライカちゃんは私をにらむ。
(あなおそろしやーだっけ? そっかー)
知らないみたい。
「ソイちゃんのお腹モニモニして、煙がいっぱい見えて村長ばあちゃん起こして、髪の毛されて、リーネちゃんの従姉妹を抱っこして」
「エマちゃんでいいでしょ!」
ライカちゃんが怒る。
「いとこ?」
せいちゃん、いとこってなーに?って目で見てくる。
『さて、何でしょうね〜』
『教えてあげてよ』
『声聞こえないでしょ』
そうだったそうだった。
「従姉妹って言うのは、親の兄弟の子供のことよ」
ふふーんって感じでこっちを見るライカちゃん。
「ふふーん」
言った!! ぐぬぬぅ〜、わたしが教えたいのを知ってて邪魔したな〜。
『そうだったんだ』
『姉様・・・』
「エマは、ラトイルの妹のカリーヌの子供だから従姉妹だ」
「いとこ」
あー、姉様のせいで先越された!
「セイ続き」
むーん! ・・・エマちゃん抱っこだっけ?
「エマちゃん抱っこして、エマちゃんお腹空いて、カリーヌさん来て、泣いて」
「な・・・」
ライカちゃんが口を押さえられてる。
「カリーヌさんが煙の方に戻っていって、村長ばあちゃん寝て、ジローレさんとポルン来て、腰と薬のこと聞いて、そう薬!」
ジローレさんから聞いた、すごい薬教えてあげなくちゃ!
「そういやさっきも薬が何とか言ってたな」
「リンさんポーションって知ってる?」
「おう、持ってるぞ、ライカにも渡してある」
「赤いやつね、貰ったよ」
え!?
「いいな! りーねもらってない!」
「わたしも貰ってない!」
「子供は要らんし、高いから壊されても困る」
「あれ高かったんだ、投げて渡されたんだけど・・・」
「えっと、確かナイフ20本分?」
だよね、たぶん
『15本だよ』
『そうだっけ? 忘れてた、えへへへ』
忘れちゃってた。
「そんなに高いわけないだろ、ナイフ1本より安いよ」
「セイ・・・」
「え? でも、ジローレさんが・・・」
15本って言ってたような?
「ミドルポーションの事だろ、軍や傭士が必要だから高いんだよ」
「あー、ミドルポーションの事だ。間違えてたごめんなさい」
『あー、セイ・・・』
『姉様もだよ』
・・・。
「あれ高かったんだ」
「高いが命よりは安い、躊躇なく使え」
「はい!」
「何でセイが答えるのよ・・・」
「ライカちゃんが要らない事言いそうだったから!」
危ない危ない、いった! 足蹴られた!
「ポーションはいいから、アイツはなんて?」
「治して、みんなに恩返ししたい、みたいな事言ってた」
「そっか。・・・よし、続きをいいぞ」
続き・・・つづき・・・。
「ジローレさんが腰痛そうだったから、草の上に寝させて」
『私が!』
『・・・、ソダネー』
「起きたリーネちゃんのところに行って、キフィちゃんも起きてブツブツ治ってて、二人にみっちゃんを」
「「ん?」」
ん?
『ん?』
『遅いよ』
めっちゃ笑ってる姉様、めんどくさい!
「今度は何です?」
「何でセイが渋々なのよ」
「キフィは治ったのか?」
治るものなのか・・・? と首を横にしてるリンさん。
「ぶつぶつ、なくなってた」
「いつものかわいい、キフィちゃんだったよね」
「うん!」
えへへー。
「そうか、まあいいセイだしな、みっちゃんがどうした」
「みっちゃんを二人に紹介しようと川に近づいたら、ソイちゃんにドーンされて」
「そいちゃんがせいちゃんどーんてした!」
思い出したのか、急に怒りだしたリーネちゃん、プリプリしてる。
「それで?」
「それで・・・」
「せいちゃんがそいちゃんを、えいって、かわにいれて、そいちゃんをし・・じ・・・」
「沈める?」
「しずるして、きふぃちゃんがおかあさんつれてきて」
「ソイちゃんの」
「そいちゃんかわからでるとき、せいちゃんのかおけって、みずがこうなって、こうなって、すごいおとした
手を上に伸ばして横に倒して机を叩くリーネちゃん。
・・・・・・
・・・
「それでみんな集まってきて」
「「いやいやいや」」
誰も何も言わないから続きを話そうとしたら、いやいやされた。
「もしかして凄い音のした、みっちゃんのやつってこれ?」
「うん、これ。みっちゃん反省してるから許してあげて」
「別に怒ってはないじゃない」
うん、怒ってないね、トマドッテルだっけ?
「オレは初耳だ、詳しく話してくれ」
詳しく・・・。
「みっちゃんが何をしたかだけでいい?」
うん、してるから、ドーン終わったところから話す。
「えっと、ソイちゃんに蹴られて、ソイちゃんが謝らないのはいつもの事だから、わたしは気にしてなかったんだけど、みっちゃんから怒ってるが出て、話しかけても全然答えてくれなくて、川の水が集まって上に伸びていって、危ない感じがしたからリーネちゃんに離れてもらって、家の屋根の上が見えるぐらい高くなって、棒を振るよう速さで倒れて、わたしはみっちゃんに置いてかれて空中に、みっちゃん早くてドーン」
『姉様ごめんね』
「わたしは地面に着地して、みっちゃんドーンは地面がドーンってへこみましたとさ、めでたしめでたし」
姉様部分をキレイに無しにして、説明おわり。
「めでたくはないでしょ」
ライカちゃんにキレイに呆れられる。
『姉様、後でちゃんと説明するから」
『セイは気にしすぎよ」
(コラッ、ひっさまそんなこと言わないの、みっちゃん大丈夫だからね、気にしない気にしない)
なんで羨ましがるの!
「そうか、セイがやった事じゃないんだな?」
「うん」
「そうか、みっちゃんは反省してるんだな?」
「うん」
「そうか・・・」
うーんって腕を組んで悩むリンさん
「よし、アベルに丸投げだな」
丸投げ? みっちゃんはお父さんに怒られるのかな?
「その後は?」
「その後は・・・、大きな音がしたってみんな集まって来て、説明して、火の着いた松明忘れて来た人居て慌ててみんな戻って、明日へこんだ所を直そうねって約束して、ライカちゃん達が来て、リンさんに怒られたら大人って言い出して、リンさんに頭叩かれた」
「あー、それであんな事言ってたのか、ライカもバカだな〜」
「違う! セイが言い出したの!」
バラされた・・・、押しつけ失敗。でも、笑顔になって良かった、今は怒り顔だけど・・・。
「それから、リンさん達と家に・・・」
「いやもういいから、そっからは知ってるから」
ライカちゃんに止められた。本当にそうだね!
