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8◆断罪と復讐完了?

orz 終盤も飛ばし過ぎで、だからほら変な区切り方に…そして毎回アクションに苦しむ学習しないおばか作者…だけど楽しかったからいいやw

 ◆断罪と復讐完了?


 ── 王妃がシルヴィアたち暗殺の原因の一端を担っていることが判明し、銀龍の逆鱗に触れた王妃は魅了を封印されて断罪され、さらにノイン元伯爵が生還した ──






 決断の日が来た。


 証拠が揃った。王太子アハトールの指揮の下、決定的な行動が開始された。


 ジープティヒ公爵家の屋敷は、早朝に包囲された。公爵は五十九歳、茶髪に琥珀眼の男だった。かつてシルヴィアに横恋慕し、元伯爵家を没落に追いやった張本人である。


「何という無礼だ! 私は王妃の実兄だぞ!」


 公爵は喚いたが、王太子は冷たく言い放った。


「王妃もまた、謀反の罪で拘束された。フンダート藩国との内通、暗殺の依頼、そして王国乗っ取りの陰謀 —— すべての証拠が揃っている」


 ジープティヒ公爵は顔面蒼白となった。


「これらはすべて……でっち上げだ!」


「……では、これもでっち上げと言うつもりか?」


 その時、デューが前に出た。


 彼女は記録していた水晶を取り出すと、空中に幻影が映し出された —— 公爵と将軍の妻が暗殺者に指示を与える様子。王妃と藩国王の密使が密会する様子。王子達の婚約者候補たちを暗殺依頼させる様子。


「なにっ……この記録は……!」


「この水晶は『真実の目』という亡帝国から伝えられた有名な魔道具。真実を隠すことはできませんよ」


 彼女は短髪をかきあげ、碧眼を公爵に向けた。


「シルヴィアと、クリスタルの命を奪おうとしたのは、あなたでしょう」


 公爵の目が大きく見開かれた。彼はこの少年がクリスタルであることに気づいたのだ。


「あの時……生き延びていたのか」


「さあ?……シルヴィアが守ってくれなければどうなっていたでしょうかね」


 デューの声には怒りはなかった。ただ深い悲しみと、決意だけがあった。


「権力のためなら、人の命も家族も踏みにじる。そんなあなたたちの野望は、今日ここで終わります」


 王太子が一括した


「ジープティヒ公爵。お前たちの所業は、もはや看過できぬ」


「殿下!  私は王妃の実家!  この国を支えてきたのです!」


「国を支える? お前は……お前たちは国を売ろうとしたのだ!」


 王太子の一声で、衛兵たちが公爵を取り囲んだ。







 *****






 一方、将軍の屋敷では、フュンフツェインが拘束されていた。彼女は無表情で、一切の弁明もせず、ただ窓の外を見つめていた。


「なぜ……シルヴィアたちを?」


 将軍の問いに、妻はゆっくりと振り返った。


「姉様のためです。姉様が王妃として、その子ゼクスが王太子となるためには、邪魔者は消さねばなりませんでした」


「ゼクスは王位など望んでいない! 彼は兄を支えることを望んでいるのだ!」


「それは彼が幼いからです」


 フュンフツェインの目に、冷たい光が走った。


「いずれ、王位が欲しくなる時が来ます。その時のために、姉様は準備をしていたのです」


 将軍は言葉を失った。妻の心の闇は、彼の想像以上に深かった。


「私はただ兄の口車に乗っただけです! あなたの長年の妻だったのですよ? あなたならきっと理解してくれますよね?」


 ……いや、もしかしたらこれも長期間に渡る【魅了】の洗脳のせいで、自らの考えなのか、吹き込まれたものか、もはや判断ができなくなっているのか。


「フュンフ。私は私なりに其方と情と信頼を育んできたつもりだったのだがな。三人も素晴らしい息子を生んでくれた礼はする。


 ……しかし長い間共に過ごしたはずなのに、お前の真の心の内はこの国のためには向いておらなかったのだな……すまぬ。離縁してくれ」


「あああ……貴方……あなた~!」






 *****






 それから数週間後。


 フンダート藩国との国境では、そのゼヒティヒ将軍の指揮する軍が、藩国の侵攻部隊を撃退していた。情報はすべて筒抜けだったのだ。






 *****






 国王陛下は、ノイン伯爵のその後を心配して、久々に王城に来たフォンフ元老医師によって病床から完治した後、王太子や将軍たちから、シルヴィアたちの真相と、ジープティヒ公爵と王妃ら兄妹たちや藩国に連なる陰謀などを報告された。


 しかし断罪者たちの処分に関しては、病床から回復したとはいえ、暫くリハビリとまだまだ療養したほうがいいというフォンフ元老医師の助言に従ったのと、王太子の采配を試すかのように、一任することにした。最も、王太子付きの侍従である実の娘にリハビリ中の協力を頼みながら、逢瀬を楽しみたかったのだろう。


