格差社会の永続化?
さて少し前に成りますが、この様な新聞記事が有りました
『派遣法改正案の早期成立、経済界すが要望』
経団連と日本商工会議所、経済同友会の経済3団体は、参院で審議入りした労働者派遣法改正案の早期成立を求める連名の要望書を公表した。
改正案の施行日は9月1日とされ、「大幅な改正であり、対応準備のため一刻も早い成立を強く要望する」とした。
改正案は、企業が派遣社員を受け入れる期間の上限を事実上なくす内容で、労働者の働き方の多様化を進める経済界の主張を反映している。
仮に成立が遅れれば「人材派遣会社や派遣社員の受け入れ企業で準備や対応が間に合わない」(経済団体幹部)などの影響が指摘されている。
衆院は6月中旬に通過したが、日本年金機構の個人情報流出問題や安保関連法案を巡る対立で、参院での審議の遅れが懸念されている。』
読売新聞より抜粋
その後残念ながら可決成立致しました・・・
集団的自衛権審議の裏側で・・・
『年功序列』や『終身雇用』とは真逆な格差拡大に繋がりかねない政策ですね
一応内閣の言い分では、「パートタイム労働者の様に、正規雇用を望まない労働者が、現行法のママだと雇用期間が3年に限定されてしまうので、正規雇用を望まない労働者が続けて派遣労働者として働ける様にする為」との事です
私は正規雇用されていますので非正規雇用者が契約更新でどの様な状況なのか、厳密にはわかりかねますが、正規雇用を望む労働者と派遣労働(非正規雇用)を望む労働者との線引きをキチンと出来るのか?
正規雇用を望んでいても、会社側から派遣労働を強要されて、そのまま非正規雇用を永続化される危険性は無いのか?
又、その辺のセイフティネットは確率されて居るのか?
厚生労働省から、派遣労働を強要した会社への行政指導が有るのか?又、民事及び刑事罰の適応が有るのか?
この辺をキチンと整備しないまま、この様な法律を施行すると、企業側が悪用する可能性は否定出来ません
内閣の思惑通りには行かない様な気が個人的には致します
経済財政愚問放談をお読みでない読者様に簡単に説明しますと、人間社会・・・と言いますか、動物社会は絶対に格差からは逃げられません
生まれた時から、運動能力や容姿で既に格差は発生しています
更に学校では学力で、社会に出れば賃金や出世や会社の規模等、数限りない格差に晒されます
其を過去に是正する役割をしていたのが『年功序列』や『終身雇用』だったのです
年功序列のお陰で就職から結婚、子育てから老後と必要な収入を得る事が出来ました
そして終身雇用のお陰で、解雇の不安に過度に怯える事無く安心して働き続ける事が出来ました
確かに高度経済成長期と現在では世界的経済状勢も変わりましたが、現在でも『年功序列』や『終身雇用』が有効な格差是正策で有るのは変わりません
しかも、非正規雇用は当時も有りましたが、派遣労働の様な所謂中間業者のピンハネは無かったですし、期間の決まった雇用でも、各企業がアルバイトやパートタイム労働者を直接雇用していました
かえすがえすも、小泉内閣の構造改革による派遣労働法改正での派遣労働分野拡大は、景気にとって短期的には雇用改善しましたが、長期的には経済成長を著しく毀損する結果に成りました、それが失われた20年ですね
私は経営者として、『ヘンリー・フォード』を尊敬しております
彼は資本主義経済の何足るかを良く知っていたからです
自動車の大量生産方法を確率したフォードは、自動車の売り上げ向上の為、アメリカの道路を鋪装化し、自動車の利便性を高め、労働者が購入者に成れる様に、従業員に惜しみ無く給料を支払いました
実に見事な見識で有ります
労働者は購入者でも有るのですから、雇用を安定させ賃金を惜しみ無く支払う事で、更に会社が儲かる
正に貴方(労働者)が儲かりゃ私(会社)も儲かるを良く理解していた人物だと思います
これが資本主義経済の基本中の基本だと私は考えております
つまり、労働者にキチンと賃金が支払われる事で、企業の業績が向上する(実態経済にお金が流通する)と言う事です
考えて見れば当たり前の事で、企業のサービスや製品を購入するのは、誰でも無い労働者なのですから
小泉内閣以降、この当たり前のロジックが無視されている気が致します
雇用が安定せず、賃金も下がり続ければ、景気が回復しないのは当たり前です
景気の高循環を取り戻すには、雇用の安定と賃金上昇が一番の近道です
しかし、相変わらず真逆の政策が繰り返されております
増税・各種負担増・雇用の不安定化を招き兼ねない構造改革・・・
私は此で景気回復出来るとは思っておりません
実際地方経済は相変わらずじり貧です
幾ら株価が上がっても、実態経済にはそれほど影響は出ません
本当に景気回復したなら、何故緊縮財政が必要なのでしょうか?
何故、国立競技場が建設費のせいで見直しなのでしょうか?
何故、負担増や増税なのでしょうか?
税収上がってれば必要無い筈です
本当に景気回復したのなら
日本は内需主導型経済なので、内需を刺激しない限り本当の景気回復は致しません
輸出より現地生産が増えた現在の日本では尚更です
日本の経営陣が、単純に株主の配当金を増やす為に、雇用の不安定化の様な賃金抑制によるコストダウンを続けると、永遠に景気回復しないばかりか、何れ技術継承や技術開発力も低下して行く事でしょう
政治的にも、何時までも間違ったデフレ推進政策を繰り返す限りは景気回復は絶望的です
私たち国民が、正しい経済対策を学しか、改める方法は有りません
どうか皆様、資本主義経済の基本『貴方が儲かりゃ、私も儲かる』を是非ご承知おき下さい
如何でしたでしょうか?
今の日本に求められている政治指導者や経営者は、正に『ヘンリー・フォード』の様な人物ではないでしょうか?
資本主義経済の何たるかを肌感覚で理解し、的確に経営を展開する
晩年、自ら作り上げたT型フォードに固執するあまりに経営から外されましたが、老齢に至るまでは間違いなく見識の高い経営者で有りました
ましてや彼は移民や外国人労働者にはかなり懐疑的で、アメリカの為に生死を問わず戦う事を契約書で了承しない限り、フォード社に入社を許しませんでした
わたしは彼を『人種差別主義者』だとは考えません
国益や国防、会社の存続や利益を最大限に理解していた卓越した思考の持ち主であると思っております
だからこそ、心から尊敬に値する経営者だと思っております




