3、コカトリス
トカゲみたいな鳥?
ダジュールの摩訶不思議。
コカトリス
レベル15
性別 メス
状態 興奮
HP 155/200 MP 80/80
力 150
防御 125
速さ 130
魔力 80
器用 62
運 10
スキル 猛毒(Lv3) 石化ブレス(Lv3) 突進(Lv4)
体長 2.5m
ドラゴン系の魔物。
爪には猛毒 口から放たれる石化ブレスに注意。
現在繁殖期のため狂暴化。
※なお素材は高値で取引されている。
ケイは眼下の様子を窺った。
その集団の中には動けずにいる人が見える。
「動けるものは怪我人を連れて逃げろ!」
集団を指揮をする金髪の男が見えた。
「アダムさん!」
「いいから早く逃げろ!」
コカトリスに注意をひきつけさせ、撤退の時間を稼いでいるようだ。
男の背後には、数人の男達が怪我人を運んでいる。
金髪の男に声を掛けた男が、怪我人を担ぎながら撤退を開始しようとした瞬間、
コカトリスは身体を回し尻尾で金髪の男をなぎ倒した。
コカトリスになぎ倒された金髪の男は大きく跳ねとばされ地面に数回たたきつけられると、崖下へと転落していった。
「アダムさーん!!」
その声に激高したコカトリスは、次の標的をその二人に向けようとしていた。
「その素材もらったぁぁぁ!!!!」
ケイがコカトリスめがけて、飛び降りた。
ケイの足がコカトリスの頭上に落とされると轟音と土煙が舞い上がる。
その反動で撤退する男達の前に着地したケイは、担いている男の腰から剣を引き抜いた。
「これ借りるぜ!」
剣の柄を逆手に持ち、やり投げの要領でコカトリスめがけて投げつけた。
投げた剣は一直線にコカトリスの眉間に深く刺さる。
コカトリスが悲鳴を上げ大きく仰け反ると、その身体は地に沈んだ。
ケイはコカトリスが動かないことを確認して、眉間から剣を引き抜いた。
コカトリスの死体をアイテムボックスにいれ、血が付いた剣を振り、担いでいる男の鞘に戻した。
「お、おい」
「なに?」
「あんたアイテムボックス持ちか?」
男達の目にはコカトリスの死体が一瞬で消えたように見えたため、思わず声をかける。
「それがどうした?」
「あ、いや一瞬で消えたんでもしかしてとおもって・・・」
「それと何の関係がある?・・・というかアレは俺が貰っていいよな?」
有無を言わさない表情でケイが男達に尋ねる。
男達が首を縦に振ると満面の笑みでそりゃそうだと頷いた。
「そんなあんたを見込んで頼みたいことがある」
ケイがその場を後にしようとすると、男達が再度声をかけてきた。
振り返ったケイに男達が土下座をした。
「アダムさんを助けてほしい」
「はぁ?」
「アダムさんは俺たちを逃がすために囮になったんだが、攻撃を受けて崖から落ちてしまったんだ」
男達が崖の方を指さした。
ケイが崖を覗き込むと、断崖絶壁の下には小規模の森。
ここから落ちたらまず助からないのは目に見えている。
ケイは【サーチ】を使い生体反応を確かめると、5m下に反応があることを確認した。
「そいつかどうかは知らねーけど、誰か居るみたいだぜ」
「アダムさんかもしれない。頼む助けてくれ!」
懇願する男達にケイは渋々同意した。
「俺が下に行くからロープをよこせ」
「へ?」
「へ?じゃねーよ!どうやって引き上げるんだよ!」
ケイがうんざりする表情をする。
「この下に道は?」
「だいぶ下になるが、下山ルートが存在してる」
怪我を負っている男が答える。
「じゃあお前らは先に下に降りろ。そこで合流する」
「あ、おい!」
男達の制止を無視してケイが飛び降りた。
飛び降りた先にはわずかではあるが出っ張りが存在していた。
そこに金髪の男が倒れている。
岩の出っ張りは大人二人がやっとの幅である。
アダム
レベル29
性別 男
職業 剣士
状態 重傷 意識不明
HP 102/560 MP 90/105
力 320
防御 255
速さ 180
魔力 82
器用 105
運 50
スキル 片手剣(Lv5) 身体強化(Lv4)
港町・アーベンの冒険者ギルドに所属
落下ダメージによる重傷。
右腕・左ひざを骨折。肋骨数ヶ所の骨折による臓器損傷。
※早急に治療が必要
ケイは倒れている男のそばにしゃがむと呼吸と心拍を確認した。
わずかであるが呼吸も心拍も動いている。
助けると言った手前、無視できないのでまずは治療を開始する。
「【エクスヒール】」
【エクスヒール】 対象者を死亡以外の怪我や状態異常を完全に回復させる。
呪文を唱えると男の身体に淡い光が纏った。
光が消えると目に見える傷も消えていたため、鑑定で確認したところ状態の欄の重傷が消えていた。
「おーい起きろー」
ケイは意識のない男の頬を軽くたたいた。
呼びかけをしたが、わずかに身じろぎをしただけで起きる気配がない。
ケイは仕方なく男を背負うと、そのまま崖を飛び降りた。
その頃合流地点となる下山ルートでは、先に逃げていた男達が様子を見に行くべきか話し合いをしていた。
「おい!残りの奴らとアダムさんは?」
「いや、まだ来てない」
「もしかして逃げ遅れたとかじゃないよな?」
「やっぱり見に行った方がいいんじゃないか?」
焦りで正常な判断が持てず、何人かはアダム達を探しに行くと言い始めた。
「何言ってんだよ!俺たちが行ったってどうしようもないだろ!」
「じゃあ見捨てろっていうのか!?」
一触即発になろうかというその時、上空からケイが降ってきた。
「どけぇぇぇ!!!!」
突然のことに男達は慌ててその場から離れた。
派手に着地すると、その衝撃で背負っていた男がズリ落ちそうになる。
「ちっ!こいつでかいんだけど・・・」
悪態をつくケイに男達は驚愕の表情のまま立ち止まった。
「ア、アダムさん!」
男達の一人が声をあげた。
「なんだ、こいつの知り合い?」
「あぁそうだ。他の奴らはどうしたんだ」
「それなら後から下りてくるってよ」
ケイは背負っていた男の知り合いだとわかると、その場に放りだした。
「そいつは任せた。あとコカトリスは俺が貰った」
「えっ?」
男達が信じられないといった表情で見つめてくる。
「ところでさ~この辺に町ってある?」
「それならエバ山を下りて海側を東に歩くと港町のアーベンに着くよ」
男達の一人が答えた。
「そっか。じゃあ俺は行くぜ」
ケイはそう言い残すと、そのまま崖を飛び降り立ち去った。
残された男達は唖然とした表情で見送るしかなかった。
お前の物は俺の物!
追いはぎと言われれば否定できません。