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馬が見える駅  作者: 増田和崇
1/8

① 毎日が台風のような家族の物語

次から次に問題、事件が起こる8人家族。

核家族化が進み、家族間のコミュニケーションが少なくなっている昨今、そんな事とは無縁の家族が群馬県の片田舎にうるさく存在している。

駅から真ん前、駅の隣は馬舎がある変わった駅の前に…

早田まちは、中学・高校とあまり恋愛には積極的ではない青春を田舎で過ごした。


高校を卒業後は田舎では世間体の良い信用銀行に勤め始めはじめた。昭和30年代の地方都市では上出来な経歴だった。

この頃の多くの高校生は、大学に入学して上京する者などはほとんどいない時代で、高卒では役所勤めの公務員になるか、銀行員になれば近所で「良い職に就けて良かったね」と言われる。


まちは入社2年目になろうという頃、プロレスラーのようないでたちの一年先輩「枡幸一」に突然デートに誘われたのだった。


枡は休日に事前の約束もしていないのにバイクに乗って突然まちの自宅に現れたのだった。

枡幸一はバイクをまちの家の庭に停めるなり、「おい、ちょっと出てこいよ」と余裕の顔で立っている。


まるでこちらの予定も気分も御構い無しのほぼ命令に近いものだ。

銀行の先輩だし、プロレスラー(みたい)だし、後で変な嫌がらせされても嫌だから行くしかない……。


枡幸一の噂は少なからず耳には入ってきてはいた。

酒を浴びるように飲み、自動車を一人で横転させたとか、バレーボールでオリンピック選抜候補生だったとか…五寸釘を頭突きで机に打ち付けたとか化け物じみたまことしやかな噂が多かった。


誘いを断ったら何かされんんじゃないかと不安になりながらも、まちは男性慣れもしていないので上手い断り方も知らなかった。

なのであれよあれよとなすがままに2回ほど「デートみたいなもの」をしてしまったのだった。今思うとすでに術中にハマっていたのかもしれない。


「運命の日」は3回目の「デートのようなもの」をした時だった。

場所は館林の寿司屋で起こった。当時の地方都市はレストランと呼べるような洒落た店はない。若者達がデートで食事に行くのは現在でいう「少し良いレストラン」の寿司屋な行くのが定番だった。


枡はいつもと変わらず貪るように豪快に寿司を口に放り込み食べていた。


「どんだけ食べるんだ?この人。味わっているのか?」


升は徐ろにチラッと時計を見た。

「おい、ちょっと待っていな」と枡は出て行った。

そして少しすると寿司屋の戸が開いた。


そこには知らない少年をおぶった枡がいた…


「家族愛」なんて語るとこそばゆい感じがするが、最終的な「無償の愛」は血の繋がった家族である。


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