表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
最終章・蘇った帝国と新たなる王
338/359

328、精霊族が渡った経緯

みなさまご無沙汰しております。

多忙につき、なかなか更新できずに申し訳ありません。


さて今回は、素直になります!アナベルと勘の鋭いイベール&レマルク兄弟に、ある人物にコンタクトをとるケイ達の回です。

「アナベル!」


来た道を戻ったアナベルは、甲板に出たタイミングで探し回っていたイベールとレマルク兄弟と鉢合わせをした。


二人はアナベルが目を離した隙に居なくなったことに慌てふためき、船内のあちこちを探し回っていた際に、彼女と会話を交わした他の船員からバギラの元に行ったことを聞き、迎えに行こうとしていたところだった。


レマルクがアナベルの姿を確認するや安堵したのか、その場で腰を下ろし、安堵の表情を浮かべた。


「無事でよかった。他の船員からバギラさんのところに行ったって聞いたから、迎えに行こうと思ってたんだ」

「ご、ごめんなさい・・・」


イベールから船員から聞く前に“もしかしたら船を降りたのでは?”と考えていたことを聞いたアナベルは、自分を捜し回っていた二人に対して申し訳なさそうな表情で頭を下げた。


「でも、なんでバギラさんのところに?」


以前、ケイ達経由で過去の出来事により精霊族はエルフ族を嫌っていることを聞き覚えていたイベールは、なぜ彼女が嫌いだという系統のバギラのところへ向かったのかと疑問を浮かべる。

その少し前に彼女と会話をしたという船員曰く、精霊や妖精のことで悩んでいた様子だったことを聞いた。

その話を聞いたイベールは、実はドゥフ・ウミュールシフの出来事にも関連しての行動では?と思いはしたものの、本人の口から聞かない限り安易に考えを巡らせないよう、それを一旦脇に置く。


「わ、私・・・精霊達に嫌われているからどうしたらいいのかわからなくて・・・」


アナベルは、先ほど会話を交わした船員に何の気なしに自分の悩みを口にしたところ、その船員から精霊や妖精に詳しい人を知っていると、同じエルフ族のバギラを紹介された経緯を二人に説明した。

また、彼女はかなり前から島の精霊達との関係に悩んでおり、色々と手は尽くしたのだが、このまま島に留まり続けても関係は改善されないのではと考えていた様子だった。

事実、それが原因でイベールとレマルクが騒動に巻き込まれたこともあったが、話の中で船内に飛び交う妖精達の案内でバギラの元へ向かったことを聞き、必ずしも精霊や妖精全体から嫌われているということではないことを二人は感じ取る。


「でも、バギラさんのところには妖精達の案内で行ったわけだから、必ずしも嫌われていることはないと思うけど、兄ちゃんはどう思う?」

「この話だけではなんとも言えないけど、もしかしたらなにか他に事情があったのかもしれない・・・」

「事情?」


イベールの言葉にレマルクとアナベルが同時に首を傾げた。


これはあくまでも憶測でしかないが、もしアナベルが本気で島の精霊達から嫌われているのなら、生まれた段階でなかったことにされていた可能性もある。

しかし彼らは口々に酷い言葉を並べたことはあれど、彼女への実害がないことからあえてそんな態度をしているのでは?と考える。

もちろんそれが本当にそうなのかはわからないが、今までいろんな人々を見てきた経験上、そんな態度をしている人の中にも“実はかなり根が深い悩みを抱えてが故の行動”だったという話も聞いたことがある。


イベールとレマルクは、母親と話がしたいと言い続けているアナベルの様子に、一度ダットに相談した方がいいのではと?考え、彼女を連れて船長室へと向かったのであった。



一方その頃ケイ達は、場所を応接室に移してからある人物にコンタクトを取るために所有しているタブレット端末からアルバ経由で連絡を取っていた。


その人物は、現在ウェストリアに在住しているイシュメルで、彼に以前訪れたドゥフ・ウミュールシフでの出来事を簡潔に入力し、それをふまえて当時の精霊族とアグナダム帝国および他種族との関わりがどうだったのか知りたいという内容のメール文を送った。

返事はシンシアとレイブンが戻って来てから三十分ほど経った後で、イシュメルからの返事には、当時の精霊族との交流を中心としたある内容が記されていた。


イシュメルから送られた文面によると、精霊族との歴史というのはアスル・カディーム人がアグナダム帝国を建国するよりかなり前から関わりがあったとされ、その当時は精霊族の事を【自然の民】などと呼んでいた。


またシャーハーン王は、建国当時から魔力だよりの生活はいずれ崩壊すると考えていたようで、自分たちの力とは別の力や技法を持つ精霊族に興味を持ち、精霊族のしきたりに則って契約を交わそうとしたが完了に至らなかったとされる。

これに関してイシュメルからは、アスル・カディーム人は魔法全般の能力が高くなく、技術的に発展はできるが、エネルギー部分で国を支えるシャーハーン王頼らざるおえないということを危惧し、代替になるような動力部分を試行錯誤した結果、精霊族の手法というべき精霊魔法などに目を付けたが結果的には自分たちは条件を満たさなかったと記されている。


「精霊の力を借りるというのは、かなり昔から案としてあったんだな~」

「でも、なんでアスル・カディーム人は契約できなかったのかしら?人・・・というよりもダットさん達が出来るんだから彼らもできるはずじゃないの?」

「シンシアの言うことも一理あるが、もしかしたら“永遠人だったから出来なかった”んじゃないか?例えばの話、アスル・カディーム人は、元々メルディーナによって創られた人種で、本来アレサが管理している世界には存在していなかったわけだから、気の流れというか魔力の仕組みが根本的に別次元だったんじゃないかと俺は思ってる」


