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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
新大陸編
202/359

196、証拠

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

さて今回のお話ですが、ケイはユイナ達の両親が亡くなったのは誰かに殺された可能性を示します。

それを裏付ける証拠を探すために各々で探すことに。

「ユイナ!」

「キキョウ兄様!?」


アダム達がユイナの屋敷に戻ってくると、庭先にキキョウの姿があった。


彼はユイナの姿を見つけると、彼女の姿に安堵したと同時にアダム達の方をにらむような目つきで見つめている。


「お前ら、何者だ?」

「キ、キキョウ兄様!?」

「たしか、そこにいるあんたは屋敷に来たレイブンって言ってたよな?俺は島の奴らの顔と名前を覚えちゃいるが、お前らみたいな奴らは見たことがない。それにユイナ、おまえは何を隠しているんだ?」


キキョウは、明らかに不審者を見るような目つきとユイナに対して心配を含ませた眼差しを送っており、事情を知っているユイナを含んだ一同はこの状況にどうすれば良いかと考える。



「あ、みんな戻ってたのか?」



そこでケイがミナモを連れて戻ってくる。


ユイナはミナモの姿を見るや駆け寄り抱擁をする。

よほど心配だったのか泣きそうな表情をしていたが、ミナモは心配をかけてごめんと謝り、ユイナの頭を撫でた。

キキョウもミナモの姿を見て、驚きの表情を浮かべている。

ケイとレイブンから話を聞いたが、アサイがミナモを投獄するなど彼の性格を考えるとそんなわけないと頭では分かっていたが、実際に投獄されていたことが現実となり、キキョウ自身もなにがどうなっていると困惑している。


駆け寄るブルノワと少佐を抱きかかえるケイに、まずいことになったとアダムが耳打ちで伝える。


キキョウがケイ達の存在に疑問を抱いているといい、このまま隠し通すわけにはいかなくなったがどうすると問う。しかしケイは、そっか~と口にしたまま三人の方を見やっただけでなにも言っては来ない。


「ケイと言ったな、ミナモのことは礼を言う。だが、お前らが何者なのかは別な話だ・・・言え!」

「誰だって、俺達は“別の大陸から来た冒険者”だ」


あっさりと正体をバラしたケイにアダム達は驚きの表情で見つめていたが、それとは別にキキョウとミナモの表情は一変し、ユイナはその状況を心配そうに見守る。


「人族、っていえば通じるか?」

「人族だと?そいつらは絶滅したって聞いたが?」

「残念ながら嘘じゃねぇんだよなこれが」


キキョウから自分たちと同じ姿をしていると指摘され、それに対し魔法で姿を変えていると返すと大層驚いた様子を見せる。

鬼人族は魔素の存在は認識しているが、魔法を扱うことが出来ない人種である。

従って大なり小なり魔法を使える人族が珍しかったのだろう。


「それと、アダム。岬の方はどうだった」

「あ、そうだ。これを見てほしい」


ケイはミナモを連れてきたと同時にアダム達に頼んだ事を尋ねると、アダムはスマホを取り出し、いくつかの画像を見せた。補足として岬であったブルノワと少佐の件を込みで説明すると、そんなことだろうなと感づいている様子を見せる。


