閑話 登場人物メモ
作者の設定庫です。
私の中の設定の確認の為にメモをしています。
主人公
・《マルガレータ・ガルシア》
本作最大の苦労人にして主人公にしてヒロイン。
真顔がステータス。雲霞みの夕陽色の瞳と艶やかな黒髪に白磁の肌を持つが、その美しさと表情の乏しさから人形に見える程愛想が無い。年の割にかなり達観気味。
怖いものや超常的な事には人並みの反応を示すが、順応力も高い。
命知らずともいえるほど肝が据わっており、ダルヴに二度目の対面で二度も顔面にかますという大快挙を成し遂げた。
不死者、亜人類が大変好むフェロモンに似た甘い香りを非常に強く発しており、ダルヴが誘拐しなければ多分近い内にその辺の混血鬼に色んな意味で美味しく頂かれていた。
優秀な親兄弟に囲まれ、裕福な家庭に育ったが、優秀な兄と姉と常に比較され続けてきた。
最初は両親に認めてもらいたい一心で無茶無謀ともいえるほどの勉強量をこなし、休みも摂らずに死にもの狂いで勉強し続け、常に成績はトップクラスを維持してきた。
しかし、両親が望む『トップ』を取れなかったため両親には認められるどころか失望の目で見られるようになった。その視線の冷たさに耐えるために、幼い頃両親に貰った十字架を胸に抱いてひたすら祈った。
健気に頑張って、更に勉強量を増やし、とうとうテストで一位を取ったが、無理が祟り倒れる。
病室で目が覚め、ベッド脇で話し合っていた両親に、「私、一位を取ったよ」と言った。
褒めて欲しかった。
一言でいい。
彼らの望む地位を手に入れた。彼らが自分に望んだ地位を、やっととれた。
だが、そんな彼女に向けられたのは優しいものではなかった。
「だから何?」
両親の冷たい視線。今まで以上に温度のない声色。
思わず言葉を失った。
「倒れるまで勉強して取った一位なんて興味ないわ」
「お、母さ、」
「お兄ちゃんもお姉ちゃんも普通に勉強して普通に一位を取れたのよ?それなのにアンタのその様は何なの?私達に対する愚弄かしら?」
知らない。
なんで、そんなこと言うの?
こんなに頑張ったのに。こんなに一生懸命、頑張ったのに。
「みっともないわね、そんな捨て犬みたいな目で私を見ないで頂戴。情けない…」
「…エレナ、付き合うだけ無駄だ。ただでさえ予定を押して見に来たんだ、遅れを取り戻すぞ」
「そうね…ああ、頭が痛いわ。最初から期待なんてしてなかったけど、ここまで酷いなんて」
二人が出て行く。
頭が冷たく痺れていた。
でも、最後の声だけが、嫌というほどはっきりと鮮明に聞こえた。
「失敗したな」
「そうね、欠陥品に愛着がわくほど物好きでもないし」
欠陥品。
自分は最初から、最初から二人にそんなレッテルを張られていたのだ。
そんな事も知らずに、認めてもらいたがっていた。
今までの努力も、祈りも、全てが本当に無駄な事だった。
その日から彼女は神への信仰を投げ捨て、家族に失望して生きていくことになる。
流されるままの日々を送っていた彼女はある夜、吸血鬼のダルヴに見初められ彼の城に誘拐される。
彼に対して気を許してはいないが悪い感情を持っているわけでもない。突然誘拐されセクハラ紛いの言動を向けられ、元凶のダルヴの腹の底が一切読めないために警戒している。
要は拾われたばかりの野良猫みたいな状態。
ダルヴの言動に振り回されるものかと彼を「ロリコン」「アイツ」「ジジイ」呼ばわりするが、その反抗的な態度のせいでダルヴに更に気に入られている事に気づくのはもっと先になりそうだ。
・《ダルヴ》
全ての元凶にして第二の主人公(?)。
不死者の頂点に君臨する吸血鬼の原点。最古の不死者にして吸血鬼の真祖。
人間の生血を好み、銀と聖水を嫌い、体を蝙蝠に変えるという伝承通りの特徴を持つ。
だが陽の光に関しては別に苦手という訳でもないが(一応嫌っている)、夜の時に比べ感覚が鈍る。
色味のない黒絹の髪に、金と真紅が複雑に混ざり合った陽の瞳を持つ。190の長身で細身な体躯であり、ぞっとするような、誰もが息を呑む程の白皙の美貌を持つ。
