2、エバ山にて
ダジュールの簡単な説明とコカトリスの山。
※聖都ウェンディル→聖都ウェストリアに変更しました。
異世界・ダジュールは5つの大陸に8つの国が存在している。
西大陸は
北部に聖都ウェストリア
中部に国内最大の軍事力を持つバナハ
南部に砂漠の都市マライダ
東大陸は
高い山々に囲まれたドワーフの国エストアと南部に商業都市ダナン
北大陸は年間を通して雪が続く、極寒の地フリージア
南大陸は大小およそ8つの島が点在しているルフ島
そして中央大陸は王都アルバラント
種族も人間・エルフ・ドワーフ・獣人・魔族などとさまざまである。
そして圭一改めケイがいる場所は、中央大陸南西に位置しているエバ山。
エバ山は標高1500mとダジュールの中では低いとされている山である。
一年を通して気候は穏やかだが、夜間には必ず雨が降るといわれる。
またコカトリスの生息地として有名な場所であり、今の時期は繁殖期を迎えている。
コカトリストはドラゴン系の魔物で、トカゲに似た姿で鋭い爪とくちばしを持っている獰猛な魔物として知られている。
そんな山をケイは町を目指し下山をしていた。
「いやっほほほほほほ!!!!」
ケイは崖から数十メートル下に飛び降りた。
体操選手のように空中で二、三回転しながら両手を挙げて着地する。
通常であれば大怪我ところでは済まされないが、全ての能力値が∞のため、かすり傷にもならない。
始めのうちは、地道に下山していたが、下山するまでに時間がかかると思い、崖から飛び降りることを選択した。
何度も繰り返しているが身体に異常は見られない。
途中で休憩を取り、非常食と水筒を手に取る。
水筒は水が無限に湧く仕様になっており、飲み干しでもすぐに満タンになることが分かった。
非常食は乾パンに近く、少し硬さはあったが水にふやかし口に入れれば食べられないこともない。
休憩を取った後、飛び降りという名の下山を開始しようとした矢先、視界の端に何かを捉えた。
視界の方に歩み寄ると、そこには5メートルほどの大きな穴があった。
「う~ん…【サーチ】」
【サーチ】生体反応の有無を確認するスキル。
検索に引っかからなかったため、ランタンとナイフを手に奥へと進んだ。
手に持っているランタンは、下側につまみのようなものがありひねるとランタンを灯したり消したりできた。
ただし魔石を利用するためその分のコストはかかるようだ。
入口から200mほど歩くと暗闇の先に何かが置いてあるのが見えた。
「なんだあれ?」
近づいてみると、それは複数の大きな白い卵だっだ。
30cm大の白い卵は、ほとんどが既に割れており、二つだけ残っていた。
コカトリスの卵
状態 良好
コカトリスの卵は希少価値が高く高値で取引をされる。
味は濃厚で非常に人気が高い。
なお現在は繁殖期のため、採取が非常に困難である。
「へぇ~」
ここにきてようやく異世界らしい物を見つけたケイは、その卵をアイテムボックスに収めると足早に洞窟を後にした。
卵をどう料理しようかと思案しながら洞窟から出ると、太陽は西に傾いていた。
事前の情報によると、エバ山には魔素の関係で、夕方から夜間にかけて雨が降ると言われていた。
あまり長居はしたくないため、その足を進める。
大穴から100m降りた位置から生き物の奇声と人の争う声が聞こえてきた。
そこから下に覗くと、大きなトカゲのような生き物と、数人の鎧を着た人間が見えた。
なかなか斬新な下山方法ではないかと。
よい子は真似しないでね。