 王太子も大公も、デューの正体に薄々気付いたが、公然の秘密として不問にした。


 王都の広場では、かつてジープティヒ公爵家の紋章が掲げられていた場所に、今は王家の旗が翻っている。主要な成員は処刑され、家系は断絶。領地は王領に編入された。かつて権勢を誇った大貴族の末路は、人々に『驕れる者も久しからず』という古い教訓を思い起こさせた。


 ゼヒツェイン・フュンフティヒ侯爵令嬢は、王太子の婚約者候補から外され、北の寒村にある修道院へ預けられた。彼女はそこで静かな日々を送っていたが、遅効性の毒が、ゆっくりと彼女の身体を蝕んでいた。修道院の粗末な寝床で、彼女は最後の息を引き取る。婚約者候補から完全に外されたことで、少なくとも暗殺の危機だけは免れたのだから、それがせめてもの救いだったのかもしれない。


 フィーアーナ・ツヴァンティヒ子爵令嬢は、貴族から除籍され、平民となった。かつての華やかな生活は夢のようで、今は街の小さな工房で織物を織って生計を立てている。時折、彼女は窓の外を見て、あの頃の自分を思い出す。虚栄と嫉妬に駆られて、あの銀色の髪の小国の王女に何をしようとしたのか。今思えば、恥ずかしさと後悔で胸が締め付けられる。


 王妃や令嬢に唆されて、女装のデューに乱暴しようとした令息たちも、それぞれの報いを受けた。


 侯爵家や伯爵家の子息は甘んじて処分を受けいれた。


 逆に傷害罪で訴えてやると一時期抵抗したのが、子爵や男爵に士爵などの低位貴族の子息だ。元伯爵令嬢であったが、そこは伯父のノインが伯爵位を再度取り戻し、姪であるクリスタルを養女にしたこと。また最早隠す必要もないと国王陛下が実の娘だと爆弾発言したことで、何れ王家に改めて王女として迎え入れられる身分だったのかと。


 最も、この発言を聞いたのは、王太子と大公と将軍とノイン伯爵とフォンフ元老医師のみ。デューは雑務で席を外していたのだが、それは幸運だったのか不運だったのか。


 とはいえ、すぐに王女とするには無理があった。元老や神殿や宰相などの承認や手続きが複雑で時間がかかるためと、長年会えなかったノインとクリスタルの時間を作ってあげましょうと、国王が周囲に説得されたせいだ。


 陛下も娘との時間はほしかったが、リハビリで会えることと、全ての心配事が落ち着くまでと、王女となれば婚約者が殺到するのがわかったから。伯父のノイン伯爵と後見人の将軍に預けたままにした。クリスタルの身の安全のためには、将軍の庇護の下、伯爵令嬢のままである方が、都合が良かったのだ。


 それでも、伯爵家という上の身分の令嬢に害を成そうとしたことで、デューの手痛い反撃で被害者となったが、加害者でもある低位貴族の子息たちの訴えは取り下げざるを得なかった。


 爵位や家格によって、罰金を払わせられたり、謹慎処分を受けたり、辺境の地に追いやられたり。中には廃嫡や除籍となった者もいた。


 王国の粛清は容赦なく、不正と腐敗を根絶しようとする国王の意志を示していた。


 そして、将軍の妻フュンフツェイン。


 彼女が修道院へ向かう途中、道は晴れ渡っていた。空には一片の雲もなく、初夏の陽気が馬車の内側を温めていた。護衛の騎士たちも、特に危険を感じることはなかった。


 突然、青空から一筋の雷光が走った。


 轟音とともに白い閃光が馬車を直撃し、木片と布切れが空中に舞い散った。護衛の騎士たちは目を覆い、耳を塞いだ。閃光が消え、煙が晴れた時、そこには黒焦げになった馬車の残骸と、一つの焼け焦げた遺体があった。


「雷が……晴れているのに……」


 誰かが呟いた。


 デューはこの事件への関与を否定した。彼女はその日、王宮で国王や王太子や将軍と共に、フンダート藩国との新たな国境協定について話し合っていた。証人が大勢いた。


 ……【因果応報】による代償を支払ったのかもな……とデューは密かに思ってはいたが。


 しかし、人々は心の中で悟っていた。あれは銀龍の審判ではと。かつてシルヴィアとクリスタルを襲った馬車事故と同じように、今度は加害者へと因果が巡ったのだ。


 ゼヒティヒ将軍は妻の死を聞いた後、しばらく書斎から出てこなかった。彼は窓辺に立ち、遠くの空を見つめていた。感情のない顔だったが、握りしめた拳の関節が白くなっているのが、付き人の目にはわかった。


「……悪意の代償を払わされたのか」


 将軍はそう呟き、深く息を吐いた。






 *****






 一方。ノイン・フィルティヒは、一時期恐れ多くも


『妹のシルヴィアが亡くなったのはお前たちのせいだ!』


 と王宮に向かって剣を振り回して抗議したが、村に帰る前の老医師や姪であるデュー(クリスタル)に宥められたり、国王陛下自らと将軍から、


『守り切れずすまない』


 と頭を下げられて説得されたことで不問とされた。


 ……すまないノインさん。でもきっと敵討ちはクリスタルとの約束通り、もうすぐ必ず晴らせられるから。少しだけ辛抱してくれ。とデューは心の内のクリスタルとも約束した。


 そのせいと言うわけでもないが、ジープティヒ公爵による濡れ衣も冤罪も晴れたので、伯爵家名再興を許され、小さな館で住まうことを許されるようになり、クリスタルを養女に迎えることも出来た。かつて奪われた名誉の一部が、ようやく戻ってきた。


