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【完結】復讐の転生者  作者: ルーファス
第9章:止まらない戦争
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第68話:神刀アマツカゼ

物凄く久しぶりの戦闘シーンです。

フォルトニカ王国とパンデモニウムの同盟和議が締結した頃、瑠璃亜からの命を受けたドノヴァンが一個小隊を率い、伝説の武器の1つである神刀アマツカゼを入手する為に神殿に訪れます。


そこへドルムキマイラの襲撃を受けてしまうのですが…。

 フォルトニカ王国とパンデモニウムによる同盟和議が締結され、世界中で大騒動を巻き起こしている、丁度その頃。

 ドノヴァンを筆頭に結成された魔王軍の調査部隊が、伝説の武器の1つ・神刀アマツカゼが安置されているとされている、今はもう誰も利用しておらず廃墟と化してしまった神殿に足を踏み入れていたのだった。

 

 イリヤが使用している魔剣ヴァジュラ、エキドナが使用している聖剣ティルフィングだけでは飽き足らず、各国が血眼になって捜索している伝説の武器を、さらに収集しようと目論む瑠璃亜。

 以前も語ったが、その理由は3つある。


 まず1つ目が、人間たちに伝説の武器という強大な力を持たせてしまう事で、その力に溺れた人間たちにパンデモニウムに侵略されるのを、未然に防ぐ為だという事。

 そして2つ目が、自分たちが伝説の武器を所持しているという事実を、自分たちに襲撃を仕掛けようと目論む人間たちに対する、強力な「抑止力」にしてしまう為だ。

 さらに3つ目が、その伝説の武器の強大な力その物を、パンデモニウムを守る為に有効活用させて貰う為なのだ。


 今回、神刀アマツカゼの所在を突き止めた瑠璃亜だったのだが、色々と多忙で手が回らなかった事から、こうしてドノヴァン率いる調査部隊を派遣したのである。


 「しかし不気味ですね。これだけ立派な造りの神殿なのに、今はもう誰も利用していないとは…。」

 「うむ。かつては人間たちによって、幅広い用途に使われていた神殿らしいがな。」


 調査部隊の先頭に立ち周囲を警戒しながら、部下の男性の言葉に返答するドノヴァン。

 瑠璃亜がドノヴァンに語った所によると、さかのぼる事今から数年前、冒険者ギルドからの依頼を受けて調査した遺跡から、たまたま偶然神刀アマツカゼを発掘した女性剣士の冒険者がいた。

 その女性剣士は


 『私には剣ならともかく刀なんてとても扱えないから、持っていても仕方が無い』


 などと、以前魔物との戦闘で瀕死の重傷を負った所を助けてくれたお礼にと、神刀アマツカゼを善意で神殿に無償で寄贈したらしいのだが。

 ところがそれを嗅ぎ付けた各国の上層部たちが一斉に神殿に殺到し、神刀アマツカゼの所有権を巡って怒鳴り合いの言い争いになり、やがて国同士の戦争にまで発展してしまったらしい。

 そうして神刀アマツカゼが奉納されたこの神殿も、当然ながら戦火に巻き込まれてしまい、その影響でこうして完全に廃墟と化してしまい、今はもう誰も使わなくなってしまったとの事だ。