さーて、冷めたスープたーべよ、ヌルくなったスープも美味しいね。
「うし! 飯食ったし酒が飲みてえ、セイの酒くれ」
「いいよ、ちゃんと感想言ってね」
「おう、貰った時の約束だからな」
どの味がどう美味しいかは、酒さんの酒造りの勉強になるらしいから。
「あれ? 何処で寝てるのかな?」
「寝てる・・・」
ライカちゃんが何か言いたそうだけど、何も言ってこない。
『持ってきてないでしょ』
『あっ、そうだね、・・・薬も出来たかな?』
『実は、それも楽しみなんだ〜。どんな味なんだろうね』
薬食べる気なんだ。薬は、酒さんいつ出来るとか言ってなかったし、どうなんだろう?
「酒さんは家に居るから、取ってくるね」
「セイ、子供にお酒を取りに行かせる大人はダメ人間だ、オレをダメ人間にしたいのか?」
「ううん」
「よし、じゃあ一緒に行くか」
「うん」
リンさんが椅子から立ち上がったので、わたし達も立ち上がる。
リンさんが扉に手をかけて出ようとするのを、わたし達は後ろで待つ。
リンさんが振り返って、わたし達を見る。
「いや、ライカとリーネは留守番だからな」
「「「えー」」」
「りーねもいきたい」
「ライカも行きたい」
「リーネちゃんも一緒はダメなの?」
何故かライカちゃんに肩を叩かれる、何でだろう?
「セイ、ライカは疲れてるんだ家にいた方が良い」
「そっか〜、森に行って疲れてるよね、ライカちゃん休んでて」
「ライカは疲れてるから一人じゃ寂しいよな」
「そっか〜、リーネちゃん、ライカちゃんと居てあげて」
「・・・うん」
くぅ、ライカちゃんの為だよね・・・。
「セイは、お母さんとアベルさんに簡単に丸め込まれるよね」
『私はわざとなんじゃないかと疑ってるわ』
・・・?
「リーネちゃん、ライカちゃんは本当に疲れてるから、何かあったらすぐに誰か呼ぶんだよ」
「うん・・・?」
不思議そうにしてるけど、約束してくれて良かった。
「ほら、セイもこう言ってるし大人しくしとけよ」
リンさんはそう言うと手を振って家の外に出る。
「もう、セイは心配しすぎなのよ」
嬉しそうに言うライカちゃん。何で疲れてるって言われて嬉しそうなんだろう?
「じゃ、ちょと行ってくるわ、母さん待ってよ」
家を出てリンさんを追いかける。
「おにいちゃん!」
「もう!」
家の扉を閉めると中から笑い声が聞こえた。ちょっと見たかったけど、笑ってくれたのが嬉しいからいっかな。
「本当にセイはモノマネが上手いよな」
「すごく練習したんだ、今ポルンを出来るように練習してるよ」
ポルンは何故か難しい、これだってものが無いからかな?
「他には誰が出来るんだ?」
「えっとね〜・・・」
「今のエマか? すごいなセイは、後でライカに見せてやってくれ」
「うん! えへへ、褒められた」
まだまだ、モノマネできる人いるんだけど、家に着いたから終わり。
家に入って酒さんを取りに行こうとすると、リンさんは扉を閉めてこっちを見る。
「よし、セイ話せ」
話せ・・・、話す・・・。
「えっと、さっき言わなかったんだけど、姉様が帰ってきたよ」
帰ってきたであってるかな? まいっか、帰ってきたで。
『よし、私の出番だ! セイ、私の合図でラトイルさんの真似して、リンって言って』
『うわ〜、怒られるじゃん』
『よろしく〜』
姉様はそう言うとリンさんの後ろ行って、服を取り出して、着る?付ける?・・・着始めた。
『いいよ』
やるんだ〜、約束したしな〜、仕方ないよね・・・。
姉様がリンさんに抱きついた時に、合図が来た。
「リン」
口を動かさず、ラトイルさんの声を出す。
「え!? ラトイル!?」
リンさんが驚いたフリをした後、頭を叩かれた、グーで!
「イッターい!! ジョリってなった!!」
「馬鹿な事するな!」
鼻と耳の良いリンさんを驚かそうと、ラトイルさんの服着て声をラトイルさんにしても、今やるとバレるに決まってるよ。いたい・・・。
『う〜ん・・・、ごめんね』
『いいよ、約束だもん』
姉様が何か反省した雰囲気だしてる。また、やりそうだね・・・。
「で、それがネエサマか」
「うん」
頭を押さえながら答える、ちょっと心配が出てるけど、口には出さないリンさん、やさしかっこいい。
『どーも、姉様だす』
「どーも、姉様です」
『だすって言ったよね』
『聞こえてたけど、馬鹿と思われるでしょ』
リンさんは腕を組むと。
「よし、自己紹介しろ、何が出来るかを教えてくれ」
『だってさ、そのまま伝えるから、ジコショーカイどーぞ』
わたしも腕を組む。さーどーぞ。
「セイのそのポーズが気になるけど、私は姉様・・・で、セイが2歳の頃から・・・、2歳の頃に忘れられてずっと家を守ってた哀れな姉です。ちょっとセイ、何で私はモノマネしてくれないのよ! ・・・ねえ、セイってば! ・・・もういいわよ。出来ることは・・・、まずは体の大きさ変えれるでしょ、力は強いと思うよ、物を見えなく出来て、何でも持っとく事が出来るわね、これが川の水で、これが昼に鍋からもらった温かいやつ、今は二つぐらい体を分ける事が出来て、・・・今はこのぐらいかなできる事。出来ない事は、セイ達以外とお話し出来ないのと、セイからあんまり離れられない、ご飯食べられない・・・、もういい? ねえ、何で二人とも返事しないのよ、・・・怒るよ?」
「おう、すまん理解するのが難しくてな、混乱してたわ」
と、楽しそうに言うリンさん、からかってました感がすごい。
「わたしは姉様の言ってる事を伝えてたから返事できなかった!」
ニコニコ
『私も嘘分かるんだからね』
『うふふ』
嘘は言ってないからバレないのに、姉様はアマイ。
「そうか・・・」
リンさんが何かを考え始めた。
『そういえば何しに来たんだっけ?』
『酒さんと薬を取りに来たんじゃない』
ラトイルさんの服を取りながら、姉様が教えてくれる。
『姉様のせいで頭叩かれて忘れてたよ』
『あれ、何でバレたんだろう?』
『直ぐにバレたもんね、ラトイルさんもっと臭いのかも』
洗濯終わったやつだったからかな? って反省してる姉様を置いといて
(酒さん起きてる? うん、リンさんが飲みたいって、いい? ありがとう、今日はリンさんの家に泊まるから持って行くね。そういえば、薬できてる? やった! 直ぐ使っていい? 取りに行くね)
物置部屋に取りに行く、外を見るだけでは出来てるか分からないね。
『姉様これ持って、わたしは酒さん持つから』
『はいはい、いいわ・・・』
(え? 分かった・・・)
がーん、酒さんにフラれた・・・
『じゃあセイはそれ持ってって、私酒さん持ってくるから』
顔見えないけど、勝ったって顔してそう!
