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最初は将軍に貰った石を握りしめて浮かぶビジョンに一喜一憂してた。
勇者様が1番息遣いが荒いみたい。
丸くなった影響かしらね、やっぱり。
決定打に欠ける攻撃ばかりで攻めあぐねていたところに、勇者様がみんなの魔力を集中させて魔王に当てる攻撃をしかけた。
勇者様にしか扱えないとっておき。
だったけど、魔王にはあまり効いてないみたいだ。
そんなビジョンを無音でずっと眺めていたら、、、
飽きてきた。
ビジョンだけだと段々と現実味が薄れてくるんだよねー。
ふとここで、私の成すべき事を考えた。
やっぱりこのぬるま湯の環境でぬくぬくしてたら話し進まないよねー。
と、いう事で
「王道展開
ヒロイン補正。」
思いつきのワードを展開してみたら、ビンゴ!
最強の防御魔法がかかった!
よし、次は
「王道展開
勇者様御一行の元へ」
私の足元に魔方陣が現れ、浮遊感を感じたその瞬間。
「効かぬわ!
汝等の攻撃なぞ!
さぁ、命が惜しくば我が花嫁を渡すのだ!」
「させるか!
姫様はお前には渡さん!」
そんなやり取りが行われていた。
満身創痍な勇者様御一行と将軍。
魔王は真っ黒い衣装が多少摩り切れてる程度で本人?本魔?はツヤツヤしてる。
私の目から見ても劣勢は明らか。
どうすれば、、、
あんまり深く考えずにここに来ちゃったけど、次の展開が見えない。
占いババに聞いてくればよかった。
村にはいないけど。
そもそも誰も私がここにいるのに気づいてないし。
「おやめください!」
胸の前で手を組み祈るようにモブ改め姫様が前へ進み出る。
「戦いなど、愚かな事はおやめください。
戦いは何も生み出しません。」
突然どこからか湧いて出てきた姫様が勇者様御一行と将軍、魔王の間に割って入る。
「ひ、姫様!」そう驚く騎士を尻目に
「おお、我が花嫁よ!
会いたかったぞ。
さぁ、我が元へくるのだ。」
姫様の方へ両手を広げ、上機嫌でそうのたまう魔王。
あ、いい香りがする。
そう取り留めない事を思った。
「ワタクシが貴方様の元へ参ればこの方達のお命や人間の世界に干渉しないと誓えますか?」
延々と続きそうな戦いを今すぐ止めさせるにはこれが1番簡単そうに思えた。
なにせ魔王だよ!
魔王!
権力の中枢!
頭からツノ生えてるけど他は別に毛がモジャモジャしてる訳じゃないし(美形だし)、下っ端達も特に変なのもいないから(美形率高いし)、魔王の国も多分そう私達とかけ離れた外見じゃないと思うんだよねー。
ならやっていけるんじゃないかなって思ったんだ。
「させるかっ!」
そう言いながら魔力の球を魔王に放つ将軍。
手を軽く振りその球をいとも簡単に跳ね返す魔王。
跳ね返された球が姫様の方へ向かう!!
ん?
お読みくださりありがとうございます!!
そろそろ佳境に入ってきました!