第75話:死闘・太一郎VSダリア
ヴァースの元へと向かう太一郎とシルフィーゼの前に立ちはだかる、ダリアら『ラビアンローズ』。
ダリアの戦闘能力と魔槍ゲイボルグの威力の前に、苦戦を強いられる太一郎ですが…。
クレアがリゲルを倒した丁度その頃、太一郎はシルフィーゼや兵士たち一個小隊を率いて、独立遊撃隊としてヴァースに奇襲を仕掛けるべく、颯爽と馬に乗って森の中を駆け抜けていた。
今回の作戦ではサーシャとケイト率いる別動隊が、太一郎たちと反対側からヴァースに対して奇襲を仕掛け、挟撃を行う事になっている。
作戦が上手く行けば本来なら太一郎とサーシャが、左右からヴァースに同時攻撃を仕掛ける事になのだが。
しかし何かとつけてイレギュラーな事態が立て続けに起こり、そう何もかも上手く行かないのが戦場という場所なのだ。
「…殺気!!」
次の瞬間、太一郎の額に向けて、正確無比の精度で放たれた1本の矢。
それを太一郎は右手で軽々と受け止めたのだが、それと同時に馬に乗ったダリアたちが奇襲を仕掛けてきたのである。
「見つけたよ!!『閃光の救世主』!!」
咄嗟に馬から降りて、ダリアの魔槍ゲイボルグによる一撃をバックステップで避けた太一郎。
ダリアもまた馬から降りて、妖艶な笑顔を太一郎に見せている。
そして他の『ラビアンローズ』の女性たちがダリアの邪魔をさせまいと一斉にシルフィーゼたちに襲いかかり、彼女たちに守られながらイリーナが攻撃魔法や補助魔法による支援を行う。
その死闘の傍らで、太一郎とダリアが互いに武器を構えながら睨み合っていたのだった。
「オリハルコン製の黄金の刀、そして居合術の使い手…アンタが『閃光の救世主』で間違い無いね?アタシは『ラビアンローズ』の団長ダリアだ。」
「僕はフォルトニカ王国騎士団所属の近衛騎士、渡辺太一郎だ。『ラビアンローズ』については武勇伝だけは聞いた事があるよ。全員が女性で構成された凄腕の傭兵集団だってね。」
「ヴァースからアンタを殺せっていう依頼を受けたんでね。アンタに私怨は無いが、悪いけど死んで貰うよ。」
鞘に納められた鳳凰丸に右手を添えながら、太一郎はパッと見ただけでダリアたちの大体の戦闘能力を分析する。
ダリア…滅茶苦茶強い。
『ラビアンローズ』の団員たち…そこそこ強い。
イリーナ…雑魚。
「そこだぁっ!!」
「な、何ぃっ!?」
そして分析を済ませ、太一郎が鳳凰丸を鞘から『抜いた』瞬間。
凄まじい威力の衝撃波がダリア…を通り抜けて、その先にいたイリーナに襲い掛かったのだった。
「…え!?」
夢幻一刀流奥義、維綱…太一郎の『気』がブレンドされた衝撃波が、イリーナを防衛しながら戦っていた他の『ラビアンローズ』の女性たちの鉄壁の守りの、その僅かな隙間さえも正確無比に貫き、情け容赦無くイリーナに直撃してしまう。
「が…っ!?」
「イリーナ!!」
驚きを隠せないダリアの目の前で、まさか太一郎があんな遠距離から攻撃を仕掛けてくるとは思いもしなかったイリーナが、予想外の一撃に全く対応出来ずに吹っ飛ばされて木に叩きつけられ、地面に倒れ込んで気絶してしまったのだった。
それでもダリアは全く慌てる事無く、部下たちに的確な指示を出す。
「ローレライ!!イリーナを安全な場所に退避させて治療しろ!!」
「イエス、マム!!」
「他の皆はそのまま戦闘を続行しな!!見た所、致命傷じゃない!!イリーナはローレライに任せておけば大丈夫だ!!」
「「「「「「イエス、マム!!」」」」」」
ダリアの的確な指示の下、いきなり仲間が1人倒されるという非常事態を前にしても、一糸乱れぬ的確な動きを見せる『ラビアンローズ』の女性たち。
これだけでもダリアが、団員たちから相当信頼されているという事が伺える。
単純な戦闘能力も勿論だが、彼女の優れた統率力やカリスマ性も相当な脅威だ。
