表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
大陸編
170/359

165、回収された過去の遺産

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

今回のお話は、ギルドでの報告と気になることという内容になります。

翌日、宿屋で一泊したケイ達は、朝食を終えた後に冒険者ギルドのマスターであるオルガに会うためギルトを訪れた。


そこには既にロベルとルナの姿があり、受付嬢のミーアと談笑をしている。

彼らはケイ達に気づくと、実はギルドマスターからダット達にも話が聞きたいので呼んでいると答える。当然と言えば当然なのだが、人魚族の見た目が結構個性的なので大丈夫なのかと聞くと、ギルドマスターいわく、冒険者も変わり者が多いので大丈夫だろうと答えたのだという。


正直見た目がアレでケイも本気でビビったほどなので、卒倒するんじゃないかと逆に心配になる。


ほどなくしてダット達も到着したが、入った瞬間に周りの空気が一変する。

特に、ヴェルティヴェエラとノヴェルヴェディアの姿を見た時の周りの冒険者達の様子は、本当に驚くと人間声も出ないという場面のみ。ケイ達は「だろうな」と全員の意見が一致する。


「わりぃ、遅くなったか?」

「いや、大丈夫だ。こちらこそ無理を言ってすまない」

「なぁに言ってんだ。俺達も関わったんだからそれは気にするなって!」


昨日の言い争いが嘘のように、ダットが口を開けてがははと笑う。


ロベル達もギルドマスターからの招集のため拒否ができず、結果的に一般人を巻き込んでしまったことにどうしていいかわからず、そんなフォローを口にしたが、ダットは気にするなとロベルの肩を叩く。


その後ろでは、他の冒険者達の奇異な目をもろともしないヴェルティヴェエラとノヴェルヴェディアが、マカドにあれやこれやと尋ねている。人魚族の二体は無理矢理あり合わせの服を着させられているのか、少し歩きにくそうな感じがする。

二体とも紺色の麻のズボンに、ヴェルティヴェエラは黄緑色のシャツにノヴェルヴェディア黒色のシャツと一般的な人の格好をさせられている。


ダットに聞いたところ、人魚族は服を着るという概念がないため着させることに苦労したらしい。それもサイズもわからないため船員の服を借りているが、特にヴェルティヴェエラは細身のため、船員の中には女性の姉妹が居る人がいるようで、たまたまアーベンに住んでいたために何着かおさがりで譲って貰ったと話す。


船上ではあの格好で過ごすことになにも違和感がないそうだが、人前に出る時には服を着させた方がいいと他の船員達から言われ、本人達の了解を得て今に至る。

人魚に服?と思ったが、それも仕方のないことだろう。



ミーアに連れられ、一同は二階にある応接室へと足を運んだ。


「ギルドマスター、皆さんがお見えになりました」

「入ってくれ!」


オルガの言葉で入室をすると、やはり人魚族の姿をみて絶句していた。

ロベル達から報告は受けていたようだが、実際に見ると異様な雰囲気を感じているらしい。


座るように言われて全員が腰をかけようとするのだが、なにぶん人数が多いため、ダット達を優先的に座らせてから女性陣に腰をかけてもらい、男性陣は追加の丸椅子に腰をかける形になった。


「・・・で、状況を説明して貰おう」

「説明も何もスライム捕獲しようとしたら、ルナが海に引きずり込まれたから助けに行ったら人魚が居たってわけ。ロベル達から聞いただろう?」

「それは聞いてる。国に報告せにゃいかんから、念のためにお前達や魔道船の船長達を呼んで聞いているまでだ」


ケイはガイナールに既にある程度伝えていると言うと、オルガは目を見開いて問い返してきた。彼らには縁があって国王と仲良くしていると伝えると、オルガはついていけないのか頭を抱える。今回の件は、ダジュール史上初めてのことだったようで、後日アルバラントから調査隊が来ることになっている。それも昨日の時点でガイナールから話は聞いているが、それを伝えたら本当に倒れるのではと思いその辺は伝えないことにした。


