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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
大陸編
194/359

189、明かされた事実

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

さて今回は、ダジュールの歴史の謎について確信に一歩近づきます。

ユージーンの一件から暫く経ったある日、ケイのスマホにガイナールから連絡が届いた。【調査の結果、色々と分かってきたことがあったので一度話し合いたい】という内容だった。


ケイ達はガイナールのいる城に赴き、所定の手続きをふまえ応接室に通された。


「以前から各地で調査している地下遺跡のことになるのか?」

「多分な。あと、ガイナールから前にマイヤーに頼んだ幻のダンジョン関係もわかったらしい。これも歴史にも直結しているんじゃないかと俺は考えている」

「まさか!?じゃあ、何かの理由で幻のダンジョンが現れていることも歴史の何かに関わっているって事か?」

「あぁ。俺の予想では幻のダンジョンは【魔力】が関わっている可能性がある」


アダムとそんな会話を交わしていたところにガイナール、ウォーレン、フォーレが入ってきた。


「久々だね」

「フォーレから、仕事が立て込んで死にかけているところは聞いた」

「まぁ、あれはガイナール様が悪かったわけですし・・・」


ジト目でとある人物を見つめるウォーレンに、必死にごまかそうと出された紅茶を啜りながら何食わぬ顔で取り繕おうとするガイナール。


「ところで、各地の調査の進捗はどうだ?」

「だいぶ進んだと言ってもいいよ。フリージア・ウェストリア・バナハ・マライダ・エストア・ダナン・ルフ島、そしてアルバラント。調査報告も国同士で情報交換を共有しているし、今後も継続的に行っていくつもりだ」


ガイナールはフォーレに指示し、テーブルの上に各国の調査を元にまとめた資料を置いた。


それによると地下遺跡から色々なモノが出土し、それと同時にフリージア・バナハ・ルフ島では、過去の人物らしき白骨化した遺体が何体も発見されたそうだ。


その資料についてガイナールは、それ頭を抱える案件で・・・と話を切り出した。


「フリージア・バナハ・ルフ島で過去の人の白骨遺体などが見つかった話は、調査をする前の段階でいくつか報告は上がっていたんだ」

「頭を抱えるってどういうこと?」

「遺体の中に焦げたような全身黒い遺体が発見された。詳しく調べてみたところ、どうやら壁の材質によって寄生された形跡があったようなんだ」

「はぁ!?」


ケイ達はどういうことなのか分からずに困惑をした。


ガイナールの話によると、全大陸にある地下遺跡自体を調べていたところ、以前バナハにあった試練の(ペカド・トレ)と同じ材質をしていたことがわかった。


「そもそも以前ケイが話してくれた陽花石や月花石というものは、この大陸には存在していないんだ」

「やっぱり他の大陸から運び入れたってこと?」

「間違いないよ。だけど妙なんだ」


以前屋敷にベルセ達と来たエケンデリコスの話では、陽花石や月花石が反応して人に寄生をしているということは、何かしらのきっかけがあったはずだと。だがその痕跡がない以上、壁に寄生されたという経緯が不明であると唱えた。


「もしかしたら・・・魔素か魔力じゃない?」


そう答えたのはアレグロだった。


彼女は単に可能性として示しただけなのだが、それにガイナールがハッとする。

魔素は地下であっても存在しており、魔力の持ったモノが何かしらの作用で寄生させるような方法をとったと考えられなくもない。しかしそれに対してウォーレンが異を唱える。


「ですが、調査隊の中には魔法専門職もいます。探索の際に周囲を照らす魔法も使用しているようですから、魔力や魔素が反応して人に寄生するとなったら大陸中の地下遺跡は魔物の巣窟になっているはずです」

「それもそうね~」

「いや。たぶんアレグロの仮説は近からず遠からずと言ったところだろう」


その仮説をケイは否定せず、ガイナールに幻のダンジョンについての事を聞いてみた。ガイナールはフォーレに資料を提示するように指示を出すと、テーブルの上に別の資料が置かれた。


