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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
最終章・蘇った帝国と新たなる王
357/359

347、現像された写真とある話

皆さんお久しぶりです。2024年最初の投稿となります。

今年からちょっとずつ進めて行こうかと思いますのでよろしくお願いします。


前回のフィルムを見つけた後からになります。

「ロザリンド、どうしてこの写真の人物がゴルゴーンさんだと言えるんだい?」


ミスト=ランブルが写真を凝視しているロザリンドに尋ねた。


言われてみると、たしかに右端の男性は身長が他の二人より圧倒的に大きいし、他の種族ではないかと見てとれるが、その人物がゴルゴーンだと断定できる要素がロザリンドにはあるのだろう。


「幼い頃、一度だけこの写真の人物と同じ肖像画を見たことがある。その時一緒に居た使用人から、それがお父様の若い頃のものだと聞かされたが、ほどなくしてからその肖像画もどこかへ運び出されてしまったことを知ったよ」

「運び出された?」

「あぁ。お父様に尋ねても答えてくれないと思った私はお母様に尋ねたが、答えは返って来なかった」


ケイの横で、シンシアが(はぐらかされたのかしら?)と耳打ちで疑問を口にしたので、そこまで露骨な対応があったとなると確実に何かがあったと見て取れる。


「ロザリンドにも徹底的に隠し通す姿勢でいるってことは、やっぱ触れられたくない『なにか』があるのは確実だな」

「でもゴルゴーンさんに直接話の聞くのは難しいと思うが、どうするんだ?」

「まぁ~他にもアテはあるから心配すんな」


聞く相手が他にもいるというケイの言葉に、アダムとシンシアは疑問を浮かべた。


そんな二人を余所に、ケイはミスト=ランブルと現像してくれた青年に断りを入れてから、現像された写真をスマホのスキャン機能でデータ変換で取り込んだ。

取り込んだデータをシステムのアルバに頼み、手早く入力したメッセージと共にすぐさまイシュメルの端末に送る手配をとる。


「ケイ、なにをしたの?」

「現像された写真をデータ化にして、イシュメルに送ったんだ。あいつなら当時の記憶を持っているし、写真の人物たちが誰なのかは知ってると思ったんだ」


シンシアの問いにミスト=ランブル達がいるため、アルバのことは伏せながらもそう答える。


さすがにアルバのことを説明するのは、部外者の青年がいるためにはぐらかした部分があったが、シンシアはそれについて意味をくみ取ったようで言及することはなかった。


『パパ~、おねえちゃんたちがいるよぉ』


それまでケイに大人しく抱き上げられていたブルノワが声を上げた。

少佐が各々鼻先で器用に重なっている写真を退かせ、ブルノワがコレ!というようにある一枚の写真を指さす。


両手が塞がっているケイの代わりにシンシアがその写真を拾い上げると、驚きのあまりに「あっ・・・」と声を上げる。


シンシアの表情に訝しんだ皆がその写真を覗き見ると、神殿へ続く階段の手前で二人の女性が並んで撮られているものだった。

女性達はギリシャの民族衣装のような装束を身に纏い、写真からも分かるぐらい互いに笑みを浮かべながら仲むつまじい様子が窺える。


「ねぇ、この女性達って・・・アレグロとタレナじゃない?」


女性達に注視してみると、シンシアの言っていた通りにアレグロとタレナらしき人物が写し出されている。


この写真がいつ撮られたのかはわからないが、少なくともアグナダム帝国が存在していた辺りであることは間違いない。だが、ケイ達だけではわからないことが多いため、一旦イシュメルの返答を待つしかない。


「なぁ~この写真って、俺が渡したフィルムの状態とか年代で判断できるか?」


ケイがフィルムを現像した青年に問いかけたところ、大まかでしか分からないが大体1500年より前のものだと答える。


「あ、でも・・・」


そこで青年が何かを思い出したかのように声を上げ、少し待ってて欲しいと述べてすぐさま奥の部屋へと入って行き、数分後に姿を見せた時に手に何かを持って戻って来た。


「それってアルバムか?」

「はい。曾祖父のものをそのまま受け継いだものですが・・・あ、これです!」


青年が深緑の分厚いアルバムの表紙を開き、ページを数枚捲ってからこの写真と同じ年代ではないかと指さした。


見ると、青年が持ってきたアルバムのとあるページの写真にアレグロとタレナが写った写真と同じ構造の階段と丘の上に神殿のような建造物が写し出されている。

話を聞くと、彼の曾祖父は若い頃写真家をしていたようで、当時アグナダム帝国を頻繁に訪れては色々な場所を撮影していたという。

しかし彼の曾祖父がジャヴォールへ戻り、再度アグナダム帝国へ向かおうとしていた時に当時運航していた飛空挺が停止、以降アグナダム帝国へ向かうことはできなくなったと語った。


