出逢い
4、、
あと少しでマキマキ街に入れると思ったら、、
ロバが突然前脚を折るように倒れ込むのであった。
江がロバの左前脚を見てみると腫れあがっている!
どうやら前からの持病であろうか?
江は、ロバの左前脚に手を翳していた、、、
「なにをしているんだい、コウちゃん、、」
「あのね、前に足を怪我したウサギを手で翳してたら、治ったことがあったので、、」
しばらくすると、左前脚の痛みが無くなったのか、ロバは立ち上がっていた。
「へぇ、、凄いね、コウちゃん、、」
「でも、まだ治ったとは言えないよ、痛みが無くなっただけだと思う、、」
「まぁいいや、、とにかく街に入ろう、コウちゃん、」
江たちは、ロバを引きながらマキマキ街に入って行く、、、
江には、不思議な能力が供えてあった。
ウサギが罠に掛かり後ろ足を怪我したので、手を翳していたら不思議と立ち上がったのである。
手を翳すだけで怪我を治してしまう能力であった。
これは江に宿してる鳳炎鳥の所業であろうか?
いやっ、、レピドクロサイトクォーツが無いと鳳炎鳥は蘇ることはない、、、
元々の聖霊であるかもしれないですね、、、
江たちは、マキマキ街に着いて真っ先に行ったのは質屋であった。
何故なら、もし慌てて逃げたのなら、金子は用意していないだろうと、、
そうなると、取り敢えず金目になる物を質屋に入れるのが手っ取り早いと思ったからである。
質屋に入って聞いてみる。
「14年前に赤子を連れて店に来て無いか?」
「さぁ、、14年前ですか、、覚えてませんね、」
「それなら、こういったものを質に入れた者は、どうかな?」
江は、玉の腕輪を店主に見せていた。
店主は、しばらく考えている、、、
「そういえば思い出しました、たしかに玉の腕輪と指輪を入れたお客さんがいましたね、」
「それで、赤子を抱いていたかな?」
「はい、確かに赤子を抱いていました、はい、そうです、、」
江の似顔絵を見せて、、、
「今は、このくらいになっていると思うが、どうかな?」
「さぁ、、そんな方は最近は見ないですね、お客さん、」
「そうか、済まなかったな、店主、、」
そう言って、江たちは店を出て行く、、、
「その腕輪は、どうしたんだ、コウちゃん、」
「あぁ、亡くなる前に母がくれた物だよ、これを見せて手がかりが掴めるだろうって、、」
「ふぅーん、そうなのか、、それでこの街に来たことは分かったね、」
「うん、一歩前進だね、お姉ちゃん、」
「あとは、それから何処に行ったかだな、、」
「そうだね、取り敢えず宿屋を探そうか、、」
「明日また別の場所で聞いてみようかね、兄様、」
江たちは、今夜の宿屋を探して行く、、、
「あった、、今日は此処にしようか、、」
「はい、そうしましょう、兄様、」
三人は、商店街の外れにある宿屋に泊まることにした。
翌日、、
三人は、別々に別れて妹の人相描きを見せて探して周る。
しかし、これっといった情報は得られなかったのである。
一日中探しても何の消息が掴めないまま宿屋に戻って行く、、、
そして、夜も深まった頃、、、
「此処に三人は、泊まっているんだな?」
「はい、確かです、入って行くところを見ましたから、、」
「そうか、それじゃ行くぞ、ものども、、」
江たちの宿屋に刺客が襲ってくるのでありました。
刺客たちは、江たちの寝室に忍び込み、、
短刀を布団の上から、ブスリっ、、と、、
布団を捲ると、、誰もいない!!
其処へ、、刺客たち目掛けて、ボーガンの矢が飛んでくる、、、
「しまった!測られたか、、、」
武が悪いと思った刺客たちは逃げて行く、、、
刺客の1人は、矢が脚に当たり動けないでいた。
其処へ、、金光が短刀を刺客の首にあて、、
「誰の差しがねだぁ、、言え、、」
「………」
其処に江たちが入ってくる、、
「兄様、大丈夫ですか?」
刺客が江を見て、、、
「あっ! サン様、、何故?」
「違うよ、、サン様じゃないから、わたしは姉のコウだから、、」
「えっ!サン様の姉?」
「あぁ、この方は、サン様と言う者の双子の姉だから、」
「そうだったのか、、、」
「妹のサンを知っているのか?」「………」
江は、刺客を見て、、、
「わたしたちのこと何も知らなかったから、逃してあげましょう、兄様、」
「しかしだな、、、」
江は、刺客の脚を見て、、矢を抜いて、手を翳していた、、
すると、その傷が治っていく、、、
「もう、これで良いよ、早く行きなさい、、」
その刺客は、お礼も言わずに逃げて行ったのであります。
「どうして、刺客が襲ってくると分かったの?兄様、」
「あぁ、それか、、街でオレたちのこと見張っていて、跡を付けてくるのを見て怪しいと思ったからさ、」
「へぇ、、そうなんだ、凄いね、兄様、」
「あぁ、野生児の感とでも言うか、、」
金光は、部族の中でも、弓の名手であった。
それで、刺客にも難なく撃退できたのである。
そして、次の日も江たちは、妹サンの手掛かりを探して行く、、、
しばらくすると、、
江たちの前に昨夜の刺客が前を塞ぐ、、金光は身構える。
「まだ何かようか?」
「いえいえ、違いますよ、サン様を探していると言うので、それで、、」
「何か分かったのか?」
「いえ、サガ様なら、宮古に居ると思います、きっと其処にサン様も居られるかと、、」
「その宮古とは、何処に、、」
「はい、ここから東に二十里行った所にチヨウツ街がございます、きっとそちらでしょう、」
「どうしたら、そのサガ様に会えるのかな、、」
「はい、コチラを古書店の者に見せて、こう言ってください、、」
「何を言えばいいのです?」
「はい、餅をください、と、そうすると餅など扱ってませんが、と答えます。星の数だけ欲しい、と言えば解ってくれますので、」
「ふぅーん、それが合言葉ってことだね、分かったよ、、」
刺客が渡したのは、木の札で何かの紋章なのか刻んであった。
「これを見せれば良いのだな、、」
「はい、もしサン様に会えたら、ゴウシは元気にしてます、とお伝えください、」
「それだけでいいんだな、、ゴウシさん、」
「はい、よろしくお願いします、コウ様、」
そう言ったと思ったら、刺客は姿を消していた。