 伝説の武器とは転生術と同じく、所有権を巡って国同士での戦争にまで発展してしまう程の、極めて強大な力を秘めた代物だ。

 この女性剣士も心からの善意でもって神刀アマツカゼを奉納したのだろうが、それで結果的に神殿が潰れてしまったのでは笑い話にもならない。

 全く、人間というのは本当に愚かな生き物だと、そんな事を考えていたドノヴァンだったのだが。


 それにしたって妙だ。

 戦火に巻き込まれた神殿が廃墟と化してしまったというのは、まだ理解出来る。

 だが肝心の神刀アマツカゼが未だに神殿に安置されたままだというのは、一体どういう事なのか。

 何故各国の上層部たちは、神殿に安置されている神刀アマツカゼを回収しようとせず、未だにそのままの状態にしているのだろうか。

 神刀アマツカゼを巡って、国同士の戦争まで引き起こしたというのにだ。

 そんな事を考えていたドノヴァンだったのだが…すぐにその理由を思い知らされる事になってしまう。


 「な、な、な、な、な、何なのだこれはああああああああああああああああっ!?」


 やがて神殿の奥深くに辿り着いたドノヴァンら調査部隊が目にしたのは…骨、骨、骨…床を埋め尽くさんとする程の、大量の人間の骨だった。

 その目を覆いたくなる程の惨状に驚愕するドノヴァンたちに向かって放たれた、強烈な炎、吹雪、雷。


 「ドノヴァン殿!!」

 「総員散開!!」


 慌てて散開し、それらを辛うじて避けた調査部隊。

 自分たちと同じように、神刀アマツカゼ目当てにここまでやってきた者たちがいたのか、彼らの中に複数の魔術師が混じっていたのかと、一瞬ドノヴァンはそう思ったのだが。

 だが彼らの目の前にいた存在は、そんなドノヴァンの想像とは遥かにかけ離れた、まさに異形の存在だった。

 ドノヴァンたちより一回りも二回りもある巨躯、獅子の頭部、山羊の胴体、竜の尻尾、そしてコウモリの翼。

 間違いない。ドノヴァンも実際に対面するのは初めてだが、たまたま読んだ文献で存在だけは認知していたのだ。


 「ドルムキマイラだとぉっ!?」


 ドルムキマイラ。かつて聖地レイテルを根城にしていたエルダードラゴンと同じく、Aランクの冒険者でさえも苦戦は免れない、まともに正面から戦う事だけは絶対に避けるとされる、極めて強大な力を秘めた伝説の魔獣だ。

 ただエルダードラゴンと徹底的に違う点は、このドルムキマイラには知性という物が無いので、話し合いの余地など微塵も存在しないという事なのだが。

 そう…今ドノヴァンたちの足元に転がっている無数の人間の骨は、目の前にいるドルムキマイラに無惨にも食い荒らされてしまった人間たちの、成れの果ての姿なのだ…。


 斧を構えながらドノヴァンは、即座に理解したのだった。

 各国の上層部たちは、神刀アマツカゼを回収しようとしなかったのではない。

 調査部隊を派遣して回収しようとしたものの、いつの間にかこの神殿を根城にしていたドルムキマイラに返り討ちにされてしまい、無惨にも食い殺されてしまったのだという事を。


 「ドノヴァン殿!!あそこの祭壇に一本の刀が!!」

 「あれが神刀アマツカゼか!!だがまずは先にこいつをどうにかする事が先決だ!!」


 ドルムキマイラが立ちはだかっている場所の、さらに奥の祭壇に安置されている、鞘に収められた一本の刀。

 あれが瑠璃亜がドノヴァンに回収を命じた、神刀アマツカゼなのだろうか。

 

 「俺が先陣を切る!!各員散開して全方位から攻め立てろ!!まともに正面から行けばブレスで狙い撃ちされるぞ!!」

 「「「「「了解!!」」」」」

 「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


 ドノヴァンが斧をドルムキマイラに振り下ろすが、ドルムキマイラはその巨躯とは想像も付かない程の俊敏な動きで、ドノヴァンの渾身の一撃を呆気なく避けたのだった。


 「なっ…!?この巨体で何という動きなのだ!?」

 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアス!!」

 「ちいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!」


 ドルムキマイラのパンチを斧で受け止めたドノヴァンだったのだが、あまりの威力に吹っ飛ばされてしまった。

 何とか体勢を立て直すドノヴァンだったが、あまりの威力に驚きを隠せない。

 

 「こ、この俺が力負けするとは…っ!!」

 「ドノヴァン殿!!今、援護を!!」


 魔術師たちが一斉に暗黒魔法を放つものの、それをドルムキマイラは獅子の口から同時に放たれた炎、吹雪、雷のブレスで全て相殺してしまう。

 

