村でのお勉強
ボクが今暮らしてい所はお父さんが子供のころ住んでいた村らしい、お父さんの親のお爺ちゃんお婆ちゃんは一緒に暮らしていない。お母さんもいないお父さんと二人っきりだ。
村は大きさは分からないけれど家は23個ある、牛の家も何個かある。村の前には麦用の畑があって結構広い村より大きい、畑の向こうは草がボーボーの草原があって、その向こうに山あって山の向こうには「りょうしゅ様」がいるらしい見た事はない。村の後ろには森がある、山ではない森らしい、子供は入ってはいけない怒られる森、魔物がいるからだ、お爺ちゃんは森で魔物に襲われたらしい、襲われたらもうお父さんに会えないと言われている、だから魔物に襲われたお爺ちゃんにはもう会えないみたい、お婆ちゃんは魔物に襲われてはいないけど会った事はない「もういない」って言われてる、お爺ちゃんが居なくなって元気がなくなってそこからはソイちゃんのお母さんの声が小さくなってよく聞きとれなかったけど会えなくてなったのはわかった。その怖い森から川が村の真ん中を通って畑の方へ流れていってる、どこまでいってるかはわからない。
「・・・ちゃん、セイちゃーん、おーいセイちゃん、おーい!」
「うん?なに?どうしたのソイちゃん」
「ぼーっとしてて返事してくれなかった!」
どうやらソイちゃんが起こしてくれていたみたい。
ソイちゃん、ソイリスはうちの隣の隣に住んでる1歳下の女の子で黒っぽい茶色の髪を肩より少し下ぐらいまで伸ばした、ふっくらした顔がコロコロ変わる可愛い子
「ごめんね、ちょっと寝てたみたい」
今日はいい天気だから村の入り口で日向ぼっこしていたら眠てたみたいだ
「村長じいちゃんの勉強の時間だからみんな呼んできてだって」
「じゃあ手分けして呼びにいこうか?」
「セイちゃん最後だから大丈夫」
あー、結構寝てたみたいだ。
早く行かないとね、よっと!と力を込めて立ち上がってソイちゃんに「行こっか」と左手を出す。ソイちゃんは左手で僕の左手を取ると後ろに回り込んで背中に乗ってきた。
「ソイちゃん?何してるの?」って顔でソイちゃんをみる
「セイちゃんを探して疲れたなー」と満開の笑顔で早く行ってと急がされる。
きっとこの甘えん坊は降りてくれないと諦めて村長じいちゃん家に向けて歩き出す。少し歩いたら背中からソイちゃんの鼻歌が聞こえるきた、きっとたぶんだけどソイちゃんのお母さんがお料理をしている時にしている鼻歌だと思うけどなんか違う。
「セイ、ソイおそいぞー」「そいちゃんずるい!」「村長じいちゃんセイちゃん来たよー」とライキ達の騒がしい声が聞こえる、村長じいちゃんの家の前に村の子供たちが既に勉強する為に集まっていた。晴れた日というか雨が降ってなくてあったかい日、村長じいちゃんは家の前に子供を集めて勉強会をする、村長じいちゃんは今の村長のお父さんで村長のおじいちゃんじゃないんだけどみんなから「村長じいちゃん」とか「村じい」「くそジジイ」とか呼ばれてる。白い髭を生やして優しくて甘えやすいおじいちゃん。
「ソイちゃん着いたから降りて」
後ろを振り返りながらお願いすると目が合ったのに寝たフリをしはじめた。
「降ろすからね」
と言ってから、体を前に傾けて足を抱えてた手を離す。ソイちゃんは僕の背中を滑り、前に出してた手で僕の首を絞める。く、苦しい
僕は両手でソイちゃんの手を引きなそうとするとソイちゃんは引き離されないように力を入れてきた。
「そいちゃ・・・くるし・・よ」
くるしい、はなして・・・
「ぃや!」
なんで!えっ、なんで!
