第2話、この世界の謎
筑矢は自分の変化に驚きすぎてしばらく放心状態になった。
筑矢「その、、、君も転移してここに来たんだね。自分の姿見て驚かなかったの?」
女戦士「どんな姿だろうが魂は同じだろ?私は気にしていないがな。」
筑矢「君さ、、、それマジで言ってるの?。。。」
女戦士「まあ元いた世界の顔は毎日見ていて飽きていたし、これはこれで悪くないさ。」
筑矢「へーぇそうなんだ。。。君は転移してきたとは思えないくらいこの世界に馴染んでるね。そういえば君の名前聞いてなかったな。俺は白原 筑矢だ。これからよろしく。」
女戦士「私は春野 摘希だ。こちらこそよろしくな筑矢。」
摘希「さて、軽く自己紹介も済んだことだしもうこんな時間だ。いつも利用してる宿屋にでも行って身体を休めるとしようか。」
そして宿屋に入りしばらく同じ部屋で10分ほど無言の時間が続いた。
筑矢「あのー。。。何から何まですまないな。。。」
摘希「いやいや謝らなくてもいいぞ。私もこの世界に来たときは周りに助けられたものだ。」
筑矢「そうだったのか。ちょっと聞きたいんだけどもう元の世界には帰れないのかな?」
摘希「普通に帰れるぞ?」
筑矢「え!?どうやって?」
摘希「夜寝るだけで元の世界と行き来できるみたいだぞ。どういう仕組みなのかは分からんが。」
筑矢「なるほど、、、つまり異世界ってやつは何でもありってことだな。いや待てよでも寝ている時だけ異世界に転移できるとかやっぱおかしいと思わないか?」
摘希「まあ細かいことを気にしても何も分からないんじゃ手の打ちようもないだろ。」
筑矢「それもそうだな。。。今日は疲れたしもう寝ようかな。」
摘希「私もそろそろ寝るとするかな。筑矢はこの部屋で休むといい。私は別の部屋で休むとするよ。」
筑矢「その、、、ありがとう春野さん。。。」
摘希「堅苦しいのは嫌いだから摘希でいいぞ。」
筑矢「わ、わかったよ摘希。。。」
摘希「分かればよろしい。まあ困ったことがあれば何でも言ってくれ。」
筑矢は心をモヤモヤさせながらもその日は疲れていたのですぐに眠りにつくことができた。
翌朝目覚めると摘希の言う通り元の世界に戻っていた。
しかし元の世界では心だけでなく仕事で酷使した身体までもボロボロになっており、その影響でうつ病も悪化していた。
だが2つの世界を行き来していて脳はずっと起きているようにも思えたが精神的疲れは不思議とあまりなかった。
筑矢「摘希の言う通りになったな。。。あれは本当に存在する世界なのか?しかし異世界での記憶は自分自身ちゃんと体験したものかのように残っている。やはりとても夢とは思えない。」
筑矢は異世界なんて存在を簡単には受け入れられなかった。もしかしたら病気のせいでおかしくなってしまったのかとも思っていたが心療内科の先生や他の誰にも相談できなかった。
とりあえずその日はネットで今置かれている状況と似た体験談の書き込みがないか調べていたが何も分からなかった。
筑也「そりゃこんな頭おかしいと思われそうな体験ネットとはいえ誰も書かないよな。こうやってどんなくだらないことでもずっと1人で考え過ぎていつも勝手に疲れてるんだよな。だからこんな病気になったのかも。。。」
あの不思議な体験が本当に異世界なんだとしたら何故自分なんかが選ばれたのかと思い悩みながらそのことばかりずっと布団で横になりながら考えていた。
筑矢「今日は珍しく親父にこき使われることもなかったし、比較的気分良く眠れそうだな。こんなことになったのは驚いたけどあれが夢じゃないんだとしたらせっかくだし俺も少しでも誰かの役に立ちたいな。」
うつ病により自信を無くしていた筑矢だが、新しい世界を受け入れようやく前を向いて歩き始めていた。
そして夜寝ている間にまた異世界へ、、、
摘希「おはよう。やっと起きたか。」
筑矢「おい!いつからそこにいたんだ!?」
摘希「朝からそんな大きな声を出すな。これからちょっと金を稼ぎに出かけるから黙って出かけるのもなと思ってな。筑矢が起きるのを待っていただけさ。」
筑矢「金稼ぎって何するんだ?」
摘希「ちょっと魔物を狩ってくる。」
筑矢「摘希。。。魔物は昼間には出ないんじゃなかったのか?。。。」
つづく