7
今日は朝から勇者様御一行はレベルアップに励んでいる。
まだまだ帰ってこないと油断していれば、魔力が切れたと宿屋に駆け込む勇者様御一行。
全く油断できない。
そんな事が何度も繰り返され私達の我慢も限界に近づいてきていたある日。
「よしっ!武器、防具、道具、ここで買えるのは全部買ったぜ!
レベルも大分上がったからな、そろそろ次の街に移動するか。」
え?
全部買えた?
って事は、、、
モブ解放!!??
「じゃあ、今日は早めに宿で休んで明日出発だなー。」
そう勇者様が締めくくり、勇者様御一行は宿屋へ消えて行った。
よ、よし!
明日解放だーー!
辺りを見回せば目立たないようにガッツポーズしてるモブのみなさんがいる。
またみんなの心が1つになった瞬間だった。
日も沈んできたので、モブ夜編へ移行した。
帰宅である。
〜・〜・〜
モブ朝編へ移行した。
起床である。
昨日まではあんなにダルかったモブも今日は晴れやかである。
なんせ今日で終わりだからねー!
そうニコニコしながら外に出ると、お兄さんと指揮官が何やら話していた。
「おはよーございます。
いいんですか?立ち位置無視しちゃって。」
そう質問すれば司令官は
「実はですね、コーラルさん
またまた非常にお話し辛い事がありまして。」
嫌な予感が全身を駆け巡る。
身体中が冷え込む。
ゴクリと固唾を飲むと、
「勇者様御一行はモブの方どなたにも声をかけずに旅立たれてしまったんですよ。
しかもこちらでキーパーソンがお話する予定だった東の洞窟を攻略されまして。」
ん?
どういう事?
私達モブにはキーパーソンが誰であるとか、その内容は一切知らされていない。
いないから、もしかしたら間違えて聞いたかもしれないけど、東の洞窟攻略?
あー、、、
キーパーソン、意味なかったのね。
もはや怒る気力も湧かない、元モブのみなさん。
それでもモブは解放だという喜びの方が勝った。
「みなさんには大変申し訳ない事をしたと思います。
お詫びの言葉もありません。
ありませんが、申し訳ないついでにもう1つ。
この村を抜けた勇者様御一行はもうこちらにいらっしゃらないと思いますが、勇者様御一行が魔物の王をやっつけるまで念のためまだモブの意識をお持ちください。
あ、いえ、昨日までのような完璧さはこちらも求めません。
防災キャッスルが流れた時だけ速やかにみなさんの立ち位置に戻っていただければ、それだけお願いいたします。」
深々と頭をさげる指揮官。
ま、まぁ勇者様御一行はまだ旅の途中だもんね。
仕方ないよなー。という空気がそこら中でながれた。
ま、まだ日焼けのリスクが、、、。
お読みくださりありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