首から手が外れなくて焦っていたらソイちゃんの笑い声がして手が離れた。咳き込み首をさすりながら振り向くと地面でライカちゃんに脇をくすぐられてるソイちゃんがいた。
「あはははは、や、やめてよ、らいかねえちゃん」
「まいった?まいったする?」
「あははは、まいった、まいったする、あははは」
ソイちゃんのまいったを聞いてライカちゃんはくすぐるのをやめた、やめただけでおこしはしない。
「はい、ライカの勝ちー」
とライカちゃんの勝ちを面倒くさそうに言いながらライキがソイちゃんを起こして土を払ってあげている。
「ソイ、セイちゃん苦しそうだったんだから離してあげないとだめだよ、じゃないとリーネが真似するんだからね」
ライカちゃんがソイちゃんを叱ってる、ソイちゃんはまいったをしたので大人しく怒られるけど納得してなさそう、またやるんだろうな~
「えい!」
という声と一緒に後ろから腰に何かがぶつかってきた、前に体が倒れそうになるのをなんとか耐えて腰を見てみるとリーネちゃんがしがみついていた。
「りーねもおんぶ」
かわいい声でおねだりをしてきた。これは・・・
「もうしかたない・・・」
「ほらリーネが真似した~」
「首はしめてないじゃん」
「リーネ今から勉強だからセイから降りような」
ライカちゃんがソイちゃんを怒って、ソイちゃんは言い訳して、ライキはリーネちゃんを取ってくれた。そうだ今から勉強だった。
「リーネちゃん後でおんぶしてあげるから今から勉強道具取りに行こうか」
村長の家の横の小屋に勉強の道具がある、木の板、木の小さな椅子、石筆、文字の手本になる聖書だ。これを勉強始まるまでの取りに行かなくてはダメ、もし取りに行ってないと勉強始まった後に取りに行かないといけなくなる。別にいいんだけどね。
「りーねのぶんもうここあるー」
リーネちゃんが指さした方には3人分の勉強道具が準備していた。そういえば僕たちが1番遅かったんだ。
「セイちゃん取りにいこー」
「そうだね早く取りに行かないとだね」
「りーねもいくー」
なぜかリーネちゃんも行くようだ。リーネちゃんはちっちゃくて歩くのが遅いからね~、しかたないよね~
「じゃあリーネちゃんも一緒に行こうか、おんぶしっ!」
「セイはなんでそんなにリーネをおんぶしたいんだよ」
ライキに頭を叩かれた。
「リーネ、お兄ちゃん達と待っていような」
とリーネちゃんを片手で抱っこしてもう一つの手で「早く取ってこい」っていわれる。
「じゃあソイをおんぶして!」
ソイちゃんが飛びついてきた、のをうまく避けて小屋に走る、後ろからソイちゃんがちょっと泣きそうになりながら追いかけてきた。
小屋の中で勉強道具を集めてると
「どうしてリーちゃんが良くてソイはダメなの!」
ソイちゃんが怒って入ってきた。
重いからなんだけど言ったら大変な事になるのは知っている。前にソイちゃんに「重いから嫌だ」と言ったことがあって、ソイちゃんは怒ったり拗ねたりはしなかったけど、ご飯を食べなくなった。あの時はお父さんに頭を殴られて女の子は怖いと怒られ、ソイちゃんのお父さんと一緒に「かわいいかわいい、かるいかるい」とあやしまくった。ソイちゃんのお母さんには体を鍛えなさいと笑顔でお願いされた。お願い?された・・・。
「さっき首をしめられたからね」
「もうしないから~」
「すぐ降りてくれる?」
「うん!」
降りてくれないようだ。すごくいい笑顔だな~嘘つきのこの可愛い笑顔に何回も騙されたんだけどな〜
「じゃあ石筆と木の板とこの聖書を持って」
とさっき集めた勉強道具をソイちゃんに渡す、ボクは木の椅子を二人分持つとソイちゃんに背中を向けてかがみ
「はいどうぞ、飛び乗らないでね!」
あきらめとお願いを込めて優しく声をかける。
「わーい」
「ぐふっ」
あーあ、お願いしたのにな~、ソイちゃんはやっぱり飛びついてきた。
ソイちゃんのお母さんに似たふっくらした(太ってはいないらしい)体と勉強道具と嬉しい気分をのせた体当たりに耐えて、持っていた椅子を後ろに回してソイちゃんを座らす感じでおんぶする。
「セイちゃん、村長じいちゃんが出てきてる」
「ほんとだ、急いで行かないと」
短い距離だけど揺らさないようにライキ達の所へ急いでいく。
「ソイちゃん着いたよ降りて」
「す〜す~」
「え?寝てる?」
え?この距離で?
「セイ、ソイリス寝てるのか?」
こっちを見ながらライキが近づいてくる。
「ウソネかも、とりあえずライキ下ろすの手伝って」
「おう、わかった」
ボクはソイちゃんを落とさない様に体を前に傾ける、ライキがソイちゃんから勉強道具を取るとライカちゃんに渡してソイちゃんを抱っこする準備ができたのを見て体を起こしながらソイちゃんの腕を外す、体が軽くなったので後ろを向くとライキがソイちゃんを抱っこしていた。
「うわー、本当に寝てるよ」
「セイどうする?どこで寝かせとくかね」
「村長じいちゃんところで寝かせて貰うのは?」
「起こしたらいいじゃない」
確かにそうだ!今から勉強だった!
