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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
新大陸編
197/359

191、新たな大陸

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。


さて今回から新章・新大陸編を開始します。

どうぞよろしくお願いいたします。

「やっぱり大陸中大騒ぎってか~」


魔道船に乗り込んだケイ達は、そのままルフ島から南の海域を航海していた。


ガイナールから、国のみならず先ほどの現象は各地でも目撃され大騒ぎになっていると連絡があった。ケイでも見たことがない現象なのに説明しろといってもコレばかりは仕掛けを解いたらああなったとしかいえない。


それよりもケイはもう一つ懸念していることがある。


幻のダンジョンを形成していたのは女神像であると仮定すると、その仕掛けを解いた時点で女神像の効力がなくなれば、大陸中にある地下遺跡に何かが起こるかもしれないという疑念があった。しかしこればかりはそれが何かはわからないため、ガイナールからは定期的に調査をすると返答があった。


以前の調査で見つかった遺体は、その数体が壁の材質に寄生された跡があることから、やはりそれに纏わるなにかではないかとガイナールから指摘されている。


それとケイ達が以前ルフ島の奈落で見た黒い騎士のようなモノだが、これに関して新たな事実が分かった。

どうやら遺体自体は他に発見された遺体と時代や時期が類似していたが、最近になって活動を始めたのではないかと考えられていたのだ。どういうことなのかは現在調査中なのだが、引き続き調査をしているそうでガイナールからは何かの前兆でなければいいなと不吉な事を言ってくる。

日本人の性なのか“いつも最悪なことを想定しろ”という言葉があるが、あれはケイが苦手とする考え方で、それが起きないように手を尽くすのも策と考えている。


それとアダムの幼なじみのリーンから、あの時用事でウェストリアからセルバ村に戻る途中に他にも奇妙な現象を目撃したのだと連絡が来たそうだ。


彼女がアダムのスマホに送られてきた画像と動画には、カロナック大橋の真ん中で例の現象が起こった同じタイミングに、カロナック大橋の真ん中の陥没した部分から海に向かって青い光のような物が遠くへ続く場面だった。


ケイ達が見た青い光とは別のようで、それが何を意味しているのかは把握しかねるが、そういえばヴィンチェ達がカロナック大橋に向かっていることを思い出し、アダムにケイのスマホにその画像と動画を転送してほしいと頼み、この光景を撮影してくれたリーンに礼をと伝えた。


ヴィンチェ達にアダムから転送して貰ったデータを送ると、情報をありがとうという返答が返ってくる。


彼らは今、カロナック大橋に向かっている途中で、セルバ村に住んでいるアダムの幼なじみのリーンからその動画を画像を貰ったと答えると、スマホを持っているのかという驚きが返ってくる。それに関しては要点だけをまとめて伝えると、あぁ~と納得をしてくれた。ヴィンチェも思うことがあり色々と調べるそうで、何か分かったらケイ達にも伝えると語る。


まぁ、スマホが南の海域以降も使えればの話しだが。



その後、船は順調に航海を続け、ルフ島から三日ほどの距離までやって来た。


船艦の記録によると、前回はこの辺りから霧に包まれ船が進まなくなったといったが、今のところそのような兆候が見られない。

舵取りをしているダットに様子を尋ねると別にこれといって問題はないらしく、しばらくはこの調子が続くだろうと答える。やはり結界が関係していたと考えて間違いはないだろう。

しかしこの先、何が起こるかケイにも分からないため注意してほしいと頼むと、問題はねぇよ!とダットが白い歯をこちらに見せてにやりと笑った。



「ダットさーーん! 前方の海に何かが浮かんでいるのが見えまーーす!!」



見張り台にいる船員からダットにそう伝えられた。


ケイ達と他の船員がそれを見ようと先頭に向かうと、遠くの方から海の上に何かが浮いているのが見えた。


「あれは何かしら?」

「何かの浮遊物なのか?」


シンシアとアダムが遠くにあるそれに目を凝らすと、隣にいたケイがあれは・・・と目を細める。


船は海上に浮かんでいる謎の浮遊物の地点まで進むと、無数の小さい何かが浮かんでいるところが見える。

その上を通過する船には異常はなく、側面から海面を覗き込むと見たことがあるそれにあっ!とケイが声を上げた。


「・・・ってか、なんでコレが浮いてるんだ?」

「ケイ、知ってるの?」

「これ・・・【桜の花びら】だよ」

「桜の花びら?」

「俺の国にある有名な花の花びらだ」


なんと、海面に浮かんでいたのは、日本でもお馴染みの桜の花びらだった。


その隣で海面を覗き込んでいるシンシアが、先がギザギザの若干ハート型をして浮かんでいるものを見て綺麗ねと口にする。

しかしなぜ海面に浮かんでいるのだろうと思った時、見張りをしていた先ほどの船員から前方に島のようなものが見えると、興奮した様子で伝えてきた。


ケイ達も先頭に立ち前方を見ると、たしかに遠方に島らしきものが見える。


しかも面白いことに、海面に浮かんでいる花びらはあの島から飛んできた物だと理解する。太陽は西に傾き、夕日が遠方にある島を映し出すと、何故か島全体が仄かにピンク色に光っている。


