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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
アレグロの救済とアグナダム帝国
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258、動き出す大陸

皆様こんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

今回は、アルバによってアグナダム帝国の様子を知ることになります。

「ここ、本当に医療・研究施設地区は物騒な場所だったのか?明らかに乱闘騒ぎがあったとしか思えないんだけど?」


辺りを見回しても時間が経ち、歴史を残しつつ荒廃しているのだが、それ以上に何かが起こっていたと解釈できるほど荒れている。


やはり1500年前の世界大戦時の影響なのか、惨劇の跡が色濃く残りつつも研究施設も兼ねている場所は、数十メートルもある巨大な装置に並べられた破壊されたモニターの残骸と端末が放置されている。この世界に似つかわしくないと思うものの、アグナダム帝国の歴史を支えていたのも事実を裏付けるものになるだろう。


アルバから、この施設での当時の状況を少しだけ聞くことが出来た。


研究員であるアスル・カディーム人と助手をしていたアフトクラトリア人は、月日を重ねるごとに互いの主張と方向性のズレが生じてきたようで、その決定打となったのは、スピサが研究に力を入れていた“ドール体”だった。


ドール体の元となったのは、機械人形(オートマタ)である。


機械人形(オートマタ)は、アフトクラトリア人の歴史を垣間見られる素体であり、その事に対してアフトクラトリア人はアスル・カディーム人の考えとは異なっていた。

要は機械人形(オートマタ)を土台に様々な実験を繰り返したことによって、アスル・カディーム人のやり方が気に難色を示したといっていい。

自分たちを形成する元に色々と手を加えるところを間近でみれば、例え機械人形(オートマタ)である彼らでもいい気はしないだろう。


そんな最中、大陸に渡ったアスル・カディーム人についていったアフトクラトリア人達は、他種族と手を組み、事を起こした。


しかし易々と攻撃を受け続けているアスル・カディーム人ではなく、結果としてシャムルス人とアフトクラトリア人を自分たちもろとも歴史から葬り、残ったビェールィ人アグダル人がアスル・カディーム人の意思を継ぎ、今日までの歴史を紡いできたということになる。


改めて内部に目を向けると、様々な物が目に飛び込んでくる。


まず、入り口から右手に見えていた数十メートルもある巨大な筒状の装置である。

これは人が一人入れるほどの大きさをしており、おそらくだが隣に破壊された操作盤があることから、実験のために連動やコントロールをしていたのだろう。


「アルバ、これは端末か?」

【はい。ここで機械人形(オートマタ)の素体を実験として利用していました】

「医療の他にもしていたってことか?」

【表向きは薬品等の医療作業を目的としておりましたが、当初の目的は機械人形(オートマタ)の素体を利用して“黒腫の発生原因とその治療”を模索していました】


黒腫が発生した当初から、この場所で対抗するためのワクチンや薬を作製していたようだが、黒腫そのものがなんなのかはわからず調査は難航していたようだ。

結果として、黒腫に感染したアレグロをドール体に魂を移す処置をしたのだが、恐らくその前から実験を繰り返していたのだろう。


「ここに保管されていたデータはまだあるか?」

【この場所にあるデータは念のためにバックアップをとっていますが、先ほどにも述べたように世界大戦時に凍結されていたため、一部データがエラーになっています】

「データが壊れたか消えたって事か?」

【はい。サブシステムにてデータの閲覧は可能ですが、復元されたとしても全体の20%までしか表示することはできないかと・・・】


アルバが保持しているデータは、システムが凍結されたことにより内部の情報が破壊されたことを示す。ただし、復元するシステム自体はメイン・サブ共に完備しているので可能ではあるがその情報量は期待するほどではないかもしれない、とアルバが補足する。


「ケイ、当時の情報を探すことなんてできるのか?」

「俺の魔力でサブシステムが動いている状態だから、おそらくアルバが言うデータを表示させるだけなら、壊れた操作盤を修復すれば可能かも知れないな」


アダムからさすがにそれは無理があるんじゃないかと返ってきたが、やらないで結果を出すことは簡単だけど、とりあえずダメ元で目の前にある破壊された機械モノを前にケイが創造魔法で修復してみることにした。



「【創造魔法・修復】」



破壊された部分に光が広がり、瞬間的に当時使用していた姿へと修復される。


まるでSF映画に出てきそうな、どこから手をつけていいか分からない複雑な配置の操作盤に、壁に掛けられた状態で複数のモニターが目の前に現れる。


「アルバ、ちなみにメインシステムの復旧はできるのか?」

【現状は不可能です。アグナダム帝国には、ここを含めて大小15ヶ所のネットワークの施設がありましたが、メインを復旧させるとなると現地に赴き、復旧の処置を行う必要があります】

「ということは、全部の場所を回る必要があるって事か?」

「正確には、ネットワークの復旧するためにはメインシステムの施設が整っている四ヶ所に赴き復旧作業を行って頂ければ、残りのシステムは連動して自動的に復旧作業が行われます】