だからこそダリアさえ倒してしまえば、リーダーを失った『ラビアンローズ』の女性たちは一気に瓦解してしまう事だろう。
「シルフィーゼ!!他の連中は任せた!!彼女が僕がやる!!」
「ええ、分かったわ。太一郎も気を付けてね。」
シルフィーゼに呼びかけながら、太一郎がダリアに斬りかかる。
そして馬から降りたシルフィーゼが聖杖セイファートを掲げ、『ラビアンローズ』の女性たちに向けて雷撃魔法を浴びせた。
それを避けた『ラビアンローズ』の少女たちが、一糸乱れぬ連携でシルフィーゼたちに襲撃を仕掛ける。
「シルフィーゼ殿をお守りしろ!!彼女の魔法の発動の邪魔をさせるなぁっ!!」
「はっ!!遅い遅い遅い!!そんなトロいんじゃアタシらの連携は破れないよ!!」
これだけ縦横無尽にシルフィーゼたちの周囲を駆け巡りながらも、互いに身体を全くぶつけ合う事無く、6人全員が美しさすら感じられる程の連携プレーを見せる。
フォルトニカ王国の兵士たちの誰もが、そのあまりの凄まじい連携プレーに全く対応出来ずにいたのだが。
だが『賢者』の異名を持つシルフィーゼは…並の使い手では無いのだ。
「天空を巡る星々よ!!流星となりて敵を穿て!!」
シルフィーゼが聖杖セイファートを天に掲げた瞬間、上空から凄まじい勢いで無数の光の弾丸が降り注いだのだった。
「なっ…スターライトだとぉっ!?」
シルフィーゼへの攻撃を中止し、頭上から降ってきた光の弾丸を慌てて避ける『ラビアンローズ』の女性たち。
どかどかどかと派手な音を立てながら、無数の光の弾丸が雨あられの如く地面に直撃し、いくつもの小さなクレーターを作り出したのだった。
「何て女だ…!!こんな高位の魔法まで軽々と発動出来るって言うのかよぉっ!?」
「あのゲイボルグの使い手ならともかく、貴女たち如きなら私1人で充分よ。」
「余裕かましやがって!!いい気になるなよぉっ!!」
フォルトニカ王国騎士団の兵士たちに守られながら、シルフィーゼが『ラビアンローズ』の女性たちを相手に死闘を繰り広げる。
その傍らで太一郎とダリアが、鳳凰丸と魔槍ゲイボルグを何度もぶつけ合っていたのだった。
「何の躊躇も無く、真っ先にイリーナを退場させるなんてねぇ!!」
「貴女たちの中で一番の脅威なのは貴女ではなく、彼女だと判断したからね。」
「へぇ、人を見る目があるじゃないか!!大した奴だよ、アンタは!!」
太一郎が自分よりも遥かに戦闘能力が低いイリーナを危険視し、真っ先に維綱で吹っ飛ばして退場させたのは、イリーナが単純な戦闘能力だけでは測れない脅威だと…まさに『ラビアンローズ』においてのジョーカーだと判断したからに他ならない。
太一郎はイリーナの戦いぶりを一目見ただけで、自分にも劣らない冷静さや聡明さを併せ持ち、豊富な補助魔法を操る彼女の厄介さを肌で感じ取ったのだ。
恐らくイリーナは『ラビアンローズ』において、軍師としての役割も果たしているのだろう。
いくら雑魚だからといって、そんな奴を戦場で放置しておいたら、何をしでかすか分かったもんじゃない。
だからこそ太一郎は真っ先にイリーナが退場してくれた事に、心の底から安堵しているのだ。
そしてそのイリーナの有能さを瞬時に見抜いてみせた太一郎の眼力に、ダリアは心の底から感心したのだった。
流石は『閃光の救世主』と呼ばれているだけの事はある。イリーナにも劣らない冷静な判断力と聡明さも持ち合わせているようだ。
「だけどアンタにとってアタシは、イリーナ程の脅威じゃないってのかい!?そのアンタの思い上がりを今からへし折ってやるよ!!」
「くっ…!!」
太一郎を相手に互角に渡り合うダリア…いいや、太一郎が若干押されているようにも見える。
繰り出される無数の『閃光』を、ダリアは軽々と魔槍ゲイボルグでいなしてみせたのだった。
(…強い…!!)
