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入れ物
ポロネ博士は私の体の代わりに人形を用意してくれた。
白いリボンを首につけた可愛いクマの人形。
ポロネ博士は申し訳なさそうに
「こんなものですまない。」
と言っていたけど、自分の形をもたないまま街をさまよっていた私のために用意してくれた入れ物が私はとても嬉しかった。
私の命を人形に憑依させる作業は驚くほどに早く終わった。
数秒間だけ真っ暗な空間を浮遊するような感覚に飲み込まれたあと、目を開くと目の前にはモフモフの人形の手があった。
その日から私はポロネ博士の助手として博士の研究所に居候させてもらっている。
ポロネ博士の研究の手伝いは大変だったけれど、そのおかげで充実した毎日を送れた。
いつまでもこうして生活していたいという思いを私が抱きはじめたある日
ポロネ博士の孫娘が難病にかかったという連絡が届いた