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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
大陸編
143/359

138、婚礼の儀と調査報告

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。大変遅れて申し訳ありません!

さて今回のお話は、マライダの国王であるマーダとルラキの婚礼の儀とマデーラの洞窟で見つかった地下の調査報告を受けつつ、とある説明をしようとする話になります。

ケイ達がマライダに到着したのは昼を大幅に過ぎた頃だった。


式は宮殿の一角にあるスペースで執り行われるそうで、式の衣装合わせや準備のためマーダには会えなかったが、会場で部下に指示を出しながら緊急業務と式の準備を同時進行で行っているルラキに会うことが出来た。


「ルラキ隊長!ケイさん達をお連れしました」

「二人ともありがとう。それとケイ達もよく来てくれた。なんのおもてなしも出来ずに申し訳ない」

「気にすんなって。こっちこそ忙しいところ余計な手間もかけちまったようだな」

「そんなことはないさ。それに指輪の件もだいぶ助かったし、明日の彼女の驚く顔が楽しみなんだ」


ルラキの方はすでに明日着用する衣装の最終調整を終えており、サプライズの指輪の件はなんとか彼女にバレずにすんでいると話す。ちなみにみんなで取ったエメラルド鉱石は、マーダが明日身につけるネックレスやイヤリングなどの装飾品にあてがわれ、ブルノワから貰ったエメラルド鉱石は二人の指輪に飾ることになったそうだ。


「そうだ!せっかくケイ達が来てくれたんだし、明日の式に出てくれないか?」

「えっ?俺達が?身内じゃねぇぞ?」

「ケイ達にはいろいろと世話になったから、みんなにはぜひ友人として参加してほしいんだ」


実はケイ達を呼んだ段階で式に参加して貰うことを考えていたそうで、予め参加者を多く想定していた配置にしていたらしい。内緒で手伝ってほしいということはひとつの口実で、本音はそこだったことに意外と頭の回転が速いのだなと、ケイ達は苦笑いを浮かべながら彼の言葉に同意した。



その後会場の準備をしていたルラキと別れたケイ達は、召使いの女性の案内で会場とは反対側である東側の客室に通された。その途中でマーダの弟であるルークスの姿を見つけ声をかけると、ルークスも驚いた表情でこちらに声を返した。


「ケイさん達じゃないですか!?」

「よぉ!ルーク!元気にしてたか?」

「はい。皆さんもお変わりなさそうで安心しました。アレグロとタレナも元気そうで安心したよ」


久々の再会にルークスは安堵の表情を浮かべた。


特にアレグロとタレナの事を気にかけていたので、久々の二人の姿にほっとした言葉をかける。アレグロとタレナは自分たちの後任を務めているターニャとカブリコフはうまくやっているかと心配をしていた。

タレナの話ではターニャは落ち着きがないところもあり、二人が在籍していた頃はちょっとした失敗をよくしていたと話したが、ルークスによると後任の護衛を務めるようになってから以前よりはだいぶ減ったようだと証言した。それを聞いたアレグロとタレナは、暫くは迷惑をかけることもあるかもしれないが暖かく見守ってほしいとルークスに頼んだ。



翌日、マーダとルラキによる婚礼の儀を前にケイ達が悩んでいた。


参列者は二人の親族が中心なのだが、友人代表として参加することになったケイ達はさすがにいつもの服ではまずいのではと考え、偶然出会ったカブリコフに相談をすると、ルラキからマーダには内緒で全員分の礼服を用意していると聞いて安心をした。しかもご丁寧にブルノワ用の礼服や少佐用として金色の首飾りなどを借りる事ができた。かなりの用意周到さである。


「やっぱりガタイがデカいと似合うんだな」


借りた衣装を着ると、体格の大きいアダムとレイブンは古代神話に出てくる神々のような雄々しい出で立ちに映る。とくに黒地に金色の刺繍が細かく施され、体格の良さも相まって全体的に引き立つフォルムになっている。


女性陣はというと、古代ギリシャ人が着ていたとされるイオニア式キトンのような服装をしている。こちらも黒地に金色の刺繍が施されているが、女性らしく肩の辺りに宝石をあしらった金色の装飾がされている留め金にウエスト部分は衣装に合わせて金色が混じったベルトのようなものを巻いている。アレグロとタレナは女性らしいメリハリのある体型が相まって美しいと言っても過言ではない。


「ケイはなんだか着せられている感じはあるわね」

「薄々気づいてたけど、シンシアには言われたくねぇな~」

「私だって似合ってないのはわかってるわよ!」


ケイとシンシアは元より小柄で華奢な部類に入るため、他の四人よりかは着せられている感じが否めない。それを見たブルノワと少佐が二人とも似合っていると慰めてくれるのが心に染みた。



婚礼の儀は、数少ない二人の親族を中心に密かに行われた。


式はケイが知っている結婚式のようなものではなく、宮殿の一角を会場としてセッティングされ、全体的に金色をあしらった京都の有名な寺や某武将が部下に造らせた金色の茶室を彷彿とさせる。


式の途中で、隣に座っていたルラキの親族である女性と少し話すことができた。


彼女の話では、マライダの結婚式には魔を祓い魔から人を守るために金色の装飾を身に纏い、永遠の愛と幸福を誓うという意味でエメラルドの指輪を贈ることが昔からの習わしだという。