太一郎に向けて放たれる、魔槍ゲイボルグによる斬撃の連打連打連打。
ダリアの猛攻の前に、太一郎は徐々に後ろへと後退させられていってしまう。
彼女の実力もそうだが、魔槍ゲイボルグの威力も相当な脅威だ。
一撃受け止める度に、太一郎の鳳凰丸を握る両手に情け容赦無く『衝撃』が走る。
一旦バックステップして間合いを離し、鳳凰丸を鞘に納めようとする太一郎だったが、そうはさせまいとダリアがさらに追撃を掛けてくる。
ダリアの猛攻の前に、太一郎は鳳凰丸を鞘に納める暇が無い。
この異世界において太一郎のような居合の使い手は非常に珍しいのだが、ダリアも全く交戦経験が無い訳では無いのだ。
居合の真骨頂は、刀を納めた状態から繰り出される一撃必殺の斬撃だ。
ならばその本領を発揮させない為に、刀を納める暇を与えなければ済む話なのだ。
だが太一郎は、それでどうにかなるような甘い相手では無い。
こういう状況は向こうの世界で警察官をやっていた時に、もう何度も経験してきた事だ。
それに夢幻一刀流を極めた太一郎は、抜刀術に頼らずとも…いいや、それどころか素手でさえも充分に戦えるのだから。
「夢幻一刀流奥義、維綱!!」
抜き身の状態からダリアに向けて、鳳凰丸で衝撃波を連発する太一郎。
慌ててダリアは間合いを離し、放たれた衝撃波を魔槍ゲイボルグで次々と相殺する。
「抜き身の刀からでも、その衝撃波を撃てるっていうのかい!?」
「はああああああああああああああああああっ!!」
「しかも威力は落ちるようだが、連射性が向上しているとはねえ!!」
ダリアが衝撃波を魔槍ゲイボルグで相殺している間に、太一郎は鳳凰丸を鞘に納めた。
そして縮地法で一気にダリアとの間合いを詰めた太一郎が、渾身の一撃をダリアに放つ。
「こいつ、一瞬で間合いを!!」
「夢幻一刀流奥義、花吹雪!!」
「アンタ本当に面白いよ!!楽しませてくれるじゃないか!!」
放たれた無数の『閃光』を、魔槍ゲイボルグで次々と受け止めたダリア。
狂喜乱舞の笑顔で、ダリアは心の底から太一郎との戦いを楽しんでいたのだった。
何という凄まじいダリアの実力、そして魔槍ゲイボルグの圧倒的な性能なのか。
あの太一郎が、ここまで苦戦を強いられるとは…フォルトニカ王国騎士団の兵士たちの誰もが、まさかの事態に戸惑いを隠せずにいたのだった。
それでも太一郎は全く動じる事無く、何の迷いも無い決意に満ちた瞳で、ダリアに次々と『閃光』を放ちながら真っすぐにダリアを見据えている。
確かにダリアは強い。そして魔槍ゲイボルグの威力も驚異的だ。
だがそれでも太一郎は希望を捨ててはいない。まだ太一郎の目は死んではいないのだ。
「どうしたどうした!?アンタの力はそんなもんじゃないだろう!?例の朱雀天翔破とかいう技をアタシにも見せておくれよ!!」
狂喜乱舞の笑顔で、太一郎に究極奥義を使えと挑発するダリア。
別に使っても構わないのだが、あの技は『潜在能力解放【トランザム】』の『異能【スキル】』程ではないものの、太一郎の身体にかなりの負担がかかる。
残る敵がダリア1人だけだという状況だったのであれば、太一郎もとっくの昔に使っていたのだが。
ここでダリアを倒した後に、ヴァースと戦うサーシャを援護しなければならない事を考えると、今ここで朱雀天翔破を使ってしまう訳にはいかないのだ。
