表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミュ障少女と月の魔女  作者: 龍翠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/49

41 わたあめと焼きもろこし


 気を取り直して。ご飯だ。

 階段下の道に戻ってきた。リーナはもうそわそわしっぱなしだ。リーナの希望を聞いて選ぼうと思ったけど、この様子だと待っているといつまでも決まらない気がする。

 希望が出てくるまではわたしが勝手に決めよう。とりあえず、わたあめから。


「一つください」

「まいどあり!」


 アニメのキャラクターが描かれた袋に入ったものも買えるんだけど、この出店は目の前で作ってもらうこともできるみたいで、今回は後者にしてもらった。

 わたあめ機に素を投入。お店の人が割り箸をくるくる回すと、わたあめがすぐにまとわりついてくる。その様子が、見ていておもしろい。わたあめってこんな感じで作るんだね。


――なにこれ。どうなってるの?

――えっと……。さあ?


 さすがに興味がなかったかな。一応、理科の授業で何か聞いた覚えがあるけど……。その程度だ。はっきり覚えてない。

 とりあえず食べよう。一口、はむり。


――わあ……。これは、砂糖ね? すごい、口の中で溶けちゃってる……。すごい!

――おー……。こんな感じなんだ。美味しいね。

――もっと! もっと!

――はいはい。


 もぐもぐはむはむ。がつんと来る甘さじゃなくて、ちゃんと食べられる甘さだ。薄い糸みたいになってるから、かな? ふわふわで食感がとてもいい。

 他にもいろいろと食べ歩き。りんご飴、ベビーカステラ、焼きそば……。


――菜月! 菜月! 焼きもろこしが気になる!

「う……。り、リーナ……。本当に次で最後にしてね……。おなか、いっぱい……」


 リーナに付き合っていたらよくあること。限界まで食べさせられる。この満腹感も共有しているわりには、リーナはずっと食べたがる。くるしい。

 焼きもろこしは、文字通り焼いたとうもろこし。醤油をぺたぺたして、じっくりと焼いていく。醤油の焼ける香ばしい香りを周囲にまき散らしていて、なかなか暴力的だ。リーナも食べたくなるわけだ。

 一本購入して、早速食べる。うーん……。満腹感は確かにあるけど、やっぱり美味しいものがあるとついつい食べてしまう。


――とうもろこしの自然な甘さに、醤油のあまじょっぱさがマッチしているわね……。ああ、美味しい……。とても、いいもの!

――あはは……。リーナが喜んでくれたなら、嬉しいよ……。


 正直、わりと限界。食べ終わったら、次を言われる前に移動しよう。

 次を言われても移動すればいい、なんて思われそうだけど、わたしはリーナのおねだりには勝てないから。わたしが食べたいと思うものも多いからね。

 焼きもろこしを食べ終えて、ゴミをゴミ箱に捨てて、その場から離れる。リーナはちょっと残念そうにしてるけど、明日また来るようにするから我慢してほしい。

 それじゃあ……。ギルドに行こう。昨日助けたあの子が起きているかもしれないから。




 元旦のギルドはいつもと違って、閑散としていた。普段ならいつも人が並んでる受付にも誰もいない。受付の中にいる人も一人だけだ。

 これには理由があって、ギルドが三が日を休むから。三が日にダンジョンに入ることを禁止してる。三が日ぐらい休め、ということなんだと思う。

 ただ、休むといっても人がいなくなるわけじゃない。というのも、元旦までにダンジョンから戻ってこられない人は当然いるから。そういった人たちのために、医務室にも担当の人が必ずいる。

 受付の人に医務室に向かうことを告げて、その部屋へ。ダンジョンで誰かを助けた時にここに連れてくるから、わたしの顔、というより風貌は覚えられてしまっていた。


「ああ、魔女さん。ようこそ」

「あの……。その……」

「ふふ……。落ち着いて、ね?」

「あ、はい……」


――これが探索者で話題の魔女の姿です。

――変なこと言わないで……。


 自分でも情けないとは思ってるけど、こればかりはどうしようもない……。


「あの……。昨日の、子……」

「まだ眠ったままです。検査では健康そのものなんですけどね……。会っていかれます?」

「は、はい……!」


 そうして案内された先は、医務室でも個室になっている場所。重症な人とかのための部屋だ。その部屋の一つに、昨日助けた銀髪の子が寝かされていた。

 個室はとてもシンプル。大きめのベッドに、医療関係の機械がいくつか置かれてる。一応、心拍数とかもチェックしてるみたいで、ぴっぴっと機械から音がしていた。


――ドラマでよくあるやつ。

――家にテレビがないのにどこで見てるの?

――商店街のテレビで見かけるわよ。


 よく見てるなあ……。リーナが見ているならわたしも見ているはずなのに、全然分からない。

 ベッドに近づいて、顔をのぞき込んでみる。今も整った寝息を立てていて、本当にただ眠っているみたい。体を揺すったら起きそう。


「ギルドでも調べたのだけど、この子の情報が何もないのよ。魔女さんは知らない?」

「その……。すみません……」

「ああ、ごめんなさい。一応聞いてみただけだから。知っていたら教えてくれてるよね」


 でも、誰も分からないだろうな、というのは思う。きっとリーナの、月の関係だから。


「それじゃあ、帰る時はまた声をかけてね」


 そうして、わたし一人になった。いや、わたしと、このずっと眠っている子だけ。

 さて、どうしよう。リーナは何か調べたかったりするかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