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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
アレグロの救済とアグナダム帝国
286/359

278、眺視スキルと助っ人参上

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

さて今回は、ベトの眺視スキルと助っ人登場回です。

ケイの指示で、北部地区のメインシステムの再稼働とカロナック大橋を動かす仕掛けが同時に作動した。


強い揺れと海面が激しく波打ち碇泊している魔道船への揺れが強まると共に、甲板にいる船員達は何かに掴まれるように体勢を整える。

それから全員がすぐ北側に橋の一部である支柱を見上げると、支柱から地響きと仕掛けの一部とおぼしき大輪の歯車が回り出す音が辺りに響き渡った。


「ち、ちょっと!?この地震はなんなのぉ!?」


続々とシンシア達や船室で休んでいたであろう船員達が続々と甲板にやって来る。


ケイがメインシステムの再稼働とカロナック大橋の仕掛けを作動させたことを告げると、なぜ!?と全員がこちらを見やる。


「なんで橋まで動かす必要があるのよ!?」

「ヴィンチェ達が大陸側の仕掛けを見つけて動かしたらしいんだ!」

「嘘でしょ!?」


ベトの一件からすぐに、ケイ宛てにヴィンチェからのメッセージが届いた。


その内容によると大陸側のカロナック大橋の仕掛けを作動させた旨が記載され、他にもに発見された文献には、アグナダム帝国北部地区にあるカロナック大橋のことが記されていた。

以上のことからベトが眺視スキルで視た光景は、同じタイミングでヴィンチェ達がアグナダム帝国へと続くカロナック大橋を作動させた光景だったと理解した。


それからケイ達が新大陸へ渡る少し前に、ヴィンチェ達はカロナック大橋のことが気になっているので調べに行くとメッセージに書かれていたことを思い出す。

互いにもしこの先何らかの形で出会うことがあれば、直接情報の共有もしておくべきだろうぐらいのことしか考えていなかったのだが、まさかそれが今だとはなんたる偶然なのだろう。


そんな事を思っている間に、目の前で仕掛けによって海面から浮上したカロナック大橋の姿が現れる。


海の彼方へと一直線に続くその橋は、長年海中に沈んでいたことにより藻や海藻が付着し長い年月を物語っている。

ケイの起こした行動により、その場の全員がなにがなにやらと困惑した様子で見つめている状態を余所に、スマホでヴィンチェ達に現在地とアグナダム帝国北部地区側のカロナック大橋を浮上させたという内容のメールを送った。


それから数分も経たずに返事が返ってくると、全くの偶然ということに驚きを感じながらも実はケイ達に話があるようで、ヴィンチェ達の方からカロナック大橋経由でアグナダム帝国へ向かうので、そこで落ち合おうという流れになった。


ケイは未だに困惑しているダットにヴィンチェ達の事を伝えると、元からそんな流れだったのか?と聞かれた。

もちろん全くの偶然だと返すと、ベトのこともあるので一度彼を船医室に連れてから、後ほど詳しい話を聞くことにしようと話がまとまった。



それから十分ほど経ってからダットが甲板に戻って来た。


「ダット、ベトは大丈夫か?」

「あぁ、バギラから働かせし過ぎで疲労も起こしているって怒られちまったぜ」


頭を掻き、眉を下げた表情をダットの表情は少し気落ちしている様に見えた。


船員の事を第一に考えている彼にしては珍しい光景だった。

特に今回の一件で、バギラから「編制が偏っているので、早急に船員の勤務状況の改善を要求します!」とはっきりと言われたらしい。ダット曰く、その部分が気の強い自分の妻とよく似ていると苦笑いを浮かべる。


「ダットさんが早めに勤務状況を変更して頂ければ、このようなことは起こらなかったかもしれませんけどね~」

「バ、バギラ!?」


後方に甲板から上がってくるバギラの姿が見えたかと思うと、ドキッとした様子で振り返り、ドモリながら言葉を紡ごうとしているダットが狼狽える。


「それで、なにか言ってたか?」

「ベトの話では、少なくともアグナダム帝国に入る少し前から眺視スキルが強まった感じがしたと言っていました。そのせいか檣楼に上がると、自分が予期していない状況でスキルが発動するそうで、私の目からでも精神的な疲労も見受けられました」


話を詳しく聞いたバギラによると、本人にも思い当たることはないそうでとても不安そうな表情をしていたそうだ。


となると、眺視スキルを使えるベトは暫く業務から休ませた方がいいとダットは考える。しかし、魔道船を安全に航海させるためにはベトの存在が不可欠であり、彼以外にそのスキルを持つモノがいない事から、魔道船にとってもかなり痛い状況であることがあげられる。


「みんな、ひとついいかな?」


ここでレイブンが口を挟んだ。


話の流れを遮るようで悪いのだけど、と前置きをしてから自身が抱いている疑問を口にする。


「レイブン、どうかしたのか?」

「あ、いや、ちょっと気になることがあるんだ。もしかしたらそのきっかけって、精霊と契約したからとかではないかなと思ったんだが?」

「精霊?どういうことだ?」

「あくまでも俺の思ったことなんだが、ドゥフ・ウミュールシフの時に全船員がそれぞれ契約したと聞いているから当然ベトも精霊と契約しているはずなんだ。そうなると身体的なスキル持ちだと種類によって異なるが、魔素に反応してスキルが発動するものがあると聞いたことがある。たぶん、スキルに精霊の力が加わった可能性があるかもしれない」


