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馬が見える駅  作者: 増田和崇
2/8

② 枡の弟、三男

デート中の寿司屋に突然枡が弟を連れてきた。

その弟は身体障害者で手足が不自由の瞳の澄んだ少年だった・・・

枡幸一は少年を背中におぶったままこちらに歩いて来た。まちは訳が解らないで見つめた。これが枡幸一の弟三男との出会いだった。


「こいつが俺の弟の三男だ」


三男は身体障害者だった。見たところ手足はきかない感じだ。自分の手で食事をすることも歩くこともできない感じの……


手は固くに握ったように固まり、足首も伸びかきって靴を履いていない。


枡はそれまでのデートのようなものをしている時にも家のことは一切話題にしていなかった。なので家族構成や趣味が何だとか実家の仕事は何をしているといった情報は全くまちの耳には入ってなかった。


三男はもごもごと何かを言いたそうにしながらまちを見た。


「は、は、はじぇまし、しとうぇ……」


まちは「え、な、なに?」


幸一は「初めましてって言ってるんだよ」


「は、はぁ……」


「まぁ初めは聞き取りにくいが、そのうち慣れるから」


沈黙…そして枡は三男の事を話し始めた。


三男は生まれて間もなく脳性小児麻痺になり障害が残ってしまった。


「生まれて間もない頃はまだ普通にハイハイをしたり、多少は歩いたりしていたんだよ。難しい事は解らんが、医者が言うには発達途上の脳の障害の後遺症なんだってよ」


「いきなりでびっくりしたと思うけど、こういうことは早くに見せた方がいいかなと俺なりに考えたんだよ」


「まだ付き合って間もないけど、俺はお前を嫁さんにしたいと思っている。でも俺にはこういう弟がいて今後も面倒を見ていくつもりだ。だから余計な考えが増えないうちにこの弟を見せたんだよ。いくら説明しても見た方がわかりやすいだろ?」幸一はそのまま語り続けた。


「だから、家に来る事が無理だと思ったら気にするな。苦労する前に決断してくれていい。無理なら今後もう誘ったりしないよ。変に気を回すことなく、はっきりと返事してくれていい…」


「は、はい……」まちはいきなり凄い問題を抱えてしまった……。いきなり普段の日常では見かけることのない、見かけても自分とは関わり合いのない身体障害者が目の前にいる……


街で見かけてもチラッとしか見てはいけないような、「身体障害者」が私の隣に座ってこちらを見ている。その目は驚くほどに澄んでいて私の心の動揺すら見透かしているようだ……


まちの頭の中は台風の日本海の荒波のようにめちゃくちゃになっていた。普通、2回目のデートてプロポーズされるだけでも驚く。それに枡とは付き合っていたことすら自覚がなかった。


そして身体障害者の弟を事前の報告もなしに目の前に連れてきて「俺と一緒になってこの弟を面倒をみるか考えろ」だって⁈…


まちはその日から一週間どうするか考えすぎて記憶が無いのであった。



今後の、まちの決意はどうなるのか?!

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