第101話:逆襲のベルド
ラインハルトの戦術によってパンデモニウムの魔族たちの救助に成功したものの、それでも美海を奪還戦とベルドがルミアに強襲を仕掛けてきます。
果たしてルミアは、ベルドから美海を守り切る事が出来るのか…?
ラインハルトからの要請でフォルトニカ王国騎士団に加勢した魔王軍だったが、ここまで来れば最早戦術もへったくれも無い。
ただでさえギャレット王国騎士団はフォルトニカ王国騎士団とサザーランド王国騎士団に挟撃されているというのに、さらに魔王軍にまで側面から追撃されてしまっているのだ。
反魔法煙幕によって魔法を封じられ、さらに美海まで失ったギャレット王国騎士団は、最早覆しようのない三国連合の圧倒的な戦力差の前に蹂躙されるだけだろう。
このまま行けば、ギャレット王国騎士団の敗北は確実…だがそれでも最後まで何が起こるのか分からないのが戦場という場所なのだ。
乱戦状態の戦場を突破してただっ広い平原へと駆け抜け、あと少しでサザーランド王国騎士団の後方支援部隊に合流出来るという所で、戦況を逆転させる為の切り札となる美海を奪還する為に、ベルドが遂にルミアに追い付いたのである。
「美海は渡さんぞ!!三魔将の女ぁっ!!」
ベルドが駆るドルムキマイラが、ルミアと美海が乗るペガサスに情け容赦なく電撃のブレスを浴びせる。
左翼に直撃を受けたペガサスが飛行不能となり、雷撃による感電と激痛で辛そうな悲鳴を上げながら、猛スピードで地面に墜落していったのだった。
「くっ…!!不時着します!!私に捕まって!!」
「きゃああああああああああああああああああああああっ!!」
ルミアの首を両腕でぎゅっと抱き締める美海だったが、ルミア共々ペガサスから振り落とされてしまう。
それでもルミアは美海をしっかりと両腕で抱き締めながら、美海を傷つけないように背中から地面に倒れ込んで受け身を取ったのだった。
ペガサスが地面に激突して苦しそうな表情で呻く中で、ゴロゴロ、ゴロゴロと地面を転がって衝撃を殺すルミア。
何とか立ち上がったルミアだったが、それでも既に神剣バルムンクを鞘から抜いたベルドが、もう目前にまで迫ってしまっている。
「美海~~~~!!み~~~~~う~~~~~な~~~~~!!」
妖艶な笑顔を浮かべるベルドの姿に、地面にへたり込んで激しく怯えながら、身体をガタガタと震わせる美海。
そんな美海の哀れな姿を見せつけられたルミアが、ベルドにとても厳しい視線を向けたのだった。
美海に絶望を味合わせる為に、一体どれだけの虐待行為を美海に行ったというのか。
『絶望の輪舞曲【デストラクション】』の『異能【スキル】』の威力を増大させる為…そんな事の為に、たったそれだけの為に。
「ベルド殿、貴方と言う人は!!」
「貴様なんぞに用は無いわ!!美海を寄越せぃ!!」
ドルムキマイラから降りてルミアに突撃するベルドだったが、その時だ。
「「はあああああああああああああああああああっ!!」」
そこへ駆け付けてきたケイトとセレーネが、それぞれ左右からベルドに挟撃を仕掛けてきたのである。
「ぬうっ!?援軍か!?」
ケイトの斬撃を右手の神剣バルムンクで、セレーネの突きを左腕の小手で容易く受け止めたベルド。
咄嗟にベルドから間合いを離したケイトとセレーネを他所に、イリヤが魔剣ヴァジュラを手にドルムキマイラと戦っている。
「ドルムキマイラはアタシがここで食い止めるわ!!アンタたちはそこの脳筋馬鹿をお願い!!」
「雑魚共が!!『閃光の救世主』やサーシャ王女ならばまだしも、貴様ら如きが俺に勝てるとでも思っているのか!?」
美海を庇うようにルミアが美海の前に立ちはだかり、さらにケイトとセレーネが側面からベルドを狙おうと、武器を構えて隙を伺っている。
