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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
新大陸編
211/359

205、ストーンヘッジの襲撃

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

今回は、集落に戻ったケイ達にストーンヘッジの影が現れます。

アレグロが体調を崩した時、ある夢を見た。


見覚えのないどこかの施設のような場所に身の丈以上の丸みを帯びた箱型が縦に立てられている。その前にアレグロが立ち、後方から自分の名前を呼ばれ振り返る。


『姉さん・・・』

『アレグロ姉様・・・』


タレナとアルペテリアが不安そうにこちらを見つめている。

アレグロは心配しないでと二人に声をかけ、でも・・・と彼女たちが言い淀む。


『私なら大丈夫だから』

『でも、上手くいかなかったら死んでしまうかもしれないのに・・・』


悲痛な表情でタレナとアルペテリアの手を握る自身の腕や手は、驚くほどやせ細っている。まるで何かの病気にかかった病人のようだ。


『アレグロ・・・時間だ』


二人の後方から、青年の様な声が聞こえる。

アレグロの目線はそちらを向き、背の高い青年の姿があるが何故か顔が霧がかっていてよく見えない。アレグロはその人物を名を口にするが、声が音にならないのか自分では聞き取ることが出来ず、自分の意に反するように自身の足は先ほどの丸みを帯びた箱型へと向かう。


自分からその中に入り、ガチャンと扉が閉められた。


その箱の内部は白く光り、丸型のガラス窓からは不安そうな顔のタレナと今生の別れの様に泣きじゃくるアルペテリア、そしてもう一人の顔の見えない青年がすまないと謝罪の言葉を口にするところが見える。


『イシュメル兄さん・・・』


アレグロが青年の名をはっきり呼んだと同時に、意識がフェードアウトした。



「アレグロ、大丈夫か?」


気がつくと、簡易用テントの天井とケイの声が聞こえた。


ケイが様子を見に入ったところ、ちょうどアレグロが目を覚ましたようだ。

タイミングが良いと水を持ってきたことを伝え、アレグロの上半身を起こしてやると、水が入ったコップを手渡した。テントの隙間からたき火の火が見え、辺りの様子を見ると日没を大分過ぎていると分かる。


「ケイ様、私どのぐらい寝ていたのかしら?」

「大体七~八時間ってところだ」

「みんなに迷惑をかけちゃったみたいね」

「気にすんなって。俺もアレグロの体調を考慮してたが、甘かったみたいだな」


アレグロは気にしてないと首を振り、間を置いてから夢を見たと口にする。


「夢?」とケイが聞き返し、アレグロがポツポツとその時の事を綴る。

アレグロ自身、あれは夢かそれとも過去に起きた出来事なのかわからなかったが、もしかしたら失った記憶と何か関係があるのではと思っている。

ケイは彼女の話を黙って聞き、言い終わるアレグロにそうかと口を開く。


「・・・と言っても、夢か本当の事だったのかは分からないけど」

「前に言ってた、何かに入れられて出れなかった時とは別か?」

「わからない。でも、それが本当だったらと考えると、自分の身体の異変と関係がないとも言い切れないわ」


アレグロ自身、今の体調と自分の身体の変化に気づきながらも今まで騙しだましでやってきていたが、大陸を渡った時から徐々にその違和感の進行速度が増していることを理解した。ケイ達は大陸に渡りながらも、アレグロの身体を侵食している部分の解明を模索している。彼女は申し訳ないと思いつつケイに詫びを入れたが、アレグロが謝る必要はないと諭し、今日はもう寝た方が良いと彼女の身体を横たわらせた。



「ケイ!ここに居たのね!?」


アレグロが寝付くのを待ってからテントから出ると、慌てた様子でシンシアが駆け込んできた。どうしたのかと聞くと、彼女の口から思ってもいない事を聞く。


「この集落に私達が見た変な生き物が近づいてきているの!」


どうやらたまたま集落の外に出ていた他のホビットから、崖からストーンヘッジが上がってきているのを見かけたのだという。

今は、アダム達とポポとジュマが手分けをして集落にいるホビット達を比較的安全な東と南側に避難するように走り回っているのだという。


ケイが集落周辺のマップを展開すると、敵対している無数の赤い印が北から西にかけて存在しているのが分かる。


ほどなくして集落にいる他のホビット達が、慌てた様子でケイ達のいる方向に向かってきている。シンシアは、それらからなるべく離れるように集落の東から南側に

逃げろと声を上げる。


その刹那、集落の北側から轟音が上がる。

ケイはシンシアをその場を任せると、集落の北側へと駆けていった。



「アダム!レイブン!」


集落の北側にはアダムとレイブンが避難誘導をしながら、やって来たストーンヘッジを蹴散らしているのが見える。


彼らは四足歩行でありながら、異常な速度でケイ達の方に向かってきた。


レイブンが彼らの足を捉えすくい上げるようにまとめて進行方向とは逆の方に吹き飛ばし、討ち洩らした分をアダムが的確に討ち取る。


二人はケイの姿を見ると、急に集落に襲撃してきたようだと言う。

昼間のストーンヘッジと一緒かまでは分からないが、少なくとも意思を持ってやって来ているようだ。


一瞬ケイが『石だけに?』とダジャレを思いついたのは内緒だ。


「ところで、タレナとシルトは?」

「二人は西側からの襲撃に対応している!」

「それとブルノワと少佐はポポ達が家に連れて行くと言ってたよ!」

「シンシアが居るからいいか。俺はとりあえずタレナとシルトの方を見てくる!」


二人は手を上げ答えると、向かってくるストーンヘッジを切り裂き討ち取る。

ケイは急いで西側にいるタレナとシルトの法へと向かった。



その途中で、何度かストーンヘッジの襲撃にあった。


月明かりで全体像ははっきり見えないが、黒くてデカいトカゲのような物に見えるが、一体だけではなく複数体で向かってきたので、全て【バインド】で拘束し、身動きが取れないようにしてから、ついでと言わんばかりにそれらの頭部を足で踏みつぶしていく。全く面白みのない石段飛ばしの要領で駆け抜け、靴の裏から泥を踏んだ感覚を感じながら二人の元へと向かう。



