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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
大陸編
54/359

52、暗殺者

狙われたシンシアにケイ達が解明を急ぐ。


【注意】今回の話は、一部過激な表現を使用しています。

人によっては苦手な描写になるかもしれません。


シンシアの叫び声に二階にある彼女の自室に向かうと、その声を聞きつけたのかアダム達と合流した。


「ケイ!今の声はシンシアか!?」

「今、開けるから待ってろ!」

アダムに急かされケイが扉を蹴破ると、床に倒れているシンシアと一瞬だが何者かが窓から出て行く様子が見えた。


「シンシア!」

倒れている彼女に駆け寄ると、後ろから切りつけられたのか背中には刃物で切られ出血を伴った傷が残っている。

「シンシア、しっかりして!」

「誰かお医者様を!」

アレグロが声をかけ、タレナが医者を呼ぶように叫ぶ。

「ビル!フローナ!止血用のタオルを!」

「承知しました!」

「わ、わかりました!!」

ビルとフローナがそれぞれ対応するため、その場を離れる。


「くそっ!!アダム!後を頼む!」

「おい!ケイ!!」

ケイはシンシアを見た後に逃げた人物を追うため、アダム達にまかせると窓から外に飛び出した。



朝も早いことから、人もまばらな市街地を走り抜ける。

たまにすれ違う人がそれを不思議そうに見ているが、今はそれどころではない。

その人物は足が速く、市街地を右往左往とケイを引き離そうとしている。

今は目視出来る距離だが、これ以上はまずいのでマップとサーチを同時に行い、マップ側には逃げた人物を見失わないようチェックをつける。

そうすることで万が一見失ってもマップを頼りに追いかけられるのだ。


市街地をいくつか曲がり、中央の大通りを走り抜ける。

マップ上の人物は、大通りを北に向かって走りそのまま街の外へ。

「どこまで行くんだよ!」

ケイが、悪態をつきながらもその後を追う。



マップの人物は、ダナンから北西にある小さな森の方に向かっていった。


「まじか~」

森の前で、ケイがため息をついた。

小規模の森は普段人が立ち入った形跡がなく、獣道がいくつかあるだけだっだ。

しかし、マップでは中央のある部分で止まっている。おそらく隠れ家的な場所なのだろう。


ケイはよし!と気合いを入れると、草をかき分け奥へと進んでいった。


ガサガサと草をかき分け目的の場所までやって来ると、一件の木造の小屋を見つけた。

マップで確認すると、目的の人物はそこにいるようだ。

小屋の前までやって来ると、窓にはカーテンがかけられ中を覗くことが出来ない。


ケイは準備のために、いくつか創造してから行動を移すことにした。


まず、なんの躊躇もなく扉をノックする。

中から反応はなく、マップ上ではその人物は動いている様子はない。


「だぁあああ!いるなら出ろや!!!!」


気が短いケイは扉を蹴破った。

破壊された扉が部屋の中を飛んでいくと、驚愕の声で五人の男たちがこちらを見つめる。


「誰だ!?」

全身黒づくめで顔を隠した男たちが椅子から立ち上がる。おそらく暗殺を家業にしている輩だろう。

「誰だ!?じゃねぇよ!シンシアを襲ったのはおまえらか!?」

「まさか、我々を追ってきたのか!?」

「始末するしかない!」