(あの島はなんで光っているんだ?)と疑問が疑問を呼ぶ島は、ケイ達を歓迎しているかのように浮かんでいた。


「おーーーい!碇を下ろせ!!」


ダットの合図で、船から碇が海面に下ろされた。


島の付近まで来たところ古びた桟橋の様なものが見えたため、ダットが舵を切りそこに碇泊させる。

辺りは日没を迎えているはずなのだが、島全体が仄かにピンク色に光っている光景にケイ達やダット達は呆然とその光景に見入っていた。


シンシアから日本にも光る桜はあるのかと尋ねられ、夜桜という桜に明かりを照らして夜でも楽しむことがあるけど、桜自体が光るのは俺も初めてだと困惑した様子でケイが返す。


島に上陸したケイ達は、辺り一面に咲く光る桜に目を奪われていた。


その一本に近づいて見ると、どういう原理か分からないが確かに花びらが全て光っている。THE・ファンタジーならではどいうことだろう。


辺りを見渡すと桜が連なる小高い丘が一面に広がり、少佐が何かを見つけたらしくそちらを見ると、丘の上に続く舗装されていない道が見える。

桟橋にいるダットと仲間達にちょっと散策してくると声をかけてから、ブルノワと少佐を連れて丘に続く道を登る。


『パパ~キレイだね~』『バウ!』『ワウ!』『ガウ!』

「そうだな」


抱っこされていたブルノワが歩きたいと言ったので下ろしてやると、少佐と一緒に一生懸命丘を登ろうとしている。まだ幼いが故に小幅は狭いが、ケイはその後ろをゆっくりとついて歩く。


丘に続く桜並木は、幻想的と言っても過言ではなかった。


ケイ自身、家族と桜並木がある場所に家族と訪れた思い出はあったが、あれ以上に桜が展開されているとは想定していなかった。しかも島全体に広がるということはほとんど手が付いてない無人島の可能性もある。


ちなみに日本の桜は、一本のソメイヨシノから接ぎ木されているという説がある。


桜と一言で現しても変種を含めると百種類ほどあり、改良された栽培品種を合わせると二百種類ほどある。さらに細かく分類するとその数は六百種類ほどあるそうだが、その中でもソメイヨシノは江戸時代後期に開発された桜だと言われている。



「うわぁ~圧・巻!」


小高い丘を登り切るとこの島が一望できるようで、島全体が光る桜で成り立っているように見える。右を見ても左を見ても桜が続く光景に思わずホッとため息をついた。


『ワウ!』


ショーンが何かを見つけたようで短く吠えた。


ショーンは目が他の二頭より良いため、遠くにあるものがよく見えるようだ。

ケイがそちらに注視すると、丘の下の方にぽつぽつと建物の明かりのようなものが見えた。誰かが住んでいるのかとケイは考え、朝になったら行ってみることにしようと、ブルノワと少佐を連れて来た道を引き返した。



翌日、ケイはみんなに丘の上から建物らしき物が見えたと伝えた。


アダムが誰が住んでいるのか分からないから危険だと述べたが、もしかしたらダジュールの歴史について何か知っているのかもしれないとケイが期待を膨らませる。


「そもそも、こちらの言葉ってわかるのかい?こちらの言葉が分かるとは限らないんじゃないかな?」

「まぁ、言われてみればそうかもしれない」

「あら?少し様子を見るだけならいいんじゃないかしら?」


レイブンが不安そうに意見を述べると、アレグロが様子を見るだけなら良いのではと提案する。確かにその分を失念していたが、どんな様子なのか見て引き返すのなら問題はないだろうと考える。


同行していたシルトに、島の様子を見てくるので船に何かあってはなんだからとここに残って貰うように伝える。それを了承されると、ケイ達は建物が見えた丘まで向かうことにした。



「すごい景色ね。そういえばケイ様の国にもサクラがあるんでしょ?」

「あぁ、あるぞ。まぁ、俺も多くても桜並木ぐらいしか見たことがないな。桜といえば大体春頃に咲く花だから、それに合わせてお花見もあったりするぞ」


丘の上に続く坂道を上りながら、アレグロが桜について聞いてきた。


お花見というワードにアレグロが興味を示し、具体的には何をするのかと尋ねられたので、食事や酒を飲んだり記念撮影をすることがが多いと答える。

アレグロは私もお花見をしてみたいといい、ケイは屋敷に戻ったらルトに相談して桜の木を造って貰おうと考える。



丘の上までやって来ると、昨日ケイが見た建物の光があった場所には、教科書に出てくる江戸時代の建築様式である平屋らしき物がいくつか見えた。ざっと五十前後あるだろう。どうやらこの丘から島が一望できるようで、東・西・南にも同じような集落が確認できた。


「あれがケイが言っていた建物ね。私たちが知っている建物とは少し違うけど、あの大きな建物はなにかしら?」


シンシアが示した先には、平屋から少し離れた場所に誰かの屋敷らしき他より二回り以上大きい建物が建っていた。


「あれはたぶん武家屋敷だろうな」

「武家屋敷?」

「位の高い人間が住む屋敷の事だ。他にも同じような物が見えるからおそらく貴族や上級官人が住んでいるんだと思う」

「貴族の家?私たちが知っている建物とはだいぶ違うわね」


レイブンが下に続く坂道を見つけたようで、もう少し近くで様子を見てみようとケイ達はその坂から建物が連なる場所まで近づいて見ることにした。


ルフ島から南の海域の先に桜が舞う島を発見したケイ達は、その島に上陸をして調査をすることに。

さて、この島ではどんなことが起こるのでしょうか?


次回の更新は7月3日(金)夜です。

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