ちぇ・・・、別に悔しくないし!
まあ、酒さんは姉様に持たれたらどんな感じか気になるとかだろうしね。
物置部屋から出ると、リンさんの考えるのが終わったのかこっちを見てる、わたしが薬の瓶を指差すとリンさんが『うん』をする、そのとき寝る部屋の扉が開いた。
「なんだっ!!」
リンさんは大きい声を出して近くの椅子を持って、寝る部屋の方に構える。
『ごめんごめん、今のはセイがわるいよ〜、リンさんに謝っといて〜』
『そうだねー、わたしだねー』
急に開けた姉様が悪いと思うけど?
「今の姉様です」
「ああそうか、今度から先に言ってくれ」
は〜、ってため息を吐きながら椅子を元に戻して座る。疲れてる・・・。
(そうだね、そうなんだ)
酒さんは中身だから、外の壺を触られても分からないよね〜、ぷぷぷっ
「おお・・・、浮いてるな・・・」
姉様が酒さんを持って、寝る部屋から出てくる。
『分かった、消すよ〜』
酒さんにお願いされて、酒さんが消えるやつをやる姉様。うん!見えない!
「おおっ、物を見えなくするってやつか・・・。ふむ」
また考えてる。
「リンさん、ジローレさんのお家に行ってもいい?」
「ああ行くか、私も気になるしな」
「ぐあい?」
「具合」
そういうと家から出るリンさん、薬を持って出るわたし、外に出ると扉を閉める姉様。
ジローレさんのお家は村の入り口の方だから少し遠い、薄暗くなった村をリンさんと歩く、・・・思い出した。
「ねえリンさん、この村を守った狩傭士の人って死んじゃったの?」
「は? 急になんの話だ」
『何よ、その面白そうな話』
姉様も話に入ってきた。こういう話好きなのかな?
「アニキ兄さんに、『この村を守った狩傭士さんに会えるといいね』って言ったら、『あの人はもう死んだ、だから会えない』って」
「あーアニキか・・・、まだダメなんだっけか」
「なにがダメなの?」
ボソッと言ったのが聞こえたので聞いてみる、リンさんはしまったって顔で。
「ああ、気にするな」
そう言うと黙るリンさん。・・・気になるよ!
『気になるよ!』
だよね〜、気になるよね。
『気になるけど、あーいう黙り方すると、もう喋ってくれないから諦めよ』
『うーん・・・』
うん、『自分だけでもなんとか分からないかな?』って感じかな?
「セイ、アニキは今どんな話をつく、どんな話をしてるんだ?」
つく? る? 作ってる? そうなのかな? 嘘は言ってなかったし・・・。
「アニキ兄さんが6歳の時に、森から魔物が来て村が襲われて、みんなは村から出て森と反対側に逃げたんだけど、逃げたの見つかってこっちに来るって時に、アニキって狩傭士の人来て『オレが来たからにはもう大丈夫だ安心しろ!』って言って魔物に突っ込んでいって、追ってきた魔物を全部をまっぷたつにして、村で暴れてた大きな森の王を「かがやくおのおのぼうふうの剣」で森の王を倒したんだけど威力がありすぎて、村の半分を吹き飛ばした、そしてそのまま旅だったのさ」
だって。これを、お父さんに話したら苦笑いするんだよね。
「あははは、そんなことになったのか! あははは」
リンさん爆笑!? そんな事になったってどういうこと?
「あ〜、おかしかった〜。あべ・・・・、今の話じゃ狩傭士死んでないな?」
あべ? ・・・・あべ? なんだろう? まいっか・・・
『私が聴いてた時も狩傭士は死んでなかったよ?』
『そっか家で話してたから姉様知ってたんだ』
『だから、あの狩傭士の人なんで死んだのか気になる!』
気になるのはわたしもなんだよね。
「今日アニキ兄さんと話した時、会えると良いねって言うと『あの人は死んだから会えない』って言われて、リンさん何か知ってるかなって思って」
『あそっか、セイも知らないから聞いたんだ』
『うん』
わたし0歳の時だったから知らないんだよね。・・・あれ、今なにか・・・。
「そうか、アイツ死んだのか・・・、クククッ」
「リンさん笑ってる?」
「いやちょっとな、村から出たことないアニキが、旅立ったアイツが死んだって知ってるんだってな」
たしかにそうだよね、うーん・・・。
「今度聞いといてくれ」
「うん!」
頭ポンポンされる、えへへへ。
さて、着きました、ジローレさん家。
扉の前に立ってコンコンする。
「はいはい、どなたですか?」
・・・・・・・・・・?
なんでリンさん言わないんだろうってリンさんを見ると、なんでこいつなんも言わないんだって目でわたしを見るリンさんと目があう。
「ちょっとなに! ジール、ジレル、お父さんの所に行って!」
33歳の大人なのに小さい子みたいなかわいい声のメリーナさんの慌てた声が聞こえる。
コンコンしたんだからセイが言え、こういう時は大人の仕事じゃないの? 見つめ合う。
ジローレさんの家の中がバタバタしてる。「ジレルもっと奥に行け」って聞こえる。
リンさんを見るとあごをクイクイしてる。わたしもあごをクイクイする。
・・・。
「こんばんわ、リンです」
あごをクイクイしたら頭叩かれて、わたしが言う事になりました。
大人にあごをクイクイすると叩かれる・・・。ズルい!
「リンさんはそんなかわいい声じゃないわよ、騙されないわ!」
「メリーナすまん、今のはセイだ。ジローレの様子を見にきたんだ、開けてくれないか」
また頭叩かれた。えへへ
『なんで笑ってるのこの子』
姉様達がヒソヒソ話してる。優しさがあるから嬉しかっただけなんだけど・・・。
「メリーナお母様すみません、こういう時は大人の名前の方がいいと思いまして、リンさんの名前出しました」
悪いのはリンさんです〜。
中でバタバタ足音がして、扉の鍵が少し開いてメリーナさんと目が合う。
「良かった〜本物ね〜、もう驚かさないでよ」
「すまんな、こいつが扉を叩いたのに何にも言わなくてな」
「いつもはお父さんが言ってたから、リンさんが言うのかなって」
大きく扉を開けてくれたので中に入る。
「おうセイじゃん!」
「今日は女の子かよ」
「ジール、ジレル、こんばんわ」
「「こんばんわ!!」」
元気一杯の11歳と9歳の男の子二人にめっちゃ頭をわしゃわしゃされる。
わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ・・・
「やめて!」
ドゥクシ!ドゥクシ!
お腹の上の骨をドゥクシする、やられたら変な感じするやつ。
「「おお・・・」」
痛いじゃないし、くすぐったいじゃない顔で「おお・・・」って言ってる。ぷぷっ
「セイもあれを使えるようになったのか」
「リンさんに教えてもらって練習したんだ、ライキで」
イランコトシイのライキで!