「…はぁ、やれやれ…。」
呆れたように深く溜め息をつきながら、太一郎は一旦バックステップでダリアから間合いを離し、鳳凰丸を鞘に納める。
「どうやら貴女を倒すには、僕も搦め手を使うしかなさそうだな。」
「はぁ!?搦め手だぁ!?」
「夢幻一刀流奥義…陽炎。」
ダリアに一泡吹かせてやろうと、太一郎が鳳凰丸の鞘に右手を添え、身構える。
その瞬間ダリアに襲い掛かる、太一郎の身体からほとばしるピリピリとした闘気。
強烈な一撃が来る…それをダリアは瞬時に悟ったのだが、それでもダリアは太一郎の構えを一目見ただけで、己の勝利を確信してしまったのだった。
(はっ!!アンタのその技の正体は見切ったよ!!)
そう…ダリアは長年の戦闘経験による勘から、瞬時に見抜いたのだ。
太一郎の左手の意識が、無意識の内に鞘に寄ってしまっているという事に。
恐らく太一郎が今から放つ陽炎という技は、鳳凰丸による斬撃を避けて反撃を加えようとした相手に、間髪入れずにカウンターで鞘による追撃を加えるという、所謂『二段抜刀術』なのだろう。
並の使い手では気付きもしないであろう太一郎の僅かなクセだが、歴戦の強者であるダリアの目は誤魔化せない。
最初の鳳凰丸による一撃目、その後に追撃で繰り出される鞘による二撃目。
太一郎は搦め手などと呼んでいたが、分かってさえいれば別にどうという事は無い、ただの連携技だ。
そしてこれらを全て凌ぎ切れば、太一郎は膨大な隙をさらけ出す事になる。
そうなってしまえば、その時点でダリアの勝ちだ。
「行くぞ!!」
果たして太一郎がダリアに向けて繰り出した、鳳凰丸による凄まじい威力の抜刀術。
鳳凰丸から放たれる『閃光』。それを避けたダリアの腹に向けてさらに放たれたのは、まさしくダリアの予測通りの鞘による追撃。
それさえも読み切り見事にギリギリのタイミングで避けたダリアが狂喜乱舞の笑顔で、隙だらけになった太一郎の左胸に魔槍ゲイボルグを突き刺そうとするのだが…。
「アタシの勝ちだ!!『閃光の救世主』…っ!?」
次の瞬間、ダリアは遥か後方に吹っ飛ばされてしまったのだった。
「ぶえええええええええええええええええええええええええ!?」
背中から木に叩きつけられ、その場に崩れ落ちてしまうダリア。
その様子をシルフィーゼたちと戦っていた『ラビアンローズ』の女性たちが、驚愕の表情で見つめていた。
間違いなくダリアは、太一郎の鞘による二撃目を確実に避けたはずなのに。
それなのに何故、ダリアは吹っ飛ばされてしまったのか。
「ば…馬鹿な…っ!?」
だが技を食らった張本人であるダリアは、その謎を瞬時に見抜いたのだった。
そう…ダリアの予測は確かに当たっていた。
夢幻一刀流奥義・陽炎は、刀による一撃目を避けた相手に、さらに鞘による追撃を加える二段抜刀術。それに関しては確かに間違いでは無い。
だが陽炎には、さらにその先がある。
ダリアの予測と違っていたのは、陽炎というのは
『鞘による追撃で維綱を放ち、超至近距離で衝撃波を浴びせて相手を吹っ飛ばす技』
だという事なのだ。
そうとも知らずに鞘による二撃目を、鞘による物理攻撃による打撃だと勘違いしてしまったダリアは、鞘をギリギリのタイミングで避けてしまったせいで、直後に鞘から放たれた衝撃波をまともに食らって吹っ飛ばされてしまったという訳なのだ。
