表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NOAH ~希望と地上の守護神~  作者: 地理山計一郎
第1章「ノア,東京に現る」
2/37

第1話「全ての始まり」


俺の名前は真銅猛。職業は・・・・何もしていない。俗に言うニートだ。父親は俺に厳しい。反面,母親は俺に激甘だ。

俺は高校を卒業してから22歳まで仕事についてない。やる気も起きない。毎日寝るかゲームするか飯を食うかだ。何も変わらない,変化のない毎日を送っていた。

あいつに会うまでは・・・・

それは,俺が新作ゲームを発売日に買いに行った時のことだった。新作ゲームを買って,財布を見てみると,金が余っていた。俺はジャンク屋で何か古いゲームかマンガでも買おうと思って,古本屋やジャンク屋を回っていた。

でも,いいゲームもマンガも見つからないから,帰ろうと思ったんだ。でも,最後に立ち寄った古本屋で変な石を見つけたんだ・・・・その石は,オレンジ色に輝いてて,じっと見てると引き込まれそうな感覚になってしまうほど,キレイな石だった。

おれは思わずその石を手に取って,

「あの,すいません・・・・この石,売り物ですか?」

レジにいた店長のじいさんに石のことを尋ねた。

俺が最後に立ち寄った古本屋は本屋というよりは骨董品屋に近かった。骨董品には興味ないけど,ここなら何かレア物のマンガとかが手に入ると思って入ってみたんだ。

でも,まさかあんなキレイな石を見つけるなんて思ってもみなかったけど。

店長のじいさんは半開きの目でじっと俺と石をチラチラ見て,石のことを話し始めた。

「この石な・・・・ワシの親父の代からあるんじゃ。親父は,海辺で拾ってきたんじゃが,なんでも,空から落ちてきた石だとか言ってたのぉ・・・・親父は儲かると思って置いたみたいじゃが,誰も買ってくれんでのう・・・・若いの,500円でいいから買わんか?」

俺はじいさんの話を聞いて,思わず石を買ってしまった。でも,損をしたとは思っていない。たかが500円だし,こんなにキレイなんだから得した気分にはなれる,と思ってた。

そして,その夜,母親の用意した夕飯を食いながら俺は買った石のことをネットで調べてみた。でも,オークションや通販サイトには載ってない。画像検索してみたら似たような石はあった。でも,どれも俺の買った石とは全然違っていた。

画面に映ってる石はパワーストーンとかだけど,買った石はどう見てもパワーストーンのようには思えなかった。しかも,俺の買った石は,手のひらサイズでキレイな円形だった。周りをよく見てみると,デコボコ一つもない。じいさんは空から落ちてきた石を海辺で親父さんが拾ったって言ってた。だとしたら,その時代のことを考えると,機械とかでこんなキレイに削るのは難しい・・・・

悩んだ俺は,最終手段を取った。2ちゃんねるだ。

2ちゃんねるなら,誰か詳しい奴がいるかもしれない。俺は石の写真を撮って,2ちゃんに載せた。しかし,みんなの反応は「知らない」,「パワーストーン?」,「見たことない」ぐらいしかなかった。

「はあ・・・・さすがにみんな知らねぇか・・・・」

俺が諦めかけたその時,1人のユーザーが俺のスレッドに返信した。

『この石,どこで見つけたんですか?』

そのスレッドに,俺は急いで返信した。

『近所の古い古本屋で見つけた。』

また返信が返ってくる。しかも,その返信は,俺も思わずポカーンと口を開けたままになっちまうくらいだった。

『その石,実際に見たいです!青森まで来てくれませんか!?』

こいつ,いきなり何言ってんだ?いきなり青森に来い?石が見たい?勝手なこと言いやがって・・・・

少しむかついた俺は,怒りを込めて返事を打った。

『青森に来い?勝手なこと言うな!!俺にだって都合がある!!この石のことだって調べたいし。』

返信を送ると,5分もせずに返事が返ってきた。

『青森に来れば,あなたの知りたいこともわかります。だから,どうか,どうか青森に来てください。』

「知りたいこと・・・・」

俺は石を手に取り,じっと見つめた。すると,石が淡く光り始めた。

俺は慌てて部屋の電気を消した。もしかしたら部屋の照明に反射しただけかもしれないと思ったからだ。

でも,やっぱり光ってる。光は小さいけど,石は確実に光ってる。

「な,なんだよ,この石・・・・!?」

俺が口を半開きのまま唖然としていると,石は光を失い,元の状態に戻った。

「・・・・青森・・・・!」

俺は石を握りしめ,青森に行く決心を固めた。

あんなのを見た以上,後にも引けないし,何よりも,俺はこの石のことを知りたかった。

俺は返信してくれたユーザーと,新青森駅で待ち合わせすることにした。


翌日,俺は石と必要な物を持って,青森行きの新幹線に乗った。金は自分の通帳から引き出した。俺の母親が一ヶ月毎に金を入れてくれたおかげで高い新幹線の切符も,楽に買えた。

そして,俺は新幹線に揺られ,景色を見ながら駅弁を楽しんだ。途中,石のことが気になって,リュックの中を覗いた。覗いてみると,石は昨日の晩と同じように淡く光っていた。

おれはたちまち,どうして石が光るのか不思議に思った。

(青森が何か関係してるのか・・・・?)

いろんな考えが頭の中で交差する中,新幹線は滞りなく進んだ。そして,1時間ぐらい経って,ようやく青森に着いた。さすがは新幹線,高い分早いな。

俺は新幹線を降り,駅内のベンチに座って待った。

待ち合わせ相手のユーザーには,「明日,俺は灰色のパーカー,黒のシャツ,青のジーンズを着て新青森駅で待ちます。」と送っておいた。ユーザーは,「私は,白のスカートに,縞模様のシャツ,水色のベストを着て会いに行きます」と返信ししてくれた。

(白のスカートに,シマシマシャツ・・・・)

俺はベンチに座ったまま,辺りを見回した。それっぽい人は見えない。まだ来ていないようだ。

俺はその人が来るまでの間,石のこと,相手に聞くことを考えることにした。まずは,この石はなんなのか,隕石なのかそれとも鉱物かなにかなのか・・・・もう一つは,なぜ,この石が光ったのか・・・・この石には何か不思議な力があるのか?そして,なぜ海辺に石が落ちていたのか。謎は絶えない・・・・

俺は頭の中でなんとか答えを見つけようとした。でも,どの答えも的外れで,俺の頭はパンクしそうだった。

「あの・・・・2ちゃんでコメントしてた人ですか?」

その時,声が聞こえ,目の前に白いスカートが現れた。どうやら,待ち合わせの相手が来たようだ。

俺は顔をその人の顔に向けた。

その相手は,女の子だった。しかも,スゴいカワイイ女の子だ。美人とか,色っぽいと,そういうのじゃなかった。なんというか,見ただけで癒されるって感じで・・・・

俺はその時,その子を見た途端,胸がときめいてしまっていた・・・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