 「くっ…この化け物が…っ!!」

 「そいつらに手出しはさせるかよぉっ!!」


 そんな彼らを守ろうと再びドルムキマイラに飛び掛かるドノヴァンだったのだが、竜の尻尾の薙ぎ払いをまともに受けて、またしても吹っ飛ばされて壁に叩きつけられてしまったのだった。


 「がはあっ!!」

 「かの者の傷を癒やし給え!!」


 咄嗟に精霊術師の女性が発動した回復魔法によって、傷ついたドノヴァンの身体が癒やされていく。

 このような調査任務においては彼女のようなヒーラーは、まさに小隊の『命その物』だ。


 「済まない、助かった!!ミクリア!!」


 何とか立ち上がったドノヴァンだったのだが、ドルムキマイラの力は圧倒的だ。

 Aランクの冒険者でさえも正面からまともに戦う事は避ける程の、伝説の魔獣だと言われているだけの事はある。

 このドルムキマイラの戦闘能力はエルダードラゴンには及ばないとされているのだが、ではそのエルダードラゴンを討伐したとされているサーシャは、一体どれ程の化け物だとでも言うのか。

 その事実にドノヴァンは、驚愕と悔しさを隠せずにいたのだった。


 「くそっ!!俺の力はフォルトニカの王女に、遥かに及ばぬとでも言うのか…っ!!」

 「ドノヴァン殿!!ここは我々にお任せを!!ドノヴァン殿は今の内に神刀アマツカゼの所へ!!」


 部下たちが必死にドノヴァンを守ろうと、彼を守るかのように陣形を組む。

 余程空腹だったのだろうか。そんな彼らをヨダレを垂らしながら、一体どんな味がするのだろうと、とても美味そうな表情で睨みつけるドルムキマイラ。


 「お、お前たち…!!」

 「このままではジリ貧ですが、神刀アマツカゼの力をもってすれば、この魔獣をどうにか出来るかもしれません!!だからドノヴァン殿は神刀アマツカゼを!!」

 「…済まない!!必ず神刀アマツカゼを手に入れる!!お前たち、それまで何とか持ちこたえてくれ!!」


 部下たちの援護を受けながら、断腸の想いで神刀アマツカゼの元へと駆け抜けるドノヴァン。

 確かに部下たちの言う通りだ。ドルムキマイラの力は強大だ。まともに正面から戦えば苦戦は免れない。

 だがそれでも、伝説の武器が誇る一刀・神刀アマツカゼの力をもってすれば。


 そんなドノヴァンに飛び掛かるドルムキマイラに、魔術師たちが一斉に暗黒魔法を浴びせる。

 それを炎、吹雪、雷のブレスを同時に放って相殺するドルムキマイラを尻目に、ドノヴァンは大急ぎで神刀アマツカゼの元へと向かう。


 「ドノヴァン殿の邪魔をさせるな!!絶対にここで食い止めるぞ!!」

 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!」

 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


 もう少し、もう少し…!!

 部下たちの想いを無駄にしない為にも、必死に走りながら神刀アマツカゼに手を伸ばすドノヴァン。

 時間にして20秒にも満たないのだが、ドノヴァンにはそれが何倍、何十倍にも感じられてしまっていた。


 「ぐああああああああああああああああああああああああっ!!」

 「かの者たちの傷を癒し給え!!」

 「俺たちの身体を盾にしてでも、絶対にミクリアを守るぞ!!ヒーラーが倒されたら俺たちは全滅だ!!」


 部下たちがボロボロになりながらも、ドルムキマイラを相手に必死に奮戦する最中、遂にドノヴァンは祭壇に安置されていた神刀アマツカゼを手にしたのだった。

 鞘から刀を抜いたドノヴァンが、両手で神刀アマツカゼを構える。

 この神々しい光を放つ白金しろがねの刀身…神刀と呼ばれるからには、一体どれ程の威力を秘めた一刀なのだろうか。 


 「待たせたなお前たち!!神刀アマツカゼとやらの威力、早速試させて貰おうか!!」

 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!」

 「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 既にドルムキマイラの猛攻によってボロボロになってしまっている部下たちだったのだが、そんな彼らの決死の想いに応える為、ドノヴァンがドルムキマイラに向かって駆け抜ける。