それを踏まえて、ケイ達は再度昨日あった出来事をオルガに伝えた。


ロベル達の説明と重複しているところはあるかもしれないが、報告書にまとめて国に提出することになるので致し方ないと思う。もちろん保護された人魚族の二体にも話を聞こうとしたが、ケイかマカドしか通訳がいないため、思ったような答えが得られない。そもそも言葉という概念が薄い人魚族に説明を求める段階で無茶振りにもほどがある。前日の夜にガイナールにギルドからの調書が送られてくるかもしれないが、人魚族に証言は難しいぞと言ったところ、できる範囲で構わないと答えが返ってきたので、多少不足部分は出てくるとは思うがその辺の疑問はガイナール達がなんとかするだろうと他人任せをすることになる。



「ギルドマスター!サイオンさん達がいらっしゃいました!」


その時、男性職員が応接室にやって来た。、

どうやら依頼のために別行動を取っていたサイオン達が戻って来たようで、オルガは、裏手の倉庫に案内するようにと男性職員に指示を出した。


「倉庫?なにかあるのか?」

「実は最近ダナン近郊の海域に沈没船が発見されたんだ。沈没船から武器や防具などの品を回収して、エストアから専門家を呼んで鑑定することにしたんだ」


オルガからエストアにいる鍛冶の専門家を招いて調査をお願いするそうで、後にアルバラントとエストア、ダナンと連携をとって船内から発見された品々を順次鑑定を詳細にを行うとのこと。また、現在一部ではあるがアーベンにも送られており、そちらの品々はアルバラントに運ばれる予定ではあるが、予めエストアの専門家達の調査が入るのだという。


ケイはその品を自分たちも見られるかと聞くと、オルガは関係がないとはいえないようで二つ返事で了承をした。



一度船に戻るというダット達と別れ、オルガに連れられたケイ達は、一階の買取カウンターの奥にある倉庫にやって来た。そこにはすでに調査隊とサイオン達の姿があり、その中に見覚えのある人物もいた。


「あれ?クルースじゃん!」

「あっ!ケイさん達じゃないですか!?」


調査隊の中に鍛冶ギルドで働いている職人であるクルースの姿があった。

彼もまさかケイ達に会えるとは思わなかったようで、驚いた表情でこちらに振り向く。それと同時に、護衛依頼を受けていたサイオン達も意外な展開に目を白黒とさせた。


「鍛冶師ってこういう調査とかするのか?」

「実は僕、鍛冶ギルドの他に現地に派遣される調査隊も兼任してまして、年に数回程度参加をしているんです」


クルースは普段、鍛冶ギルドの職人兼職員として働いているが、実は国王ディナトの命により結成された特殊調査隊の隊員もしているという。


主に、ダジュール中に保管されている武器防具の状況確認や年代物の武具の発掘なんかも行っている。調査隊自体は二十年以上前からあるそうで、編制に編制を重ねて今の調査隊になる。クルースも本格的に職人になる前から調査隊のメンバーとして活躍しており、今では職人をしている関係で一線を退いているが、割と大きめな遺跡などの調査に同行することがあるという。


武具の調査だけであるなら、アルバラントにも専門家がいるだろうと聞くと、たまたま近くで作業をしていた別の男性隊員から、クルースはダジュールでも五本の指に入るほどの博識であり、武器や防具に関しては右に出る者はいないという。

