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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
大陸編
165/359

160、予言者アニドレムの正体

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

さて今回のお話ですが、国王に呼ばれたケイ達が城に向かうことになります。

『君達に見せたい物がある』


先日、ケイ宛てにアルバラントの国王であるガイナールからこのようなメールが届いた。


どうやら、以前フォーレから聞いたエストアとフリージアの合同調査の報告が上がったそうで、ケイ達にも見て貰いたいと言ってきたのだ。もちろん、ケイもその辺がどうなったのかが気になったため、ローゼンにブルノワと少佐を任せ、仲間達を連れて城に赴いた。


城の警備をしている男性に連れられ通された応接室で待っていると、ほどなくしてガイナールとその執事をしているウォーレン、それとフォーレが入ってきた。

ウォーレンとフォーレは手に資料を持っており、ローテーブルにそれらを置いてからケイ達の向かいのソファーに座る。


「急いでいるところ悪かったね」

「別に。依頼も特に受けてないし~」

「実は早くに君達に見て貰いたいと思ってたんだ」

「なにかわかったのか?」

「わかったところじゃない。今回はそれ以上だったよ」


ガイナールは、フォーレからエストアとフリージアの境にあった廃村はレイブンの故郷だということは聞いていた。正直、本人同席でその話をするのは酷だとは思っていたが、それと同等にいくつか判明したことがあると述べる。


「十二年前に廃村になったブカヴという村の事だが、以前ケイ達から聞いた話を元に村の位置関係を考査した結果、アニドレムが拠点としていた家の地下から資料がいくつか押収できた」


先日フォーレが屋敷に来た時に話したこととは別に、少し前にアルバラントに来ていたヴィンチェ達からも話を聞くことができたそうだ。特に仲間である村出身のダニーの話は有力だったようで、村があった当時の状況を参考に捜索したところその地点からいろいろと見つかったとのこと。何百年も前のものがまだ残っていることに驚きもあったが、保存状態がよかったのか古いながらも解読はできそうだとガイナールが続ける。


「これらの内容は全て、予言者アニドレムに関係があった」

「どういうことだ?」

「表向きはアニドレムが世界大戦の予言をしていたようだが、調べていくうちにアニドレム自身が世界大戦を引き起こしたのではないかと思ったんだ」


提示された資料には、アニドレムとキューリオ家が世界大戦を引き起こすための極秘資料となるものも散見された。ガイナールによると、当時キューリオ家は本家と分家に分かれて活動していたようで、本家をアルバラントに従事させる一方で水面下で分家がいろいろと手を尽くしていたそうだ。


「あれ?でもキューリオ家はお家取り潰しをしたんじゃないのか?」

「あぁ。本家はブラマンテに仕事を取り次いだ後に汚職や横領でその直後に取り壊しになった。残った分家の方は十二年前に窃盗などの別の罪で実刑を受けている」

「表向きは・・・ってことか。ということは、本家と分家は情報共有していて、尚且つ裏ではアニドレムに従事していたってわけになるな。分家の方は最近まで存続していたから、予言者関連を世に出さないために秘密にしていたんだろう」

「その可能性はある。村襲撃に魔物を差し向けたようだが、おそらくは魔物寄せの道具を使ったのだろう。その辺については出所をフォーレに調査依頼をしている」


現段階ではその部分は調査中なのだが、フォーレからは魔物寄せの道具は複数地に経由する形でキューリオ家の分家に渡った可能性があると見ている。

隣で聞いていたレイブンは顔色を青くさせながら、前から村を潰すために計画をしていたことか?と口にすると、ウォーレンからはお気持ちはわかりますがその可能性があるでしょうと返され、どういう表情をしていいかわからず困惑する。


「それと、これを見てほしい」


ケイ達の前に置かれたとある資料を向けられると、そこには古い羊皮紙に何かの契約書とおぼしき文面が書かれている。解読結果によると、五百年前の世界大戦後の文面だという。また右下の連名は二人分あり、一人はキューリオ家、もう一人は予言者アニドレムの名が記されている。


ケイは差し向けられた文面を目にした瞬間、何かに気づき「うそだろ・・・」と口にする。


「ケイ?どうしたのよ?」

「なぁ。お前らはこの名前を読めるか?」

「名前?これは・・・アニドレムのことでいいんだよな?」


何かに気づいたケイにシンシアが尋ねると、ケイの示した文章を見て五人は揃って首を傾げる。案の定アダムから確認の言葉が返ってくると、やっぱりなとケイは納得をする。


「これは地球にある他の言語で英語表記なんだ」

「英語?そういえばケイが居た地球はいろんな言語があるって言ってたわよね?」

「あぁ。これはアニドレムの英語表記だ」


右下にある文面には、anidremと名が記されている。



「これ、逆から読むとメルディーナになるんだ」



ケイの言葉にアダム達が驚いたのはいう間でもない。


まさか予言者アニドレムがメルディーナだったとは誰も思うまい。当初ガイナール達はこの文面を目にした時に、ケイから話のあったメルディーナのことを思い出したのだ。元・日本人だったガイナールとフォーレはアニドレムの英語表記を読めたのだが、それをウォーレンに確認させたところアダム達と同じ反応をしたので、まさかと思いケイ達を呼んだという。