現にマーダとルラキの二人は全身金色の衣装を身に纏い、マーダは首飾りや腕輪、イヤリングにはエメラルドが配置された金色の装飾品を身につけている。

彼女に至ってはこの日のためでもあるのか、ボーイッシュな髪型から金色の髪飾りが似合う大人の女性として目に映った。しばらく見ない間にだいぶ雰囲気が変わったなとケイは感心をした。しかも面白いことに、マーダがケイ達を見つけると目がこぼれ落ちそうなほど見開き、驚きの表情に変わったところが滑稽で面白かった。

_


ちなみに参列者には護衛のターニャとガブリコフも参列しており、指輪の交換の場面では、感動からか大号泣のカブリコフにそっとハンカチを渡しているターニャの姿もあり、彼らの意外な一面も見られた。


そんなマーダとルラキの新たな門出を祝して、ケイ達はいい式だったなと感じたのだった。



婚礼の儀の翌日、式を迎えたばかりのマーダとルラキには休みがないようで、各々通常通りの業務へと戻っていた。国王としての役割がある以上休みがあまりないようで、少し気の毒な気もするが今回に関してはケイ達が発見した地下の事も関連しており、より一層申し訳ない気持ちになる。


カブリコフとターニャに連れられ、ケイ達は二人がいる応接室に足を運ぶことになった。もちろん、マデーラの洞窟の地下に関することだ。


「昨日はとても驚いたよ!」


応接室に入ってすぐに、マーダが驚きと面白さが相まってカラカラと声を上げる。

ケイがルラキからのサプライズだと伝えると、二つもサプライズを受けるなんて私はなんて幸せ者なんだと口にした。


「二つ?」

「もちろんケイ達と指輪の事だよ!」


マーダからそのことを聞き、あぁ~と納得する。

その言葉通り、マーダとルラキの左手薬指にエメラルドをあしらった指輪がはめられている。やはりこの辺は異世界でも万国共通なんだなと妙に納得をする。


すると、ルラキからエメラルド鉱石のお礼として硬貨が入った小袋が送られた。

さすがにめでたい式の後に生々しい交渉はしたくないと遠慮をしたのだが、ルラキからどうしても受け取ってほしいと切実な表情と言葉を述べられる。


「たかが宝石探しを一緒にしただけだろう?なんでそんなに必死なんだ?」

「実は、ケイ達が探してくれたエメラルドの中に希少な鉱石も混じっていたんだ」

「希少な鉱石?」

「アルクス・エメロードというエメラルドの希少鉱石で、俺とマーダの指にはめている指輪の宝石がそれなんだ」


二人の指輪をよく見ると、光が反射している緑色の中に虹色の光彩が浮かんでいるのが見える。


アルクス・エメロードはエメラルドの中に七色の光が映るのが特徴で、マライダでもほんの少ししか採掘できないという希少な宝石である。一見普通のエメラルドに見えるのだが、太陽の下などに照らしてみると鮮やかな虹色が垣間見え、別名・皇帝の石などと呼ばれている。ちなみにその鉱石はブルノワから貰った物を加工した際に知ったそうで、あまりの完璧さに職人や鑑定士も驚きの声を口にしたほどだったそうだ。


そんな二人の願いもあり、ケイ達は硬貨が入ったお礼の品を受け取ることにした。



「さて話は変わるが、マデーラの洞窟の調査報告を受けたのでケイ達にも話をいくつか聞きたい」


マーダが本題に切り出した。


マライダでも今までになかった事例だったようで、最近ではアルバラントの王から地下遺跡の協力要請の手紙を受け取ったことを話し、まさか今回見つかったものも過それに該当するのではないかと考えたそうだ。

調書によるとマーダとルラキも知らない物ばかりで、特に二人が気になったのは謎の人型の物体、ヒガンテのことである。ターニャとカブリコフからケイ達から説明すると聞いたそうでぜひその説明をと所望している。


いきなりの本題にケイはどこから説明するべきかと思い考えた。

というのも、この件に関しては後々アレグロとタレナにも関係しているからだ。

二人を保護したマーダ達に打ち明けてもいいのだろうかと一瞬考えたが、目線をアレグロとタレナに移すと、その意味を察したようでケイに任せるといった表情が返ってくる。


「もしかして言いにくいことなのか?」


マーダがその様子に気づいた様で声をかけてきたが、ただどこから話していいか考えていたと返す。そんなに重要なことなのかと聞いてきたので、実はアレグロとタレナにも関係してるんだと話すと意表を突かれた表情が返ってきた。


「アレグロとタレナが?しばらく会わないうちに一体何があったんだい?」

「あー、ちょっとダジュールの歴史を調べててな」

「ダジュールの歴史?」


マーダが真剣な表情を向けている横で、ルラキはいまいち要領を得ないのか、皆目見当もつかないと困惑の色をあらわにする。その側では成り行きを見守っていたターニャとカブリコフが顔を見合わせている。


「まずはその話を聞くことが先ということか?」

「あぁ、そうだ。察してくれて助かったぜ」

「実は私も思うことがあってね。詳しく説明をしてほしい」



マーダの言葉に、ケイは今まで調べたり遭遇した遺跡の事などを彼らに説明をして見せた。


アレグロとタレナを保護したマーダ達に真実を告げようとしているケイ。

果たして彼らの反応は?


次回の更新は2月24日(月)夜です。

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