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馬が見える駅  作者: 増田和崇
6/8

⑥ 健二郎

幸一の弟健二郎。スピンオフ的展開のストーリー

健二郎は激しい頭痛とともに起きた。昨夜の記憶はおぼろげで、ゴールデン街の居酒屋を2件ハシゴしたまではなんとなく記憶がある。

その2件目の店で、いかつい男の連れの女が建造の方を見て愛想を振りまいたのがキッカケでいかつい男が健二郎に因縁をつけてきたのだ。


表に出てその男を軽く半殺してから、その女と三件目に行こうとした時に男の仲間数人に囲まれて大立ち回りしたとこまでは覚えていた。


頭を手で抑えて起き上がると知らない女が寝ていた……


健二郎はその当時芸能界で人気のあった三田明とよく似ていたため、街を歩くと間違われて握手を求められたり、つきまとわれたりして迷惑していた。


中学3年にもなると、三田明によく似ていると地元で有名になっていた。田舎臭い顔のむさ苦しい同級生が多い中、健二郎は都会的な顔をしていて服装も洗練していた。


その当時の枡家はまだ勢いもあって隆盛を保っていた。近所にはまだ自動車などあまり見かけない時代に、物流のトラックと自家用車、配達用のバイクなどがあり、傍目にも盛っているのがわかる。


健二郎の家が多田駅のすぐ前の枡家だと知れ渡ると、近隣の女子高生などがわざわざ電車に乗って多田駅まで来て、駅からよく見える枡家の二階の健二郎の部屋やら家の周りを取り囲んで枡家の仕事に差し障りが出るほどであった。


地元の不良連中からは当然目に付けられる。近隣中学の番長クラスや高校の番長が「あいつ、なんか調子のりやがって。チョットしめたろか」とか「頭を坊主にして、ズボン脱がして市内を引きずり倒してやる」といった噂に絶えない。


しかし、健二郎は全く不安にはなっていない。そもそも見た目から想像できない悪ガキだった。

それにも増して、兄の幸一が有名だった。幸一は地元近隣で「チョウパン(頭突き)の枡」と言われるチョウパン(頭突き)のスペシャリストだったのだ。当時の高校の硬い机に、ハンカチを添えた五寸釘を打ち込むという荒業をやってのけて館森高校の「伝説」になっていた。喧嘩の際はいきなり相手の顔面に強烈なチョウパンを入れるため、幸一と喧嘩になった相手は皆前歯が無くなっていた。


幸一の友達連中も只者でない連中が揃っていた。石山はレスリング重量級のインターハイチャンピオン、三木ことミッキーは地元ヤクザの組長の息子、小暮は地元で柄が悪くて有名な建設会社の社長の息子なので、地元近隣の中高生ではこの「ヤバい集団」は有名だったのだ。


初めは健二郎をしめると息巻いていた連中も、兄の幸一の存在を知ると誰一人健二郎を狙う奴はいなくなった。ただ、健二郎自身は「また兄貴の噂で暴れる機会を逃したじゃないの。地元の調子こいてる奴なんて俺一人でじゅうぶんさ」

建造は兄の幸一に守られているような自分が歯痒いのであった。

「こんな群馬のかた田舎で終わるつもりはないさ」

健二郎は高校を卒業したら東京に行く事を決意したのだった。


東京でのひと騒動で逃げるように帰郷する健二郎。

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