3人がベルドを取り囲むような形になったのだが、それでもベルドは全く動じず、ただ真っすぐに妖艶な笑顔で美海だけを見据えている。
それはつまりベルドにとってルミアたちなど、その程度の存在でしかないという事…全く眼中に無い相手だという事を意味していた。
ケイトもセレーネもルミアも、この異世界において充分に上位クラスの実力者なのだが…それでも上には上がいる物なのだ。きりが無い程までに。
ベルドの全身から放たれる凄まじい威圧のオーラの前に、ルミアたちは全く隙を見出す事が出来ない。
イリヤがドルムキマイラと死闘を繰り広げているのとは対照的に、その場を全く動かずにとても厳しい表情でベルドと相対するルミアたち。
だが全く隙の無いベルドの前に攻め手が見つけられないのか、ルミアたちは一向にベルドに攻撃を仕掛けようとしなかった。
「どうした!?かかって来んのか!?来ないのであれば、こちらから行くぞぉっ!!」
やがて痺れを切らしたベルドが、美海を奪還せんとルミアに斬りかかったのだが。
「シャインブレイク!!」
「サーベイジファング!!」
そうはさせまいと、ケイトとセレーネが必殺の奥義をベルドに放ったのだった。
彼女たちの『気』が込められた剣と槍から眩い光が放たれ、凄まじい威力の一撃がベルドに襲い掛かったのだが。
「暗黒流鳳凰剣奥義!!鳳凰風刃破ぁっ!!ほうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおう!!」
ベルドが神剣バルムンクを横薙ぎに薙ぎ払った瞬間、ベルドを中心に巻き起こった凄まじい威力の竜巻が、情け容赦なくケイトたちに襲い掛かったのだった。
「「ぐあああああああああああああああああああああああああああっ!!」」
カウンターで直撃を受けたケイトとセレーネは、呆気無く吹っ飛ばされて地面に叩きつけられてしまう。
「がはっ…!!」
「な、何という凄まじい威力の斬撃なのだ…っ!!」
太一郎殿は今まで、こんな男と戦っていたのかと。
全身に襲い掛かる激痛に耐えながら、驚きを隠せないケイトとセレーネだったのだが、ベルドの周囲の竜巻が収まった瞬間。
美海の傍にいたはずのルミアが、いつの間にかその場から消えていた。
「な、何っ!?」
「…お覚悟を。」
「ぬうっ!?」
次の瞬間、一瞬の隙を突いてベルドの背後に回り込んでいたルミアが、懐に隠し持っていたナイフを取り出してベルドの首筋の頸動脈を切り裂こうとしたのだが。
「コソコソ隠れて暗殺狙いとは、情けない女だ!!」
「くっ…!!」
それをベルドは力尽くで振りほどき、神剣バルムンクをルミアに向けて振り下ろす。
何とかその一撃を避けて、バク転しながら美海の傍へと戻ったルミアだったのだが…やはりベルドとの実力差は明白だ。それだけでなく神剣バルムンクの威力も相当な物だ。
それでもルミアは諦めない。ここでベルドに美海を渡してしまえば戦況が一気にひっくり返されてしまう。そうなれば一体どれだけの命が失われる事になってしまうのか。
美海の『絶望の輪舞曲【デストラクション】』の『異能【スキル】』には…いいや、美海という存在自体に、それだけの恐ろしい『力』が秘められているのだから。
いや、それだけではない。何よりも美海自身が再び虐待と拷問に晒されて生き地獄を味合わされ続け、戦争の為の道具として生きながら死ぬ事を強要され続け、再び絶望の底に堕ちる事になってしまうだろう。
『絶望の輪舞曲【デストラクション】』の『異能【スキル】』の威力を、またさらに増大させる為に。
そのような非人道的な行為は、断じて許す訳にはいかない。
「美海だ!!美海さえいれば、まだまだ俺に逆転の余地はある!!取り戻させて貰うぞ!!この俺の世界征服の野望の為になぁっ!!」
「そんな事の為に彼女に、再び凄惨な拷問を彼女に行うと言うのですか!?そもそも貴方は彼女にまともな食事をさせたのですか!?」
