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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
大陸編
73/359

71、ガタの町

フリージア編始動。

北国はやっぱり寒かった!?

翌日の朝、ケイ達はディナトにお礼と挨拶を交わした。

ヴィンチェ達には、何かわかったら連絡するといい、互いの旅の安全を願って別れた。


街を出る前に鍛冶ギルドに足を運び、アマンダとクルースに挨拶をした。

二人には、スアン渓谷があるフリージアに向かうことを話すと、ギルドに常備してある人数分の防寒服を譲ってくれた。防寒服は、クーラービリスの青い毛皮を使用しているため冷気を通さない作りになっている。フリージアは年中雪が降り続いているため、ケイ達の服装では体調を崩すという心遣いからありがたく受け取ることにした。



ケイ達はエストアを出て、フリージアに続く北の山道を歩いた。


土地勘のあるレイブンの話によると、この辺りはあまり雪はなく寒さもそれほどないが、フリージアは大陸を一周するように北から東を迂回するように南の山へと続いている。

そのため北に向かうにつれ、徐々に寒さが厳しくなるそうだ。

北大陸は、大陸の三分の一ずつ山と森が締め、残りのわずかな土地に中央のフリージア国と、二つの町に一つの村、それとスアン渓谷に続く山道に小さな集落がある。


情報収集を行うべくフリージア国に向かうため、まずは北にあるガタの町を目指すことにした。


山道を下り、岩肌から雪道に変わると辺りの景色は一変した。

一面、白銀の世界と見まがうほどの幻想的な世界に、雪を初めて見る女性陣はため息をついた。一方男性陣はというと、レイブンは生まれ育った村はないが地元民で、アダムは何度か依頼で来たことがあり、ケイは友人と冬にスキーやスノーボードで何度も雪を体験したことがあったため、大して感動はなかった。


「さっっっっっぶ!!!!」

「くしゅん!」

「シンシア、大丈夫か?」

「だ、大丈夫・・・」


道中、防寒服を着込んでも寒さが肌身に突き刺さるように感じ、ケイは歩きながら身を縮込ませた。今の時期は季節変動により、ブリザードが発生した直後のため、寒さがより一層厳しくなるのだそうだ。他の五人も寒さのためか、自然と同じような体勢をとる。

シンシアに至っては寒さからなのか、しきりにくしゃみをしている。風邪を引かなければよいのだが。



ケイ達は、雪がしんしんと降るなか、北ににあるガタの町にたどり着いた。


ガタの町は人口が600人ほどの小さな町で、主に白閃花の工芸品を扱っており、小さいながらもフリージアに近いためか、常に行商人が行き交う町としても有名である。

ここからフリージアまでは、徒歩で半日のところにあるが既に日も傾き始めたため、今日はこの町に泊まることにした。


町の大通りに面した宿屋に入り、六人部屋は既に満員のため、三人部屋を二部屋とった。

その際に、アレグロがケイと一緒がいいと言ったが、そんなことはシンシアが許すはずもなく、結果男女に分かれることとなる。


「とりあえず、ここのオススメをくれ!」


夕食を取るために一階の食堂へ赴き、店員ににおすすめを注文する。

正直な話、フリージアの郷土料理のためかメニューを見てもイマイチ想像が出来なかったのである。店員はそれなら『バイソンと三色野菜』がオススメだと言った。


バイソンは、フリージアに生息している野生の牛で、繁殖力が強く、どの郷土料理にもかならずといっていいほど入っている。肉厚で濃厚だが、後味がさっぱりしているということから女性にも人気の食材である。三色野菜はマンドラゴラのことで、白・赤・青と色彩豊かな野菜が盛り付けられ、特製のソースが食欲をそそると話題になっている。


「お客さん、申し訳ないが他の料理を注文してくれないかい?」

「何でだ?」

「今、食材を切らしてて作れないんだよ」


ほどなくして、食堂の亭主とおぼしき恰幅のよい男性が顔を出す。


どうやら、青いマンドラゴラが足りず料理が作れないのだという。

本来であれば、町にいる青いマンドラゴラを専門に収穫している男性がいるようなのだが、二日前に風邪を引いて体調を崩しているらしい。町の冒険者ギルドに依頼を出しているのだが、請け負ってくれる者がおらず滞っているのだという。


