『談合』と『価格カルテル』
「談合」と「価格カルテル」を論じて見たいと思います
此処で毎度のショートコラムを
陰謀論を語ると、嫌がったり、馬鹿にされたりする事が多いですが、今回は経済謀略戦について少々
勿論、信じる・信じないは読者の御判断に任せます
>年次改革要望書は、日本政府と米国政府が両国の経済発展のために改善が必要と考える相手国の規制や制度の問題点についてまとめた文書で、毎年日米両政府間で交換されていた。正式には「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」(The U.S.-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)と呼ばれた。2009年(平成21年)に自民党から民主党へと政権交代した後、鳩山内閣時代に廃止されている
過去にアメリカ政府が日本を経済的に押さえ付けたり、アメリカ資本の日本参入を目的に作られた制度です
私が今迄論じて来た、「年功序列」「終身雇用」そして今回の「談合」や「価格カルテル」も、実はアメリカの日本政策に乗っ取って潰された節が有ります
バブル迄の日本は一億総中流と呼ばれ、世界第二位の経済大国になり、対外純資産が世界一(現在でも世界一) に成る程の絶好調ぶりで、アメリカ企業を買収したりと我が世の春を謳歌していました
それに危機感を覚えたのがアメリカです
70年代後半~80年代に掛けての自動車輸出や家電輸出を代表にする貿易摩擦が最大化し、アメリカの家電業界や自動車業界が危機的状況に陥りました
そこでアメリカは日本の経済力の基盤に成っていた「年功序列」「終身雇用」「談合」「価格カルテル」を直接手を下す事無く、日本政府に「構造改革」と称して潰させました
バブルの狂乱が過ぎ、景気後退期に入ると、日本の産業構造が世界標準に合わないなどと称して、労働者のセーフティネットを潰し、日本企業の横の繋がり(談合や価格カルテル)を否定して、日本市場に参入する切っ掛けを作り、アメリカ方式の自由競争論理を労働現場やインフラ整備等の入札に迄無理矢理ぶっ込んで来ました
日本の一億総中流が潰えたのは、アメリカが仕組んだ「構造改革」にも大きな原因が有ると個人的には考えております
「談合」とは何か?
例えば、国や自治体から発注される公共工事や納入品を、入札に参加した各社が連絡を取り合い、落札する業者や落札金額を事前に決めておく事です
管制談合の場合は、これらの行為の旗持ち役を、官僚や役人が行う行為ですね
これら「談合」は、報道機関のプロパガンダ的攻撃で、ことごとく悪い行為にされてしまいましたが、果たして本当に悪い行為でしょうか?
管制談合の場合は、役人や官僚の袖の下代金も落札学に含まれかねないので、税金の無駄遣いと言われても致し方無い場合も有りますが、民間の談合が一概に悪だとは言い切れないと思います
談合の本当の狙いは、価格的に利益が確定できる落札額にする為と、落札業者を持ち回りにする事により過度な企業間競争を避け、無用な倒産を回避する役割が有りました
談合が槍玉に挙がっていた当時は、「税金の無駄がー!!」「不当に高い落札額がー!!」と散々に酷評されましたが、実際の談合の殆どは、不当に高い落札額に設定される事は有りませんでした
そんな事をすれば、次回から入札業者から外される可能性が有るからです
もし、不当に高い落札額に成った場合、管制談合の可能性が高いです・・・袖の下が入りますから・・・
実際、談合を潰され、適正な落札額に設定できなくなった入札業者は、赤字で納入したり工事をしたりしていた時期も有りました
今後も取引を続ける為には、有る程度泥を被った訳です
他の入札で取り返せるかも知れませんから
しかし、東日本大震災の復興事業の競争入札で、ついに入札不調が起きてしまいました・・・
とても、政府や自治体が出した工事費用や納入額ではやってられないからです
「税金の無駄づかいがー!!」を信じた政治家や一般国民が、ひたすら落札額を引き下げてしまったからです
具体的な事は言えませんが、私も談合の現場に居た事があります
ですから、現在の落札設定額が、大赤字なのはリアルに知っているのです・・・
例えば。10億掛かる工事を、8億でやれと言われているような状況です・・・
とても「無理」です
馬鹿正直な日本人が、今後の取引を台無しにしてまでその場の利益のみ追求する様な談合は通常有りませんでした
殆どの場合適正価格です
ただ、各社持ち回りしていただけです・・・
「価格カルテル」とは何か?