しかも今回は、ディナト国王直々に発令があり同行していると話すと、それを聞いたクルースは止めてくれと赤面し慌てた。



「それにしても、沈没船から発見された物って結構あるな~」


倉庫の一角に回収された品々が置かれている。

一見ゴミにしかみえないのだが、見る人からみれば宝の宝庫なのだろう。

調査隊は各々その品々を手に取り注意深く観察をしているその横で、ケイ達は邪魔にならないようにその様子を見つめている。


見たこともないものばかりねと隣にいるシンシアがぽつりと口にする。


確かに中には武器や防具の類いの物ではないものが混じっている。

それらは別に置いておき、後日専門の調査員に依頼するそうで脇に置かれている。

予め選別されてるとはいえ、専門家が来訪するため時間がなかったのかきちんとはされておらず専門家達が時折自身で振り分けをしている姿もある。


「選別された物はやっぱりアルバラントに送るのか?」

「あぁ。主に歴史家達が調査を行う手筈になっている」


アルバラントに関しては主に歴史関係である文献や美術品などを担当するそうで、運搬の際に傷が付かないよう布で巻かれて更に別途保管されている。しかしそれが必ずしも正解かどうかは冒険者ギルドではわからないため、とりあえずそれらしいものを送るようにしているという。


「あっ!」


ケイ達の前を回収品が溢れるほど入っている木箱を抱えて職員が通り過ぎる。


その時何かに躓いたようで一瞬体勢を崩すが、なんとか持ちこたえて箱を持ち直そうとした時に箱から溢れていた回収品が一つ転がり落ちた。


「おい、落ちたぞ?」

「あぁ~!すみません!助かります!!」


ケイが拾い上げ男性職員が持っている箱に戻そうとしたが、その転がり落ちた物を見て疑問を浮かべる。


手にした物は、真っ黒のキューブ型の何かがだった。

一見ルービックキューブのような形をそれは、倉庫の窓から入ってくる日の光に反射して、一瞬何かが書いてある跡があるのが見てとれた。ケイが目を凝らしてそれを見ようとした時に男性職員から返却をしてほしいと言われたので、大人しく箱の中に入れて置いた。


「ケイ、どうしたんだ?」

「あ、いや、ちょっと・・・」


回収品を運んでいる職員の後ろ姿を見ながら、アダムの投げかけに半分気の抜けた返事を返した。



一時間もしないうちにケイ達は倉庫から退出した。

これ以上は作業の邪魔になるかもしれないと思い、ロベル達と共にギルドの受付の方に戻って来た。


オルガは立ち会いがあるからと残り、去り際に一通り話は聞いたがまた聞くようなことがあれば招集するかもしれないと言われる。しかしケイ達も先ほどの説明以上の説明はできないと首を振ったが、滅多に再招集することは希だと言われる。


「ロベル達はこのあとどうするんだ?」


オルガと別れたケイ達は、一緒に戻って来たロベル達にこう聞いた。

ロベルはサイオン達が任務を終えたばかりだから、二~三日はアーベンで休暇を取ると返した。それに調査隊がエストアまで帰還するための護衛も請負っているようで、しばらくは指示待ちかなと言っていた。


「ケイ達は?」

「俺達はダット達の船に様子をみてくる」

「ヴェルティヴェエラさんとノヴェルヴェディアさんのことですね?」

「あぁ、ちょうど聞きたいこともあるし」


ロベルは、ケイの言葉に一瞬考えてから自分たちも一緒について行っていいかと聞く。ロベルとルナもあながち関係がないとは言えないため、再度様子を見たいと答える。その隣で別行動をとっていたサイオン、ノイシュ、マリアンナは何のことかと互いに顔を見合わせて首を傾げる。


三人は人魚族を見ていないため話しの流れがわからないようで、ロベルとルナが少しだけ別行動でと言ったことに対し、二人が行くならついていくと答える。



ケイ達はそんな三人を見て、第一印象にパンチがあるけど大丈夫かなと心配の表情でそのやりとりを見つめていた。


ケイは一瞬見た黒いキューブ型のなにかに疑問を持ったが、詳細を調べることができずに職員に返してしまいます。オルガの招集後、船に戻っていったダット達の様子を見に再度向かうことになります。


次回の更新は4月29日(水)です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