「青いマンドラゴラってどこに行ったら取れるんだ?」

「フリージアの森ならどこでも取れるが、日によって場所にムラがある。確実に取るなら、ここから南西にある森一択だろうな」


南西にある森には湖があり、青いマンドラゴラは水辺の近くに生息していることが多いのだそうだ。男性は、もし取ってきてくれるのなら、料理分の料金を人数分タダにしてやるとケイ達に持ちかける。ケイ達は、マンドラゴラを取るだけならと二つ返事で返し、その日の夕食は他の料理を頼むことにした。



次の日の朝、ケイ達は町の中心にある冒険者ギルドに向かった。


もちろん、依頼として出ている『青いマンドラゴラの納品』を受けるためである。

冒険者ギルドに足を運ぶと、まだ朝も早いのか人もまばらで、三つあるカウンターには一人しか居なかった。

カウンター横にある掲示板に目を通し、目当ての依頼を見つけるとそれを取り、カウンターに依頼書を提出した。そして受付嬢からカードの提示を求められ、各々それに従うと、カードを見た女性がパーティ・エクラの皆さんに伝言を預かっていますと言った。


冒険者ギルドには、どこの場所に行っても依頼を受けられ、離れた場所に行っても元の場所の依頼の完了報告や伝言預かりなどが可能と言われ、重宝される。

いわば、異世界版メールみたいなものである。


「伝言ってだれからだ?」

「三件ほど預かっていますので、こちらをどうぞ」


受付嬢から、伝言内容を羊皮紙に写した紙を渡される。


一件目は、魔道航海士のダットからで『相談を受けた件は、ルフ島にいるコボルト族のナットに聞け』というものだった。

以前ダットに会った際、彼には女神像についての情報収集をお願いしていた。

土地勘があまりないケイは、自分よりもいろいろな場所に赴き、かつ情報収集の幅が広いダットの方が有利だと判断し、情報収集の方法を彼に一任していた。


「コボルト族?」

「あぁ、彼らは獣人族の中でも希少とされている一族だよ。確かルフ島に十人もいないそうだ」


レイブンが以前、人づてにそのような話を聞いたと教えてくれた。

元は人型系の魔物・コボルトだったそうだが、突然変異で獣人族になったそうた。

過去にはそれを解明すべく、何人ものコボルト族が人体実験のサンプルとして捕らえられたそうで、現在は世界条約の規定により、それら一切を禁止している。


二件目は、アルバラントの王立図書館のバートで『古文書の一部解読ができたから、時間がある時に来てほしい』という内容だった。


「思ったより早かったな」


専門家による解読が一部済んだことで、ケイは今にも飛んで戻りたい気持ちになったが、とりあえずその気持ちを抑え、次の伝言に目を向ける。


三件目の伝言は、意外な人物からだった。


「エミリアか~」

「どんな内容なの?」

「えっと、『困っていることがあるため助言を願いたい。時間がある時にバナハに寄ってほしい』だってさ」

「意外ですね」

「ご丁寧に、ロアンとの連名付きだ」


三件目は、軍事国・バナハの第二部隊隊長のエミリア・ワイトからだった。


しかも、騎士団総括のロアン・レッドフォードと連名での伝言となる。

伝言の内容から緊急性はないようだが、近いうちに寄ってみようと考える。



伝言の内容を確認している間に依頼の手続きが完了したようなので、ケイ達は青いマンドラゴラの収穫のため、そのまま南西にある森に向かうことにした。


次回、青いマンドラゴラと対決!?

どうなることやら~


次回の更新は9月16日(月)です。

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― 新着の感想 ―
[一言] せっかくチートあるのに使っていかないと物語盛り上がらないですよ? 少し困ったら創造するくらいのドタバタでいいんじゃないんですかね? 神的な管理者の全能力引き継いだわりに寒いとか言ってる意味が…
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