 果たしてドノヴァンが振り下ろした神刀アマツカゼによる渾身の一撃が、遂にドルムキマイラの頭部に直撃した。

 …だが。


 「…ば、馬鹿な…!?」


 ガキン!!という鈍い音と共に、ドノヴァンの神刀アマツカゼが、ドルムキマイラの強固な頭部に呆気無く弾かれてしまったのだった。

 

 「ど、どういう事なのだ!?これは!?」


 何度でも何度でも何度でも何度でも な ん ど で も、 ドルムキマイラの頭部に神刀アマツカゼによる斬撃を立て続けに浴びせるものの、ドルムキマイラの強固な頭部には全く通じず、呆気なく弾き返されてしまうだけだ。


 「最強の剣じゃ無いのかああああああああああああああああああっ!?」


 一旦ドルムキマイラから間合いを離したドノヴァンが、慌てて神刀アマツカゼを床に投げ捨て、愛用の斧を両手で構えたのだった。

 まさかの予想外の事態に、ドノヴァンは焦りと苛立ちを隠せない。


 「ふ、ふざけるなぁっ!!何が伝説の武器だ!?何が最強の剣だ!?このようななまくらで一体何が出来ると言うのだぁっ!?」

 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!」

 「くそがぁっ!!こんな所で終わってたまる物かよぉっ!!」


 ドノヴァンに向かって炎、冷気、雷のブレスを放とうとするドルムキマイラだったが、そこへ満身創痍になりながらも放たれた魔術師の暗黒魔法が、ドルムキマイラの顔面に直撃した。

 ダメージこそ大した事は無いが、一瞬、ほんの一瞬、ドルムキマイラの視界が奪われる。

 部下が命懸けで紡いでくれた、この一瞬…絶対に無駄にする訳にはいかない。


 「ドノヴァン殿!!今の内に!!」

 「るああああああああああああああああああああああああっ!!」


 かくして振り下ろされたドノヴァンの斧が、遂にドルムキマイラの脳天をぶち割ったのだった。


 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアス!!」

 「これで、終わりだあああああああああああああああああっ!!」


 顔面を地面に叩きつけられるドルムキマイラの首筋に、さらにドノヴァンの斧が振り下ろされる。

 その渾身の一撃が、遂にドルムキマイラの首を両断した。

 どうっ…と派手な音を立てて、床に倒れ込むドルムキマイラ。

 せめて死に土産だけでも貰おうかと、竜の尻尾が最期の一撃をドノヴァンに食らわせようとするものの、そこへ一斉に放たれた魔術師たちの暗黒魔法が、ドルムキマイラを吹っ飛ばして壁に叩きつけたのだった。