「潤滑油が使われているって事か」

「岬の崖の方に薄らとだがその跡が残っていたよ。それと俺達は気づかなかったが臭いが残っているのか、ブルノワと少佐が極端に泣いて嫌がってた」

「こいつらは嗅覚は人より優れていっからな~。他に気づいたことはあるか?」

「そうそう。それとは別なんだが、シェメラの像があった」

「はぁ?」


アダムは岬から少しはずれた草むらの中に女神像があると言うことを伝える。


それに関しては全く寝耳に水だったケイだったが、キキョウが古くから島にある像だと言うことが語られる。彼によると、アサイの屋敷なら古い文献がいくつかあるのだという。


「どちらにしてもこの状態をなんとかするしかないけど、だれが嘘をついて情報を流しているかなんてわからないのよ?どうするのよ?」

「それに対しては見当が付いている。あとは物証を得れば良い」

「物証?ってどういうことよ?」


シンシアはどういうことなのか分からないといった表情をしたが、ケイはアレグロとタレナに自分たちがいない間に誰か来たかと尋ねた。

二人はサザンカという女性がユイナの元を訪れたと言い、ユイナもそれに頷く。


「ユイナ達の叔母か?」

「えぇ。でもアダム達からアサイさんはそんな指示をしていないって言っていたみたいだけど、どういうことなの?」

「それサザンカっていう人の“嘘”だな」

「だとしたら、何のために?」

「そりゃ、実権がほしいんじゃねぇのか?」

「ちょっと待て!サザンカが実権がほしいだと?」


ケイに詰め寄るキキョウに、アダムが少し落ち着くようにと間に割って入る。


ケイは四兄妹の話を総合的に聞き、その上でサザンカが嘘の情報を第三者を経由して操作しているのではと考える。しかし物的証拠や証言がないため今の段階では推測でしかないが、少なくともユイカに対してアサイにミナモを釈放するようにと言う話は嘘であることがわかる。


「それじゃあ、どうするんだ?」

「決定的な証拠を掴むんだ。そのためには・・・サザンカのところに行くしかないな」

「えっ?今から行くの?」


アダムとシンシアはそれはまずいんじゃと止めたが、さすがにケイもそのまま乗り込むほどバカじゃない。

ケイはキキョウ、ミナモ、ユイナの三人に、とある提案を示した。


「ミナモ、悪いがあんたにはなるべく誰にも見つからずにアサイにこのことを伝えてきてくれないか?」

「えっ?アサイ兄様に、ですか?」

「あぁ。主犯者には仲違いをしたまま勘違いをさせたほうがいい、それとこれを伝えてほしい」


ケイはミナモにとあることを伝えた。


さすがにその話を聞いたミナモを含めて一同が驚くが、それと同時にキキョウにも“それ”に便乗して仲違いをした“フリ”をしてほしいと伝える。

彼も本当にいいのか?と不安な表情をしているがむしろ好都合だと返す。


「そしてユイナ。あんたにも協力してほしい」

「わ、私ですか?」

「あぁ。あんたが一番重要な役目だ。それとアレグロとタレナにも同行して貰う」


急に話を振られた二人がどうするのかと尋ねると、ユイナと一緒にサザンカの屋敷に赴いてほしいと伝える。何故?と疑問を浮かべる二人に、ケイが事情を説明すると本気でいいのかと戸惑いを見せる。


「アダムとシンシアとレイブンは、それぞれの集落に行って、潤滑剤を扱う店に行ってサザンカが来たかどうかを調べてほしいんだ」

「どういうこと?」

「ユイナ達の両親が亡くなったのは岬に細工をしていたから、それが潤滑油だということは少なくともそれを購入したって証拠になる」

「ちょっと待ってよ!潤滑油ならこの島の人なら使うんじゃないの?」


普通はなと含みを持たせ、キキョウとミナモにこの島の潤滑油の種類はいくつあるのかと尋ねると、大体三種類あるそうで、その中でも成人男性をも転倒させるほどの潤滑油は、独特の製法で作られることから生産量自体はそんなにない。

ちなみに桜紅蘭では軽潤滑油、中潤滑油、重潤滑油と呼ばれているが、一般的に軽潤滑油と中潤滑油は日常の場面で使うことが度々ある。しかし重潤滑油という物は、製法や人をも転倒させることから使われることはそうそうないし、おいそれと店頭に出せるものではない事から使用する者は限られるのだそうだ。


「とりあえず、各々行動を開始しようぜ」


ケイの一声に不安に思いながらも、それぞれの役割のために行動を開始した。



「サザンカ叔母様、こんにちは」


ユイナとアレグロとタレナは、ユイナの屋敷からほど近い場所にあるサザンカの屋敷に訪れた。

庭先で遊んでいるタマエがユイナの姿を見るや、嬉しそうに近寄り抱擁をする。

その側には縁側にいたサザンカが立ち上がり、急な来訪にもかかわらず快く三人を迎え入れる。


「叔母様、急にごめんなさい」

「気にしなくていいわ」

「アレグロさんから少し気晴らしをした方が良いといわれまして」


それは必要ねとサザンカが同意する。

近くを通った女中に茶を出すようにと指示を出し、三人を連れて座敷に上がる。

しかし内心三人は、ケイの指示でこの屋敷に来たが本当に大丈夫かと一抹の不安を浮かべていた。



「・・・よし!三人が入ったな」


ケイは物陰から三人が座敷に入るところを見届けてからサザンカの屋敷に入った。


一応創造魔法で姿を消す魔法を使用し、屋敷の女中とすれ違うがこちらの姿が見えないのか気づく事はない。ケイは予めユイナからサザンカの部屋を教えて貰い、三人が入った座敷の突き当たりにある部屋に辿り着くと襖を開けて入った。