「貴様に言われんでも食事くらいちゃんと与えてやっとるわ!!最高級のドッグフードをそいつにくれてやったのだぞ!!」
「んなっ…!?」
「美海にはむしろ、俺に感謝して貰わなければならんなぁ!!ぎゃはははははは!!」
妖艶な笑顔で高笑いするベルドに対し、驚愕の表情を見せるルミア。
ルミアの傍で地面にへたり込んでいる美海は、大粒の涙を流しながら嗚咽してしまっている。
ドッグフードって。一体ベルドは美海の事を何だと思っているのか。
「ベルド殿!!やはり貴方に彼女を渡す訳にはいかない!!」
「ならば力尽くで俺を止めてみせろ!!やれる物ならなぁっ!!」
「言われなくとも!!」
「ぬははははははははあああああああああああああああっ!!」
狂喜乱舞の笑顔で、ルミアに斬りかかるベルド。
それをルミアは何とか避け続けるが、それでも避け続けるだけで精一杯という感じだ。
ベルドの凄まじい剣撃、そして神剣バルムンクの凄まじい威力の前に、中々攻め手が見つからない。
「どうしたどうした!?偉そうな事を言っていた割には、先程から避けてばかりではないか!?もっともっと攻めて来んかぁっ!?」
「ルミア!!」
「んんんっ!?」
ルミアの脳天に思い切り振り下ろした神剣バルムンクの下に飛んできたのは、魔剣ヴァジュラに搭載されていた無数の小さな刃。
それらが合体して盾の形となって、ルミアを守る障壁と化す。
その隙に何とかバク転しながらベルドから間合いを離したルミアの傍に、ドルムキマイラを倒したイリヤが慌てて駆けつけてきた。
ルミアを守った無数の小さな刃が、再び魔剣ヴァジュラの刀身に装填される。
炎と雷撃と冷気のブレスを立て続けに浴びて全身火傷と凍傷だらけだが、今はそんな事を気にしている場合ではない。
今、イリヤの目の前にいるベルドは、ドルムキマイラ如きとは比較にならない程の恐ろしい相手なのだから。
「何と情けない!!このような雑魚に殺されたというのか!?伝説の魔獣が聞いて呆れるわ!!」
「取り敢えず、アンタの足は潰してやったわよ。」
「フン、ならば貴様らが乗ってきたペガサスや飛竜を強奪すれば済むだけの話だ!!ついでに貴様の魔剣ヴァジュラも俺の物にしてくれるわぁっ!!」
「やれる物ならやって御覧なさいよ!!行きなさいヴァジュラ!!」
イリヤが魔剣ヴァジュラに搭載された無数の小さな刃を再び分離させ、ベルドの全方位に展開させる。
「む!?」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」
さらに何とか立ち上がったケイトとセレーネが、剣と槍から無数の光弾を放つ。
それらが分離した無数の小さな刃とぶつかって立て続けに反射され、まるでピンボールのように何度でも何度でも な ん ど で も 跳ねながら、ベルドに変幻自在の全方位オールレンジ攻撃を仕掛けたのだが。
「ふはははははは!!器用な真似をする!!だがこの程度かぁっ!?」
それをベルドは鳳凰風刃破によって生み出した竜巻で、あっさりと弾き返してしまったのだった。
このような攻撃、並の使い手では初見で対処するのは到底不可能だろうに。
何というベルドの圧倒的な実力、そして神剣バルムンクの圧倒的な力なのか。
「そ、そんな…何なのよコイツ…!?」
「遊びは終わりだぁ!!死ねえええええええええええええええええっ!!」
驚きを隠せないイリヤを尻目に、さらにベルドが神剣バルムンクを横薙ぎに振り払うと、鳳凰風刃破によって生み出された竜巻から放たれた衝撃波が、美海以外の4人に情け容赦なく襲い掛かったのだった。
「「「「ぐあああああああああああああああああああああああっ!!」」」」
