第10話 エキサイティングな僕
「実はさ、この4人は、田中に助けられた4人なんだ。ちなみに、俺ら、友達いそうに見える?」
廻宮くんも話に入ってきた。
「はい…」
僕はこくりと頷付く。
「角田からはそう見えてたんだ。実は俺たち、一緒にいて楽しいとか、落ち着くような友達はいねぇんだ。甘井と零野は元々仲良かったみたいだけど、ご覧の通り容姿が良過ぎて、一線を引かれてるみたいなんだけど。そんな俺達を繋げてくれたのが田中。零野は角田の事、本当に知らなかったみたいなんだけど、俺達は普通にクラスメイト何だから知ってたし、気にはなってたんだよ」
ここで波風くんも話し始める。
「角田、こういう行事に初めて来るからさ、せっかくだったら、楽しませてあげたいなって話してたんだよ。で、田中が角田にどこ行きたいか振ってくれて、皆んな言葉には出さないけど、よし、何でも来い!って気持ちでいたんだ」
「まぁ、私は合流してから、桃香に聞いたんだけど、そういう事なら協力しようと思ってさ」
と、零野さんが話すと、甘井さんはうんうんと頷いた。
「にしても、お前ら絶叫系無理なんて俺聞いてねぇよっ。本当良い奴らだなぁ」
楽しそうに話す田中くんの横で、僕は
「何で。田中くんに感謝しているのは分かりましたけど、何で僕なんかに… あ、あれですか。僕がずっとボッチだったから可哀想だと思って、哀れに思いながらのこれですか?」
嫌味のある言い方しか出来なかった。だが、田中くん含め5人口を揃えてこう言った。
「違うよ」
「何が違うんですか? 友達でも無いのに、何で僕を楽しませようとするんですか!!」
僕は声を荒げてしまう。薄々心のどこかで期待してしまっているけど、それが僕の思い過ごしだったらと思うと、どんどん怖くなるからだ。
「角田、違うよ。もう俺達は友達だ」
「と、とととと友達!? 田中くんは100歩譲って分かりますけど、残りの人達からは友達と思われていないんじゃ…」
「いくら学校の行事の班って言っても、別に口裏合わせれば極論、班行動なんてしなくていいよな? だって、今日は自由に行動して良いのだから。でも、俺らはひっつき虫になって行動している。それは何故だと思う?」
廻宮くんの言葉で、僕の胸の鼓動がどんどん早くなり、吐きそうだ。
「人間に見えて本当は虫だから… ですか?」
皆が、お笑いのようにズッコける。
(だめだ、もう何と言って欲しいのか分かっているのに、自分から言えない)
「そんな冗談言うぐらいだから、もう分かってんだろ、角田」
田中くんが僕が言い辛いのを察してくれて、コクリと頷く僕。
「でも話を聞いていても、分からないんです。何故、僕なんかが友達と認めてくれたのか」
「角田〜、おかんが『明日弁当いらないんだよね?』って聞かれて『いらない』って言ってるのに何回も小分けに聞いて来るぐらい、くどいぜ〜」
と、微妙な例えをする廻宮くん。だが、くどいと言われてしまい申し訳なくなった僕は、
「ごごご、ごめん! でも、モヤモヤしたままだと嫌で…」
ワタワタ、モジモジ。僕の肩にポンと手を置き、廻宮くんは
「怒ってねぇよ。班で行動してからは時間がそこまで経ってねぇけどよ、俺らは、修学旅行始まった時からずっと見てたんだ。角田ってどんなやつなんだろうって。お前の真面目な所、田中にはしっかり物が言える所、女には赤面する所。そんなん見てたらよう、友達になりてぇって思うだろうが。だから、お前も俺らと友達だと思ってくれるか?」
僕は5人の優しい顔へ、順番に目を配り、
「もちろんです!!」
と、背筋を伸ばし、指先は地面に向かってピンっと張る。
「よしっ、じゃあ記念にしゃし…」
田中くんがみんなを引き寄せて写真を撮ろうとした時、
「ようこそ〜! 何名様ですか?」
と、ジェットコースターの順番が来てしまった。2人ずつ並んでいくが、僕の隣はよりに限って零野さんだ。僕が隣で、嫌がられるのが怖くて避けたかったのに。零野さんは特に思った事を口にするタイプだから、きっと気色悪がられるだろうなと、覚悟を決め席に座る。
「え〜」
(早速、嫌がりモード…)
「やっぱり嫌だー!」
(ごめんなさーーーい!)
「ジェットコースター!」
「えぇーーーー! そっち?」
勘違いしていた僕は心の声が漏れてしまった。
「そっちって、どっち?」
「い、いやっ… 何にもありません…」
僕は緊張と、恥ずかしさで、俯き、
「空の旅へ〜、いってらっしゃーい!」
と、スタッフの声と共に、ジェットコースターが動き始めた。だが、その時!!
「え、まじまじまじ!? 怖いって普通に。角田、ごめん。手握らせて!」
と、僕の手を握った。
(しかも恋人繋ぎーーーーー!!)
ジェットコースター自体は、怖くなかったはずなのに、零野さんのせいで、エキサイティングなジェットコースターになったのだった。
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