アレサが共通語に翻訳をした添付された当時の資料には、アスル・カディーム人が精霊族と契約出来なかったため、アグダル人が間を取りもって代替エネルギーの研究をしていたが頓挫したことが記されている。

このことに関しての詳細は追記されていなかったが、以前リュエラから精霊族の数が減少したという話を思い出したケイは、搾取されて減少したのではなく、実は逆だったのではと考える。


「精霊族の数が減少したその原因は、代替エネルギーの研究に協力したことにより“自ら自分たちの縮めてしまった”ってことか・・・」

「ちょっと待って!リュエラさんは戦争によって精霊の数が減少したって言ってたけど、嘘を言ってたこと!?」

「あながち間違いじゃない。けれど、それ以前に位の高い精霊が減少し続けた一因がこの代替エネルギーの研究から始まったとなれば、遅かれ早かれ詰んだのは間違いなさそうだな」


これは、あくまでもイシュメル達が解読した残された資料の一部に記載されていたことであり、ケイ達の完全な推測でしかなかったが、ここでアダムが何かを見つけたようでその分を指さした。


「ケイ、これを見ろ」

「ん?なんかあったか?」

「この部分に精霊族の長のことについて書かれてる」

「えっと~なになに?精霊族の長は、アフトクラトリア人に“殺された”?」


アダムが見つけたデータ資料の一文にアナベルの父であり、リュエラの夫である前・精霊族の長のことについて記載されている。


そこには暴走したアフトクラトリア人によって、精霊族の長が殺害されたという事実と共に、将来的には彼の子を使って新たな研究に取りかかろうという内容が記されている。


「アフトクラトリア人は、独自で研究を行おうとしていたってことか?でもなんの研究なんだ?」

「たぶん・・・永遠人になる研究ってことだな」


アダムの疑問に対して、何気なく口にしたケイの推測は一同をギョッとさせる。


以前、ルシドラの子供がアフトクラトリア人たちによって殺害されたという経緯を聞いたが、その延長線上で彼らは次なる標的として、精霊族の長の子供つまりはアナベルを狙っていたのではと考える。

真意は定かではないが、長の血を引いている子供は能力が通常の子より高いということがあることから、生まれて間もなく自身の身を守れない子供に目を付けてことを進めようとしたのなら、アスル・カディーム人は精霊族を彼らから引き離すために島に移したのではないかと、ケイはそんな想像を膨らませている。


「となると、アグダル人と精霊族が契約したのも、実はアフトクラトリア人から護るためだった・・・という可能性はあるのかな?」

「そんなわけ・・・「いや、その線もなくはない」」


そう口にしたレイブンにまさかとシンシアが首を振るが、間髪入れずにケイが可能性は0ではないと言い切る。


というのも、先ほどダイニングルームにて話をしている最中にブルノワと少佐の相手をしていたダビアが何度か割り込もうという素振りを見せていた。

それが触れて欲しくないという態度なのかどうかまではわからなかったが、その様子がブルノワと少佐にも違和感を抱かせたのか、二人は突如庭で遊びたいと駄々をこね、半ば強引に彼女を連れて庭に出たタイミングでケイ達も移動して今に至る。


イシュメルからの資料を基に考察するならば、アナベルが誕生する前に精霊族の長に子供が出来たことを知ったアフトクラトリア人は、機を見て行動出ようとした。

まぁ、結果的には実現には実行されることはなかったのだが、そのことをアナベルが今まで知らないままだとしたら、本当の事を知れば彼女が傷つくと考えて、リュエラやダビアをはじめとした精霊族は、事実を態度として隠蔽し続けていたのではと思いに至る。


「ケイ達の話をまとめると、ダジュールの神様は“二人いた”という考えもできるが、でも今はその原因となる人物は居なくなったということになるけど、それならもうアナベルに真実を告げない理由はないはずだが?」


今まで黙って話を聞いていたセディルから、そもそもの原因を作ったメルディーナという人物は粛清され、アスル・カディーム人が創ったアフトクラトリア人も抹消されたとなると、この先アナベルが彼らから狙われるということはなくなったのでは、と意見する。


「全員同じ考えなら、リュエラもとっくに話してただろうな」

「じゃあ、なぜ?」

「精霊族の中にも、本当に“アナベルのせいで長が死んだ”と思い込んでいるヤツがいたからかもしれない。そもそも精霊は自由奔放な反面、繊細な部分もあるしある意味では気むずかしい種族なんて聞いたことがある」

「なら精霊族は、彼女の存在によって別の問題が出ていたってこと?」


続けたシンシアの言葉に「かもしれない、ってだけだよ」と、ケイはイシュメルから送られた資料を前にして、一旦リュエラに聞いてみるしかないな~と自分たちが立てた仮説の答え合わせをするべきかと考えた。

イシュメルから提示された資料には、アスル・カディーム人が将来的に考えていた代替エネルギーの研究というワードが出てきました。またそれにより精霊族の数が減少し、実はアナベルも狙われていたのではとされる記述も発見されました。

母親と話をするべく戻ろうとするアナベルと、提示された資料からリュエラに聞いて見るべく彼女の元へ向かおうとするケイ達。

一体何が語られるのでしょうか?


閲覧&ブックマーク&感想などありがとうございます。

細々とマイペースに活動していますので、また来てくださいね。

*誤字脱字の報告、または表現の提供をありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