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「いい加減にしろ!
お前ら!
こっちが真面目に毎日毎日モブってんのに、流れを完全に無視して!
本当は今日でモブ解放だったんだよ!
それなのに、何が練成の材料だ!
そんなモンはさっさと買っていけ!
買ったら銭欲しさに売るな!
いつか何かあるかもしれないと取っておけ!
そしてアイテムボックスを満杯にしろ!
それと、そこ!
ラスダンまで到達した勇者なんだからもうアンタ達にゃ勝てないでしょ!
フラグがあるかもしれないけど、そこは空気読みつつ自分の保身のために来なくていいの!
やるなら外でやりなさいっ!」
そう一気にまくし立てた私は気づいた。
ここは外だと。
そして左胸の辺りが熱を持つ。
熱の中心から辺りが光輝いていく、、、!
「まさか、姫様。」
僧侶様がこちらを見ながら何か不吉な事をおっしゃった。
「む、いかん。」
そう言ったお兄さんは私の腰を抱えながら勇者様御一行に指示をだす。
「各自最大の術式を展開。躊躇わずに魔物の王に打ち込め。
騎士は最大の防御スキルを展開し、爆心地を最小に絞れ。
2度目の事は考えなくていい。
私は姫を結界の中へお連れする。
私がここに戻るまで、各自為すべき事をせよ。
指揮官は村人を守るように。
お前達、耐えろよ。」
そう言ったお兄さんは私を抱えたまま空を翔んだ。
ぎょえぇぇぇとビビってる間に結界とやらに着いた。
息も絶え絶えな私にお兄さんは以下の事を話した。
・今は一大事なので詳しくは話す時間がない
・勇者様御一行の様子はこの石を握ればビジョンが浮かぶ
・お兄さんはこれから勇者様御一行の元に戻って魔王を倒してくるという。
・必ずここに戻ってくる
そんな事を話しながらお兄さんはどこに隠し持っていたのか一振りの大きな剣を取り出した。
刀身には不思議な模様が光を放ちながら浮かんでいる。
「将軍、ご無事で。」
お兄さん改め、将軍の前でひざまずきそう祈る。
「姫は何も案ずる事なくこちらで我らをお待ちください。」
私の髪の上に口づけを落とす。
「術式展開
勇者の元へ」
そう淡々とワードを展開すると将軍の足元に魔方陣が現れ、あっと言う間に消えた。
あれ?
私モブだったよね?
ヒロイン枠?
お読みくださりありがとうございますm(_ _)m