表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

第6話 美女に免疫が無い僕

 修学旅行2日目。1日目は学年合同で過ごしていたが、2日目はあらかじめ決められた班で、行動して行く。本来は、班のメンバーを知っているはずだが、僕は休むつもりでいたから、同じ部屋だった男子メンバーのみ知っているだけで、残りの女子のメンバーは耳に入っていない。


 「はーい、ここから班に分かれて集まって下さーい」


 学年主任が皆に声をかけて、各自班に分かれて行く。僕は班のメンバーを把握していないから、田中くんから逸れまいと後を着いていく。


 「お、これで集まったな」


 田中くんが集まったメンバーに向かって言ったのだが…


 (おおおおお、甘井さんも同じ班だったなんて…)


 まさかの、女子メンバーの1人が甘井さんだった。昨日のあーんがフラッシュバックされ、僕はもじもじ…。


 「誰?この人」


 もう1人の女子メンバー、零野れいのさんだ。僕が存在を消していた事で、クラスメイトだと認知されていない。もちろん関わった事は無いが、教室の中の声を広い、色々情報は得ている。零野さんは、甘井さんの幼馴染。小学生から一緒らしい。静かで落ち着いている甘井さんとは対照に、気が強く、何でもハッキリ喋る元気ハツラツ女子だ。


 自己紹介をするつもりだったが、気が強くハッキリ喋る零野さんに圧倒され、言葉が出ない。それに見かねて、


 「角田だよ! クラスメイトの名前ぐらい覚えとけよな」


 と、田中くんが代わりに名前を言ってくれた。


 「角田… って、昨日、桃香ももかがあーんした人!?」


 僕は再び、ハバネロの様に顔を赤くしたが、甘井さんも顔が赤くなっている。


 (あー、黒歴史を掘り返されて恥ずかしいんだな…)


 と、僕は悟る。


 「ちょっと、言葉にして言われると恥ずかしいよ」


 と、甘井さんが零野さんに怒った。


 「いや、びっくりして。てっきり他のクラスの人だと思ってたから。しかも、昨日、勢いであーんしちゃったけど、引かれてないかな〜って言ってきたの桃香でしょ。引かれてないか確認できるからよかったじゃん」


 「ちょ、ちょっと〜…」


 甘井さんが困り顔で零野さんを見て、そこから僕の方へ視線が移った。


 「あ、あああ、あの、ののの…」


 僕は目をぐるぐる泳がせる。そりゃあそうだ、零野さんは美人系で、すごく綺麗、甘井さんは可愛い代表と言われているぐらい、美人2人組に僕の事を見ているんだから。目の玉に、僕が映って申し訳ございませんと、土下座したいぐらい、あり得ない状況になっている。


 「大丈夫だよ。だって昨日、角田、めちゃめちゃ喜んでたぞ〜。寝言でも、あーんって言ってたしね」


 「ええええええ!! 僕が夢を見ながらそんな事を!?」


 (確かに昨日の夢の記憶はうっすらだが、甘井が夢に出てきた。そんな寝言を言ってたのか僕… やっぱり来るんじゃなかった)


 「そ、そうなんだ…。良かった、引かれてなくて…。今日一日、宜しくね、角田くん」



 よく漫画でヒロインの周りに花が咲いてキラキラ輝くフィルターが描かれているが、本当にこんな事があるんだと、僕の開いた口が閉じない。


 田中くんが僕の開いた口を閉じてくれて、


 「よしっ、行くか!」


 と、切り替えてくれた。今日は班ごとに自由行動が出来ると言う事で、行き先が分かれるはずなんだが、ほとんどの班が同じ行き先で、ぞろぞろと歩いて行く。僕は行き先が分からないまま着いていくが、辿り着いた場所が…



 (ててててて… テーマパーク!?)


 大人から子供まで楽しめる、大人気のTORIMA・TANOSINDEパークだ。略してトリマと呼ばれている。ここは幼い頃に両親が連れて行ってくれたのは覚えているが、何年も前過ぎて記憶が薄れているぐらい、行っていない。だってボッチだからな。僕の学校は偏差値も低く、ずっと定員割れしているから、修学旅行なども、


 『何でこんなに近場!? 日帰りで、行けんじゃん!』


 と批判が出るほど、お金をかけない。だから、ここは誰もが、一度は行った事のある場所で、友達がいるような人は、何度も通うような、人気のスポットだ。


 (どうしよう… 終わった。テーマパークといえば、アトラクション。アトラクションは基本的に偶数の乗り物。僕の班は6人。席で1人になる事は無いに等しい。絶対、『あー、ダル。何でこんなやつと乗らなきゃ行けないんだよ』と、思われる…)


 僕の頭の中には帰りたいの文字しか無い。そんな思いを抱えながら、僕は『トリマ』のゲートを越えて、中に入った。


 中に入ると、人生楽しんでいる人が似合う音楽が流れている。普通は、ワクワクの気持ちで、ゾワっと気持ちが昂るものなんだが、僕はそのままの意味でゾワっとしている。


 「なぁ、角田。何からやりたい?」


 と、田中くんが気を回してくれたのか、難題の質問を僕に振る。


 「ぼ、ぼぼ僕は…」


 目の前に見えるアトラクションにガクガク震えながら指を差した。

お読みになって頂き、ありがとうございます。

引き続き宜しくお願いします。

応援して頂けると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