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始まりの街にて

 俺はシエルに対する怒りも忘れ、窓へと走っていく。窓枠に手をかけると、街並みが大きく見渡せた。

 そこには太陽の光を受けてキラキラと輝く白い石造りの建物が立ち並ぶ。そして見下ろすとたくさんの人、人、人。時間に追われて働く人、道の端で露店を開く人、広場で弦楽器らしきものを演奏する人、そんな何百という人の群れで埋め尽くされて賑わっている。

「うわあ、すっげえ…。俺、田舎育ちだからさ。こんなでっかい街、初めて見た。これが都会ってやつかあ…。」


 俺が街並みを見ながら呆然としていると、突然背後の扉がガチャリと音を立てて開いた。パッと振り向くと、そこには俺たちが助け__いや、逆だな。俺たちを助けてくれた彼女が立っていた。

 山賊やらで彼女の格好まで気にしている余裕がなかったが、改めて見ると少し変わった格好をしている。女性らしさを隠すかのように全身に身につけた軽鎧の下には、輝くような白さの着物のような装束を着ており、その白さが彼女の長い碧髪に映えている。


「シエルちゃん、様子はどう…って君、目覚めたのね! よかったぁ〜…。」

 彼女は俺を見て顔をほころばせる。彼女が笑うと大人びた顔にえくぼができ、子供のような無邪気さが浮かび上がる。どうやら気絶している間にかなり心配させてしまったらしい。助けようとしたはずなのに、迷惑かけてばっかりだな…。


「えっと、初めまして…でもないか。俺は竜崎 仁って言います。その節はご迷惑をおかけしました」

「私はアンナ・コレットよ。よろしくね、リュ…リュザーキ、ジン君?」

 どうやら彼女は竜崎という発音がうまくできないようだ。日本の名前だからだろうか。

「あー、言いづらかったらジンでいいっすよ。よろしくお願いします、アンナさん」

「ごめんね、よろしくジンくん。それにシエルちゃんも、ちゃんと挨拶してなかったよね。よろしくね」

「よろしくお願いします、アンナさん。この度はジンが本当にお世話になりました。ありがとうございます」

 胡散臭いニコニコスマイルでシエルが深々と頭を下げる。俺以外を相手にするときはちゃんと敬語を使えるらしい。ちょっと意外だ。


「それにしても、俺たちのせいでとんだ迷惑をかけちゃったみたいで…。ほんとすいませんでした」

「ああ、いーのいーの。どうせあいつらを倒したら帰るつもりだったし、そのついでみたいなものよ」

「そう言えば、アンナさん。どうして山賊に襲われてたんすか?女の人が森で一人なんて、危ないじゃないっすか」

「ああ、それはね…ふふっ、私、冒険者なの」


 アンナさんは得意げな顔をしているが、俺には正直ピンとこない。

「冒険者…ですか?どんな仕事をしてるんですか?冒険するのはなんとなくわかるんすけど…」

「あら、ジン君は冒険者を知らないの?」

「はい、俺の地元にはいなかったもんで」

 冒険者なんて、テレビの中で何度か見たくらいだ。どうやって生計を立てているのかなんて、皆目見当もつかない。

「じゃあ、君たちこの辺の出身じゃないんだね。でもその割に、長旅をしてきたような格好には見えないけれど…。まあいいか。」

 アンナさんは少し訝しみながらも、言葉を続ける。助かった。追求されたらなんて答えていいかわからない。まさか、異世界から旅してきましたなんて言えないもんな。


「冒険者っていうのはね、街の人から依頼を受けて、危険な冒険で生計を立てている人のことを指すの。魔獣や賊なんかを相手に戦ったり、未開の地で珍しい素材を採取したり、とかね。」

 なんというか、相当ヤバそうな職業だな。少なくとも、俺には向いてなさそうだ。だがシエルには楽しそうに思えたようで、

「すごいですね!なんか、街を守る正義のヒーロー、って感じです!」

 なんて目を輝かせている。

「でも、女性一人じゃ危険なんじゃないっすか?」

「いえ、私は冒険者ギルド『トゥールビヨン』に所属しているの。この街でも有数の実力者ギルドなのよ。まあ、それでも毎年何人かは死者が出てしまうんだけどね…」


 アンナさんは少し表情を曇らせた後、

「そんなことより、あなたたちのことを聞かせて?どこから来たの?この街の出身ではないのよね?」

 ついに聞かれてしまったか…。なんとかその話題は避けたかったんだが。

「あー…。えーとですね、なんか、遠いところ?から、旅…みたいなものをしてきてですね」

 俺はしどろもどろに答えるが、そこにシエルが割り込んでくる。

「私から説明しますね。ジンと私は、つい昨日出会ったばかりなんです。ジンは必死に追っ手から逃げていて、今にも死んでしまいそうでした。そこに私が通りかかって、命からがらここまで2人で来たのです。2人とも荷物を襲われた場所に置いてきてしまったので、一銭も持っていないんです」

 すごい、ほとんど嘘をついてないのにシエルが救世主みたいに聞こえる。実際はその追っ手がシエルの差し向けたトラックだったわけだが。


「そうだったの…。それは災難だったわね。…そうだ!せっかくだし、私が街を案内してあげましょうか?」

 アンナさんの提案に、シエルが目を輝かせて「それ、いいですね!行きましょう!」とはしゃぐ。正直、俺も行ってみたい。行ってみたいのだが…。

「すみません、俺、まだちょっと体調が悪いみたいで。それはまた今度の機会に…。」

「あら、私ったら気が利かなかったみたいで…。ごめんなさいね。じゃあ、ここの宿代は払っておくから。明日また来るわね」

「何から何まで、ありがとうございます。ほれ、シエルもお礼言え」

「ありがとうございます!」

 アンナさんは立ち上がる直前、俺にしか聞こえないように囁いた。

「シエルちゃんにお礼を言っておきなさいね。ジン君のこと、とても心配してたんだから。起きるまでつきっきりで看病してくれてたのよ」

 俺は目を瞬く。あのシエルが、俺を心配していた?想像もできない。俺の脳は理解することを拒否したようで、「え、あ、はい」と間抜けな声でなんとか返事をした。


アンナさんはニコリと笑って宿を後にした。シエルは俺に向き直ってぶーたれる。

「なんでアンナさんの誘いを断るのさ!私、この街を探検してみたかったのに!」

 俺はそんなシエルは気にせずにさっと窓のカーテンを閉める。

「何言ってんだよ。そんなことより、俺たちの身の振り方を話し合わないとな。俺はお前に言いたいことも聞きたいことも山ほどあるんだ」

街に着きましたが、しばらくは宿から出られそうにありません。

なんの説明もなしに異世界に飛ばされたので、話し合わなければならないことがたくさんあるのです。


今回、今までにも増してガバガバ文章ですね…。

書きたいことはまとまっているんですが、会話メインの回って難しいんですね。

次は今後の目標についてです。

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