だから・・・と言いかけたところで、なにかに気づいた様子でバギラがあっ!っと声を上げる。


「う゛ぉっ!バギラ~脅かすんじゃね~よ!?」

「ダットさんすみません。ですがレイブンさんに指摘されるまで気づきもしませんでした」


ケイ達は、迂闊だったと反省するバギラからこんな話を聞くことができた。


「精霊との契約を全船員が行っている事は皆さん、当然知ってますよね?」

「あぁ、俺もこいつらがついて来てから海の様子がよく分かるようになったぜ」


ダットの周りを飛び回るように精霊達がクルクルと回り、それです!とバギラが詰め寄ると同時にダットが彼の発言に驚き身体が反射的に飛び跳ねる。

その様子から普段声量を上げない人物がここまで張り上げるということは、かなり興奮していると見える。


「実は、ドゥフ・ウミュールシフの後から体調に異変をきたす船員が何人かいました。私も最初は長距離からの体調不良と考えていたのですが、レイブンさんの話を総合的に判断しますと、精霊の力によって各自所持しているスキル等が強化または能力向上傾向があったのだと推測できます。特にベトの場合は、空と風の精霊と契約していたようで、確認した限りでは常時8~10体の精霊が彼の元に留まっていました」


それがどういうことを意味しているのか、そこでダットは気づき自身の至らなさに悔いた様子を見せる。


バギラの言いたいことはこうである。


時折体調不良を訴えた船員は、各自契約を行った精霊達の力によって身体的能力やスキルが強化された可能性がある。

現に聴力の優れている船員はより遠くの音を聞き取る代わりに頭痛を訴え、体力や戦闘技能に長けた船員は、技能が上がると同時に身体の節々に熱を持った感覚を覚えている。これは、急激な能力の上昇によって急激に身体に負荷が加わったことによる一時的な症状のひとつだという。


それからベトは、最初こそ空と風の精霊それぞれ一体ずつ契約していたのだが、日が経つにつれて本人も知らない間に複数契約が成立していたがと考えられ、それ故に、他の船員と同じように眺視スキルが向上した反動で身体に異常をきたしたのかもしれない。


そもそも、能力向上がどれくらいなのかはバギラでも詳しく調べてみないと分からないようだが、他の船員の話では体感的に倍ほど上がっているらしい。


そうなるとベトの【眺視】スキルは、通常1~2km先が視えることを基準に考えると、精霊の数だけ倍に上昇することで能力自体は約16~20倍ほど跳ね上がる計算になる。少なくとも数十km先が視えるとなると、成人を過ぎている十代の若者であっても急激な負荷にすぐに順応することは難しいだろう。


「じゃあ、ベトが契約している精霊はどうするんだ?」

「幸い精霊(彼ら)とは意思疎通ができますから、段階的に適応させるように私から指導いたします。様子を見る限りでは、精霊達はベトの役に立ちたいが為に能力の向上を後押ししていたようですから」


バギラはエルフ族であることから、精霊の扱いにも多少なりとも長けている。


もともと彼自身も精霊と契約しているため、こういった症状も経験済みであることから同じように体調不良を起こしている船員たちにも同じように指導している。

また今回の一件で、ベトには長期的な精霊との関わり方や能力の制御の仕方を計画的に教える予定を考えているそうだ。


さすがエルフ族である。



それからヴィンチェ達が大陸側のカロナック大橋を渡りやって来たのは、翌日の昼を少し回った頃だった。



「ケイーーー!!」



橋の反対側からヴィンチェの声が聞こえ、甲板にいるケイ達がその姿を見て顔を引きつらせた。


ベトの眺視スキルでは、確実に何十km以上も離れているはずなのに思った以上に速く合流できたことにはワケがある。


「ヴィンチェ、これどういうこと?」

「あぁ、ちょっと色々とあってね。イーサンの隊に送って貰ったんだ」


ヴィンチェ達と合流した際、なぜかバナハの軍であるイーサン・レオール率いる第五部隊の姿があった。


「ケイさん、お久しぶりです」

「お、おう!てか、珍しい組み合わせだな~」

「実はこれにはワケがありまして・・・」


軍事国・バナハの第五部隊と言えば、グリフォン隊と呼ばれる騎獣型・特殊部隊と呼ばれる部隊のことである。


現在50人編制と他の部隊より少数ではあるもの、空中戦を得意とする部隊であることから機動力は群を抜いており、ヴィンチェから少し前に起きた出来事が関連しているという。


「ということは、やっぱり・・・か?」

「うん。こっちもバタバタしててね。なかなか連絡取れずに悪かったよ」


ケイはその事がなんなのか知っている口ぶりで返したが、他の皆はそれがなんなのか分からず何のことだ?と首を捻る。


「俺の方こそ悪かった。結局押しつけるような形になっちまったけど・・・」


ケイの言葉にヴィンチェは首を振り、今回の件はガイナールやベルセ、ナットを中心になんとかなったから気にするなと返答を受ける。



当然アダム達から説明を求める声が上がり、一同は互いの情報を共有するためにまずは船内へと足を向けることにした。

バナハの第五部隊と共にやって来たヴィンチェ達。

互いに情報を共有するために話し合いをする際、ヴィンチェ達もあることが起きたようで・・・

果たして彼らから何を聞くことになるのでしょうか?


閲覧&ブックマーク&感想などありがとうございます。

細々とマイペースに活動していますので、また来てくださいね。

※誤字脱字の報告、または表現の提供をありがとうございます。

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