「そうだな、ライカの言う通りだ」
「ソイちゃん勉強だから起きて」
「そいちゃんおきて」
リーネちゃんも起こすのを手伝ってくれる。しかしソイちゃんは起きなかった。
「おい、起きないぞ」
「もう落としたら?」
「おとしたらぁ」
あー、リーネちゃんがライカちゃんのマネして危ない事を言ってる。
「リーネちゃんマネしちゃダメだよ。ライキ、ソイちゃんを落とすのはやめてあげて」
「落とさねーよ、しかし村じい来てるしなどうするか・・・」
「ボクが見とくよ、かして」
ライキからソイちゃんを預かると木の下の影があるところに行き土の上に座る、少しぐらい汚れてもいいかな、少しならいいな〜。ソイちゃんが寝やすいように足の形を変える。
「セイはソイに甘いわね」
と言いながらライカちゃんは勉強道具を渡してくれる。
「ありがとう、ライカちゃん」
「私なら落としてるわね、村じいが授業始めたみたいだから行くね」
ライカちゃんがライキ達の所に戻っていく
(やべーライカソイおもすぎてのふるえがとまらない)
ライキの方からギリギリで聞こえてきた。あっ、頭叩かれてる。
ニヤニヤしてたらライキに睨まれた。頭叩かれてるのが面白かったんじゃなくソイちゃんが重たかったって言うのが面白かっただけなんだけど。
村長じいちゃんの授業は木の板に大きく書かれた基本の文字の何文字かの書き順を教えてもらって、持ってきた板に石筆で何回も練習をする。木の板は片方だけ茶色で石筆で書くと下の木の色が出てくる、お父さんは「村じいが木の板に樹液を~~・・・・」とか言ってたけど忘れた。
子供の飽きた顔の多さを見て次は数の計算に行く、数の計算は村長じいちゃんが最初にわかりやすく計算の考え方を教えてくれて、その後は村長じいちゃんが数字を変えて何問か出してくれる。
「麦8束でパンが2つ作れる、パン1つで銅貨2枚になる、麦12束で銅貨何枚になるのかの?」
えっとパンを1つ作るのに麦の束が4つで12だから・・・銅貨は2枚が4つで・・・銅貨8枚っと『1は8枚』木の板の空いてる所に書く
「え~~、次の問題いっても良いかの?良さそうじゃな、では麦16束では銅貨はいくつかの?」
えっとパンを1つ作るのに麦の束が4つで16だから・・・銅貨は2枚で4つで・・・銅貨8枚と『2は8枚』
「え~~、良さそうじゃの?次は~・・・」
これを4・5問やったら終わりそのまま答え合わせをする、村長じいちゃんが1問目から解き方と答えを言ってくれる。あ〜何人か間違えてるみたい頭かいてる。
数の計算が終わると次は聖書の音読をする。聖書の音読は文字の読めない子は年上のお兄ちゃんお姉ちゃんに読んで貰って、読める子は聞いて貰って、自信のない子は村長じいちゃんに教えて貰う。別に読んでも読まなくていい、この広場から出なければ何しててもいい、でも読めないのは恥ずかしいのでみんな読む練習をする。
ボクはソイちゃんの音読を聞くつもりだったんだけどまだ寝てるし!座ってるだけなのもヒマなので子守唄の代わりに読み聞かせをしてあげよう。聖書の1枚を手に取り読み始める。
「を創った。第23節マリセーイス、狩りの神シュバルギ様、癒しの女神ユーリシア様の子、愛の女神マリセーイス様は恋多き女神、そのお姿は~・・・」
ソイちゃんの頭を撫でながら、気持ちよく寝れますようにとできるだけ優しい声で聖書を読み聞かせる。ソイちゃんすごく気持ち良さそう・・・あれ?息止まってない?
「セイ~ちょっとやめなさい~」
ライカちゃんがふらふらしながら近づいてきてソイちゃんを揺らすと「す〜す〜」とソイちゃんの寝息が聞こえてきた。
「やっぱり気持ち良死してた」
きもちよしとはなんだろう?