「曾祖父はまだ健在ですが、写真を撮った時はかなり若い頃だったと聞いてます。ちなみに写真に写っている建物は、2000年前に建てられたそうです」

「見たところ神殿っぽいけど?」

「当時は祈祷所という名目で建てられたそうですが、北部地区の子供達に学問を教える場だったり、憩いの場としても提供されていたようです」


続けて青年は、現像した方の写真に写っている女性たちは、アグナダム帝国の王の娘ではないかと続けた。

現に彼が持ってきたアルバムに何枚かアレグロとタレナとおぼしき女性が写っており、当時アグナダム帝国の人々が生活している様子と共に二人の様子も確認ができる。


「それから、これは僕から聞いたと言わないで欲しいことなんですが・・・」


青年が気ますそうな表情を浮かべてから、口外しないことを前提にケイ達にこんな話をしてみせた。


「これも曾祖父から聞いた話なんですが、アグナダム帝国があった頃にゴルゴーン様は研究者もしていたそうです」

「研究者?何の研究をしてたんだ?」

「そこまで聞いていないそうですが、元々かなり若い頃からアグナダム帝国に感心を持たれ、そのなかで『魔機学』の基礎を学び、ジャヴォール発展のために交流を持たれたのがはじめだと言っていたそうです」


青年が聞いた話では、ゴルゴーンはアグナダム帝国が栄え始める頃から魔機学に関心を持ち、当時ジャヴォールの国発展のために勉学に勤しんでいたという。


当時からカメラ技術に興味を持ち、写真家をしていた青年の曾祖父は、ゴルゴーンの父である前・魔人族の長から、魔機学に関する分野を記録として残すことはできないかと相談を受けていたそうで、カメラ技術を保持していた青年の曾祖父はそれを承諾、写真として記録に残したという。


「このアルバムはその記録の一部ってことか?」

「あ、いえ。これは曾祖父が趣味で撮影していたものです。他にもあったはずなんですが、今すぐにお見せできるのはこれだけなので・・・」


気まずそうに頭を掻いた青年は、普段アルバムがある奥の部屋を掃除することがないので、すぐ見せることが難しいと話す。


アルバムの残りのページをめくると、当時の生活の一部が写し出されている。

写真の保管状態がよかったせいか若干色あせはあるものの、ケイ達が持ち込んだフィルムより断線その様子がありありと見てとれる。


「あと、本当かどうかはわからないのですが、ゴルゴーン様はアグナダム帝国の王と旧知の仲だったと言ってました」

「王と旧知?シャーハーン王のことか?」

「じゃないかと思います。ただ、ある日を境に交流が途絶え、ほどなくしてアグナダム帝国行きの飛空挺が運行を取りやめたそうで、関連があるかまでは・・・」


自信なさげな青年の話に、ケイ達は現像された写真を再度確認する。


もし青年が曾祖父から聞いた話が本当ならば、三人が写っている写真は生前のシャーハーン王とイメルダ、その二人の隣はゴルゴーン本人だと考えられる。

またジャヴォールは、魔機学のおかげで発展し今日まで続いているとなると、ゴルゴーン自身が技術に近い分野にいたのではないかと推測する。


ケイは青年に再度断りを入れ、彼が保持していたアルバムのいくつかをデータとして取り込んでいいかと尋ね、青年はケイがすることに疑問を抱いたいたものの、悪いことに使わなければ、と二つ返事で承諾をする。


カメラでアルバムの写真を映像として記録し、再度イシュメルに確認して欲しい旨のメッセージを添え送る。


「でも写真に写ってる大柄の男性がゴルゴーンさんなら、なぜ現像せずにカメラを倉庫に放置していたのかしら?忘れていたから?」

「いや。たぶん“見たくなかったから”じゃないかと思う」

「見たくなかったから?とういうこと?」

「こいつ(青年)が聞いた話が本当だとすると、何かきっかけがあってゴルゴーンがシャーハーン王と縁を切ったと考えるべきだろうな」


たとえば・・・とケイが続けようとしたところ、言いかけた続きのことに気づいたアダムとシンシアが(まさか!?)と言いたげな表情を浮かべる。


思えばケイ達が屋敷へ赴きゴルゴーンに対面した時、アレグロとタレナの姿に驚いた様子があった。

それは過去に存在していたアスル・カディーム人が存命し、目の前に立っていたから驚いたというよりも、なぜこの姿を・・・と言わんばかりの表情に近い気がした。

あくまでもケイの推測にしかならないが、おそらくそういうことだったのだろう。


それからケイ達は長居してしまった事を謝罪し、協力してくれた青年に感謝を述べると、アレグロ達が待つ屋敷へ戻ることにした。


別れ際に存命である彼の曾祖父の事を尋ねると、アグナダム帝国で写真家もしていたが、飛空挺の運行が取りやめになったあとに写真家を引退したそうだ。

今ではカメラ関係の指導に回っているが、幾分腰が悪くなったようで痛いなと愚痴っているものの、まだまだ現役で自由奔放だと青年は苦笑いを浮かべていたのが印象的だった。


見つけたフィルムを手に入れたケイは、ミスト=ランブルの知り合いの青年に現像をして貰い、それをデータ化してイシュメルに送り、確認をお願いすることに。

果たしてゴルゴーンが協力を拒んだ理由はいかに?


閲覧&ブックマーク&感想などありがとうございます。

細々とマイペースに活動していますので、また来てくださいね。

※誤字脱字の報告、または表現の提供をありがとうございます。


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