まさに夢幻一刀流の搦め手。陽炎の如き相手を惑わす幻惑の一撃だ。
「うっ…!!げほっ…!!がはっ…!!」
どてっぱらに想定外の一撃をまともに食らってしまったダリアは、とても苦しそうに嗚咽している。
まるで強烈なボディーブローの直撃を受けてしまったかのようだ。
陽炎の一撃による『衝撃』が、ダリアが身にまとっている鎧を貫通し、直接ダリアの腹部に響いているのだ。幾らダリアでも流石に効いていないはずがない。
「そ、そんな…!!ダリアお姉様が…負けた…!?」
「大人しく降伏しろ!!見ての通りダリアは僕が倒した!!もう君たちに勝ち目は無い!!」
シルフィーゼたちと交戦している『ラビアンローズ』の女性たちは、明らかに動揺を隠せない。
そんな彼女たちに鳳凰丸を鞘に収めた太一郎が、停戦を呼びかけたのだった。
組織というのはリーダーが倒されれば、途端に脆く瓦解してしまう物なのだ。
事実、団長のダリアが太一郎に敗れた事で、『ラビアンローズ』の女性たちの士気がダダ下がりになってしまっている。
ダリアでさえも勝てなかった化け物である太一郎を相手に、自分たち如きが一体どうやって戦えばいいのかと。
ならばこれ以上の犠牲を出さない為に、憔悴している彼女たちに停戦を呼びかけるのが最善手だろうと…太一郎はそう思っていたのだが。
「…ふ…ふふふ…勝手に勝利宣言をして貰っちゃあ困るねぇ!!」
「なっ…!?」
よろめきながらもダリアが立ち上がり、狂喜乱舞の笑顔を太一郎に見せる。
馬鹿な、確かにダリアの腹部に直接陽炎をぶち込んだはずだ。幾らダリアでもこんなに早く立ち上がれるはずが無い。
だが太一郎は持ち前の聡明さと冷静な判断力で、その謎を即座に看破したのだった。
戦闘開始直後に太一郎が維綱で吹っ飛ばし、早々と退場させたイリーナ。恐らくは彼女の仕業なのだろうと。
「成程な。事前に彼女に継続回復魔法を掛けて貰っていたのか。」
「危なかった…!!本当に紙一重だったよ…!!そうだよ、アンタの推測通りさ!!イリーナの助けが無かったら、アタシは間違いなく今の一撃でアンタに敗れていただろうさ!!」
しかも今の陽炎による強烈な一撃を回復したせいで、イリーナに掛けて貰った継続回復魔法の効力が完全に切れてしまったようだ。
本当に間一髪だった。もしイリーナに継続回復魔法を掛けて貰っていなかったら。
いや、掛けて貰っていたとしても、もし陽炎の威力がもっと高かったなら。
それを想像しただけで、ダリアは思わずゾッとしてしまう。
そしてこれだけの強敵を相手に全身全霊をもって戦える事に、ダリアは心の底から喜びを爆発させていた。
「それ(継続回復魔法)を差し引いたとしても、貴女のタフネスぶりは称賛に値するよ。」
「だが、まだまだこれからだよ!!さあ、第2ラウンド開始といこうじゃないか!!」
呆れたように深く溜め息をつく太一郎に狂喜乱舞の笑顔を見せながら、ダリアが魔槍ゲイボルグを構える。
だが、その瞬間。
別動隊のサーシャが放った青色の信号弾が、上空で派手に爆発したのだった。
次回はサーシャVSヴァース。
戦争を仕掛けてまで何故転生術を欲するのかと、ヴァースに問い正すサーシャなのですが。
そんなサーシャを「何も分からぬ子供」などと侮蔑しながら、ヴァースが語った真意とは…。