サザンカの部屋は典型的な和室部屋で、物が置いていないのか桐箪笥が一棹あるだけで全体的にがらんとしている。

部屋の左側には、花が生けられた壺と龍の絵が描かれている掛け軸が飾ってある床の間と、床柱を挟んだ隣には違い棚が設置されている床の脇がある。

あまり物を置かない人物なのだろう。


ケイはまず部屋の右側にある桐箪笥を開けてみた。

こちらは元々あまり物が入っていないようでめぼしい物はなく、ただ衣服や私物がいくつか入っているだけだった。


次に床の脇にある天袋に手をかける。


天袋の右側をスライドさせて手を突っ込むと、使用していない私物が入った巾着袋がいくつか入れられている。


「ん?なんだこれ?」


次に左側を開け手を入れると、その一つに手が触れる。

取り出してみると黄色いヒモが付いた赤い巾着で、中に何かが入っているのか袋の上から堅い物を感じ取り出してみる。


中から出てきた物は紫色の布に包まれたもののようで、布を開くと男性成人の手のひらぐらいのメダルの形をした物だった。

全体的に金色で円形状の中央には横向きの女性が描かれている。



【シェメラの石版】※※※の装置に使用される。


鑑定をしてみるとそのような内容が表示される。

シェメラの石版と疑問を抱くが、ふとユイナから一族の証の話を思い出し、もしはこれではと思いにいたる。だが鬼人族との関連性が見当たらない。それどころか全く関係のないものが一族の証になるのかと疑問に感じる。


すると、コトッと畳の上に何かが落ちた。


巾着の中にもう一つ入っていたようで、拾い上げるとそれは何かが入った小さな桐箱だった。3cmほどの桐箱は振るとカラカラと音がし、蓋には小さく【タマエ】と書かれている。


「これは・・・へその緒か?」


蓋をスライドさせると、中にはへその緒らしきものが入っている。

この島には子供のへその緒を取っておく習性でもでもあるのかと考え、日本と似たような感じだなと疑問に思う。


「蓋の裏にも書いてあるな」


ケイは蓋の裏に何かが書いてあるのを見つけ、ひっくり返してみると【キジム】という人の名らしき字が入っていた。


そういえばユイナたちの叔母であるサザンカは、一人でタマエを育てていると聞いたことがある。そうなるとこのキジムという人物は彼女の夫なのか?と考える。

今どきで言うならシングルマザーというものだが、夫が何かの形で亡くなったとなるとその人物との思い出に残しているのかと思ったのだが、その辺の事情は分からずじまいで戻ったらユイナに聞いてみようと結論づけた。


そして暫く部屋を探索した後、誰にも知られることなく部屋をあとにした。



「サザンカ叔母様、今日はありがとうございました」

「本当に気にしないで。とにかくアレグロさんとタレナさんのおかげね。二人がいれば気がいくらか紛れると思うわ」

「本当に私もそう思います」


サザンカから感謝を述べられたアレグロとタレナは、恥ずかしそうな表情をしながらも礼をする。ユイナはそれでは今回はお暇しますと礼をし、アレグロとタレナを連れてサザンカの屋敷を出た。



サザンカの屋敷から大分離れたところで三人が立ち止まった。


「ケイ様、大丈夫かしら?」

「あとはお任せしてましたけど・・・」

「ケイさんなら大丈夫ですよ。いつもそうでしたから」


三人が待っていると、ほどなくしてケイがやって来た。

ケイはユイナにあるものを拝借したから、確認してほしいことがあると述べる。



しかしそれが、事態の意外な真相になるとはこの時誰も予想だにしていなかった。

ユイナの協力のもと、サザンカの屋敷に入ったケイはシェメラの石版とへその緒を見つけました。

これらが示す意味とは一体なんでしょう?

次回の更新は7月15日(水)夜です。


いつも閲覧&ブックマーク&感想等ありがとうございます。

もしよろしければ、また来てください。

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