「はぁぁぁあああ!」


タレナのかけ声と共に槍をストーンヘッジの身体に突き刺しながら、砲丸投げの選手の要領で勢いを付けて投げ飛ばし、その反動で向かってくる他のストーンヘッジをなぎ倒していく。

シルトは大剣・インイカースを使い、叩きつぶす要領で頭部を潰してからその反動で左右から飛びかかるストーンヘッジを丸ごと身体ごと切断させる。

インイカースの威力が大きいのか、周辺の建物にその身体の一部が当たり、瓦礫のように崩れていく。さながら巨大ヒーローのワンシーンのようだ。


二人はケイの姿を見ると、こっちは大丈夫だとシルトから伝えられる。


「ケイさん、姉さんは!?」

「アレグロなら大丈夫だ。あっちにはシンシアがいるし、アダムとレイブンのおかげである程度は押さえられるだろう」


ケイはそう説明をしながら、マップを展開して状況を把握する。


敵対しているストーンヘッジの数は減ってきているが、集落の外で巨人族が交戦をしているらしく、木がなぎ倒される音や何かが割れる音が響き渡る。

ケイ達はストーンヘッジが素早いため、その一部が巨人族をかいくぐり集落に侵入しているところを食い止めている。

しかしケイは、この島全体が月花石と陽花石で構成されていることから、おそらく月花石の影響からか、ストーンヘッジが無限に沸いている状態なのではと考える。そうなると抑制している陽花石が光り出すまで日が昇るまで時間がある。



「きゃぁぁぁあああ!!!!」



耳をつんざくような悲鳴がシンシアとアレグロがいる東から聞こえる。


ハッとしたケイが慌ててそちらに向かおうとすると、表示したままのマップの東側に無数の赤い点が見える。


それは東側からストーンヘッジの群が現れた証拠だった。


同時に南側から避難していたホビット達がこちらに向かってくる姿が見え、その後方からストーンヘッジの群が見える。

悲鳴や怒声、建物が崩れる音が辺り一帯に響き渡り、逃げ遅れたホビットの女性が躓き転んだところに後ろから来たストーンヘッジが飛びかかろうとしている。


「何してんだよ!!」


助走をつけ飛び上がったケイが女性の上空を飛び超え、そのままストーンヘッジの顔面目がけて跳び蹴りを噛ます。顔を蹴られたストーンヘッジは、当たった拍子にケイに顔面を踏みつけられながら叩きつけられるように地面に頭から落ちた。


その後からストーンヘッジの群がケイ目がけて突進してくる。


「【エリアルブレイド】!!!」


ケイはその群に風属性魔法を使用し、一気に切り込み身体を切断した。


魔法で切り裂かれたストーンヘッジの身体は、瞬時に黒い砂に変わると地面に当たった時にはヘドロのように変わっている。しかもそれはすぐにストーンヘッジの姿に形成されると、先ほどより数が多く感じる。


「お前らは分裂するスライムか!」


このタイプは火属性魔法を使えば一発なのだが、建物が密集している集落の場合、火が建物に移ると瞬時に燃え広がることは間違いない。さてどうしたものかと思った瞬間、ケイの両側をすり抜ける様に火球が飛び、ストーンヘッジの群に直撃するやその姿は瞬時に火だるまになったかと思うと灰になり消えて行く。


「シルト!?」

『こいつらはここまでやれば復活することはない』


大剣・インイカースを手にシルトは先ほどの悲鳴はシンシアのものだと言い、ケイに早く向かうべきだと口にする。その状況から、先ほどの火球はインイカースから発せられたものだろう。


シルトから西側はタレナが何とか食い止めてるといい、早く東に向かうべく二人は集落を走り抜けた。



「ちょっと!勘弁してよ!!」

『わるいこいやーーー!!!!』


ケイ達が東側に向かうと、弓を手に迎撃しているシンシアとブルノワが風と水の混合である海属性魔法とおぼしき無数の風を帯びた水柱がストーンヘッジの群を巻き込み、南東の方角に飛び去っていくのが見えた。

ブルノワの側に居る少佐は、それぞれ足止めをしているが相手が素早いためなんとか押さえているといった様子だった。


シンシア達に飛びかかってきたストーンヘッジの間にケイが入り、瞬時に殴り飛ばすと、遅い!とシンシアが憤慨する。

ブルノワと少佐は頑張ったと少しどや顔が可愛い。まぁ、そんな悠長なことをしている場合ではなく、少し離れたところにアレグロが居るテントがあるが、なんとすぐ側まで別のストーンヘッジの群が近づいてきていた。


「アレグロ!!」


ケイがそちらに駆けようとした時、ガンッ!とインイカースを地面に突き刺すシルトの姿があった。その刹那、インイカースが突如光り出し、地面を伝った無数の光がまさにテントを襲撃しようとした群目がけて走り出す。


群に光が直撃すると昼間の様に辺りが光り、ケイ達はその眩しさに思わず目を覆った。

集落に襲撃してきたストーンヘッジとシルトの武器であるインイカースの能力が激突。

果たして集落とアレグロはどうなってしまうのか?

そしてシルトが意外とと活躍!?


次回の更新は8月5日(水)夜です。


いつも閲覧&ブックマーク&感想などありがとうございます。

細々とマイペースに活動していますので、また来てくださいね。

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