「ライカちゃんどうしたの?ふらふらだよ?」
「セイのせいでしょ・・・周り見てみなさい」
「うわっ!みんな倒れてる!」
「寝てるのよ・・・ふわぁ〜」
大きなあくびだ。なんでボクのせいなんだろう?
「なんでボクの」
「ダメ限界・・・」
ライカちゃんは木に持たれかかって寝てしまった。うーん、とりあえず聖書の音読はやめておこう、そうなるとやる事ないし勉強道具の片付けしようかな。
ソイちゃんを抱えると直接地面に寝かすのは可哀想なので頭をライカちゃんの膝の上ののっけてあげる、うん仲良さそうだ。
体が軽くなったので片付けを始める、まずは大事な聖書をみんなから丁寧に1枚づつ集める。聖書はもともとは「ほん」だったらしいんのだけど村長じいちゃんが読む人いないしどうせなら村のためにとバラバラにした、しかもこの聖書は天神教の人がフキョウの為に置いていったものらしい、怒られないのかな?
集めた聖書を小屋に置いて、次は木の板と石筆を集める、木の板は村長の家の近くに置いて石筆を小屋に運んで小屋から削り箱をもって木の板のところに行く、木の板の前に削り箱と椅子を置いて椅子に座る、木の板を1枚取ると削り箱の上を滑らせる、何回か滑らせると綺麗になったので次の板を取る、それを13人分終わらせると村長の家の屋根の下に置く、これで5問中1問しか合ってなかったのはバレないだろう。後は椅子を片付けるだけなのだけど、まだ誰も起きない。椅子片付けしようかな~しよっと。音を出さないように慎重に椅子を重ねて運ぶ、2回で運び終わった。
片付け終わったし何しようかな、広場から出るにはダメだしな~勝手な事をしたらお父さんに怒られる。子供を広場に集めておくのは、もし森から魔物が出てきたり火事が起こった時に探さなくてもいいし、勝手に森に探検に行ったり、一人で川に落ちてたりしないように見張る為でもあるらしいから勝手に遊んでたらダメだ。
ちっちゃい子が先に起きてもいいように聖書でも読んでようかなとか考えたけど面白くないのでライキを起こそう、年上のお兄ちゃんなのに片付けをボクに押し付けた事は復讐してもいいと思う。
ライキの寝ているところに近づく、気持ち良さそうに寝ている。さてとどう起こそうかな、ライキの嫌がる事をしよう、あーあーこんな感じかな、声を女の子みたいにしたらライキを揺する。
「ライキお兄ちゃん起きて、ライキお兄ちゃん!」
「う、うーん、リーネもうちょっと寝かせてくれ~」
「もう!リーネじゃないよ、起きてよライキお兄ちゃん!」
「リーネじゃない・・・セ・・イ・・・セイ!?」
「そうだよセイだよ、ライキお兄ちゃん♪」
「お兄ちゃんって言うなよ・・・その可愛い声で呼ぶのだけは本当にやめてくれ」
「だってライキが勉強中に寝るのが悪い、ボクが勉強道具を全部片付けたんだからね」
「おう、気持ちよく寝てたわ!ごめんな、ありがとうな」
「気にしないでライキお・に・い・ちゃ・いたっ!」
ライキに頭を叩かれた。
「お兄ちゃん言うな、てかみんな寝てるのか」
と周りを見ながらライキは言った。
「うん、みんな寝てる、村長じいちゃんも寝てる」
「ほんとだ村じい寝てるよ、あれ?ライカは?」
「あっちの木の下で寝てるよ」
「なんかうなされてるな、・・・セイさっきのでライカを起こしてやってくれ」
悪い顔で楽しそうに笑ってる。でも確かにうなされてるの可哀想だし面白そうだし。
「ふふふ、任せてよ」
「リーネをここで寝かせとくわけにもいかないしなっと!」
ライカがリーナちゃんを抱き上げた。勢いがあったのかリーネちゃんがぐずり出した、ちょっと可愛い。
「リーネちゃん寝てていいよ」
いーこいーこ頭を撫でながらついでに土も落としてあげる、す〜す〜と寝息が聞こえてきたので服に付いた土もはらってあげる、汗をかいたのか土が染み付いててとれないところもあるね、うーんとれないな~、よし諦めよう。
あーあー、よし準備できた。
「セイ、全力でやれよ」
全力で・・・全力でやるなら修行?の成果を見せたいと思う。
ライキの目を見てうなずく。ライキ、これが『夢見るおばさまお茶会』に参加させられているボクの全力だ!
