出社
8歳歳上の先輩が出社してきた。
先輩「俺がいなかったから寂しかっただろ?」
「仕事が忙しくてそれどころじゃなかったですね。」
先輩「いやいや…そういう時はさ、電球の光が切れた時のように暗くて悲しかったです!とかさ?言った方が良いんだよ?」
はい帰れ!即刻帰れ!
昨日が快適だったからか、今日はいつも以上に腹立つ。
苛立ちを隠せる自信がない。
まじで邪魔すんじゃねーよ!うぜえ〜
同期のリコ「先輩、お取り込み中申し訳ないです。ごめん。この書類どこにあるか分かる?急ぎなんだ。手伝ってくれると助かる。いっつもごめん。」
「ううん。大丈夫。頼ってくれて嬉しい。その書類はこっちだよ。」
私たちは資料室に移動した。
カードキーがないと入れない部屋だ。今は誰もいない。
同期のリコ「今日は殴り合いになるのかと思うくらい、嫌だぞー!って気持ちが目に出てたよ。」
「昨日が最高すぎて、今日どん底でしょ?我慢ならなかったの。いつもいつも仕事の邪魔ばっかりしてきやがって。」
リコ「先輩は明らかに好意を寄せてるね。カニ誘われたでしょ?」
「あれで!?仕事の邪魔ばっかしてきて本当に無理なんですけど!?あ〜前にカニ食べに行こって誘われた。もちろん断ったけど。」
リコ「本気のアプローチにはカニなんだって。だいぶ酔っぱらった2次会で熱弁してたわよ。」
「きっしょ…無理無理。リコは誘われないの?」
リコ「私は同棲してる彼氏がいるって分かってるし…そもそも好みでも何でもない子は誘わないよ。一度も声かけられたことないわ。」
「訳わからんモテ期いらねーんだよ!自分の好みの人に好かれなきゃ意味ねーよ!」
リコ「神先輩?」
「そう!え!?何で!?違うけど!?なに!?」
みるみる赤面していくのが自分でも分かる。
リコ「神先輩周りのことよく見てるものね。柔らかい口調で、気遣いもすごい。私も見習いたいところ沢山あるわ。」
「そう…そうなのよ!神先輩の人間力?っていうか人当たりの良さ?見習いたいなって私も思う!」
私って神先輩のこと好きなの?え?そうなの?いやいやいやいや、消去法でしょう。
この職場の中だったらって話でしょう。
それが恋愛かどうかはまた別の話だよ。
リコも急に何言い出すの?本当に…焦る…。
リコ「さ。必要だった書類、全て集まったわ。一緒に探してくれてありがとう。急いでいたのは本当なの。」
イタズラっぽく笑うリコは、少女のような、でも魔女のような、不思議な雰囲気を醸し出していた。
「良いなぁ。好きな人と同棲…人生楽しそう。」
リコ「まぁ…楽しいこともそうでないことも、色々あるわよ。見えなかった部分も見えてくるしね。お互い。さ、戻りましょう。」
「いやだ〜またうざ絡みされる〜でも早く提出しないといけない書類がある〜」
リコ「ワイヤレスイヤホンをしてみるのも良いと思うわ。物理的に遮るの。」
「天才じゃん。すぐ買うわ。」
同期のリコはのほほ〜んとしてる雰囲気だけど、ほんのたまに冷酷な容赦のない判断をするのが面白い。
あ〜あ…今日も苛立ちをマスクで隠しながら頑張るか。