直撃を食らい、次々と吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられるルミアたち。
この4人が束になって挑んでもなお、ベルドには歯が立たないと言うのか。
その絶望的な光景を、美海が怯え切った表情で見せつけられている。
「美海ぁ!!よぉく目に焼き付けておけよぉ!!お前を助けようとした者は皆こうなるのだぁっ!!」
「ひいっ!!」
拷問や虐待、『呪い』に頼らずとも、美海を絶望させる手段など幾らでもある。
こうやって自分に救いの手を差し伸べようとする者は全身死ぬと、そう美海に思い知らせればいいのだ。
妖艶な笑顔で、ずんずんと、ゆっくりと美海に歩み寄るベルドだったのだが。
「さあ、お前にはもう一仕事して貰うぞ!!お前の絶唱で俺に逆らう愚か者を…っ!?」
「ま…まだ…ですっ!!」
「な、何だと!?」
それでもルミアはまだ立ち上がる。ボロボロになりながらも、まだその瞳からは希望の光が失われてはいない。
そんなルミアの姿を、美海が涙目になりながら見つめている。
自分の為にここまで必死になってくれる、この異世界で初めて自分に優しくしてくれた、美しくも気高い女性の姿を。
「貴様、まだ動けるのか!?ええい、ゴキブリ並にしぶとい女だ!!」
「貴方をここで足止めする事…それが私たち4人に与えられた役目ですからね…!!」
「フン!!だが所詮は立っているだけでやっとと言った所ではないか!!水鳥如きが鳳凰に勝てると思っているのか!?ぶはははははははは!!」
確かにベルドの言う通りだ。最早今のルミアに戦えるだけの力など残されてはいない。
何しろ鳳凰風刃破による衝撃波を、まともに腹に受けてしまったのだ。
太一郎のリクルートスーツ同様に魔王軍特製の法術で編まれた、圧倒的な魔法防御力を誇る礼装をもってしても、なおも衝撃を殺せない程の凄まじい威力の衝撃波をだ。
あまりの威力にルミアはもう、立っているのがやっとという状態だ。
だが、それでもルミアは…いいや、ルミアたちは、まだ絶望してはいない。
「確かに私にはもう、貴方と戦えるだけの力は残っていない…!!ですが私は…いいえ、私たちは…!!それでもまだ彼女を救う事を諦めてはいない!!まだ希望の光を捨ててはいない!!」
「ならばいい加減諦めさせてくれるわ!!水鳥如きがピイピイ喚こうが無駄な事だという事を、この俺が直々に思い知らせくれるわぁっ!!」
何故なら、ラインハルトの戦術プラン通りに順調に事が進めば。
「我が奥義によって天に召される事を誇りに思いながら死ねぇっ!!暗黒流鳳凰剣奥義!!鳳凰天翔!!ほうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお…っ!?」
そろそろラインハルトが、自分たちを助けに来てくれる頃合いだからだ。
「な、何ぃっ!?何だこれはぁっ!?」
いつの間にかルミアの周囲に展開されていた、6つの小さなファンネル。
それらが眩い光の線で結ばれてルミアの前方に強力な障壁を展開し、ベルドの鳳凰天翔を弾き飛ばしたのだった。
予想外の出来事に、ベルドは驚きを隠せない。
「何なのだこのビットは!?いや、それよりも何なのだこの障壁の威力は!?俺の神剣バルムンクの一撃でさえも、びくともせんだとぉっ!?」
慌ててルミアから間合いを離したベルドだったのだが、そこへ上空から飛竜に乗って颯爽と駆けつけてきたのは。
「よく言った!!ルミア殿!!」
威風堂々と、聖杖セイファートを天に掲げるラインハルトだった。
ルミアの周囲に展開されていた6つのファンネルが、今度は地面に倒れ伏しているイリヤたちの所に飛んでいく。
「ラインハルト陛下!!」
「やれやれ、私は回復魔法はあまり得意ではないのだがな。かの者たちの傷を癒し給え!!」