髪の長さは変幻自在だが、大体は腰近くまで伸ばしている。
細身の体躯からは想像できない程の怪力を持ち、極めて高い不死性を持つ。
杭で心臓を貫かれようと体を消し飛ばされようと関係なし。
吸血鬼の弱点と言われている事の大体は成りそこないである混血鬼に該当する。
混血鬼は死ぬほど嫌い。見かけたら機嫌は一気に断崖絶壁。視界に入った瞬間串刺し。
人間は好きだが、人の生を軽んじ己の欲に浸る、所謂欲求に忠実な人間は嫌い。そして自分で命を絶つ者を酷く嫌う。
彼はどれだけ窮地に立たされようと屈さず、たとえ死ぬ運命であろうとそれを踏破せんとする気高き精神を持つ人間を好む。
基本同族嫌悪である。
マルガレータが住んでいた町の隣町、その果ての森の中に屋敷を構えている。屋敷の使用人は全て亜人類である。
彼らは人間から変異した混血鬼ではなく、れっきとした種族として存在している。故にマルガレータの色香に対して非常に強い耐性を持っている。
彼女を屋敷に誘拐した所から本編が始まる。
実はかなり早い内から彼女に目をつけており、彼女の境遇も全て知っている。彼女が肉親不信になり、無気力になり、甘い言葉を囁いて陥落させる事が出来るほど心身弱り果てるまで待っていた。
見目の美しさ、芳香に惹かれて連れて帰ってみれば、度胸はあるわ中々陥落しないわ、おまけに顔面に二度平手(一回は拳)を喰らわせ、自分を喰おうとした屍喰鬼に唾(と十字架)を吐くわ、とダルヴの好みど直球ドストライクだった。
表紙が気になる漫画を見つけて、試しに読んでみたら大当たり、みたいな感覚。
顔面に一発喰らった時には既に心奪われ、二発目で陥落。魔の森での出来事で何かもう色々と内心すごい事になっている。というか多分、彼女を見つけた時には既に強烈な一目惚れをしていた。それも数世紀に一度規模の。
本編中にマルガレータを美しいと何度も言っているが、それは外見の話だけではなく、彼女の魂の核の話である。
彼の年齢は五百年余りだが、その間彼は多くの血を啜り多くの命を取り込み、その魂に触れてきた。故に彼の目は常に魂の核を捉える。
誰もが渇望するほどの純潔で清らかな魂を持つマルガレータは、不運にも彼のお眼鏡に適ってしまったのである。
…ぶっちゃけ見た目も性格も彼のモロ好みのため、魂がそれじゃなくても多分同じ結末。
だが、それだけが理由、という訳でもない様子。
年齢的にはかなりアウトに近いアウトだが、ダルヴは人間ではないため歳を重ねるという概念が無いに等しく、人間に対する感情に年齢の概念を持ち込まない。
つまりマルガレータを12歳の人間の女の子としてではなく、純潔の魂を持った美しい女として見ている。ロリ?知らんな。
多分YESロリータNOタッチという言葉を教えても「ロリータ?最近の人間はどうも頭に蛆が湧いているようだ、お前達は余程未来に生きていると見える」と返ってきます。
最近の楽しみはマルガレータをいじること。
セクハラも交えて弄り倒し、マルガレータの擦れてない素直な反応を心底楽しんでいる。そしてロリコンじじいやらセクハラ野郎など彼女の命知らずともいえるほどの肝の据わった暴言に愉悦を覚える。上級者過ぎるジジイ(約五百歳)。
暴言を言われるたびに彼女への興味及び好感度及び興奮が高まるため、マルガレータからは「実はコイツ真性のマゾか?」と思われ始めている。実は大体あってる。正しくは真性のマゾであり真性のサド。上級者すぎ(ry
貴族めいた言葉遣いが多いが、割と砕ける。時には現代スラングも使いこなす出来るジジイ。
余談だがマルガレータの服は全部彼の好み。
あまり露出の多い服が好みではないため、彼女の服の殆どがロングスカート、ロングワンピース、または膝下。大体レースが編み込まれていたり、綺麗なブローチが付いていたりとかなりセンスはいい。
まあ端折って言えば脱がせ甲斐のある服が好みである。ちなみに脱がせるつもりは暫くの間ない。
というより彼が生きていた時代は足などを露出するのははしたないと思われていた。