「ライカではしないのか?」
「ライカは変な事しないからじゃないか? こんばんわリン、セイくん」
「こんばんわ」
「よう、今日散歩したんだって?」
寝る部屋に入るとジローレさんに挨拶されたので、挨拶し返す。ちなみに、ライカちゃんにやると頭叩かれるからしない。
「散歩というか避難だな」
「燻されるからな」
「だな」
笑い合う二人、それ見て笑う一人。
「で、やっぱり駄目そうか?」
「ああ、全然良くならないな、足の筋肉も落ちててな、歩くのがしんどかったよ」
「そうか、ミドルポーションあればいいな」
「それで治るかは、分かんないけどな」
「おいおい、弱気になるなよ」
「もう情けなくてな・・・」
会話が止まる。・・・辛そうだね、二人とメリーナさん。
「おいセイ、ジローレに用事があったんじゃないのか?」
リンさんに背中をポンポンされる。
「うん、ジローレさんに用事。えへへへ、薬作ったから塗ってあげに来たの」
薬の壺を見せる。
「「え?」」「「うわっ」」
え?、はリンさんジローレさん、うわっ、はジールジレル。
「そう言えば、薬が何だ言ってたな」
「それは火傷の薬だよね? 作ったて言ってたけど、何かしたのかい?」
何かした? 薬を作ったって言ったと思うんだけど・・・
うーん?って頭を横に倒して考えたらジローレさんが少し笑って
「ごめんごめん大丈夫大丈夫、薬作ってくれたんだね、ありがとう。ありがとうついでに、セイくん塗ってくれるかい?」
「うん!」
良かったー、伝わったてた!
「良いのか?」
「良いに決まってるよ、心配して薬作ってくれる、嬉しいじゃないか」
「そうか・・・」
ジローレさんが頭を撫でてくれる、覚悟を決めた顔で。なんで?
「塗りやすいように体を・・・、ちょっと待ってね、・・・イタタタ」
『手伝っていい?』
『うん。でも変な事しないでね』
『なんでそんな事言うのよ』
『姉様のワクワク声は危ない』
『ちっ! 勘のいいやつめ!』
『何それ!? かっこいい!』
今度使ってみよっと。
「姉様が手伝ってくれるみたいです」
ちゃんと言っておかないと驚くからね。
「あー、あれ怖いけど、楽だしなーひっ!」
ジローレさんの顔が「うわっ」てなって浮かぶ、あー「イタタ」って顔してる。イタタタ
「お〜、痛そうだな〜」
「ですね〜」
浮いてるな〜、って小さな声がリンさんの方から聞こえる。そしてちょっと前から、肩が前後ろに揺らされて頭がガクガクしてる。
「と、ちょ、せっ、せ、とと・・・」
何言ってるんだろうメリーナさん。
「すっげー!! 父さん飛んでる!!」
「おいセイ! どうやってるんだよ! オレにもやってくれ!」
笑顔がキラッキラな二人。
「メリーナやめてやれ、あれは大丈夫だ。たぶん」
「え、あ、リン、でも・・・」
肩のガクガクをやめてくれたメリーナさん、やめてくれたけど、次は抱きつくように首をギュッとするメリーナさん・・・。痛く無いけどちょっと苦しい。
背中が伸びた状態でひっくり返されて、ベットに下ろされるジローレさん。
ジローレさんがベットに下ろされたら安心したみたいで、首のギュッが緩くなった。
「姉様ありがとう、あの二人は『遊んで欲しい』って」
『そっか、遊んで良いんだ〜』
どうしてやろうかな、が伝わってくる。
「おいセイ、姉様って誰だ! なにか嫌な〜〜〜ああああははははは」
「えっ? にちゃ〜はははは、あひゃははは」
ころげ笑う二人、それをニコニコ見守る二人、オロオロする一人、息ができなくなるわたし。くるし・・・
メリーナさんの腕を掴んで、メリーナさんから逃げる。逃げたけど腕を掴まれて、ちょっと邪魔。
「ジローレさん薬塗るね」
「ああ、お願いするよ」
「うん! リンさん、メリーナさんをお願い」
リンさんに見えるように腕を振る。
「ジローレ、説明してなかったのか」
「あー・・・、してなかったな」
リンさんは、メリーナさんの手をわたしの腕から取ると握ってあげて、背中をポンポンしてあげてる。説明はしないみたい。
ジローレさんの服をめくって、薬の壺に指を突っ込んで薬を取るとジローレさんの背中に付けて拡げていく。
「うっ、く・・・」
「痛いですか?」
腰の痛いところ触っちゃったかな?
「いや大丈夫、ちょっとあまりない感覚だったから」
「なるほど」
そういう声もでるのかな?
『ううん、大丈夫』
『まだ何も言ってないわよ』
言うつもりではいたみたい。
姉様に変な事されそうなのは置いといて、薬を塗っていく、壺から少し出して置いて拡げて行く。
治れ〜、治れ〜、治ってあげて〜。
(なに酒さん? うん、朝作った薬だよ)
・・・
「あっ」
あって口から出ちゃった、すごく見られてる。
「えへへへ、なおれ〜なおれ〜」
とりあえず誤魔化して薬を塗る。なにかじっとリンさんに見られてる気がする・・・。
酒さんと一緒に作った薬は「手をスベスベにする薬」だった。言われるまで忘れてたよ!
うーん、大丈夫かな〜、う〜ん・・・。まいっか、同じ薬だし治るよきっと! なおれーなおれー。
多分、腰だと思うところは塗ったから終わりでいいかな? 腰ってどこからどこまでか分からない。
(酒さん、治るかな? そっか・・・)
治るんじゃね?って事は、治るでしょ!
「ジローレさん終わりました。姉様に戻してもらいますね」
「ああ、お願いできるかな?」
『だって』
『わかったわ』
あ、だめだ・・・
『姉様、痛くなるみたいだから真剣にやったほうが良いみたい』
『そうなの? りょうか〜い」
ジール達で遊びながらジローレさんをひっくり返そうとしてたみたいで、失敗するかもだった。
ジール達の笑い声が止まると、ジローレさんの「ひっ」が聞こえて浮き上がる。
『このへん?』
『うん、この辺り』
寝やすそうな所に降ろしてもらう。痛みがなさそうでよかった。
『じゃあ遊んでくる!』
『はーい』
姉様がそう言うと直ぐに2人分の笑い声が聞こえて、リンさんの顔は痛いって顔に。・・・メリーナさんギュッとしたね・・・。
「ありがとう、セイくん、ネエサマちゃん」
「いいえ〜」
『いいえ〜」
ジローレさんにありがとうって言われて、姉様から照れた声が聞こえた。ふふふ
「で、なんの『あっ』だったんだ?」
リンさんに聞かれて、ジローレさんとメリーナさんに見られてる。言っといたほうがいいよね・・・
「えっとね・・・。ジローレさんい塗った薬は、お母様達の手をスベスベにする為に作った薬で、それを忘れて塗っちゃった。えへへへ」
えへへへへ
「「ん?」」
「えへへへ〜」
えへへ・・・・
「セイくん、今の薬は手がスベスベになる薬なのかい。あ・・・何か背中がギュッてなってきた気がする!」
「えへへへ?」
誤魔化せないかな〜、えへへへ
「ぷはははは、ジローレ! あははは」
ジローレさんは自分に掛かって布をギュッとしてプルプルしてて、リンさんはそれ見て爆笑してる。ふ〜、怒られはしないみたい!