前髪を軽く横に流して髪を耳にかけてから、ライカちゃんの肩を揺らす。
「ライカお姉様、ライカお姉様起きてくださいまし、ライカお姉様」
「うーん・・・なに?おねえさま・・?」
「ようやく起きてくださいましたかお姉様、しっかりしてくださいまし」
「セイ?さっきから何言ってるの?」
「何言ってるのではありませんよ、お勉強の最中に部屋を抜け出して木の下で昼寝だなんてお母様がご覧になったらお小言がとびますわ」
「おかあさま?おこごと?」
「ライカお姉様どうかなさいまして、何かございましたらどうぞこの妹めにおっしゃってくださいまし」
「セイが妹?えっ、でもセイは男の子だし、・・・でもこっちのセイはすごく可愛いし・・・女の子?」
「いいえライカお姉様、ボクは男だよ、そして後ろで笑ってるのがライキだよ」
ぶはっ!ライキが吹き出した、吹き出した音の方にライカちゃんが顔を向ける、ライカちゃんの顔を見たライキがもっと笑い出しだ、どんな顔をしていたんだろう?後で聞いてみよう。
あっ、ライカちゃんの顔が何がおきたのか分かって、怒りに変わるのが後ろからでも分かった。逃げようかな・・・
「ライキチョットコイ、セイハアトデネ」
「「ひうぅ」」
首の後ろを冷たい手で撫でられ、のどが締め付けられ、声にならない声がのどからでた。何今の怖い!!
逃げよう!でも逃げたら後が怖いし、でも今も怖いし!
逃げるかを決められないでいるとライカちゃんが動きだした。立ち上がる!と思ったんだけどソイちゃんの頭が膝に乗ってて動かせない、ソイちゃんの頭を持ち上げ足をずらしてゆっくり降ろす、優しい・・・・しまった逃げるの忘れてた。ライカちゃんが立ち上がる!と思ったんだけど今度は様子がおかしい上手く立ち上がれないようだ。
「なんか左の膝が動かないんだけど!」
リーネちゃんを抱えたまま村長じいちゃんの所まで逃げようとしていたライキが心配そうに戻ってきた。
「どうしたライカなにかあったか?」
心配はしてるけどライカちゃんの腕が届かない位置にいる、さすがライキ
「左膝が痛くて曲がらないの」
「左膝ってソイリスが乗ってたところだろ?」
「そうだけど、それがなに?」
「重いものがのってたから、膝に負担がかかって曲がらなくなったんじゃないか?」
なるほど、膝に重いものを乗せると動かなくなるんだ。重いとか言うとソイちゃんおこるよライキ
「あー、なるほどねー、セイー、なんでこんなことしたのー?」
ううぅ・・声が怖い・・・目も怖い・・・
「ソ、ソイちゃん寝てる時、枕いるかなって思って、ライカちゃんのお母様が『膝枕はとってもいいものだからうちのライカに今度やってあげてね、喜ぶから』って言ってたから、ボクじゃないけどソイちゃんでもいいかなって思って・・・」
なんでやったかを言うとライカちゃんの顔が、何言ってるの?になって、あのババア!になって、なんて事言ってるの!になって、もういいわになった。
「もういいわ、うちのお母さんが中途半端に教えるのが悪いんだからね」
「ごめんなさい」
「良いって言ってるでしょ。あのねセイ、膝枕って言うのは膝の上に頭をのせるんじゃなくて、太ももの上に頭をのせるの、膝は硬いでしょ、太ももは柔らかいから枕にすると寝やすいのよ」
「そっかわかった、今度ライカちゃんにも膝枕してあげるね」
ライカちゃんは耳の後ろを掻きながら立ち上がる、少しよろけてる。
「ありがと、楽しみにしとくね」
優しく照れたような笑顔をしている。もう怒ってないみたい。
「しかし母さん達は、セイにお母様って呼ばすのはどうなんだ?」
ライキがお母様方のお茶会が様子が気にいらないみたい。
「セイをお嬢様にしたいみたい」
「なんだそぅっゔぇ!」
『な』の時にライキはライカちゃんの手の届くところに来た、そこからはすごく早かった。『ん』でライキの腕の中で寝てたリーネちゃんを奪うように抱え、『だ』でボクにリーネちゃんを手渡して、『そ』で振り向きざまにライキのお腹にグーが突き刺さった、『う』は聞こえなかった。2・3発殴る音が聞こえライキが地面倒れる。
ライカスペシャルをくらって地面で転げ回るライキをさすってあげようとしゃがんだ時、森の方の監視するところから一回だけ鐘の音が聞こえボクは立ち上がった。