幾ら見た目が絶世の美形の青年であろうと中身は五百歳越えのジジイである。
《用語と設定的な》
・《誘因体質》
ゆういんたいしつ。誘引、ではなくそれらを引き起こす元凶となるもの。
マルガレータのような人外達を誘惑する体質など、人外達が特異な、または異常な行動をとる原因となる体質の総称。
ヴァチカンの古文書、記録書、そして過去の長い歴史の中で二人しか確認されていない大変稀有な存在。最初に確認された誘因体質の持ち主はかのキリストであったとされている。
いずれも長い亜人と人間の対立の歴史に何かをもたらしてきた。
・《誘引体質》
誘因体質の一つ。マルガレータの体質。
フェロモンの様なもので、人外達には濃密な甘く芳しい香りに感じられる。
対混血鬼といってもいいほどに限定的な体質だが、純血の亜人は極めて珍しく、現に存在するのは殆どが混血鬼のために割り切りにくい。
その香りは混血鬼達のお世辞程度の理性を引き剥がし、本能を丸裸にする。本能とは食欲や性欲のこと。
人格にも異常を来すほどの極めて強力な色香のために、殆どの混血鬼は理性が蒸発し発狂する。
一方純血の亜人には割と効果は薄い。とてもいいかおりがする、といった程度。
・《混血鬼》
人間から変異した不死者の総称。
欲に堕ちたり、人間という存在から意識を逸脱した人間が魔の誘惑で変異する。
変異した経緯が欲の為に理性が弱く、知能も低下している。
要は人外に片足を突っ込んだだけの成りそこないであり、この世で最も不浄なもの。既にこの世のものとしての概念から外れた者の為、体は土に還らない。
弱点も多く、肉体は脆い。
ほとんど本能に従っている彼らから見てマルガレータは興奮剤そのもの。
・《亜人類》
混血鬼や吸血鬼とは違い、一つの種族として確立した存在。人狼やデュラハン、オーガ、セイレーン、エルフなどが著名。
その下にユニコーンやシルキー、リャナンシー、レプラコーンなどといった人とは独立した種族が続く。
高潔で知能が高く、マルガレータのフェロモンにも正気を保っていられるなど理性も強い。
人前にはほとんど姿を現さない。
・《吸血鬼》
原初の一、最古の不死者。
亜人類のような一つの種族ではなく、概念に近い存在。故に生命として絶対的優位性を持つ。
それは概念。それは現象。不死と夜と背徳の象徴。人々の畏怖、恐怖、崇拝。それらが混ざり、固まり、一つの存在として昇華されたその成れの果て。
絶対的生命の象徴でありながら、人々に蔑まれた人類の原罪の一。
人間の血液を取り込むことでその者の魂を取り込み、自らに昇華する。本来形も性質も異なるはずの魂達を飲みこみ、融かし、ひとつにするという禁忌。
自らの血を与え、血を飲むことで眷属を作る事も出来る。
弱点は銀、聖水。聖地に足を踏み入れる事が出来ない。銀や聖水によって受けた傷は、多少のものなら自力で治癒できるが、致命傷レベルの傷は血を飲まねば治らない。致命傷といっても死ぬ事はないが、治らないので生殺しに等しい。
だがそれは大した問題ではなく、吸血鬼の最大の弱点は死活問題である吸血。
吸血鬼にとっての吸血は食事ではない。
存在そのものが超常現象の象徴である吸血鬼は形を保つため様々な制約を受けており、闘争の際制約を受けていては能力は数段階ランクダウンする。
血を飲めば制約は一時的に解除され、真祖としての能力は最大限発揮できる。
しかし吸血鬼にとって人外の血はただの命の通貨でしかないが、人間の血は香りだけで脳をも蕩けさせる麻薬のようなもので、人間が薬を吸った時の20倍ほどの高揚感に襲われる。
正常な判断が出来なくなるため、人間の血は極力飲めない。大抵は亜人類たちの血を飲む。
更に吸血鬼の存在は人々の意識が集合し生まれたため、亜人類と違いマルガレータの色香を直接受けてしまう。
ダルヴは鋼の理性と普段飲んでいる亜人類の血の恩恵で耐える事が出来ている。
しかし人間の血を一滴でも飲めば、愛した女をも手に掛ける災禍の化身となる。
随時設定は追加していく予定です。