「ねえセイちゃん!」
「うわっ!」
肩を持たれてグルンして、メリーナさんと目があう。目が真剣でこわい・・・。
「ねえセイちゃん、セイちゃんの持ってる薬で手がスベスベになるの?」
「は・・・い、多分」
(あ、ごめんなさい、なりますよね)
絶対なるって怒られた、酒さんに。
「絶対なります」
「そう・・・、使っていい?」
「はい! お母様達の為に作りました!」
何かこわい! 迫力があるってやつ!
「そのまま、塗るだけでいいの?」
(いいの?)
「手全部で、手全部を塗ると良いみたいですよ」
「そうなのね」
(りょ、りょうかい)
「付けすぎたら、ダメみたいです、ああなるぞって」
「わ、わかったわ」
少しずつねってつぶやきながら塗っていくメリーナさん。
「ジローレさん付けすぎたみたい、ごめんなさい」
「いい・・・よ」
いたそー・・・、ごめんなさい。
「なあジローレ、どっちが痛いんだ?」
どっち? ニヤニヤしながらリンさんが聞いてる。
「皮膚のが痛くて力入れると、腰の方に・・・、どっちも・・・かな・・・」
「あははははは、明日みんなに教えてやらんとな、あはははは」
リンさんすごく笑ってる。こっちまで・・・ぷぷっ。
(止めるの? 了解、言っとくね)
「メリーナお母様それぐらいで」
「はいはい」
「これから何かあると思うんだけど、明日どうなった詳しく教えて欲しいです」
「わかったわ! わ〜、どうなるんだろ〜」
乙女お母様のかわいい声と、男の子の笑い声が聞こえる。
「じゃあな」
「「「「おやすみなさい」」」」
ジローレさんの家の扉を閉める。閉める最後に見えたジール達はまだ泣いてたね・・・。
『うふふふふ〜』
嬉しそうな姉様・・・。
あの二人の涙は姉様との別れが悲しかったのか、それともリンさんのゲンコツが痛かったのか・・・。
「どうして、リンさんは塗らなかったの?」
よろこんでメリーナさんと塗るのかと思ったんだけど。
「手がスベスベになるやつか?」
「うん、リンさんの為にも作ったから」
「あー、朝のやつか。・・・まあな、すぐに使いたかったんだけどな、アベル居ないだろ、ライカも森に連れてかないと行けないしな、戦力低下するかもしれない事は出来ないんだ」
ライカちゃんと自分、村の為かな? かっこいいな〜
リンさんの顔をじっと見てたら頭ポンポンされて、肩をギュッと引き寄せされる。
「アベル帰ってきたら使うかなら、取っといてくれよ」
「うん! えへへへへ」
ホンシンだ、なんだか凄く嬉しい、えへへへへ
ん? リンさんはわたしの前に立って真剣な顔をしてる。
「なあセイ、明日からネエサマ借りられないか? 森に付いて来て欲しいんだ」
「姉様を? わたしじゃなくて?」
「うんわたしじゃなくて、姉様をだ」
「わたし役に立つよ!」
『ふふっ』
『鼻で笑うな!』
姉様め! はなあんのかー!
「セイ・・・、リーネが一人になる」
「そっか、じゃあダメだね! 姉様に聞いてみるね」
あっこれで良いのかって顔してない?気のせいかな?
『行く』
「行くみたいです。聞く前に言ってるのでノリノリです」
「ノリノリか・・・。それはそれで怖いな」
「ですよね〜」
『何がよ?』
『浮かれてる人が事件を起こすって、村長じいちゃんがよく言ってる』
『森に行ったらちゃんとするわよ』
「なんて?」
リンさんに聞かれる。・・・何で話し終わったこと分かったんだろう?
「森に行ったらちゃんとする、って言ってる」
「そうか。・・・セイこの事は、ライカとナルドには内緒だ」
「わかった」
ナルドはまだまだなんだね〜。
「ネエサマ・・・、呼びずらいな・・・、ネサでいいか、良いなら肩を二回たたけ、駄目なら一回だ」
姉様がリンさんの肩を二回トントンする。
「これを返事にする、『はい』は二回、『いいえ』は一回だ」
・・・・・・。
『姉様、返事しないと』
『あっ、そっか』
二回トントンする。
「これから慣れていこうな。セイから何かないか?」
なにか? 姉様の事だよね〜、えーと。
「姉様は、わたしから離れ過ぎれないみたいです」
「そうだったな・・・」
リンさんが何か考えてる。
「色々決め事作らないとだな・・・、ネサを残して、セイは先に帰っててくれ」
「わたしも居たほうがいくないですか?」
「練習の為だ」
練習の為・・・、そっか今から慣れさすんだね、自分と姉様と。
「わかった、先に帰ってるね」
「おう、ライカには適当に誤魔化しといてくれ」
「自信ないやつ!」
「ははは」
『私はやるって言ってないよ』
『やるでしょ?』
『やるけど』
『じゃあ、頑張って』
『はーい』
なんだったの!
姉様とリンさんを置いてリンさんの家に歩く、少ししたらリンさん達は川の方に歩いて行く。
リンさんの家に着いて入ろうとすると鍵が掛かってた。
「ライカちゃんあけてー」
扉をコンコンする。
少ししてからゆっくり鍵が開く。どうしたんだろう?
扉を開くとリーネちゃんが立ってた。
「リーネちゃんただいま」
「おかえり、せいちゃん」
元気のない眠たそうなリーネちゃん、元気ないので仕方なく抱っこする。仕方ない仕方ない。
「ライカちゃんは?」
「あそこでねてる」
日が落ちて暗くなってる部屋の中、リーネちゃんの指さす方を見ると、物置部屋の扉のところの床に座って寝てるライカちゃんを発見。暗くて見ずらい、ひっさまも消えてるし。
リーネちゃんを抱っこしたまま歩いて行って、ライカちゃんの肩を揺らす。
「ライカちゃん、ちゃんとねよーよ」
「ううーん」
手を叩かれた。どうしようかな、疲れてたからちゃんと寝た方が良いのに、どうしようかな。
『ねえさ・・・まは、居ないんだった』
はぁ〜〜〜〜〜、あーあ、ライカちゃんのせいだ〜
「リーネちゃん下ろすね」
「えーーーー、・・・うん」
「ごめんね〜、ぎゅ〜〜」
「ぎゅ〜〜」
ぎゅ〜した後、リーネちゃんを下ろして頭ポンポンする。ライカちゃんがこんな所で寝るから! もう!