「そうなると、いい伝えにあった時渡りはメルディーナってことなの?」

「まぁな。でもメルディーナがアニドレムである以上、時渡りという言葉自体が造語の可能性がある。裏を隠すために、時渡りは予言者だということを風潮してたんだろうな」


シンシアは信じられないわといった表情を浮かべる。


歴史のちぐはぐ感は全てメルディーナが原因という黒狼の話も一致する。

収集がつかなくなり、無理矢理歴史変換の処置をとった上に隠蔽作業も行う。そう考えると、思った以上に歴史の闇は深いのだろう。


「そうなると、歴史変換が大分前から行われていたと考えるべきだな」


ガイナールもケイと同様に同じ事を考える。

全てを理解しているわけではないが、彼もまた歴史の変換はもしかしたらアスル・カディーム人達が生きていた時代から始まっていたのではないかと思い当たる。


ケイは、その辺に関して一つの仮説を立てている。


アスル・カディーム人達が存命していたエリロス歴は、今のカエルム歴より遥かに時代が進歩しており、なんらかの原因、たとえば戦争なんかで世界が崩壊寸前になったことによりカエルム歴でリセットされたのではと。しかし、当時生きていた人達もいち個人のため、個々に過去の遺産を隠し通していた。


メルディーナ自身、ケイに会うまではいろんな世界を無許可で観ていたということだったので、ダジュールの歴史発展の種を巻いたのだろうと推測すると、それを応用し発展させたのは当時の生きている人々だが、間接的ではあるにしろ大もとはメルディーナ本人となる。


そうなると、創造神であるアレサは今までずっと静観していたのかと疑問を持つ。


部下のメルディーナに自分が造った世界を好き放題にさせており、その結果が今の時代に反映されている。普通なら烈火の如く怒りそうなものだが、ケイが会った時の彼女は自分の子供を咎める母親のような態度をしていた。その後のことはよく知らないが、以前ヴィンチェから「然るべき罰を受けた」と聞いたことを考えると何かしらのアクションはしていたと思っていい。


そこで、はたとあることに気づく。


「そういや、ガイナールとフォーレは元々以前の記憶を持っていたんだよな?」

「あぁ。それがどうかしたかい?」

「それって、アレサが必然的に二人をこの世界に送ったって可能性は?」


ケイの言葉にガイナールとフォーレが言葉をつまらせる。


創造神であるアレサが何も気づかず何も対策をしないとは考えられない。

一度ねじ曲がった歴史を元には戻せないかもしれないが、全てを明らかにさせ、正しき世界へと導く要因を投じたのは、その時地球で亡くなったガイナールとフォーレではないかと。ガイナールとフォーレも生きていた時代が違うが、時間や次元軸がある程度融通が利くことを想定すると、同じ世界のことなる時代の者同士であっても他の世界で共に生きていくことが可能だと解釈をする。


その辺は創造神の力かもしれない。


アレサはメルディーナが隠蔽していたことも知った上で、水面下でいろいろ対策しており、ケイ・ヴィンチェ・ベルセ・ナットの辺りで有罪を下したのだろう。


そうなると、ガイナールがシエロの鍵を持っていたことにも説明がつく。

当の本人達は困惑した表情を浮かべているが、ウォーレンから腐敗したアルバラントをここまで立て直したのだから、以前の記憶を持って生まれてきたことにも理由があるのではと口にする。


現にダジュールには、ケイを含めて六人の元・日本人達が居る。


もし仮にケイの推測通りならば、自分たちは知らない間に歴史を背負わされている感は否めない。本音を言えば、アレサがどんな目的でガイナールとフォーレを呼び寄せたのかははたまた偶然なのかは想像でしかはかることはできない。


机上の空論を述べたところで無意味だということは理解しているため、一同はこの話題を打ち切ることにした。



「そうだ!それとは別にちょっとこっちもまずいことになってさ」


ケイはガイナール達にアレグロのことを説明をした。

現在アレグロは儀式による浸食が進行しており、今は本人に了承を経て朝晩一回ずつ鑑定で【タァークル率】の変動を確認している。そうはいっても何ができるというわけではないが、今のところ見る限り変動はみられない。アレグロとタレナがマライダで保護をされてから二年以上は経っているところを見ると、おおよそ一年に5%ほど増えている。ちなみにタレナはケイに説明されるまで、アレグロの背中のタトゥーを知らなかったようで、始めに説明をした時にとてもショックを受けていた。


ただアレグロにあってタレナにないと考えると、姉妹なのに違いはあるのかという疑問点も浮かぶ。


シルトの記憶では、その当時の常識的なことは覚えているようなのだが、肝心のその時何があったかに関しては覚えていないという。アルペテリアと同様に保護されたアスル・カディーム人であるが、各々の疑問点も消化されずに謎ばかり増えていくことに歯がゆい気持ちを持つ。


「アレグロの事を考えるとなんとかしたいんだよな~」

「気持ちはわからなくもないけど、急いだところで真実が見えるわけではないよ」

「わかってるって、しっかしどこから手をつけていいもんかな~」


ガイナールに諭されるケイと申し訳なさそうな顔をするアレグロ。

ちなみに先日屋敷に来て貰った医師は、ガイナールもお世話になることがあるようで、アレグロに何かあれば見に来る手配をとるとありがたい話も受けた。


今後どうなるかはわからないが、少なくとも歴史=メルディーナの構図は間違いないと考え、それによって歴史がどう変わっていき何があったのかを突き止めるしかない。それによりアレグロのタァークル率が解消されるのかは解明次第ということになる。


一同が不安視しているアレグロの儀式による浸食がどのサイクルで動いているのかは今のところ不確定だが、こればかりは誰にも予想がつかなかった。


予言者アニドレムの正体はメルディーナだった。

一同はメルディーナが歴史変革を起こした可能性があるとして、より一層調査をすることになります。

真実は一体何なのか?ケイ達は何を知ることになるのでしょう?


次回の更新は4月17日(金)です。

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