8
魔導通信で誰かと話している指揮官。
その相手によると、勇者様御一行はもうそろそろらすとだんじょんに近づいているとの事。
通称、ラスダン。
ここを攻略すれば魔物の王もやっつけられて、わたし達は完全にモブの解放となる!
いやーホント、長かったわー。
もう月日を数えるのもバカらしいくらい。
思わず空に向かって両手を広げ勝利の雄叫びを上げそうになった所へ
大きな影が村を覆った。
嫌な予感と共に私達を影が覆う。
今は夜かと間違えてしまうような大きな大きな影が、、、
あまりに突然の事でみんな動けずにいた。
そこへ、ドラゴンの女王から飛び降りながら
「本当にこの村の武器屋にあんだろうな!
練成の材料の剣!
もう移動は面倒だからイヤなんだけど。」
数ヶ月前に飽きる程散々見た顔がやってきた。
ちょっと丸くなって。
「移動面倒ったって実際に移動してんのは女王様だからな。
つか、お前最近横着しすぎてかなり丸くなってないか?
最強の剣ゲットしても魔王に勝てる気がしないんだが。」
そうのたまう方は相変わらずムキムキの真っ赤に燃えるような髪の持ち主、騎士さま。
「う、うるさい!
オレはやる時にゃやる男なんだ!
後、これは丸くなったんじゃなくて、筋肉が付いたの!」
勇者様が反論している所へ
「先ほど、この村の方にお聞きしたのですが、この村の東には洞窟があって、姫君を連れた魔物達はその洞窟を抜けたらしいのですが
今更な情報でしたね。」
相変わらず涼やかな声でそうお話される僧侶様。
つか、まだ仕事してたんだ、キーパーソン。
恐れいったわ。
「おーい、この剣でいいんだよな?」
なんとかっていう魔物しか切れない剣の材料。」
魔術師様はそうおっしゃりながら剣を僧侶様に渡す。
「そうです、この剣です。
以前も買ったのに勇者が小銭欲しさに売ってしまうからまた買い求めるハメに。
二度手間でしたね。」
ブツブツ言いながら剣を袋に入れる。
更にブツブツ何かを言ってる僧侶様。
そこへ
大きな影が村を覆った。
嫌な予感と共に私達を影が覆う。
今は夜かと間違えてしまうような大きな大きな影が、、、
またかとみんな動けずにいた。
「勇者はどこにいる?
ここにいるのは分かっている。
東の洞窟の情報を得たら我らがこの村を蹂躙するというフラグが立つからな。
変に隠し立てすると貴様らのためにはならんぞ。
もう一度だけ聞こう。
勇者は、どこだ?」
頭から二本ツノを生やした全身黒ずくめの美形はご丁寧に私達に通じる言葉でそう話してくれた。
そして、聞き捨てならないのが、フラグ云々だ。
つまり、は、僧侶様が余計な事をしなければ、この美形と下っ端は現れなかった、と。
私はモブである事をすっかり忘れていた。
忘れていたのは仕方ない。
仕方ないけど、暴走する性格は直さないとなー。
と後に大後悔する事になろうとは、この時の私は気づいていなかった。
のではなく気づかないようにしてた。
あえて。
お読みくださりありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