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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
大陸編
24/359

22、相談

ダンジョン攻略後の相談相手は?

領主様の元へGO!





幻のダンジョンを攻略した翌日、街はダンジョン消失により騒動になっていた。

誰が攻略したのか?内部はどうなっているか?などとあちらこちらで噂になっている。

通常ダンジョンを攻略した場合、冒険者ギルドに報告する義務があるのだが、出来事が出来事なだけに領主のマイヤーに相談した方が賢明だと判断し、彼女の屋敷に向かうことにした。

どちらにしろ図書館の件を含めて会いにいく予定であった。


屋敷の前の門番に話をし彼女から貰ったブローチを見せると、慌てた様子で「少しお待ちください」と言い駆けていった。

ほどのなくして案内役のメイドを連れて戻ってくる。

今は来客中のため、談話室にお連れするようにと言われたようだ。


メイドの案内で談話室で待っていると、しばらく経ってからマイヤーがヴォルトと共にやって来る。


「もしかして幻のダンジョン関連ですか?」

ソファーに腰を掛け、話を切り出す。

「さすが領主、話が早いな」

「先ほどダンジョン消失の報告を受けましたので・・・」

来客対応の相手はランスロットの部下で、幻のダンジョンの消失報告を受けたそうだ。また、城はダンジョン攻略の人物を捜索しているとも話していた。

「ということは、あなた方がダンジョン攻略者というわけですね?」

「結論から言うとな」

「ギルドに話を通さなかったのですか?」

「通せる事情じゃないのと、お願いもあるから来た」

紅茶に口をつけ、一拍おいてからマイヤーが聞き返す。

ケイ達はダンジョン内の出来事を説明した。

途中までは普通のダンジョンだったが、隠し通路やアスルの騎士の像、女神像の話も見た者でなければ信用されないと思う部分もある。

「『アスル語』ですか・・・共通語の元になった言語で、現在では歴史でしか確認されていないという」

何かを考えるようなそぶりで呟く。


「そこでだ!ダジュールの歴史を調べたい。推薦しなきゃ入れないと聞いて、あんたなら口添え出来るんじゃないかと思って来たわけだ」

エストアのディナトから推薦状も送っていると話した。ディナトからしたらケイは恩人にあたるため、出来ることをしたいと思って奮起しているとも言った。

多少大げさな感じは否めないが、嘘を言っているわけではないのであえて突き通す。

「アルバラントの図書館は、利用できるように私の方でも後押し出来るようにいたしましょう。女神像に関してはウェストリアの管轄になるかと思います。知り合いが館長を務めておりますので、多少時間はかかりますが話がつくよう手配してみます」

「よし!やった!」

「あんた領主様の前よ。少しは慎みなさいよ」

ケイがガッツポーズをする隣で呆れるシンシア。

「マイヤー様、ダンジョン攻略の報告は従来通り俺たちがギルドに報告をした方がよいのでしょうか?」

「幻のダンジョンに関しては極秘事項も関連していますので、私の方からご報告致します」

アダムの質問に領主自ら報告するという流れになる。

通常ではほぼないが、何から何まで至れり尽くせりである。


「・・・ということは、歴史が動く可能性がございます」

ヴォルトが口をはさむ。

「歴史が動く?」

実は専門家の間でもアスル語については、調査中の部分が多い。

古代の遺産もアルバラントの地下から発掘されたものが多く、今までは古代の歴史や関連性がきわめて不透明な状態だったという。

幻のダンジョンについても、関連があるかもしれないという推測で止まっていたのだ。

「古代の調査はあまり進展していないようですので、今回の件は貴重な情報・資料になるかと思われます」

「じゃあ、どちらにしろ俺たちが城に向かうことも可能性としてはなくはない?」

「すくなからず・・・」

ヴォルトが言葉を濁す。

その言葉を聞いてケイは顔をしかめた。

正直、有名になればやりたいことが制限されるということが少なからず出てくる。

できれば有名になることや城に行くことは避けたい。


「ケイさんは珍しいですね?」

「何が?」

「冒険者なら富や名声を求めるものですのに」

「人それぞれじゃね?俺は自由気ままがいいし」

マイヤーの疑問にケイが答える。

「第一、やれ権力やら、やれ陰謀やらでめんどくさい!」

「ふふ、ケイさんが上に立つのもまた違った内政でしょうね」

マイヤーが冗談半分で言うと、勘弁してくれとケイが返す。

正直、上に立てば内政どころか世界破滅である。あまり考えたくはない。


そんな会話の中で扉をノックする音がした。


「マイヤー様、お取り込み中のところ申し訳ありません」

メイドが扉から顔を出し、頭を下げる。

「なんですか?」

「王国騎士団のオリバー様が至急お会いしたいそうです」

「報告はすでに受けたはずですが?」

「それが、先ほどの報告に追加報告があるとのことで・・・」

メイドが、様子を伺うような表情を浮かべる。

「わかりました。少し待って頂くよう伝えてください」

「かしこまりました」

メイドが一礼して出て行くと、ケイ達もそろそろ引き上げる意を伝える。


「ろくにおもてなしが出来なくて申し訳ありません」

「まぁしかなないさ。ってか領主って忙しいんだな」

「私の仕事ですし、それに慣れましたけどから」

にっこりと微笑むマイヤーに、不自由だなと思うケイ。しかしそれが彼女の義務である。



マイヤーの屋敷を後にしたケイは、しばらく余所に出た方がいいか思案した。

王国が幻のダンジョンの件で探していることは、ある程度予想していた。面倒くさいことになるのは目に見えているため、なんとしても回避したいのだ。

攻略者が自分たちだと知っているのは、マイヤーとヴォルトのみ。

彼らにも口止めするべきだったかと後悔したが、二人がはぐらかしてくれくれると信じることにした。


「アダム」

「なんだ?」

「しばらくどっか行かねぇ?」

「また急だな」

「城の奴らはダンジョン攻略者を探しているんだろう?面倒に巻き込まれる未来しか見えねぇ」

ケイの言葉にアダムが唸った。

「ケイの言う通り。せめてほとぼりが冷めるまでの間、他の国を見て回るのはどうだろうか?」

珍しくレイブンが提案をする。口ぶりからして国王や上流階級といわれる人物が苦手のようである。

「そうだな・・・ケイは他の国には行ったことあるのか?」

「いや、まだない」

「それなら『護衛依頼』なんてどうか?指名依頼でマライダの依頼の話が来ているんだ」

「レイブンの指名依頼?それって俺たちも行っていいのか?」

「パーティなら、個人の指名依頼でも同行は可能よ」

シンシアは指名依頼のことを聞いているようで、どうするとケイに尋ねた。


「そうだな~ちょっと遠出でもいいかもな」

そうと決まれば、依頼を受けに四人は冒険者ギルドに向かうことにした。

細々と活動中。

次回は5月14日(火)です。


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