 ビクンビクンと、身体を激しく痙攣させた後、動かなくなってしまったドルムキマイラ。


 「はぁっ…はぁっ…はぁっ…!!」


 何とかドルムキマイラを討伐したドノヴァンは息を切らしながら、先程自分が投げ捨てた神刀アマツカゼを回収し、鞘に収めたのだが。 


 「全く、カーミラ様からの指示で神刀アマツカゼを手に入れたのはいいが…!!こんな物が一体何の役に立つと言うのだ!?」


 ドルムキマイラの襲撃を受けながら、これだけ苦労してようやく手に入れた神刀アマツカゼが、よもやここまで全く使い物にならない武器だったとは。

 これではドノヴァンが普段から愛用している斧の方が、余程威力があって使いやすい代物ではないか。


 だがドノヴァンは、知らなかったのだ。

 この異世界全土において一般的に流通しており、その扱いやすさから多くの愛用者が存在している『剣』とは違う。

 『刀』というのは対象を『斬る』事『のみ』に特化した武器であり、それ故に扱いが非常に難しい武器なのだという事を。

 先程のドノヴァンのように闇雲に力任せに振るうだけでは、ヘッポコな威力にしかならないのだ。

 まして先程のドルムキマイラのような、強固な肉体を持つ敵が相手の場合は尚更だ。


 そう…太一郎やサーシャ、ケイトのように、刀を扱う為の特別な訓練を受けた者でなければ、その威力を最大限に発揮させられないのだ。

 逆に言えば、もし彼らのような特別な訓練を受けた者が、神刀アマツカゼを手にしてしまったら…。


 「ドノヴァン様!!すぐに傷の手当を!!」

 「おお、済まないな、ミクリア。」

 「かの者の傷を癒やし給え!!」


 精霊術師の女性の治癒魔法を受けながら、ふうっ…と一息をつくドノヴァン。

 傷つきながらも戦死者を1人も出さず、何とか辛うじてドルムキマイラを討伐した事に、ドノヴァンは安堵していたのだが。


 「ド、ドノヴァン殿!!大変です!!」


 その壮絶な戦いの疲れを癒やす暇さえも与えられないまま、ドノヴァンの下に1人の魔族の男性が慌てて駆けつけてきたのだった。


 「おおラディか。そんなに慌てて息を切らして一体どうしたと言うのだ?まあ見ての通り、俺たちもお前の事を偉そうに言える立場に無い惨状だがなぁ。あははははは(笑)。」

 「そ…それが…!!」


 そんなドノヴァンの呑気な冗談を完全スルーした魔族の男性の言葉に、ドノヴァンの表情が一気に強張こわばってしまう事になるのである。


 「瑠璃亜様が『閃光の救世主』を擁するフォルトニカ王国と、同盟を締結致しました!!」

 「何ぃ!?」

 「それだけではありませぬ!!バルガノン王国が大軍を率い、我が国に対し遂に侵略を開始しましたぁっ!!」

 「何だとぉっ!?」


 前々からバルガノン王国は、パンデモニウムへの侵攻をほのめかしてはいたのだが。

 これまで瑠璃亜の戦闘能力や魔王軍の戦力、パンデモニウムが誇る魔導兵器の威力を警戒してか、攻める攻めると口先で言うだけであって、一向に攻める素振りを見せなかったというのに。

 それがまさか、この段階になってパンデモニウムへと侵攻してくるとは。


 魔王軍の戦力の主力たるドノヴァンが、不在の隙を狙ったのか。

 それとも瑠璃亜や魔王軍に『勝てる』という、絶対的な確証でも得たというのか。

 あるいは、その両方か。

 

 「おのれ薄汚いバルガノン王国の人間共がぁっ!!」

 「直ちにパンデモニウムへとご帰還下さい!!今から戻れば開戦までに間に合うかもしれません!!」

 「了解だ!!お前たち!!聞いての通りだ!!疲れている所を本当に申し訳無いが、すぐにパンデモニウムに帰還するぞ!!」

 「「「「「はっ!!」」」」」


 この際フォルトニカ王国との同盟に関しては、どうでもいい。

 いや、どうでも良くは無いのだが…今はサザーランド王国のように自分たちに危害を加えるつもりが無いのであれば、良しとしよう。

 問題なのは今現在パンデモニウムへの侵攻を開始した、バルガノン王国への対処が先だ。


 ドルムキマイラとの戦闘で疲れ切った身体に鞭を打ち、ドノヴァンたちは神殿の外に待機させている馬に向かって、慌てて走り出したのだった。

次回はパンデモニウムとバルガノン王国の戦争です…が、今度の日曜日は歯医者に行かなければならないので、申し訳ありませんが掲載は4月3日(日)とさせて頂きます。


この世界の真の恒久和平実現の為という事を口実に、転生術目当てにパンデモニウムへと侵攻を開始するバルガノン王国国王・カーゼル。

魔王軍の魔導兵器の圧倒的な威力の前に苦戦を強いられるバルガノン王国騎士団ですが、そこへカーゼルの卑劣な罠が…。

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