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鳳炎鳥伝説(&鳳氷鳥)  作者: 亜井下茶女
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江の運命

2、、暖炉の薪がパチパチという燃える音で白瓷は目を覚ます。


すると、、男が鍋で何かを煮ているようであった。


「あっ!すいません、誰も居なかったので少し休ませてもらいました、、」


「あぁ、良いよ、、お腹空いて無い?」


「はぁ、、少し、、」


「まだ煮えてないから、これでも食べてな、、」


男に渡された物は、干し肉であった。


白瓷は、硬い干し肉を食べていると、、、


「何か訳ありだと思うけど、今は何も聞かないよ、、」


「……… 」


男は、狩りの帰りであろうか?鍋からお碗に注いで白瓷に渡す、、、


「熱いから、気をつけて、、、」


「ありがとうございます、、いただきます、」


熱々の芋煮を白瓷は食べていたら、江が泣き出した!!


「赤子もお腹空いているんじゃない?お乳あげたら、、」


「はぁ、、わたしお乳が出ないんです、、、」


「そうなのか? だったら、山羊の乳を貰ってくるから、待ってな、」


「えっ!、、、」


男は、白瓷の返事を聞かずに山小屋から出て行った。


白瓷が芋煮汁を二杯目を食べ終わった頃、男が帰ってくる。


「山羊の乳を貰って来たから、赤子にあげなさい、、」


「はい、ありがとうございます、、え〜と、、」


「あぁ、俺の名前は、恭司、、柊恭司ひいらぎきようじ、キミは、、」


「はい、白瓷はくしと申します、、この子は、コウです、、」


「そう、、白瓷さんね、、」


白瓷は、山羊の乳を温めて江に飲ませて、、、


「柊さんは、猟師でしょうか?」


「あぁ、、毛皮を売って生活しているのさ、、」


「それで、、隣の部屋に毛皮がたくさんあるんですね、」


「そうだなぁ、、此処は寒いし何かと不便だろうから、明日村に帰るけど、、」


「はい、ご一緒にしてもよろしいでしょうか?」


「あぁ、良いとも、白瓷さん、、」


そして翌日、早朝に二人は山を下りて行く、、、


其処は、カウ族の村であった。


村の外れにある一軒屋に着いて、、、


「此処がオレの家だよ、さぁ、遠慮なく入って、白瓷さん、」


「はい、お邪魔します、、、」


「誰もいないから、去年まで母親と暮らしていたんだけど、病で亡くなってね、、」


「そうなんですか? 」


「あっ、そうだ、、ちょっと待ってな、、」


柊恭司は、何かを思い出したように出て行った。


そして、直ぐに帰ってくる。


「その宮女服だと、村人に怪しまれるから、その服を着てください、」


「あっ、はい、、そうします、柊さん、、」


白瓷は、渡された服に着替えていた。


この地方の部族は、大きく分けて、、、


極寒の地、原住民マハカウ族の子孫が分裂して出来たらしい、、


カウ族、カマ族、マウ族という部族の集合体であった。


比較的暖かい北の国は、叟璽燬國が占めていた。


東側には、アフリカ大陸から1000年前移住したウカカ国で成り立っている。


江たちが住んでいるのは寒い南の狩猟民族である。


それから、年月が過ぎていく、、、


江は、14歳の誕生日を迎えたばかりであった。



ある日、養母の白瓷が風邪を拗らして寝込んでいた。


江は、養母白瓷を喜ばせようと思い山奥へと入っていく、、


雪溶けの夏に草花が生えていた場所を記憶している。


江にとっては、山周辺は庭みたいなもので木々に名前を付けるほど詳しいのである。


「この辺だったかなぁ、、」


江が手を翳すと雪が溶け出してくる、、、


しばらくすると、、芽が生えだしたと思ったら野苺の実がなっていく、、


小さな竹籠に野苺をいっぱい詰めて、その上に新雪を載せるのであった。


江は、家に持ち帰って養母に野苺を見せる。


白瓷は、驚いていた!!


「また、この子は、、、」


何年か前にも、雪を溶かして野菊を摘んできたことがあったので、、


さほど白瓷は驚かないのである。


白瓷は、江には聖霊が宿していることは分かっていたので、、それで、、、


「ありがとう、、コウちゃん、、」


皿の上に野苺と新雪を乗せた物を白瓷が嬉しそうに食べていた。


その姿を見て、江も嬉しく思っていた。


しばらくすると、、、


義弟のしようと三つ歳上の金光きんこうが入ってくる。


「ただいまぁぁ、、」

「お邪魔します、、」


金光とは、江の幼なじみで良く一緒に遊んでいた。


「何しに来たの? 兄様、」

「何しにって、おばさんのお見舞いだろう、コウちゃん、」


金光は、持ってきた袋から焼き芋を取り出して、、、


「あっ、、冷たくなっている!!」


「ありがとう、兄様、、」


「えっ! なんでコウちゃんのだけ、あったかいんだ?」


「良いなぁ、、お姉ちゃんのだけズルい、、」


「半分あげるね、シヨウくん、、」


「ありがとう、お姉ちゃん、ほんとホクホクだねぇ、、」


江は、手にしただけで焼き芋をアツアツホクホクにしてしまう不思議な少女であった。





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