その内の一人がナイフを片手に襲いかかると、ケイがそれを躱しナイフを持っている手をたたき落とす。

「全員【ショック】!からの【バインド】!」


男たちは身体中に痺れを受け魔法で拘束されると、その場に横倒れになった。


「くそっ!魔法使いだったのか!?」

革の装備を着ているため、前衛職と間違えたのが運の尽きである。

ケイは近くに落ちているナイフを拾い上げ、拘束を逃れようともがいている男たちの内の一人にまたがりその上に座る。


「質問なんだけど、誰から依頼されたんだ?」


ケイがまたがった男に尋ねるが、守秘義務なのか口を割ることはない。

拾ったナイフのを観察すると隠しナイフの一種のようで、全長は15cmほどと一般の短剣の半分ぐらいの長さである。

しかも、刀身は相手を一撃で葬れる様よく研がれている。


「え?なんでなんも言わないの?」


閉口する男にナイフを突きつけ発言を即す。

例え拷問されても口を簡単には割らないだろうと察すると、一筋縄ではいかないなと思い直した。

「お前!こんなことしてタダですむと思うなよ!」

男たちの一人が声を荒げる。


ケイはその声を無視し、またがっている男の左手から手袋を抜き取ると、人差し指の爪と肉の間にナイフの刀身を差し込んだ。


「ぐぁぁあああ!!!」


それを勢いよく(むし)るようにはがすと、あまりの激痛に男が悲鳴を上げ身悶える。

はがれた部分から血が噴き出し、中のピンク色の部分の肉があらわになる。

それを無視し、次に中指を同じようにナイフを入れ爪をはがす。それも男は悲鳴を上げ、激痛のあまり身を捩らせる。

その後、薬指・小指・親指と同じように爪をはがした。


その結果、男の左手は血まみれで見るも無惨な状態となり、当の本人は激痛のあまりショックで気絶をしてしまった。


「暗殺家業だったら、このぐらいは耐えられると思ったんだけどな~じゃあ次は右手!」

ケイは本人の意思とは関係なく、右手の手袋を取り同じように爪を剥ごうとした。

「ま、待ってくれ!言うからこれ以上は止めてくれ!!」

仲間の身を案じてか、正面で横向きに倒れていた男が発言した。

男にお前がリーダーか?と尋ねると首を頷く。

全員同じ服装だったため、誰が誰だかわからなかったがその男は他の者より一回り体格が大きかった。


「誰に頼まれた?」

ケイが尋ねると、男の口から意外な人物の名前が出た。



それを聞いたケイは、驚きのあまり聞き返した。



「じゃあ、領主もアーヴィンもシンシアも全てそいつの指示だったってワケか?」

ケイの問いに男が無言で頷く。

しかもシンシアに至っては、予め侵入しやすくするため窓の施錠はしてなかったと白状する。内容的には完全に復讐話であった。


「だけど令嬢は終わりだ!なんせ特殊な毒を混ぜたからな!死は免れない!ざまぁみろ!!」


後方に転がっている男が、声を上げて発言する。

恐らくシンシアを襲った人物なのだろう。ケイは黙ってそちらに顔を向けると、不気味な笑みを浮かべる。

それに異変を感じたのか、男の顔から笑みが消え顔を青くさせた。


とりあえず聞けることは聞いたし、予めボイスレーコーダーを創造し胸ポケットに忍ばせていたため証拠は取ってある。

あとはこの状態をどうするかだ。


「【時空の棺桶】」

【時空の棺桶】 意識のない生物を一時的に保管する魔法。

        保管の際は時間が進まないため、

        解除しなければ当人が目覚めることはない。

        ※時空属性の魔法(ダジュールでは古代魔法に分類)