 デューに対しては、一緒に住むかと提案したが、


『お世話になった将軍家へのご挨拶と、王太子殿下の侍従を辞する前に、まだやり残したことがあるので。それが終わるまでは……ただ、相応の護衛が付くが、いつでも会って良いと将軍からご厚意をいただきました。


 非番の日には会いに行きますから』


 とデューに言われ、待っていると返事するにとどまった。


「シルヴィア……これでやっと、安らかに眠れるだろう」


 世話をしていた老夫婦と街人たちに手厚く葬られていたシルヴィアの墓前で、ノインは空を見上げて呟いた。






 *****






 藩国との国交交渉も、ドライやゼクス王子、王太子や国王らによって、和平がもたらされるようだ。






 クリスタルの願い通り、彼女たちが暗殺された原因と真相は暴かれた。将軍や王族たち、ノイン伯爵の行く末に安心したデューは、彼らの元から密かに去り、母子たちが暗殺された崖の近くの森の中に単身やってきた。


「……おい! いい加減こそこそ後を付けるのはヤメロ。こっちはいつ来るかとずっと待ってたのに」


 暗殺者たちは、少年姿のクリスタルだと思っている少女を取り囲んで襲撃してきた。奇しくも、母子達とデューが出会った森の中だ。


「森の中なら我らの追撃を免れると思ったか。浅墓な小娘め。」


 リーダーらしい、母子を直に襲った男が声を発すると同時に、他の暗殺者たちが次々と少女に武器を投げつけてきた。


 デューは鉄扇を右手に、細身の剣を左手に軽く握ってぶら下げると、刃先と柄の両方を一度に使って複数飛んでくる暗器を全て高速で瞬時に弾き飛ばし攻撃を防ぐ。


 戦闘が始まった。デューの左半身に銀色の鱗がくっきり浮かぶ。最初から全力で望むつもりなのだ。


 暗殺者たちに一瞬動揺が走った。……人間ではないのか?……しかしそれも冷静なリーダーの攻撃ですぐに収まった。


 惑わされるな。自分たちの使命を忘れるなと。そうだ。誰が何が相手だろうと、課せられた依頼を遂行するだけ。目の前の敵をただ殺すだけだと。


 投擲する暗器がなくなるとそれぞれが一番得意の短剣や武器を手にしてデューの喉元や心臓など急所を狙って襲い掛かる暗殺者たち。


 デューは龍の如く素早い動きと斬撃の風圧とで一人の両目を横切りに斬りつけてつぶし、一人は指毎武器を斬り落とす。しかしその程度で済んだ者はまだ幸いだったかもしれない。


 肩や腿の付け根から腕や足を斬り飛ばされた者達に比べたら。


「人を殺す覚悟があるからには、自分も殺される覚悟があるはずだよなあ。私は決して遠慮はしないぞ。

 ああ、……そうだなあ。せめてお前たちの名前を聞いておこうか?」


 しかしさすがは暗殺に長けた者たち。呻き声すらも封じられながらも不様にのたうちまわる事なく、見えない目で、片腕で、片足で、指を斬り落とされた利き手を捨てて残った手で、果敢に少女に向かってくる。


「ふうん? 無言ってことは声を出せないようにされたのか……それともそれがあんたらの返事だと受け取っていいのだな」


 そして少女の宣言通り、息の根を止めなかったのは暗殺者たちの気概を削ぐつもりだったが、一向に怯む様子がないのを確信すると、デューはため息をつき細身の剣を鋭くふるって、喉を、首の延髄を、心臓を突きさし、鉄扇と風圧による斬撃とで首を斬り落とし、頭や胴体をかち割った。


 最期に、母子を暗殺した男だけが残った。


 偽の腕に縛り付けた短剣を難なく受け止め交わしたデューだったが、隠し持った本物の利き手に握られた毒つきの剣に少女の首は斬り落とされた。


「ああ……ジープツェイン様。お喜びください。おではやり遂げました。おでがやってやりましたよ!」





















 ……はずが、デューの能力のおかげで首のない体の左手に持った細身の剣は男の心臓を突きさし、


「!? ……そんなバガな"……貴様本当に人間ではながったのが……」


「ん? ああ。残念だったなあ。私は銀龍の巫女。冥途の土産にお前だけでも名前を聞いてやろうか?」


「おでの名はない……だだのヌル……」


 右手に持った鉄扇で股間から上に切り上げると暗殺者の身体を真っ二つに返り討ちにする。


「ヌルか……せめてあの世で目をかけてやるように伝えておこう。私は悪魔でも神でもないがな……」


 デューは自分の頭を拾うと屍だらけの森を悲愴な表情で立ち去った ──






 *****


この対決のラストシーン見せたいがために長くて辛かった…感無量

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