価格カルテルとは、同じ商品を扱う生産業社や流通業社が、過度な価格競争で値崩れしたりするのを防ぐ為に、各社で協議して商品の価格を統一する事です
生産業社にせよ流通業社にせよ自由競争原理に任せて野放図に価格競争を繰り返せば、何時かはコスト割れを起こしたり、競争に負けて脱落する業社が出て来ます
資本主義における競争原理に鑑みれば、競争に負けて脱落する者は淘汰されて然るべきなのですが、しかし、昔の日本人はこう言う不毛な競争を好みませんでした
ですから、「価格カルテル」で過度な競争を抑制し、商品の品質や接客・サービスで勝負する道を選びました
同じ土俵に立って正々堂々と勝負する・・・
日本の武士道精神にも通じる高潔な考えだと思います
この価格カルテルが、日本製品の品質向上に繋がった一因だと個人的には考えております
無用な価格競争を押さえ、適正な利益を得ることで、商品開発や人材育成、雇用の安定化と年功序列の様な労働者全員の定時昇給を可能にしておりました
その恩恵を、労働者である国民が享受していた事になります
しかし、マスコミが「闇カルテル」等と如何にも悪辣な価格統制の様なプロパガンダを展開し、不当に消費者から利益を得ているような印象操作をしました
消費者でも有る国民は、マスコミの印象操作に乗せられて、自分の生活の安定にも必要であった「価格カルテル」を悪い事だと考える様に成りました
そして、価格カルテルは、各社が競争出来ない位の原料輸入コスト増大でも起きない限り、行われなく成りました
それでもたまに、マスコミが「闇カルテルがー!!」と騒ぎ立てます・・・
マスコミが、騒ぎ立てる経済問題で、あれが悪い、これが悪いと言っている物の幾つかは、この様に日本人が編み出した生活保証や企業の無用な倒産を防ぐセーフティーネットでした
企業倒産が少なければ、離職者を最低限に押さえる事も出来ていた訳です
特に前出の「談合」や、今回の「価格カルテル」は、ことさらに悪い事だと宣伝されましたが、実際には、我々一般労働者が最大限に受益していた大事な大事な制度だったのです・・・
さて、「年功序列」「終身雇用」「談合」「価格カルテル」について、私見を論じて来ました
各章において、それぞれの制度が潰れた原因を幾つかあげて、しかもそれぞれ違う原因を論じて居た為、混乱なされた読者もいらっしゃったと思います
しかし、原因が複雑多岐に渡る為、あの様な形になった事を深く御詫びします
アメリカの謀略、マスコミの煽動、グローバリズム、コスト優先体質の企業経営、日本の国益を無視した企業の無国籍化・・・
これ等全てが複雑多岐に絡み合い、日本独自の雇用形態や経営ノウハウが消えてしまいました
個人的には余り好きでは有りませんが、政治家の小澤一郎氏が以前に、「年功序列や終身雇用の何が問題何だ?あれを復活させるべきだ」と一字一句こう仰った訳では有りませんが、この辺良くわかってらっしゃると思いました
私見として、「年功序列」「終身雇用」「談合」「価格カルテル」が戦後日本の凄まじい経済発展や日本国民の生活向上・安定を保証し、内需主導型の経済構造を作り上げた原動力だと考えております
※注(日本は内需が6割を越える内需主導型で輸出主導型経済構造では有りません)
現在、TPP等のグローバリズムが叫ばれ、輸出や海外進出が世界標準だ!!とばかりに日本はなっておりますが、非正規雇用を減らし、雇用を安定化させ、内需を拡大し、政府が適切に支出や公共投資をして需要を創出し、実態経済を活性化させない限り、デフレはマダマダ続くでしょう
雇用や収入が安定しない状況で、消費を増やす人は過剰債務者になるだけです
そんな事を一般国民が野放図にする訳は有りません
企業も売れなければ設備投資を控えます
何も日本に限らず、内需拡大する事が、景気回復には必要な措置だと個人的には考えております
輸出主導ですと、輸出先が景気後退した時に、一緒に景気後退するしかなくなります
中国や韓国が今、為替やその他要因で景気後退局面に有ります
最早中国に市場など有りません
人口が日本より少ない韓国は言わずもがなです
内需拡大こそ日本を救う鍵で、今回論じた各種日本独自の制度を見直す転機に成ればと思う次第であります