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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
最終章・蘇った帝国と新たなる王
325/359

316、いきなり訪問ージュランジ&ルバーリア編ー

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

さて今回からいきなり訪問・ジュランジ&ルバーリア編です。

皆さんは魔の二歳児をご存じだろうか?


子育て中の世のお母さん方が、最初に迎えるある意味大きな試練のことである。

天使の様に愛らしい自身の子は、二歳ぐらいになるとその見た目にそぐわないほどの悪魔になることがあり、一般的に第一次反抗期と呼ばれ、海外ではterrible twoという英単語があるほど有名である。

日本では別名:イヤイヤ期・怪獣期などと言われているのだが、一説には、自我が芽生え始めた年頃に自分の気持ちを上手く言葉で表現できないため、その変わりとして欲求不満や癇癪をすることで伝えているのでは、などと言われている。


ここにも子を持つ親御さんのごとく、魔の二歳児のような現象にあたふたする一人の男が居る。


『いっっっやぁぁぁぁああああ!!!!!』

「ブルノワ!いやじゃねぇだろ!?」

『バァァァウ!』『ワァァァウ!』『ガァァァウ!』

「サウガ!ショーン!ヴァール!食べ物で遊ぶなっってんだろ!!」


本来なら平和であろうこの日の朝食の場は、ケイVSブルノワ&サウガ&ショーン&ヴァールという、異種格闘技戦のような激しい戦いのような日常が繰り広げられている。


実はブルノワと少佐が生まれてからもうすぐ二年が経とうとしているのだが、最近になってから彼らの行動が活発になり、人間のいうイヤイヤ期によく似ていると感じはじめた。

特にブルノワは魔物でありながら人と同じような容姿をしており、背中の羽根を除けば街に住んでいる女の子と大差がなく、ケルベロスのような容姿をしている(実際にはみたことがないため想像になるが)少佐は、ブルノワと一緒にいることもあってか、人間のような動作や反応を示すことがある。


一般的な魔物にも魔の二歳児という概念が存在するか否かは不明だが、少なくともダジュールにも存在することを最近知った。


「しかし困りましたねぇ~」


着替えをさせるにもご飯をさせるにも風呂に入れさせるにも、ブルノワと少佐が言うことを聞かないことに、なんでもそつなくこなすあのローゼンでさえ苦い顔を浮かべる。


子供の扱いを熟知している彼でさえこの表情だ。


子供はおろか、結婚もしていないケイにはたとえ相手が子供であろうと宣戦布告上等!というように、本来ならやってはいけないマナーをわざと行うブルノワと少佐に、それはやっちゃダメ!と注意しまくる。

それを辛抱強く見守る母親はやっぱり偉大だったと思わざれるが、一通り注意し終えたケイは、ふて腐れながらも大人しく食事を取り始めたブルノワと少佐の変化の原因を少なからず理解はしている。


ここ最近、桜紅蘭やダインなどに赴いていたことからブルノワと少佐を相手にしてやれなかったことである。


もちろん、時間が空いている時には必ず遊んだり構ってはいたのだが、いかんせん人間に換算するとまだ幼子の彼らは、(ケイ)に甘えたい年頃なのだ。

ただ、それをどう表現して良いのかわからずこのような行動を取るとなると、少しの間でもそのことから頭から抜けていた自分にも落ち度があると自覚したケイは、はてさてどうしたものか・・・と考えてから、ハッとあることを思いつく。


「・・あ、そうだ!ブルノワ!少佐!これから出かけるぞ!」

『でかける・・・?』『『『ガゥ???』』』

「ローゼン、ブルノワ達に出かける準備をさせてくれ」

「承知しました・・・?」


ブルノワと少佐は揃って小首を傾げ、その後ろで待機しているローゼンに出かける準備を指示すると、彼もはて?と言った様子のまま一応は同意した。

突拍子もないケイの提案にいつもならイヤイヤ状態が発動するのだが、急な展開について行けず唖然とした様子で出かける準備をしてくるとわしゃわしゃと頭を撫でてからその場を離れる。



「ケイさん、準備が整いました」



暫くして、ローゼンが出かける準備が整ったブルノワと少佐を連れてやって来た。


エントランスの一角に設置しているゲートを調整をしていたケイが顔を出すと、マリンルックのような白と青を基調とした可愛らしい服装のブルノワと、最近パーシアから貰った赤黄青とそれぞれの色のついた首輪を着けた少佐がケイの元へと駆け寄り飛びついた。

ケイとのお出掛けが嬉しかったのか、ブルノワは引っ付き虫のようにケイの背中にしがみつき、少佐は足元をクルクルと周りながら舌を出し喜んでいる様子が見られる。


「ケイさん、お二人を連れてどちらへ?」

「あぁ~ジュランジとルバーリアだ。最近ゲートの調整ができたから、顔出してこようと思ってな」


本当ならアダムも一緒にと考えていたのだが、生憎今日はダナンから戻ってくるシンシアとレイブンを迎えにアーベンへ出掛けている。

ローゼンはケイ一人で大丈夫なのかと心配していたのだが、初めて行く土地ではないことから、桜紅蘭やダインのような交流をしに向かうのだろうと察した。


「少し経ったら戻ってくるから、もしアダム達が戻って来たら伝えておいてくれ」

「承知しました」


それからケイは、ブルノワと少佐を連れて動物園水族館もといジュランジとルバーリアへと向かったのである。



そういえば桜紅蘭の時もダインの時もそうだったが、ゲートの先は何処に繋がっているのか?そんなことを考えながらゲートを潜ったケイ達の視界に、見慣れた港町が広がった。


辿り着いた先はジュランジの港側のようで、往来が多い大通りから少し離れた場所に繋がっている。

ダインのように、何処かの民家や店先に出現しなかっただけまだマシなのだが、陸路がない島国に辿り着いたケイは事情を知らない獣族のことも考慮し、ここからどう動こうかと考える。


