戦友
6、、
次の日も江は、千鄭の何処に行く、、、
「おはようございます、どう腕の方は、センテイ様、」
「はい、今まで痛くて眠れなかったけど、昨日はゆっくり眠れました、ありがとうございます、江様、」
「それは良かったですね、センテイ様、」
江皇女は、また千鄭の腕に手を翳していく、、、
「まだ、完全に治って無いですから、、」
「はい、ありがとうございます、江様、」
千鄭は、江皇女にこのようにされると、腕の痛みより、心が穏やかになってくる。
不思議な気持ちになっていた。
まるで、母親に優しくされているようで、、、暖かい、、
なんだか、、、母親の胸の中で抱かれてるようだ、、、あったかい、、
なんでだろう、、、涙が出てくる、、、母さん、、、、逢いたいよぅぅ、、、
千鄭は、眠ってしまった。
つられて、江皇女もベットの上に頭を乗せて寝てしまう。
サガ様のところに伝書鳩が飛んでくる。
密偵からの知らせであった。「 閉、、案、、」
これは密偵との暗号である。
珊皇女様は、紅玉(女皇陛下)によって牢に閉じ込められて、身体は無事とのこと、、
サガは、「地下牢なら、厄介だな、、」と思っていた。
珊皇女様を救い出す手立てを考えていた。
そして、別の密偵からの伝書鳩の文には、「 寒明、、閉、、」
なるほど、、「寒明宮に幽閉されているのだな、これが確実であろう、、」
サガは、この文から、別の手段を考えていたのである。
サガは、机に宮廷周辺の地図を拡げて考えていた。
其処へ、江皇女が入ってくる。
「妹は、見つかりましたか?サガ様、」
「はい、叟璽燬国に捕まっています、江様、」
「そうですか、妹は無事なんですね、サガ様、」
「はい、寒明宮に幽閉されていますので、救い出す手立てを考えてるところです、」
「寒明宮? どんなところですか?」
「はい、宮廷内の一番奥にある寒明宮殿と言うところです、江様、」
「そうなのですか、、宮廷内にお味方はいないのですか?」
「はい、それは、、禁門軍ならなんとか説得できると思いますが、、」
「禁門軍ですか、、わたしがその隊長を説得しましょうか?サガ様、」
「えっ!江様自らですか?」
「はい、わたし自ら参ります、どうでしょうか?サガ様、」
「でも、、皇女様を危険なところには、、、」
「多少の危険は承知しています、ダメですか、サガ様、」
二人の話しを聞いていた千鄭が入って来て、、
「わたしも皇女様の意見に賛成です、、」
「えっ!センテイ様、なぜ?」
「わたしが着いて行きますから、大丈夫ですよ、」
江とサガは、驚いていた。
「しかし、その身体では、、」
「オレたちもいるぜよ、なぁ、シヨウ、、」
「お姉ちゃん、ボクも行くよ、、」
「しかしだな、、」
「大丈夫ですよ、金光なら安心して任せられます、サガ様、」
「其処まで言うのであれば、、コチラから五人付けましょう、江様、」
「はい、お願いします、、サガ様、」
サガは、城下町の密偵に会う段取りを付けてもらうのであった。
其処は、繁華街の妓楼である。
そして、三日後、、
千鄭は、妓楼「 舞華 」に来て待っていた。
其処へ、、禁門軍の隊長・鬱金が入ってくる。
「おぅ、久しぶりだな、センテイ、、」
「ほんと久しぶりだよ、ウコン、」
「ところで、、その腕はどうした?」
「あぁ、これね、、事情があって賊にやられてしまった、、」
「えっ!何処の賊だぁ、、センテイ、」
「其れはいいとして、ウコンに合わせたい人がいるんだけど、」
「オレに合わせたい人って、、ダレ?」
「入ってください、皇女様、、」
江皇女は、千鄭に呼ばれて部屋に入ってくる。
「えぇ、、皇女様って、何処の?」
「ウコン、頭が高い、、コチラは、女皇様の妹君の娘、江皇女様である、、」
ウコンは、慌てて膝を折り頭を下げていた。
「これは失礼しました、、皇女様、、」
「まぁ、座って話しましょうか、ウコンさん、」
そう言われて、元の席に座り直すウコンであった。
「江皇女様って、、15年前に行方知れずになっていた!」
「そのようですね、ウコンさん、」
「今までどうなさっていたのですか?」
「そのことは後ほど、今日お越しいただいのはお願いがあって、」
「はい、なんなりと、皇女様、」
「実はですね、今の女皇様に妹珊が捕まっているので、協力して欲しいのですが、どうでしょう、」
「それは、、妹って、珊皇女様だったのですか!」
「はい、そうなんですよ、どうでしょうか?」
「そうですね、、少し時間をください、江皇女様、」
「はい、分かりました、、1日待ちましょう、ウコンさん、」
ウコンは、妓楼を出て行く、、、
「どうでした、ウコンを説得できましたか?江皇女様、」
「今の女皇様に忠誠を誓っているだけに迷っているようですよ、センテイ様、」
「そうでしょうね、、ウコンは真面目だから、、」
そして、次の日、、
ウコン隊長から連絡があって、協力してくれるとのことであった。
早速サガは、作戦内容を伝えて、二日後の夜に実行することにした。
作戦とは、サガ軍が東門を攻めてる間に、西南門から侵入し寒明宮にいる珊皇女を救い出す。
「珊皇女を救い出す者は、誰にするのですか?サガ様、」
「それは、ゴウシを呼んである、彼なら成功するであろう、」
「しかし、西南門に行くには、断崖絶壁を越えなければならないのでは?できますかね、」
「あぁ、それも承知している、凧を使って越えるようである、」
「そうですか、、凧なら成功しそうですね、隊長、」
その凧とは、竹で組んだ骨組みに布を貼った物である。
ゴウシ隊は、すでに西南に向かっているのであった。