「今回は同席できなかったが、マイヤーから幻のダンジョンについての資料を預かっていた。私も目を通したのだが、毎年ダンジョンの形式が変わっているため一概にはいえないようだ」


差し出された資料には毎年ダンジョンの形式が変わっているが、その旅にダンジョンの様子を詳細に記載したものがまとめられている。ガイナールからアントニオ・ブルーメルという人物が記録したことを伝えられると、以前アルバラントの図書館に置いてあった『ダンジョン大解剖辞典』の作者が書いた物であると理解する。


「結構詳細にかかれているな」

「本人は毎年人を雇って、幻のダンジョンに潜っているらしい」


危険を顧みず、一般人がここまでやれるのかと思うと頭が下がる思いである。

しかし残念なことに前回の出現時には潜る前に消失してしまったようで、それの記載はなかった。まぁケイ達のせいで出現しなくなったのだが仕方がない。


「ケイ、ところでさっきアレグロの仮説を否定しなかったのは何故だ?」

「それか?もしかしたら幻のダンジョンが関わってるんじゃないかと思ってさ」

「ん?どういうことだ?」

「地下遺跡に本来存在するはずの魔素は、幻のダンジョンを使って解消しているってこと」


いまいち要領を得ないアダムが首を傾げると、ケイはとある仮説を立てる。


毎年現れている幻のダンジョンは、地下遺跡にある魔素を排出するためのものだと仮定したのだ。どういうことなのかというと、幻のダンジョンは予めプログラミングを施されていたのではと考える。

そしてその正体は、【魔素を地下遺跡から排出するために形成された転移門のようなもの】だと考えていた。


幻のダンジョンとして形成していたのは、実は他の大陸に一時的に出ただけのことで、一定時間が過ぎると今度は転移門から出た異物(人など)を回収し閉じるという設定をされていたのではと唱える。


「でも仮にそうだとして、どうやって幻のダンジョンを形成していたってわけ?」

「それが【五体の女神像】なんだよ」


シンシアの指摘にケイが返すと、全員が目を丸くさせる。


それを裏付けるのは、前回幻のダンジョンが現れた時の事だ。

その時はアルバラント城の地下だったため、ガイナールが女神像がある場所に近づけなかったと証言していたことを思い出し、ケイ達が内部を散策したことによりその中心は女神像に辿り着いた。そしてその女神像は、本来アルバラント城の地下に設置されているあの像ということになる。


「女神像がその幻のダンジョンを造っていたってこと?」

「少なくとも俺はそう思っている。まぁ、ダンジョンを形成するための装置や技法は知らねぇけど」


シンシアの言葉に雲をつかむ話だけどなと述べる。


この分野に関しては、現代技術を持ってしても他の場所に瞬時に移動できる方法は確立されていない。そこにいたるまでには時空の法則などの様々な分野を解き明かすことが先になるため、ケイもあれこれと仮説を立てたことがあるがイマイチ漫画やアニメの展開しか思いつかない。謎はまだ遠いといったところだろう。


「そうなると、五つのカギは五つの女神像とリンクしているということになるな」

「実は、それに関してヴィンチェから連絡を貰ったんだ」


ガイナールは、スマホを取り出しケイのスマホにとあるデータを送った。


送られたデータにはヴィンチェが再度女神像を確認すべく送られた画像で、全身と顔のアップが載った画像が十枚ある。前回ヴィンチェ達が送ってきた画像と同じではあるが、今回は前回より鮮明な画像だった。


「彼の話では世界各地にある五つの女神像は全て顔が違っており、物は試しと再度鑑定したところ【復元が必要】だと表示されたため女神像を復元させたそうだ」

「復元?あれって壊れていたのか?」

「壊れていたということではないらしい。どうやら、彼のスキルには【偽装解除】という効果も含まれていたようで、それが発動した際に本来の姿に戻ったのではと言っていた」


画像の女神像をよく見ると、ケイ達が見た時とは違い、どれも両目に青い宝石のような物がはめられていた。ヴィンチェは、それらが大陸を覆う結界の効果と関係があるのではと言っていたが彼自身もその辺はよくわからないらしい。