修復されたモニターの一つに、操作しているアルバからデータが転送されてくる。


【今、皆様が居る医療・研究施設地区は、アグナダム帝国東部地区の離れ小島の地下に繋がっています。本来であれば離れ小島から本島までは橋がありました】


黒いモニターに緑色の線で帝国の全体図が映し出された。

アグナダム帝国の全体図のようで、東のはずれに小島があり、そこに赤い印がついている。


【アグナダム帝国は、東部地区・中央地区・北部地区・南部地区の四つの地区に分かれています。なお、それぞれの地区にメインシステムが一ヶ所ずつあります】

「ここからだと東部地区が近いのかしら?」

「でも、ここを含めて全部海の中なんだがどうするんだ?」


アダムから島ごと海底に沈んでいるので、その場所に向かうというのは物理的に無入りなのではと、当たり前の言葉にアルバからとんでもない発言が飛び出す。



【でしたら、東部地区を浮上させる手配を行います】



「・・・はぁ?」と全員が呆けた顔をする。


メインシステムでもボケる時があるのかと、あり得ないことを思い浮かべたが、アルバは嘘でもないようで、医療・研究施設地区と東部地区のメインシステムについてこう述べた。


【先ほどメインシステムの復旧の説明しましたが、東部地区は一部この区間と情報が共有されていますので、大陸を海上に上げることは可能です】

「いやいやいや!なに「ちょっとそこの店まで行ってくる!」みたいな物言いしてんだよ!?大陸を上げる?マジで言ってんのか!!?」

【はい。マジです】


どうやら所持者が変わったことにより、ケイの魔力が一部のシステムと共有することが出来るようになったようで、このまま東部地区を海上に上げるというなんとも予想していなかった展開が発生する。

ちなみにこの地区がある小島は、幸い海に沈んでいなかったのか当時のまま残っているのだという。調べられるならそれでもいいか~とケイが了承すると、仲間達が発言する間もなく、轟音と共に強い揺れを感じた。


「ち、ちょっと!なんなのよ!?」

「おい!みんな気をつけろ!」

【現在東部地区の海上への浮上を行っています】

「なんでこっちに了承もなく、勝手にやっちゃうのよ!!」

【所持者はケイ様なので・・・】


強い揺れのさなか、シンシアの怒号がケイの方に向けられたが、そんな余裕もなく地下に居るせいかかなりの振動を感じ、各々捕まれるように位置に着いた。



時間にして2~3分ぐらいだろうか。


轟音と強い揺れが収まったのだが、場所が場所だけに辺りはさらに荒廃した様子が見られた。


「・・・ねぇ~もう大丈夫、よね?」

「まさかいきなり始めるとは思わなかったぜ~」


振動が起こる前にブルノワと少佐を抱えていたが、揺れが治まっても動物の様にしがみついている辺りがなんだか申し訳なく思う。

先ほど大陸を浮上させたと言っていたが、地下に居るケイ達にはその様子を見ることができないため、どうなっているのかとアルバに尋ねる。


【それでは、メインモニターで海上の様子を映します】


左にあるモニターに外の様子が映し出される。

小島には監視用のカメラが設置しているそうで、サブシステムを経由して外の様子が表示された。


「これが“アグナダム帝国”か・・・」


映し出された映像には、まるで地球の都心部を思わせるような高い建物が朽ちた状態で姿を現した。明らかにこの世界に似つかわしくない街並みに、さすがのケイも夢を見ているんじゃないかと頬を抓りたくなった。


「見たこともない建物ばかりね~」

「もしかしたら地球の技術を応用しているかも知れねぇな」

「地球の技術?」

「そもそもアスル・カディーム人を創りだしたのは、メルディーナだ。あいつはこの世界を管理しつつ他の世界の様子も見ていたようだった」

「じゃあ、その彼女がアスル・カディーム人に自分が見てきた地球の技術や文化を伝えたってこと?」

「かもな・・・」


嘘だと言わんばかりにシンシアは目を丸くした。


ケイも、まさかここまで日本の都心部を再現しているかのような、街並みが広がっていることなとこれっぽっちも思わなかった。


【東部地区は、当時五大御子神のナザレ様が管理をしていました】

「五大御子神が土地を管理していたって事か?」

【はい。シャーハーン王は大陸の内部的な部分を支えていましたので、五大御子神が彼に代わってを役割を果たしていました】


どうやら王自らが土地を治めているわけではなく、彼の子供達である五人が国を導いていたと言われている。


アレグロとタレナは二人で北部地区を治めていたそうで、中央地区をイシュメル、南部地区をアルペテリアがそれぞれその地で活動していた。

五大御子神と聞いて凄い任務を想像していたが、要は領主の様な仕事内容なのだろうと解釈する。


「とりあえず実際に外の様子を見てみるしかないな。表に出ることはできるか?」

【はい。皆様のいる地点の左側に通路が見えるかと思います。そこから外に続く階段がありますので、そちらに上がって建物を出てください】


ケイのなかで一度ルバーリアとジュランジに戻ろうかと考えたが、大陸が浮上している事を考えると、どうしても興味がそちらに傾いてしまう。



ケイ達は一旦外の様子を見てから考えようと、外に出る左側の通路へと足を向けたのだった。

アルバは、ケイの魔力とサブシステムを使ってアグナダム帝国の東部地区を海上へと浮上させた。

心の準備が出来て否にもかかわらず実行されたことから、シンシアからとばっちりを受けるケイ。

果たして何を見るのでしょう?

次回の更新は12月16日(水)を予定してます。


閲覧&ブックマーク&感想などありがとうございます。

細々とマイペースに活動していますので、また来てくださいね。

※誤字脱字の報告、または表現の提供をありがとうございます。

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