ケイが魔法を唱えると、何もない場所から空間が開き、棺桶が現れる。

またがっている男を担ぎ、その中にポイっと入れ棺桶を閉じてから空間にしまう。


一瞬の内に仲間が消えてしまったため、残っていた男たちが唖然とした様子を見せた。


「【断罪の(つるぎ)】」

【断罪の剣】 トラップ魔法の一つで、対象者の上空に剣を出現させる。

       一定時間留まり続けた後、対象者を襲う。

       また、詠唱者が任意で魔法を発動させることが可。


男たちの頭上に長物の魔法の剣が現れる。

これはトラップ系に分類されるため、属性効果・異常効果付きのランダム要素があり、なかなか過激な魔法である。


ケイが小屋を出ようとした時、男たちが止めてくれと口々に叫ぶ。

シンシアを助けるための血清も用意すると言っていたが、正直今から用意しても間に合うかどうかである。


「仲間を殺そうとするヤツを生かす道理はない」


男たちは、なおも懇願や恨み節を込めた罵倒をしてきたが、ケイは我関せずの状態で外に出ようとした。

「あっ、そうだ!情報提供ありがとう!証人としてお前らの仲間を連れて行くからな」

ケイが、思い立ったように男たちの方を振り返る。そして、それじゃあという意味を込めて、右手で指鳴らしをする。


パチン!という音と同時に、男たちの頭上にあった断罪の剣が落ちた。



小さい森からダナンの領主の屋敷に急いで戻った頃には、太陽が真上を指していた。

ちなみに、町に戻る前に相手の付着した血液と匂いを魔法で消した。


幸いなことに、屋敷の門番は昨日と同じ人だったため事情を説明をして屋敷に入れて貰う。


「ケイ!どこに言ってたんだ!?」

エントランスで、ケイの帰りを待っていたアダムが声をかけてくる。

「ちょっとな。で、シンシアは?」

「それが・・・」

アダムは言いづらそうに、ケイをシンシアの自室まで連れて行く。


「シンシア、目を開けるんだ!」

「どうして・・・」

自室に通されると、ベッドの脇でオランドとアーヴィンが泣き崩れ、隣に専属の医師とその後ろにビルとフローナが立っていた。


「ケイ様!一体どこに!?」

アレグロ達もケイに気づき声をかけてきた。

「シンシアは?」

「医師の話では、数種類の毒が身体中を巡っているため、今夜を越せるかどうか・・・」

あの後懸命な治療をしていたが、思った以上に毒の進行が速く予断を許さない状況で、それを悲痛な表情でタレナが状況を説明する。


ガルシアの姿が見えなかったので彼のことを聞くと、ワインの件でショックを受けたらしく一人応接間にいるそうだ。


「タレナ、悪いがガルシアを連れてきてくれないか?」

「え?は、はい。わかりました」

タレナが呼びに行っている間、オランド達の方に歩み寄る。


「泣いているところ、ちょっといい?」


「ケイさん!一体どちらに!?」

目に涙を浮かべているアーヴィンが振り返る。

ケイは、彼らにシンシアを襲った人物を特定したと話した。

「本当ですか!?しかしシンシアが・・・」

アーヴィンの目線の先には、ベッドに横たわるシンシアの姿があった。

毒の影響からか、青白さを通り越し真っ白になっている。


「ケイ、私の娘が・・・何とかできないか?」

オランドが懇願するようにケイを見つめる。

とりあえず彼らを落ち着かせ、タレナがガルシアを連れて戻ってきたタイミングで説明をする。


「結論から言うと、シンシアを襲ったのは暗殺者だった」

「じゃあ・・・」

「待てって、で!そいつらは依頼者から依頼されて事を起こしたそうだ」

はやる気持ちでいるアーヴィンを落ち着かせ、次の説明をする。

「ちなみにオランドの体調不良は病気ではなく、ベネノ中毒だった」

「ベネノ中毒?」

「進行性の遅い毒物で、そのせいで長年体調不良に悩まされていたってわけ。ちなみに今は俺の薬を飲んで、体質改善プラス異常状態無効の体質になっているから、ぶっちゃけ今後の心配はしなくていい」

ちなみにアーヴィンにも、今朝飲んでいた水に同じ効果をつけたことも話す。

「でも、オランドの顔は青いままだぞ!」

ガルシアがオランドの方をみると、まだ顔色が悪いままだった。


「それ化粧だから」


ケイはオランドの体質改善時に顔色が徐々に戻っていく様を隠すため、創造したメイク道具を使い体調が悪い風に見せていたのだ。

始めはケイがオランドの顔に化粧を施していたが、出来上がった顔は完全なゾンビメイクだったため爆笑。

下手くそとアダムに拳骨を落とされ、見かねたアレグロとタレナがうまく調整したというワケだった。


「その暗殺者曰く、用意した毒をワインにいれたのも、シンシアの部屋に侵入しやすいように細工したのも依頼者だと言っていた」

ケイはその人物の前に立ち、不敵な笑みを浮かべてそう説明をした。


シンシアの運命は如何に!?

そして犯人は!?

※わかる人はわかるかもしれません。ミステリー専門家ではないのでガバガバだと思います。


次回の更新は7月29日(月)です。


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