ラインハルトが聖杖セイファートを振り下ろすと、6つのファンネルからそれぞれ個別にイリヤたちと被弾したペガサスに回復魔法を掛けたのだった。
あっという間に傷が癒えたイリヤたちが、よろめきながらも立ち上がる。
「遅いわよ!!ラインハルト!!」
「4人共、よくぞ今まで歌姫を守り抜いてくれた!!パンデモニウムの魔族たちはプラン通りに我々が救助した!!後は真野神也とベルド殿を倒せば終わりだ!!」
ルミアの下に、ドルムキマイラの攻撃で左翼に被弾したペガサスが慌てて駆けつけてきた。
ラインハルトの回復魔法ですっかり元気になったのか、早く美海と一緒に自分の背中に乗れと、ヒヒヒヒンとルミアに促す。
そのペガサスの意図を瞬時に悟ったルミアが、美海を助け起こしてお姫様抱っこし、ペガサスに乗せたのだった。
「ベルド殿は私が相手をする!!君たちは歌姫を連れて先に行け!!」
「「「はっ!!」」」
「癪だけど一番の見せ場はアンタに譲ってあげるわ!!ラインハルト!!」
ペガサスと飛竜に乗って慌てて戦線を離脱するルミアたちを、ベルドがとても悔しそうに歯軋りしながら睨みつけている。
先程、ルミアの周囲に障壁を展開し、イリヤたちを回復魔法で治療した6つのファンネルが、物凄い勢いで聖杖セイファートに装填されたのだった。
これこそが聖杖セイファートに秘められた、シルフィーゼには使いこなせなかったが故に太一郎との戦いで使わなかった真の力。
分離した6つのファンネルが独立して動き、それぞれから個別に魔法を掛ける事が可能という、まさにとんでもない代物だ。
当然ながらイリヤの魔剣ヴァジュラ同様に、使いこなすには相当高度な空間認識能力が必要になる上に、ファンネルを介して複数の魔法を同時に放つなどという芸当は、相当な魔力量と魔法の技術が無ければ到底不可能な話だ。
だがイリヤをも上回る並外れた空間認識能力と、底無しの魔力量に加えて異世界随一とも言われる天才魔術師であるラインハルトならば、聖杖セイファートの性能を最大限に発揮する事が出来るのだ。
いや、そんな事よりもだ。
ベルドはルミアたちが自分と戦っている時、何故か積極的に攻めようとせずに、やけに消極的な戦い方をしていたような印象を受けたのだが。
まさかルミアたちの目的は初めからラインハルトにバトンを繋ぐ事であって、自分たちがベルドを倒そうなどとは微塵も考えていなかったとでもいうのか。
だとしたらルミアたちの、この消極的な戦い方にも納得が行く。
「あいつら、初めから時間稼ぎが目的だったのかぁっ!?」
「観念するのだなベルド殿。この戦い、最早ギャレット王国騎士団の敗北は確実だ。」
「ラインハルトぉ…!!貴様のせいで…!!貴様のせいで!!俺の野望が台無しだぁっ!!」
神剣バルムンクを構え、怒りの形相でラインハルトを睨みつけるベルド。
ラインハルトもまた聖杖セイファートを構え、威風堂々とベルドを見据えている。
互いに伝説の武器を手にした達人同士、睨み合う2人。
「貴様を今ここで殺し、ついでにその聖杖セイファートも俺の物にしてくれるわ!!そして美海もすぐに俺が奪い返してくれる!!」
「こいつは借り物でな。後でシルフィーゼ殿に返さねばならん。貴方を今ここで討ち取った後にな。」
「若造が!!やれるものならやってみるがいいわぁっ!!」
太一郎VS神也。
ラインハルトVSベルド。
この世界の命運を賭けたそれぞれの頂上決戦が、今まさにこの異世界で繰り広げられていたのだった。
死闘を繰り広げる太一郎と神也、ラインハルトとベルド、シリウス&レイナと『呪い』
…なのですが、勤務先の社長の不用意な行動によってコロナに感染してしまったので、もしかしたら掲載が遅れるかもしれないです。
熱は無いし症状はそんなに重くないのですが、どうかご了承下さいますようお願い致します。本当に御免なさい(泣)。