「抱っこするからね〜、寝る所にいくからね〜」
『うん』は言わないだろうから、さっさと脇と膝の下に手を突っ込んで抱っこする。
「おっも」
何とか持てるぐらいの重さだけど、おっも!
立ち上がって、寝る部屋の方に行く。
「せいちゃん、そいねーちゃんとどっちがおもい?」
「ライカちゃんかな。ね、ライカちゃんいつもどこで寝てるの?」
「ここ」
リーネちゃんが指を指したところは寝る所の奥の端っこ、そこにライカちゃんを寝かせる。重たかった〜。
(うん? 寝てるから、やめてあげよ。リーネちゃんとわたしにして貰える? ありがとう)
ライカちゃんを色々洗って上げたかったみたいだけど、寝てるからやめてもらった。
暗いな〜、ランプ点けようかな〜、全然見えないって事もないからな〜、うーん・・・
「リーネちゃんもう寝る?」
「うん、ねむい。せいちゃんいっしょにねよ」
「うん、一緒ね寝ようね。じゃあ、寝る準備しようか」
「うん」
「暗いから、おんぶするね」
「はーい」
リーネちゃんをおんぶして立ち上がる、ライカちゃんを抱っこした後だからすごく軽く感じる。
「寝る服は?」
「ない、ずぼんぬぐよ」
「そっか、わたしもそうするね。リーネちゃん、ぎゅっとしてくれる?」
「ぎゅ〜」
しっかり掴まって貰って、空いた手で大きい布を持ってライカちゃんに掛ける。
「おやすみライカちゃん、ゆっくり寝てね」
「おねえちゃん、おやすみ」
頭なでななで〜。
「外にいって、お口をクチュクチュして、トイレ行こっか」
「うん!」
ちょっと元気になってるリーネちゃんをおんぶしたまま家を出て水樽のところへ行く。リンさん達は・・・、まだ川にいる。
(みっちゃんお願い)
水樽の蓋をとって手を入れてグルグル手を回して水を二個取り出して、一個は自分の口に入れて、もう一つは・・・。
「あーんして、ってしてるね」
肩にあごをのせてあーんしてるリーネちゃんの口に水を入れる。あー、口の中をみっちゃんが綺麗にしてくれてっ!
「ゲホッゲホ、うぷ、ゲホッ」
水が出ないように口を押さえてるリーネちゃんを下ろして、もう一度咳をする。
「ゲホッゲホ・・・。ごめんねリーネちゃん。もう大丈夫だから」
頭ポンポンしながら、自分の涙を拭く。苦しかった〜
(みっちゃん、のどは咳が出るからやめたほうが良いみたい。ううん、気にしないで、明日もお願いしてもいい? ありがとう。 リーネちゃんの方はどう? そっか)
やっぱりわたしから離れたら、アヤツレないのか〜。アヤツレ・・・、使うみたいな事かな?
「リーネちゃん口に指入れていい?」
口を押さえたままうんうんして、手をどけてくれた。顔を少し上にして口に指を入れてみっちゃんにお願い、・・・する前に口の中を綺麗にしてくれてる。
(ありがとう)
「リーネちゃん、ぺっしていいよって」
まあ二回目だからね、あまり驚いてないリーネちゃん。
「ぺっ! せいちゃんだいじょうぶ?」
「大丈夫だよ。トイレ行こっか」
「はーい」
リーネちゃんのズボンとパンツを脱がせてトイレに入る。見えなくないけど暗い。
「「おちないように、おちないように」」
ゆっくり入って、支えて、おしっこして、布で拭いて、立ったせて、おちないようにおちないように。
「みーぎ、ひだり。次はズボンね、みーぎ、ひだり」
ズボンとパンツ履かせて、リーネちゃんは終わり。
「せいちゃん、といれいく?」
「うん行ってくるね、ここ待っててね」
「うん」
リーネちゃんに待ってもらってトイレに入って、ズボンとパンツを少しずらしておしっこする。お父さんに驚かせれてから、トイレの中が少し怖い、暗いと怖い。
「リーネちゃんお手て、洗おっか」
「はーい」
ちんちん触ってない方の手で水を掬って、みっちゃんにリーネちゃんとわたしとおしっこ布を洗ってもらう。みっちゃんにお願いすると、水全部取ってくれるから、洗った感じがないけど、綺麗になった感があるから不思議な気持ち。
(綺麗になったよ、ありがとう)
みっちゃんにありがとうを言うと、嬉しそうに笑う。かわいい。
「じゃあ寝ようか」
「うん」
リーネちゃんを抱っこして、家に入って扉を閉めて、寝る部屋に行く。
「どこで寝よっか?」
「いつも、おねえちゃんのとなりで、ねてるよ」
「じゃあ、ライカちゃんの隣で寝よう」
「うん!」
抱っこしたまま靴を脱がせて寝るところに下ろして、靴をリンさんに蹴られなさそうなところに置く。
ライカちゃんの靴脱がすの忘れてたから脱がせてあげて、リーネちゃんの靴の隣に置く。
わたしも靴を脱いで寝るところに登る。
クンクン、うん、ライカちゃんよりは臭くない、少し臭いだけ。
「せいちゃん、どうしたの?」
「ライカちゃんより臭くないか確認してたんだ」
「おかあさんが、いちばんくさい」
「リンさんなんだ、ラトイルさんだと思ってた」
「ううん、おかあさん」
リンさんか〜、後で嗅がせて・・・、うんいいや、わざわざ嗅ぐようの事じゃないからね。
(あ、うん、すっごく嬉しいし喜んでくれると思う! だね〜、明日が楽しみだね)
明日、二人とわたしの足をみっちゃんが洗ってくれるって、どんだけ水が汚れるか楽しみだね。
「ライカちゃんの隣に寝てくれる?」
「ふわってやってね」
「ふわ?」
ああ、お父さんがたまにしてくれるやつね、あれ好き。
掛ける布の端っこを持って・・・。
「ふわっ!」
って言いながらふわっと掛ける、綺麗にリーネちゃんとライカちゃんに掛かった。じゃあわたしも〜。
「い〜れ〜て〜」
「い〜い〜よ〜」
いいよって言われてリーネちゃんの隣に入いると、リーネちゃんにギュッとされる、お礼の頭なでなでからのえへへへをする。
「明日もいっぱい一緒にいようね」
「いっぱいあそぼうね」
約束するとリーネちゃんのギュッとに力がなくなっていくのを感じながら・・・。あ・・・、ズボン・・・。
・・・な・・・なぁに〜? 何か泣き声が聞こえる、悲しそう・・・うーん。
「なぁに〜」
起き上がって周りを見ても何もない、誰も泣いてない。
『どしたの? おしっこ?』
誰かに話しかけられる、でも誰もいない・・・。
「だれ?」
『誰って・・・、姉様よ。寝ぼけないで、悲しくなるから』
「いたたた」
ほっぺたを軽く引っ張られる。ねえさま・・・、ああ姉様!