「あ、ブルノワ!少佐!」


その時、思案しているケイを余所にブルノワと少佐がきゃっきゃとはしゃぎだし、そのまま大通りの方へ駆け出した。


ケイがあっ!と声を上げたが、一歩遅かったようで彼らは人通りのある大通りへと飛び出し、慌てて掴まえようと追いかけるも人の行き交いが多く、ブルノワと少佐は小柄で素早いせいかなかなか掴まえられない。



「おーい!誰か前にいる“子供と犬”を捕まえてくれ!」



途中からブルノワが少佐の背に乗り、まるで野性味溢れたどこぞの王の子供のようなやんちゃぶりを発揮する。その姿に逞しくなったな~と感傷に浸りかけたが、大通りというかなり目立ったはた迷惑な暴走っぷりに手を焼いているのは、見ての通りである。



『『『キャン!』』』



人の波をかき分けブルノワを乗せた少佐が、全速前進のまま誰かにぶつかった。


その弾みでブルノワが後方に投げ出され、寸前でケイが受け止めると、慌てた様子で前方にいる少佐を確認する。


「ここは多くの者達が通る場所だ。怪我をしては大変だぞ?」

『『『クゥ~~~ン・・・』』』


一際大きな体格の虎種の人物が、しゃがみ少佐を気遣うように優しく撫でた。

その見覚えのあるシルエットにあれ?とケイが気づき声を掛けると、その人物もこちらに気づき驚いた様子を見せる。


「あれ?ギエルじゃん!」

「これは、ケイさんではないですか!一体いついらしたのですか?」

「ちょっと前だ」

「えっ?ですが、船が来たという報告は受けていないのですが・・・」


困惑した様子のギエルにケイが耳打ちで簡素に説明をすると、虎種特有の瞳が驚きのあまり見開かれこちらを凝視する。


そんな二人のやりとりが珍しいのか、大通りの一角がちょっとした人だかりになりかけていたのだが、ギエルがその人だかりに速やかに解散するようにと述べると、統制の取れた軍のようにサッと引いた。

彼曰く、言うことを聞かないとギエルに食べられてしまうという脅しのような教育があるようで、そんな話が広がっていたことを知った時には、かなりショックを受けたそうだ。


「なんでそんな話が広がってるんだ?」

「どうやらあるごとに私がマードゥック様に口を出しているので、その場面をいろんなところで見られるが故にこんなことに・・・」


困惑したギエルがその原因を答えると、あぁ~なるほど~とケイが察した。


普通なら族長に物言いができる人物は限られる、ここに居るギエルはその数少ない人物の一人だからこそ、人々の間である意味教育的なことに使われているといったところなのだろう。

たしかに彼は背も他の獣族より大きく、虎種の遺伝的なこともあり顔の造形もかなり厳く怖がられることがある。

しかしブルノワと少佐は物怖じせず、少佐に至っては撫でろ撫でろと催促をする辺りを見ると、決して顔の造形のせいではなく、マードゥックと行動するときに出る雰囲気で敬遠されてしまうのだろう。


「ところでマードゥックはどこにいるんだ?」

「それでしたらいつもの店にいらっしゃるかと」


ギエルによると、ケイ達が以前行った竜のほこら内にある店にいるようで、また仕事をサボっているのかと聞くと、今回は普通に休みで以前からグドラと約束があったため飲みに出歩いているという。


「ですが最近少し困ったことがありまして・・・」

「困ったこと?またなんかモメてんのか?」

「えぇ。実は食のことでグドラ様と言い争いになりかけてましてね」


特にお酒が進むとそれが進行するようで、過去に何度か店側に被害が出ることがあったそうだ。


人魚族と獣族は食習慣が環境が異なるので、必然的に食も好みも違うのは当たり前なんじゃ・・・とケイは思ったが、ギエルからそのことで最近島の子供達の好き嫌いが多くなったと聴く。

食?と子供の好き嫌い?とその意味が分からずハテナを浮かべたケイだったが、その疑問はギエルに連れられてすぐに理解する。



「肉を食うのは当然だろう!!」

『何を言っている!?魚こそ至高の食に決まっておろう!』



以前来たことのある店に到着するや、店先から大の大人の言い争いが聞こえた。


族長同士がなにを言っているんだか・・・と顔を顰めながら店内を除くと、料理が並べられたテーブルを挟んで、マードゥックとグドラが言い争いをしている場面に出くわす。


ギエルは額に手を当てて頭を振り、ケイ達はなにがどうした!?と言いたげな表情で二人のやりとりを見つめたのだった。

ギエルと再会したケイは、マードゥックとグドラが言い争いをしている場面に出くわします。

族長同士の言い争いの原因とは?


閲覧&ブックマーク&感想などありがとうございます。

細々とマイペースに活動していますので、また来てくださいね。

※誤字脱字の報告、または表現の提供をありがとうございます。

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