「女神像自体に偽装がかかっているって事か?あ!じゃあ、ここの女神像も?」

「あぁ。以前ヴィンチェ達が来て復元をしたよ」


そういえば、以前ヴィンチェ達はアルバラントに来ていたことを思い出した。

その時ケイ達は会えなかったが、ガイナール達の方は会うことが出来、歴史や女神像の事を話したと言ってた。

そうなると、女神像を動かすためのヒントは探せばあるのではと考える。


ガイナール宛のメールの追記には、ヴィンチェが鑑定した五体の女神像について記されていた。


アルバラントの女神像=シエロの像

ミクロス村の女神像=テレノの像

エルフの森の女神像=フェガリの像

フリージアの女神像=アステリの像

ルフ島の女神像=シェメラの像


これがヴィンチェが復元した後の鑑定結果になる。


そうなると、それぞれが所持をしている鍵を女神像に差し込めば変化が起こるということになる。そのヒントとなるのが、マライダのおとぎ話のフィスィ・デアである。


「でも伝承の通りに鍵をさせばいいっていうけど、どうやって各地にある女神像を順番に起動するの?役割を分担しても、いつ自分のタイミングで起動すればいいのかわからないじゃない?」


シンシアが素朴な疑問を口にする。

確かに役割を分担しても、それぞれの地でタイミングを合わせて順番に起動させる

などという芸当は出来ても超能力者ぐらいだろう。


「実はそれに関しては色々と証拠が出てきてね。ウォーレンあれを」

「はい。承知しました」


一度ウォーレンが退出すると、次に戻って来た時には木の箱を抱えていた。

ガイナールからテーブルに置かれた木箱の中身は、以前ケイ達がマライダにあるマテーラの洞窟の地下を調査した際に発見した品だと話し、ケイが蓋を開けると焼け焦げた黒い物体が入っている。よく見ると、焦げた部分の一部から中身とおぼしきコードの跡のような物が見える。


「なんだこれ?やたら焦げてるんだけど?」

「私が見た限りでは、トランシーバーではないかと思ってる」


ケイがまさかと返し、ガイナール自身もはじめに見た際に大層驚いたのだという。

フォーレもそれは知っていたが、ウォーレンと仲間達はそれがなんなのかが理解できなかった。ケイは遠くにいる物同士で連絡がとれる魔道具のようなものだと説明して置いた。ガイナールはそれらを使い、遠くの仲間達と連絡を取って行っているのではないかと考えた。今の時代から考えると相当な技術の高さが窺える。


「ということは、太陽の鍵を持っている俺はルフ島の女神像に向かえばいいってことだな。何が起こるかわからねぇけど」


これに関しては既にヴィンチェとナットが既に移動を開始しており、ベルセもタイミングを見てアステリの像に向かう旨をガイナールから伝えられる。

進展が早いなと思ったが、日本人特有の【善は急げ】ということなのだろう。


ガイナールからそれを勝手に決めて良いのかと尋ねられる。


てっきりケイは行く気であったが、パーティとして組んでいる以上仲間の意思も確認せねばならないのだが、五人を見るとしょうがないなというような駄々をこねる子供を宥める親の様な表情でこちらを見つめている。


「まぁ、今に始まったことじゃないからな」

「今更ねぇ~」

「なんだよ!?俺が駄々こねてるみたいじゃんか~!?」

「あら?事実じゃない?」


シンシアとアダムのダブルに口撃に、口を尖らせて子供かよ~とふて腐れるケイ。

その辺が子供なんだよな~と、一同が思ったとか思わなかったとか。


いずれにしろ、ケイ達はシェメラの像があるルフ島に向かうことで満場一致した。


今までの各国の調査をまとめると、マライダのおとぎ話であるフィスィ・デアが五つの女神像の仕掛けを解く鍵ではないかと推測をします。

それを確かめるべく、次週ルフ島にあるシェメラの像へと向かいます。

一体何が起こるのでしょうか?


次回の更新は6月26日(金)夜です。

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