あれ姉様? ・・・寝る前居なかったね、あっリンさんも横で寝てる。・・・で、なんだっけ?
『便所行かないの?』
『うーん、おしっこじゃないかな。何だろう誰かに呼ばれてる気がしたんだけど・・・』
何だろう、悲しいを感じる、どこからだろ・・・、家からかな?
『私には分からないわ、みっちゃんは?』
みっちゃんも分からないんだ、呼ばれてるから、わたしだけなのかな?
うーん、ほっとけないよね。
『家の方だと思うから見に行きたいんだけど』
『うん、付いてくよ』
『姉様居れば大丈夫だと思うんだけど、一人で行ったってバレたら、リンさん悲しむと思わない?』
大人の怒るは、悲しいもあるから、怒らせたくない。
『私なら、悲しむ自信はあるわね』
『だよね〜』
寝てる人起こすのは嫌だけど仕方ないよね。勘違いだったらごめんね、リンさん。
「リンさん起きて、リンさん」
小声で肩を揺らす。
ちょっと揺らすだけで、リンさんは目を開けて起き上がり周りを見て、わたしの方を見る。
「何だ? 便所か?」
何だそんな事で起こすなよって目で見られる。暗くて見えないけど、多分そんな感じ。
「ちがくて、家に行きたいの」
「何だ? 帰ってもアベルは居ないぞ」
「お父さんには会いたいけど・・・、そうじゃなくて、よく分からないけど、誰か泣いてる気がして」
「誰かって誰だ」
「分かんない・・・。多分、女の人」
本当に何となくだけど、女の人。
「・・・そうか、靴を履け、行くぞ」
「うん」
リーネちゃんとライカちゃんにちゃんと布をかけて、寝るところから降りる、靴置いたところに行って、1番臭くない靴を履く。音が出ないように、起こさなようにそっと履く。
靴を履き終わったて立ち上がる、リンさんは家の扉の方に歩きながら、腰にナイフベルトを巻いて、トントン装備確認をしてる。動きが早くて、でも静かでかっこいい。
家の入り口まで行くとリンさんが扉を開けてくれて、一緒に家から出る。星が綺麗で、家の中より明るい
「まだ降ってなかったのか」
リンさんが地面をグリグリ踏む。
「雨?」
「ああ」
「夜にしか降らないもんね、見たいな〜、もうちょっと起きてたら見えるかな?」
「いや、無理だろ。良いから行くぞ」
扉を閉めて歩き出す、少ししてからリンさんが小さい声で。
「ネサ居るか?」
『居るよ〜』
って姉様が言いながらリンさんの肩を二回叩く。いいな〜、なにかかっこいいな〜。
「先に見にいかなったのか?」
『はっ! しまった〜、見に行けばよかった〜・・・』
そう言えばそうだよね、見に行って貰えば良かったよ。
「返事は?」
『そっちもしまった〜』
リンさんの肩を一回叩く。リンさんうんする。リンさんの服のしたの方を二回引っ張る。リンさん手をパタパタ動かす。姉様の一人がわたしの家走って行く。少ししてからこっちの姉様がリンさんの手を取って、人差し指を一回、小指を一回曲げて手を裏返す。リンさんが手をパタパタ動かす。
「どうします? 見て来てくれ。大人一人子供一人、気づかれてない。分かった、そのままそこにいろ」
「正解だ」
『・・・正解』
「ふふ〜ん」
ドヤ顔〜。
『一生懸命、二人で考えたのに・・・』
『何でいじけてるの? わたし居なくても話できててかっこよかったよ』
『そう? かっこよかった?』
『うん』
やったぜ〜、って喜ぶ姉様。かわいい。
家に近づくと、扉が開いてるのが見えて、家の中で鼻をスンスンする音と、「うう〜、セイちゃん助けて」って泣き声が聞こえてきた。
「急に入ったら、驚きそうですね」
「そうだな、何しても驚くだろうから、スマンって先謝っとけ」
「スマン」
先に謝ると、椅子がガタガタする音がして、「なに! 今のなに!?」って驚く声が聞こえる。ごめんね。
リンさんに背中を押されて先に入る。
「こんばんわ、トトリちゃん。あ、トトリさんか」
前はトトリちゃんって呼んでたけど、赤ちゃんを産んでお母さんになったからトトリさんって呼ばないとダメなんだって。ちゃんの方がいいいな〜。
「セ、セイちゃん? セイちゃんだ〜」
トトリさんすっごく泣き出した。怖かったと嬉しいが伝わって来て、少し泣きそうになる。
「なんだトトリか、こんな所で何してるんだ?」
「だあ〜れ〜」
「リンさんだよ」
トトリさんの方からは見えないのかな?
「リンさん〜」
ひっぐひっぐしてるトトリさんの頭をわたしが、背中をリンさんが撫でる。頭ベトベトしてる・・・。
少し落ち着いたのか、抱っこしてたチートリくんを渡そうとしてたから、チートリくんを受け取る。寝てはないけどぐったりしてる、熱あるもんね。
「こんばんわ、チートリくん」
「うぅ〜」
辛そうだね・・・、汗でベタベタしてるね〜、髪の毛張り付いてる。
『ね・・・セイ、ズズゥ・・・何とかしてあげてよぉ〜』
『何で姉様泣いてるの?』
ズズゥは何の音なの?
『何か・・・分からないけど・・・、心が苦しくなってぇ〜、ううう〜』
『あはははは』
『笑うな〜、みっちゃんも何で笑ってるのよ!』
あ、泣き止んだ、・・・こっちは。
『姉様、ランタンと火打石持って来てくれる?』
『う・・・、うん、すぐ持ってくるね』
素直だ・・・、本当に何があったんだろう?
(みっちゃん体拭いてあげたいんだけど、うんそうだね、あったかくしてふいて・・・、洗うだよね、うふふふふ)
拭くじゃないよね、洗うだよね。
『はい、持ってきたよ、次は?』
『家を寒くなくできる? あと、水も欲しい』
『家を守ったから寒くなくなるよ。水は体洗うんだよね』
『体洗うのと、飲ませたいから飲む方も』
『分かった〜』
家が姉様に包まれた感じがする、いつもの家に帰ってきた気分になってきた。守ってくれてたんだね〜、ありがとう。
姉様が水を取って来てくれてる間にランタンを付けよう、と思ったんだけどチートリくん抱っこしてるから出来ない・・・。
『持って来たよ』
机にコップ、水をわたしに渡そうとしてる。
『姉様、ちょっとチートリくん抱っこしてくれる?』
『うん? いいけど』
チートリくんを少し持ち上げると受け取ってくれる、すぐにフタを開けてランタンに火打石で火を付ける。
(ひっさまー。ううん、まだ夜だよ。そそ、ランタンだよ。出来るんだ〜)
節約しつつ明るく出来る、みたい、さすがひっさまだよね〜。
ランタンの蓋を閉めて、姉様からチートリくんを受け取る。急に部屋が明るくなったからこっち見てる、トトリちゃんの顔は驚いた顔だ。涙で顔がテカテカしてる。
「あはははは、トトリちゃ・・・さんの顔テカテカしてて面白い」
「ほーどれどれ。ぷはっ、あはははは」
「ちょっ! まっ! やめてよ〜」
『「「あはははは」」』
あ〜、面白かった〜。リンさんも笑うからつられて、もっとおかくしくなっちゃった。
楽しい空気が伝わったのか、チートリくんが少し楽な感じになった。笑顔までは無理だよね〜。
『姉様、お水ちょうだい』
『はぁ〜、テカテカ〜、あはっ、はいどうぞ』
そんなに笑う? まあ、面白かったよね〜。
姉様から受け取った水は冷たい、みっちゃんの予想通りなので、手で転がして温かくする。温かくなれ〜、温かくなれ〜。
いい感じに温かくなっから、頭から洗っていく。
頭を洗ってると気持ちよかったのか、うんことおしっこをする。
「気にしない気にしない、後で綺麗するから全部出していいよ〜」
悲しそうな顔をするので慰める。今日は笑顔を見てない・・・。
「おいトトリ、うんこしたみたいだぞ」
「あー、セイちゃんごめんね、替えのおしめ持って来てないや」
持ってなさそうだもんね、仕方なし〜。
「全部出したみたいだから、おしめ取って、外に捨てて来てくれる?」
硬くないうんことおしっこで、もうグッチャグチャ・・・、さすがに汚すぎてみっちゃんにお願いしたくない。
「うん、ごめんね、本当にごめんね」
「後で履き替えるからいいよ」
わたしのズボンもぐちょぐちょ・・・、くちゃい・・・。
トトリちゃんは、おしめを持って外に出ていく。綺麗なおしめ持ってきてくれるかな?
あ・・・
「リンさん、トトリちゃんに付いて行ってもらえない? 何かあるみたい」
「何かはわからないんだな?」
「うん、やらかし、ぐらいしかわからない」
「やらかすのか、分かった行ってくる」
「いってらっしゃ〜い」
は〜、ってため息つきながらリンさんが出ていく。何するのかなトトリちゃん。
さて続き続き、頭は終わったから顔だね。
「チートリくん、息止めてくれる?」
「う〜?」
ダメだ、ぼ〜としてる。
(うん、そっか出来るよね。息を吸おうとして飲んじゃうかもだから気をつけてね。あはははは)
まあ、飲まれたら一緒にあやまろうね。
チートリくんの顔に水を当てて洗ってく、鼻と口を塞いがったら驚いた顔してる。口と鼻に中に水が入ってない、みっちゃんすごいね〜。
顔が終わって、体の上を洗って体の下を洗う。
(本当にいいの? うん・・・、わかった)
下を洗うとどうしてもうんこで汚れる。みっちゃんはいいって言うけど、ごめんなさいの気持ちが・・・。
『姉様〜』
『はいはい、水交換ね。簡単にで良いから全部のうんことっといたら』
「うわー、姉様賢いね〜」
『でしょ、ちょっと待ってて』
(ごめんね〜。わたしのも? そうだね)
別にみっちゃんの体じゃ無いから全然気にしなくて良いみたい、今度どんな感じか聞いてみよっと。
チートリくんの下とわたしのズボンのうんこを取ってもらう。
『はい、はいどうぞ』
『ありがとう、これ捨てて来てくれる?』
『はいは〜い』
うんこの水を渡して、綺麗な水をもらう、その水で下を綺麗に洗っていく、終わったからわたしのズボンを洗う。あー、やっぱり綺麗なのがいいね!
「チートリくん、綺麗になったね〜」
「えふっ、えふふー」
笑顔かわいい〜。服着せてあげたいけど、ちっちゃい子の服ないし、適当に布巻いておこうかな?
『適当にセイ服着せといたら?』
『そっか上だけでいいもんね』
『パンツは?』
『おしめないから無しかな。服着せてくるね、姉様酒さん机に出してくれる?』
『酒さん? そういえば私が持ってたわね、分かった、出しとくね』
『あと、チートリくん抱っこしてくれる?』
『はいはい』
チートリくんを姉様に渡して、洗うのに使った水は捨てに行くのが面倒くさいので、空いてる扉から外に投げる、扉を閉めたら、ランタンを持って寝る部屋に入って1番小さな服を持って部屋から出る。
「チートリくんこれ着ようね」
『わたしだっこするから、姉様お願い』
『はいはい』
姉様に服を渡して、チートリくんを受け取って、服を着せやすいように持つ、姉様が姉様の不思議な着せ方で着させたら終わり、服一枚で可愛さが増えるよね。どうして赤ちゃんはこんなに可愛いんだろう?
(さけさーん、さけさん起きて〜)
片手で酒さんをすこしだけ揺らす、・・・怒られるから。
(おはよう。チートリくん熱出てて、うん、そそ、あれあれ、ありがとう)
昔、お父さんに教えてもらった『体に良いお酒』を作ってもらう、飲むと元気になるらしいお酒があるって聞いて、酒さんと一緒に考えた、子供喜ぶ甘いお酒。
(うん、水は用意したよ、そそ、赤ちゃんだからね、そう? 中から? うん、ありがとう?)
中から治す、って何だろう? 酒さんなら出来るのか・・・な?
まあいいや、お酒をコップに入れて・・・少しね、指を突っ込んで汚いのを取りながら混ぜる。
(え? 水が動かしやすい? 酒さんじゃない?)
(うん、そっか。それはみっちゃんに言って)
新感覚だから教えてくれって、水はみっちゃんが動かしてるし、わたしに言われても。
『セイ、眠くなてない?』
『ちょっと眠い』
『眠くなると、機嫌悪くなるよね〜』
『そんな事ないよ』
「ね〜」
「う〜?」
なにが?って顔をしてるチートリくんにお酒水を飲ませる、甘くて美味しかったのか、全部飲み干した。あー、わたしの分が〜
『あ〜、私の味が〜』
味? まあいいや、顔が真っ赤っかチートリくんを連れて寝る部屋に行って、チートリくんをだっこしたまま倒れ込む、あれ?シーツが敷かれてる、洗濯したよね? 誰が・・・、何となくフララちゃんな気がする・・・、明日、ありがと、・・・いお。
何か、色々忘れてる気がするけど、いっか姉様が何とかしてくれるはず・・・。